小坂憲次の発言 (本会議)

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○小坂憲次君 私は、新進党を代表して、ただいま提案のありました災害対策基本法の一部を改正する法律案並びに村山総理と政府の政治姿勢について質問いたします。
 あの悲惨な阪神大震災の発生から五カ月近くがたとうとしております。大震災そのものが人災だったとは申し上げません。しかし、家族を亡くされた悲しみに暮れ、家を焼かれ、今なお不便な避難暮らしを余儀なくされている多くの被災者の皆さんの苦しみ、無念さを思うとき、果たしてこれを天災だったと片づけてよいのか、一人の国民として怒りを覚えずにはいられません。
 尊敬される指導者とは、危機に際して決断のできる人であり、その決断にあくまでも責任を持つ人であります。政府の最高責任者がみずからの決断によって国民に犠牲を強いた場合、それを一生をかけて償うべき責任を負わなければなりません。その意味で、よき指導者たることは極めて厳しく困難なものであります。
 しかし、阪神大震災に際しての村山総理の対応はいかがでありましたでしょうか。これは決断による犠牲、決断に伴う責任ではなく、決断しなかった、あるいはできなかったことによる犠牲であります。
 総理、今回の死者、不明者合わせて五千五百四名にも及ぶ犠牲者を、あなたはすべて天災のなせるわざと強弁することができますか。一国の最高責任者として、でき得る限りを尽くしたと、犠牲者のみたまとその御遺族と三十万人以上の被災者の方々に胸を張れるでありましょうか。
 初動態勢のおくれ、官僚任せの対応は、あなたの政治姿勢そのものではないですか。大震災が発生し、日本を代表する輝かしい町が一瞬にして瓦れきの山と化したとき、あなたは何を差しおいても直ちにあの現場に立つべきだったのです。これはパフォーマンスでも何でもない。総理一人の力で救援から復旧、復興へと何から何までできないのは承知いたしております。ただ、政府の最高責任者が真っ先に現場に立ち、全世界に向けて政治
のメッセージを送ることが何よりも必要だったのではないでしょうか。
 新進党は、平成七年度予算、七年度補正予算に盛られた震災対策について、不十分と指摘し、対案を示しながらも、可及的速やかな実施が必要であるとの観点に立って、野党として最大限の協力をしてまいりました。しかし、総理の責任問題は別であります。総理、あなたが総理としての国民に対する責任を自覚し、最高責任者としての責任のとり方がどうあるべきかを真摯に考えられるなら、これを機会に、政権維持のみを目的とした不自然な連立政権を解消し、潔く職を辞するべきではありませんか。
 夏の参議院選に向けて、自民、社会、新党さきがけの三党合意を見直し、新たな課題をつくるとか、共同公約にするとか、何をなしたいかも不明なまま無目的なスローガンづくりに腐心するのは本末転倒と言うべきです。国民が今まず望んでいるのは、無為無策のまま一年を過ごしてきた村山政権の清算であり、何もしない政治の継続ではないのであります。総理がみずからの責任をどう考えておられるのか、ここで改めて明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。
 総理が総理として何をされようとしているのか、一つとしてそのメッセージが伝わってこないと感じるのは我々日本国民のみではないと思います。
 二十八日未明、ロシアのサハリン州オハ地区を襲った大地震は、死者、不明者三千人以上と推定される大惨事です。阪神大震災の記憶も冷めやらぬ我々日本人にとって、他人事とは言えない切実な出来事であります。
 この報に接し、総理として当日まずなされたことは、モスクワの日本大使館を通じ、エリツィン大統領にお見舞いを述べられたことと、国際緊急援助隊を派遣する用意があることを表明されたことのみでありました。すなわち、これは総理みずからのイニシアチブによらずとも、役人が事務的に用意した機械的な作業とも言えるわけであります。
 政府がロシア政府からの回答をただ待っている間にも、民間のアジア医師連絡協議会は即座に決断し、二十九日には第二次医療チームを派遣しております。函館市など地方言治体も、即座に民間機を利用した救援物資の供与を決めているのです。ロシア政府の返答がなかったから待っていたではなく、制約があるとはいえ、総理は御自身の意見として、最大限何ができるかを考えもしなかったのではないですか。
 その後、政府は千六百万円相当の第一次救援物資をサハリンに届けたとの報道もありますが、今度はエリツィン大統領が「外国からの援助は必要ない。後で北方領土を返せと言われるかもしれないからだ」と言明したと外電は伝えております。総理はこの発言をどのように受けとめられますか。ロシアの震災援助に関して総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、防衛庁長官にお伺いします。
 阪神・淡路大震災に際し、百一日間の災害派遣を立派に務めた自衛隊は、救援・復旧活動に大きな役割を果たし、被災者は無論のこと、多くの国民に感謝され、信頼感を高めました。しかし、地下鉄サリン事件など、日本社会に大きな動揺を与え、日本の安全神話を根底から突き崩した一連のオウム真理教事件では、現職自衛官の関与が次々に明らかになっております。教団東京総本部への自作自演の火炎瓶投てき事件、運転免許試験場への不法侵入、陸上自衛隊空挺団長宅の盗聴事件、化学兵器関連本や航空部隊編成表の漏えい事件、そして三菱重工業の研究所への侵入事件、どれ一つをとっても到底看過することのできない深刻な事件であります。
 ところが、これほどの不祥事に対しても、玉沢防衛庁長官は、辞任の必要はないとしているのみか、防衛庁長官としての責務を全うすることが私の責任だと強弁する始末であり、昨日は陸、海、空の三自衛隊員を前に訓示をされたとのことであります。
 玉沢長官、あなたのなさなければならない責務とは一体何でしょうか。あなたが政治家としてしなくてはならないことは、自衛隊の規律を厳しくすることでも再発防止のマニュアルをつくることでもなく、まず辞任することによって責任の所在を明確にすることです。玉沢長官の辞任を強く求めますとともに、今回の一連の自衛隊不祥事に対する総理と長官の御見解をお聞きいたします。
 阪神大震災、そしてオウム真理教事件と、国の基盤と社会の安全を揺るがす深刻な事態に対しての総理初め政府の対応は、村山政権の無責任体質を白日のもとにさらしたというほかはありません。一体、だれが国の重要政策を立案し、だれが政治決断をし、そしてだれがその責任を負うのか、この政権は何一つ明らかになっておりません。明らかなことは、妥協に妥協を重ねた不透明な政策決定プロセスがあるということと、だれも政治決断と呼べるものは行っていないこと、そしてだれも責任をとらないということであります。
 もういいかげんにしてほしいというのが国民の率直な声なのです。このままでは国民の政治不信はますます高まるばかりで、今政治が新たに出直すための第一歩は総理の退陣であることを改めて指摘しておきたいと思います。
 さて、今回の法改正に伴う問題点について質問いたします。
 総理並びに関係大臣は、本会議あるいは予算委員会など委員会の場において、答弁のたびに繰り返し総合的、万全の対応を言明してこられました。今般の改正は、今まで答弁されてきた総合的かつ万全な対策と言えるのでしょうか。もし緊急的措置の必要な事項のみとりあえず改正するというのであれば、現在検討されているその他の事項は、いつ起こるかもしれない災害の対策として緊
急的な対応の必要のない事項なのでしょうか。総理の御見解をお尋ねいたします。
 今回の法改正では、都道府県公安委員会による災害時の車両の通行の禁止または制限措置の拡充を定め、あわせて警察官、自衛官及び消防吏員による緊急通行車両の交通路確保のための措置を定めています。しかし、もし今回大地震と同規模の地震が昼間の大都市で起こったならば、道路は交通渋滞の車でびっしりと埋まり、障害となる車を排除し退避させる場所もないことが想定されます。この法律が予定しているように、障害となる車両や障害物を排除し、また通行禁止などの規制措置を速やかに区域内を通行している車両に周知し、緊急通行車両の交通路を確保することが本当にできるのでしょうか。国家公安委員長の見解と決意をお聞かせください。
 このような観点からすると、今回の一部改正案による対策は、相変わらずの平面的な対策のみを考え、今回震災で指摘されたように、空からの立体的な消防・救援体制を緊急に整備せよといった要望が生かされておらず、甚だ場当たり的な対策と言わざるを得ません。
 私は、二月七日の災害対策特別委員会を初めとした委員会の場において、たびたび、消防庁、海上保安庁や自衛隊、そして地方自治体の保有するヘリコプター、飛行艇など航空機を登録し、災害時に統括して運用し有効活用できるような組織、すなわち仮称消防防災飛行隊を創設し、立体的な災害対策を直ちに整備すべきだと指摘してまいりました。今後、政府は立体的な救援・消防防災対策をどのように整備していくのか、国土庁長官にお伺いいたします。
 我が党は、「防災のための5—UP作戦」と銘打って新災害対策基本政策を取りまとめ、危機管理、治安、防災対策の強化による安全国家・安心社会宣言を発表いたしました。地震国日本においては、いつどこで今回同様な悲劇が起こるかわかりません。関東大震災クラスの東海大地震が懸念される中で、今のように総理のリーダーシップも見えず、連立内閣のきしみばかりが目立つ政府・与党に万全の対策を期待することができるでありましょうか。今この瞬間にも起こるかもしれない大地震に対し、総理は今度こそ自信と責任を持って対処できると国民の前に断言できるでしょうか。
 最後に、国民のすべてが不安に思っているその心構えをお聞きし、質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕

発言情報

speech_id: 113205254X03219950601_012

発言者: 小坂憲次

speaker_id: 23810

日付: 1995-06-01

院: 衆議院

会議名: 本会議