松下康雄の発言 (予算委員会)

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○松下参考人 ただいま委員御指摘のように、私どもは、三月三十一日に短期市場金利の大幅な低目誘導に踏み切りまして、その後、四月の十四日に公定歩合の引き下げを行ったところでございます。
 三月末の、低目誘導をいたしましたその時点での私どもの経済の景況判断を簡単に申し上げますが、その時点におきましては、私どもは、日本経済は全体として緩やかながら回復過程にある、しかしながら、回復が始まってから一年半も経過しております割合には、どうも回復の力に弾みがつかないと申しますか、その当時に手に入れておりましたいろいろの経済指標なり情報なりを総合いたしますと、むしろ景気回復の緩やかさという方がだんだん目立ってまいってくる、そういう判断でございました。そこで、私どもは、実質の金利の大幅低下をまず行いまして、これによりまして経済の回復力にてこ入れをやりたい、そういう意図から金利の低目誘導を実施をいたしたわけでございます。
 その後、実際に市中の金利は非常に急速に低下をいたしまして、これが、各種の長短貸出金利につきましても、また企業のCPによる調達金利につきましても、実際上は相当の大幅低下を見たわけでございまして、この点につきましては、当時、他の通貨当局も、実質金利引き下げをやったなという判断がございまして、その結果、市場におきます協調行動なども行われたわけでございます。
 しかしながら、その後も事実上は、今御指摘がございましたように、急激な円高というものの進行がなかなか、加速をするというような状況もございます。また、株価を初め、資産価格の非常に軟調な地合いも継続をいたしまして、その後のいろいろの情勢判断をいたしましたところ、やはりこれらの情勢が、例えば一般の企業心理等につきましてどうも好ましくない影響を及ぼすのではなかろうか、場合によれば景気の回復力自体に懸念が生ずるのではないかという判断に立ち至りまして、その段階で改めて公定歩合の引き下げを行い、また、これに伴いまして市中金利の一層の低下も図ってまいるという政策をとったわけでございます。
 で、こういうふうに二段構えと申しますか、両様の政策をとりました点につきまして、ただいま御指摘がございましたような、アナウンスメント効果を重視したならばそれで適切であったかどうかという御意見でございますけれども、私どもは、市場の金利低目誘導の持っております意味、あるいは公定歩合の持っております意味が昨年来若干変わってまいったのではないかという考えを持っております。
 それは、昨年十月に預金金利が完全自由化されまして以後、一般の金利水準の変化が、それまでは公定歩合を軸といたしまして、これが変更されますというと、預金金利の方にそれが及んでいく、あるいは一般の市中の金利もそれを注目して、基準にして動いておる、その状態から、今まで以上に預金金利も含めました貸し出し等のもろもろの金利が市場で形成される金利によって動いていくという傾向に変わってまいったのではなかろうか。
 したがいまして、そのときに、政策の手段といたしましては、もちろん公定歩合は依然として非常に重要な政策手段でございますけれども、同時に、市中の金利を実質的に低くするという措置を講じますというと、それはまた非常に敏速に一般の実質金利水準の低下につながっていくであろう、そういうことから、当時の情勢判断といたしまして、まず低目誘導の措置をとったわけでございます。
 今後につきましてはどういうことかということでございますが、私どもといたしましては、やはり、金利の自由化が完了いたしましたこの時代におきまして、今申してまいりました市場金利の低目あるいは高目の誘導によります金融の調節手段と、それから公定歩合の持っております、伝統的な、非常に強いアナウンスメント効果の持っておる政策手段としての効果、この両方をよく勘案をいたしまして、その情勢に応じまして適切な組み合わせというものを考えながら、そして、その状態をよく国民の皆様方にも、マスコミ、金融機関にも御説明をいたしまして、これからそういうふうな運営についての御理解を深めてまいりたい、そして、今後とも両方合わせた機動的な政策運営を図ってまいりたい、さように思っております。

発言情報

speech_id: 113205261X02619950420_012

発言者: 松下康雄

speaker_id: 25077

日付: 1995-04-20

院: 衆議院

会議名: 予算委員会