二階俊博の発言 (本会議)
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○二階俊博君 私は、去る一月十七日未明、兵庫県南部を襲った地震による大災害について、新進党を代表して、総理及び関係閣僚に質問をいたします。
質問に入る前に、このたびの地震災害により、まことに残念なことでありますが、とうとい生命を失われた四千名を超える皆様のみたまに謹んで哀悼の意を表するとともに、被災者の皆様に対し、心からのお見舞いと深く御同情を申し上げるものであります。
今回の地震は、ある意味では関東大震災を超える規模の大災害となりました。これが対策に、政府も、兵庫県及び神戸市を初め各地方公共団体、ざらに民間の皆様も大いに努力をしているところであり、私たち新進党としましても、災害復旧に対し、直ちに海部党首を本部長とする兵庫県南部地震対策本部を十七日の九時三十分に設置するとともに、海部本部長を中心に直ちに調査団を派遣し、明日の内閣において国土・交通政策を担当する私自身も二度にわたって現地を踏査してまいりました。この際、私たち新進党としては全力を挙げて政府に協力し、一刻も早く事態の解決に、復興に力を合わせて取り組むべきだと考えております。(拍手)
最初にお尋ねしますが、国家の最高責任者である村山総理は、十七日の午前五時四十六分ごろ兵庫県南部で発生した震災をいつごろ、どこで、だれから報告を受けられ、どのような対策を指示されたのかをお伺いいたします。なお、災害発生当日の総理御自身の御日程についても明らかにしていただきたいのであります。
この際、この最初の総理への報告内容がいかなるものであったのかが重大な問題であります。当初これほど大きな災害に及ぶという認識に欠けていたのではないかとの疑問を抱くものでありますが、このように前代未聞の大災害に対し総理みずからが先頭に立つということで、今からでも非常災害対策本部を直ちに緊急災害対策本部に格上げし、みずからが総理として全責任を担い、今日までの災害対策のおくれを早急に回復すべきであります。
昨日、総理は現地をごらんになり、緊急対策本部と、極めて紛らわしい名称の本部を設置されたようでありますが、私たちや現地の被災者の皆さんの要望は、災害対策基本法百五条に基づいた各種の強制的な規制などの総理の権限を広く認める、しかも効力のある緊急災害対策本部の設置を強く望むものであります。
この設置に必要な災害緊急事態とは、「国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚な」非常災害とありますが、現に四千名以上の死者を出し、災害復旧への道筋もいまだ全く明らかでないこの大惨事に対する認識や対応において、今また誤りを繰り返してはならないのであります。この際は、官僚の判断だけではなく、総理としての政治判断、政治決断を強く要求するとともに、対策が後手後手にならないよう首相の指導力が問われているということをぜひ御認識をいただきたいのであります。(拍手)総理の現地に赴かれた御感想と決意のほどを改めて伺いたいのであります。
災害発生時の事態の掌握のおくれが自衛隊の出動に大きな影響を及ぼしていると考えますが、県からの要請があろうがなかろうが、国土と国民の安全を守る崇高な任務を持つ自衛隊の出動について、タイミングや規模等について判断に重大な誤りがなかったのか、大いに反省の必要があります。
と申し上げるのは、生き埋めの人が二百名ばかりおるので直ちに自衛隊の出動をという新進党の国会議員の要請に対し、地震当日の朝、大阪で実際の地震を体験した私自身は、明日の内閣の西岡武夫総合調整担当にお願いをして、防衛庁幹部に、事の重大性、当時の情報として二百名を超える生き埋めの生存者のことを伝えていただきました。しかし、残念ながら、この段階においては防衛庁幹部はこの事態を承知していなかったという重大な事実があるからであります。
自衛隊の最高指揮官としての村山総理は、救援の初動活動において、人命救助最優先の立場からもう少し積極的なしかも迅速な指揮がとれなかったのか、悔やまれてならないのであります。(拍手)政治責任もあわせて、この際、総理の御見解を伺いたいのであります。
高秀横浜市長は、「国から各自治体への指示は一切なく、神戸市から直接要請を受けた。被害の拡大は、国の指揮機能がないところに原因がある。自衛隊派遣も遅く、行方不明や大災害が放置されるなど、中央政府としては絶望的な対応、憤りさえ感じる」と、大都市の首長の立場から政府の危機管理体制の不備を指摘しておられますが、国民のだれもが同じ思いであります。村山総理はこれらの声をどのように受けとめ、みずからの責任の重大さをいかに感じておられるか、重ねてお尋ねをいたします。
私は、新進党の調査団に参加し、被害地の状況をつぶさに調査し、さらに、貝原兵庫県知事や笹山神戸市長にもお目にかかりましたが、今私どもがなすべき最も重要なことは、行方不明の方々の早期救出であり、また、救出者の治療のための医師及び看護婦等の整備であります。なお今日現在避難をしておられる二十七万人を超える人々の日常の生活を守ることであり、それは水であり食事であり、この寒さをしのぐための毛布等の充足を急ぐことであります。
やがて、悲しいことでありますが、不幸にして犠牲となられた多数の方々の葬儀についても、極めて深刻な問題であります。手厚い配慮が望まれるのであります。
次に重要なことは、被災者の方々に対する一日も早いプライバシーの回復のための応急仮設住宅の確保であります。政府関係者はこのことに全力を尽くしていただいておりますが、なお一層の努力を切望するものであります。
また、現在住宅ローンの支払いの最中に家屋が倒壊した人たちが崩れ落ちた家の前に茫然と立ち尽くしている姿を思うとき、これらの人々が新たな住居を求めるに際し、国は被災者の立場に立っての適切な対応をなすべきであります。ローンの支払い減免、支払い延期を含め、住宅再建に積極的に力をかすべきであります。
応急仮設住宅が全国のプレハブ業者を総動員してでき上がるまでの間、周辺府県の民間住宅はもとより、客船の借り上げ等も含め、さらに応急、緊急の対応を求めるものであります。
「人にやさしい内閣」が単なる看板であったのか。真に日本国民の琴線に触れるような温かい配慮を国を挙げて今求めているのであります。生活道路、一般道路及び高速道路の早期復旧や、住宅、道路等の耐震性についての専門家による再検討をも含め、建設大臣の見解を伺うものであります。
次に、神戸港の機能回復についてでありますが、世界貿易の重要な拠点である神戸港の復旧は我が国の国際的信用にもかかわることであり、市民生活にも多大の影響を与えることになります。緊急な復旧が重要であります。また、新幹線を初め、私鉄を含む鉄道機能の回復は急務であります。総理としてこれらに対してどのような決意を持って取り組まれるのか、御方針をお伺いしたいのであります。
次に、都市直下型地震の特殊性と激甚性にかんがみ、現行制度で可能な限り対策を講ずることは極めて当然のことであります。しかし、新進党としては、既存の法制度の枠内で対処が困難なもの、現行制度に加えさらに手厚い対策を緊急に必要とするものについて、特別な立法も行うべしと考えております。政府としていかに対処しようとしておられるのか、国土庁長官の御見解を伺いたいのであります。
なお、被害総額が、民間経済研究所等で四兆円ないし八兆円と言われていますが、政府はどのように認識しておられるのか、あわせて御答弁をお願いしたいのであります。
先ほどの御報告にもございましたが、地震予知についても万全の体制が必要であります。担当大臣としての決意のほどを重ねてお尋ね申し上げたいのであります。
次に、総理にお伺いをいたします。
今回の地震で、通信機能の麻痺について多くの国民の皆さんがかなりいらいらしており、通信によって安否が確かめさえできれば、直ちにあの混雑の道路に車を乗り入れる必要もない人もおられます。通信機能を初め、ガス、水道、電気等のライフラインの回復に全力を注ぐべきであります。
なお、救護物資の輸送や救急車に加え、一般の車が重なって、伊丹空港から神戸市までの間がほとんど身動きができなくなっていた実情から判断して、車の乗り入れの制限等が早い時期になされるべきであるという声がしきりであります。これについても、当然早い段階に指導がなされるべきであります。
消防自動車等が全国各地から応援に駆けつけていただいており、必死の消火作業が続いておりますが、火事がなかなか消えない、消せない。このことは私自身も、何とかならないのか、いら立ちを覚えたものであります。極端に申し上げますと、火事が鎮火したのではなく、まさに燃え尽きて焼け野原と化してしまっているのであります。総理もヘリコプターの上から昨日もこのことはごらんになったはずであります。かつて我が国にはどこの町にもどこの家にも防火用水なるものがありましたが、水道に頼り切っている消火体制も今真剣に見直す必要があるのではありませんか。
また、神戸市長が、市独自でやれる対策もある、ぜひこの際特別交付税で国の財政上の支援を要請したいとのことであります。当然のことであり、特別の配慮を強く望むものであります。総理の答弁を求めます。
激甚災害の指定についてもどのように考えておられるのか、御方針を伺いたいのであります。
以上のような対策を講じていく上で、財源の問題が重要でありますが、補正予算の早期提出と年度内成立に向けて一層の努力を願いたいのでありますが、大蔵大臣の方針を伺いたいと思っております。
歴史に学ぶということは常に大切でありますが、昨年一月十七日のアメリカ・ロサンゼルスの地震災害、昨年の三陸はるか沖地震等の教訓は、ここではほとんど生かされていないのではないかという危惧を抱くものであります。
三陸はるか沖地震の際も、新進党は十二月二十九日直ちに対策本部を設置し、命を受けて私は八戸市に向かい、翌日三十日に第二回対策会議を開き、七項目にわたる要望を政府に申し入れました。総理、このことを御存じですか。御用納めの終わった後でもありますから、官邸にも主な富片にも幹部の姿はほとんど見当たりませんでした。それでも、国家の危機管理についておろそかにしてはならないということを私たちは政府に申し入れました。
もちろん、総理も官房長官も国土庁長官も御不在の際に、三陸はるか沖の地震災害が発生いたしました。一月九日ごろになって、ようやく各省担当者も出そろってまいりましたので、明日の内閣において、十七省庁の担当者を前に、再度、国家の危機管理のあり方について法的措置を含め検討の必要がありということの警告を発したわけであります。それから十日もたたないうちに再び大災害に見舞われ、自衛隊の出動についても今議論を呼んでいるところであります。
我が党としては、この際、国家の危機管理対策や、今回の災害の早期復旧に関する国会決議を提案させていただきますが、各党党首も壇上におそろいでありますが、特に議員各位の御協力をお願い申し上げます。(拍手)
平和な日本、経済大国日本は、このような巨大地震災害の前に、都市基盤を含め、残念ながらいかに脆弱なものであるかを露呈いたしました。国家の危機管理についてもほとんど無防備の状態であり、責任者不在のような姿は大いに反省するとともに、復興に全力を尽くすと同時に、政府は日本経済の世界に及ぼす影響等にも配慮しながら対策を講じられるよう強く要請し、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕