松田岩夫の発言 (本会議)
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○松田岩夫君 私は、新進党を代表し、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件について、総理並びに関係閣僚に御質問いたします。質問に先立ち、先ごろ東京の地下鉄で起きたサリン事件により亡くなられた方々と御遺族に対し、深い哀悼の意を表します。また、被害に遭われた方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
さて、このたびの事件は、サリンという毒性物質をラッシュ時の地下鉄車両内にまき、大量無差別的に殺傷するという悪質かつ卑劣な行為であり、我が国の社会全体に対する露骨な挑戦であります。化学兵器を廃絶しようとしているやさきに、化学兵器が戦争以外の目的で一般市民に向けられたわけであります。今回の事件を契機に、サリンを武器にテロ犯罪がふえるのではないかとの心配も広がっています。治安のよさを誇る我が日本で、このような犯罪の発生を許したことはまことに残念至極であり、捜査当局は厳しく受けとめなければならないと存じます。
政府は、一刻も早くサリン事件の解明を急ぐべきでありまず、総理の本事件に取り組む決意のほどをお伺いいたします。また国家公安委員長に、その後の捜査経過をお伺いいたします。
ただいま趣旨の説明のありました化学兵器禁止条約の国内実施法であります化学兵器禁止法案は、現在参議院で審議が進められておりますが、サリンを含む特定物質の規制等に関する規定を一日も早く実施するため、施行期日の修正が取り進められております。私は、施行期日の繰り上げと同時に、今回のような事件の再発防止のためには、別途取り締まり立法が必要であると思います。
化学兵器禁止法案において、確かにサリン等の無許可製造、使用等が処罰されることとなっておりますが、それは化学兵器の禁止を担保するための行政刑罰としてでありまして、今回のような事件に対処できるよう公共の危険を防止するために必要な刑が定められているわけではありません。また、その予備行為としての原料物質の購入などの行為についても取り締まるべきであると思いますが、そうした行為に対する罰則は設けられておりません。そこで、サリン等の発散等について、公共の危険を防止する観点から、所要の罰則等を設けることを主な内容とする取り締まり法規の制定に早急に取り組む必要があると思います。国家公安委員長の考えをお伺いいたします。
次に、化学兵器禁止条約についてお伺いいたします。
二十世紀における戦争は、全人類を巻き込んだ二度にわたる世界大戦及び核兵器等の大量破壊兵器の登場により、十九世紀のそれとは比較にならないほど大きな惨禍をもたらしました。その中でも核兵器と並ぶ大量破壊兵器の一つである化学兵器については、第一次世界大戦において大規模に使用され、百万人を超える死傷者を出したとされています。そして、その影響の非人道性ゆえに、一九二五年にはいわゆるジュネーブ議定書が作成され、化学兵器に関しその戦時における使用が禁止されました。
しかし、第二次世界大戦後も、化学兵器はその生産が比較的容易であることから、その国際的な拡散が懸念されてきました。事実、一九八〇年代にはイラン・イラク戦争において実戦で使用され、これを契機に、化学兵器の戦時における使用の禁止のみならず、戦時平時を問わず、その全面的な禁止及び廃絶の必要性が国際的に改めて強く認識されるようになりました。さらに、その後の湾岸戦争において化学兵器の大量使用の危険性が深刻に懸念され、こうしたことがこの条約を生んだわけであります。
しかし、化学兵器は、今申しましたように比較的容易にかつ安価に生産できることから、仮に国際的に包括的な化学兵器の禁止を定めても、秘密裏に化学兵器を生産、保有する行為があった場合、そのような条約違反行為を発見することは容易ではないと考えられ、条約の遵守について懸念されてまいりました。この条約は、このような懸念にこたえるべく徹底した検証制度を設け、従来の軍縮関係の条約には見られなかった画期的な枠組みを創設するものと承知しております。ついては、この条約がどのような点において画期的なものであるか、また、この条約の化学兵器の廃絶に向けた実効性について外務大臣にお伺いいたします。
化学兵器禁止条約は、この検証制度を実施するため国際機関を設置することを定めており、その国際機関には締約国各国から職員として査察員を受け入れることとしております。国際社会において、とりわけ軍縮の分野において積極的な役割を果たしていこうとする我が国としては、この国際機関に対して専門的な知識を持つ要員を派遣し、人的な貢献を行うべきであると私は考えます。
そして、我が国において化学兵器の分野において最も高い知見を有するのは、言うまでもなく自衛隊であります。しかしながら、現在の法律制度のもとでは、特別職の公務員である自衛官を自衛官の身分のままで国際機関に派遣することができないのが実態であります。これは、一般職の公務員であれば、いわゆる派遣法の適用により、国際機関に派遣された場合にも給与や年金等の処遇上の不利益がないように配慮されているのに対し、特別職の公務員には派遣法が適用されないためであります。
世界の主要国では、国連や軍縮会議等の国際機関に軍人を派遣し、軍事的・専門的知見を生かして種々の貢献を行っております。冷戦後の今日、軍縮の分野で我が国の自衛官がその専門的知見を生かして活躍すべき機会は、今後ますます大きく広がっていくものと考えられます。私は、この機会に、ぜひとも自衛官を自衛官の身分のままで国際機関に派遣できるよう制度を改めるべきであると考えますが、防衛庁長官の見解を伺いたいと存じます。
さて、世界には、化学兵器を保有しているとされる国が二十カ国以上あるとされています。こうした国の中にはこの条約に署名していない国もあり、これらの国はこの条約が発効してもその規制を受けないことになります。この条約が世界における化学兵器の完全な廃絶を目指すのであれば、化学兵器を保有しているとされるすべての国をこの条約に加入させていくことが重要であります。ついては、こうした国を本条約に加入させるため、我が国がどのように取り組んでいくのか、外務大臣にお尋ねいたします。
現在、核疑惑解消のために国際的な努力がなされている北朝鮮においては、ミサイル開発が進められていることは確実と言われていますが、そのミサイル開発は、化学兵器の運搬手段とすることを主眼としているとの識者の指摘もございます。北朝鮮におけるミサイル開発や化学兵器の生産については、米朝交渉においても、またKEDOと北朝鮮との交渉においても触れられる見通しかないようであります。しかも、北朝鮮はこの化学兵器禁止条約に今なお署名しておりません。我が国の安全にとって直接の脅威となり得るこの問題をどのように処理されていくおつもりなのか、外務大臣にあわせてお伺いいたします。
この条約は、締約国に対し、他の締約国の領域内に遺棄した化学兵器がある場合には、これを国際機関に申告し、その国と協議の上、廃棄のための計画を策定して廃棄を進めていくべきことを定めています。この関連で、中国側は、旧日本軍が中国に遺棄した約二百万発に及ぶ化学兵器の処理を我が国に求めてきております。先般、中国へ政府調査団を派遣されましたが、その調査結果はどのようなものであったのか、外務大臣にお尋ねいたします。先般の調査団の応急措置だけでも、一個当たり
ます。(拍手)
〔国務大臣玉沢徳一郎君登壇〕