宇野收の発言 (議院運営委員会国会等移転小委員会)
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○参考人(宇野收君) 国会等移転調査会の会長をいたしております宇野でございます。
本日は、この場にお招きいただきまして、私ども調査会の第二次中間報告の内容についで御説明をする機会を賜りまして、まことにありがとうございます。以下、座って御説明させていただきます。
私ども調査会では、昨年の六月に「移転の意義と効果」につき第一次中間報告を取りまとめまして、この場でも御説明をさせていただきましたが、今般、去る六月六日に開催されました第六回調査会におきまして第二次中間報告を取りまとめて、同日の夕刻、村山内閣総理大臣に直接御報告をいたしました。その後、先ほどお話がございましたように、九日付で総理より国会に報告されたというふうに承っております。
国会等移転調査会の基本部会は、昨年六月に「移転の意義と効果」に関する中間報告を取りまとめました後、九月七日以降本年の五月十七日まで計六回にわたりまして検討を進めてまいりました。
一方、新都市部会は、昨年の四月二十六日に第一回の会合を開催して以来本年の五月十七日まで計十回にわたりまして検討を進めてまいりました。また、昨年の十一月には新首都の都市の空間的なイメージを盛り込んだ「新首都のビジョン」に関する中間的取りまとめを公表して、国民各層の議論に供したところでございます。
報告書をごらんいただきたいと思いますが、まず目次をごらんいただきたいと思います。
本報告書は、第一編が「首都機能移転の範囲と手順」でありますが、第二編は「新首都の都市づくり」でありまして、二部構成となっております。第一編は基本部会の検討の結果を、第二編は新都市部会の検討の結果をそれぞれ調査会で取りまとめたものでございます。
まず、第一編の「首都機能移転の範囲と手順」でございますが、三ページからの第一章「移転の対象の範囲」では、まず新首都にあるべき機能について述べております。すなわち、新首都は首都機能移転がめざす二十一世紀のわが国のあり方にふさわしい機能を果たせるようにつくられるべきであると述べた上で、新しい政治・行政機能、本格的な国際政治機能及び日本の進路を象徴する機能の三つの観点から新首都にあるべき機能について検討した旨を述べております。ここでは、単に東京から移転する機能だけでなく、二十一世紀の新首都にふさわしい機能として新たに整備すべき機能等についても記述しております。
まず、三ページの下の方から、「新しい政治・行政機能」では、新首都の政治・行政機能は従来のそれとは異なり新しい政治・行政システムにふさわしい機能となることが必要である旨を述べておりますが、その上で、三権の中枢である首都機能のほかに、政党本部等の立法関係機能、マスコミ、シンクタンク等の首都機能を支える民間機能、情報機能等が必要であるとしております。
五ページからの「本格的な国際政治機能」では、新首都には、多様な国際政治や地球的視野に立った国際的活動の中心地としての機能、海外への援助活動など国民レベルでの相互理解を深める国際交流機能等を発揮することが求められ、首都機能としての外交機能のほかに、大使館等の外交関係機能、国際機関等の国際交流機能、国際情報拠点の機能を備える必要があること。
さらに、六ページからの「日本の進路を象徴する機能」では、新首都には日本の歴史や伝統を体現するとともに、二十一世紀に生きる国民が未来に託する夢をはぐくみ、我が国のアイデンティティーを世界に伝えていく役割が求められており、日本の文化や進路を示す機能、さらに、本格的な文化・学術交流を深める機能、未来の文化を生み出す機能が求められると述べております。
八ページからの「移転の対象となる首都機能の範囲」では、首都機能は現在の組織のまま移転するのではなく、移転の過程を通じて見直していき、新しい政治・行政システムとして新首都を形成すべきものと考え、移転の対象の範囲は、簡素で効率的な政府の実現を目指して必要最小限の機能であるべきであると強調しております。
このような観点から、立法機能としては国会の機能を、行政機能としては中枢性の高い政策立案等にかかわる機能や危機管理機能を、さらに司法機能としては最高裁判所の機能をそれぞれ移転の対象と考えております。
十ページからの第二章「移転のプログラム」では、「早期移転の必要性」におきまして、先般の阪神・淡路大震災の経験を教訓として、国の災害対応力の強化の観点から首都機能を東京と同時被災する可能性の少ない地域に早期に移転すること、また、国政全般の改革も急がれることなどから、早期移転のためのプログラムを示すことが必要であると指摘しております。
十二ページからの「段階的移転の考え方」では、首都機能移転は大規模プロジェクトであることから、新首都づくりの各段階において移転の規模や内容についての検討を行いつつ、逐次移転を進めることとなると述べております。
首都機能については、国会と内閣は同時に移転すべきであるとした上で、内閣を支える中央省庁等の機能は一時に移転することは困難であることから、地方分権・規制緩和を初めとする国政全般の改革を踏まえた行政組織の見直しの進捗との整合を図りつつ、各省庁ごとに政策企画部門と実施部門など機能の性格に応じて水平分割する方法と、省庁単位で行政組織を垂直分割する方法を適切に組み合わせて段階的に移転すべきであるとしております。また、首都機能移転の具体的なプログラムを策定するためには、総合的に移転方法を検討する場を設置することが適当であるとしております。
十四ページからの「第一段階における新首都の機能」では、国政全般の改革を最優先するとともに、国の災害対応力の多重性を確保することが重要であること、そのためには国権の最高機関である国会の率先移転を行うことが最優先であり、国会の移転をもって首都機能移転の第一段階とすること、中央省庁等については、国会や内閣との関係から、国政の円滑な運営に支障を生じないような各省庁の政策企画部門を中心とする必要最小限の機能を移転することが適当であると述べております。また、大規模災害時にも国の情報機能が十分に発揮されるよう新首都に情報機能の先行整備を図るべきであると提言しております。以上を踏まえまして、第一段階の新首都の規模はおよそ十万大規模と想定しております。
次に十六ページの「成熟段階における新首都の機能」では、魅力的な都市として成熟した時点での新首都の機能のあり方は未来の国民の求めるところにゆだねられるべきであり、将来の選択が可能になるよう余裕やゆとり、自由度、弾力性を確保しておくことが重要と考え、成熟段階における新首都の人口規模としては最大規模で約六十万人程度と想定をしております。
以上が第一編の「首都機能移転の範囲と手順」の概要でございます。
次に、第二編の「新首都の都市づくり」でございますが、十七ページからの第三章「新首都のビジョン」では、まず「新首都のイメージ」において、国民や世界に開かれた新首都づくりを目指し、これを象徴する、だれもが自由に集うことができる緑の広場を設けるとともに、平和主義を掲げる国家の首都、日本の未来像を考える文化都市にふさわしい施設等を設けるとしております。また、新首都づくりを環境共生型の都市づくりの先導的プロジェクトと位置づけております。
新しい国会議事堂は、威圧感のある外観を避け、国民に開かれた印象を与えるデザインとし、中央官庁地区の町並みは、庁舎が緑豊かな景観の中にゆったりと配置された開放的で品格のあるものにすることとしております。その他、新首都の交通施設や商業・業務地区、住宅地のイメージを記述しており、新首都の都市景観は、町並みが親近感や開放感を感じさせつつも、全体的には一国の首都たるにふさわしい風格ある景観を形成するとしております。
また、将来の世代がこの都市を適切に機能させ、質的、機能的に高めていけるようにするために、都市づくりのプロセスにはゆとりや柔軟性を持たせることが必要であるとしております。
二十三ページからの「新首都の都市形態」では、新首都の規模を人口で最大約六十万人程度、開発される面積でおおむね九千ヘクタールと想定し、首都機能の効果的な運営の確保と移転先地の自然条件や地域社会との調和などを考慮して、国会都市と呼ぶ中心都市と、その他の小都市群が自然環境豊かな数百平方キロメートルの圏域に配置されている都市形態を提示しております。
二十五ページからの「新首都づくりの手順」では、新首都づくりは非常に規模の大きなプロジェクトであるため事業は長期間を要する一方、政経分離や国政全般の改革を進めるためには国会の移転をできる限り早期に行うことが必要であることから、新首都の建設は段階的に行うとともに、特に第一段階としては、建設開始から約十年で国会を開催することを目標とし、国会都市から着手すべきであるとしております。その規模としては、人口約十万人、開発面積約二千ヘクタール程度と想定しております。
二十七ページからの第4章「新首都づくりの制度・手法」では、まず基本的な考え方として、首都の建設という特別な公共性を持つプロジェクトであることから、思い切った新たな制度と手法を導入して取り組む必要があるとしております。
二十八ページの「優れた都市環境の形成と自然的環境の保全」では、首都にふさわしい美観と風格を保持し、環境との調和、共生を図るため、新首都の圏域全体を国民共有の公園都市のように考え、公的主体が圏域内の土地をできる限り広範に取得し、いわゆるリースホールド方式を活用するなど、個々の土地所有者に対する規制のみに頼ることのない土地利用の管理手法を導入することを提案しております。
二十九ページからの「土地投機の防止と円滑な土地取得」では、公的主体に先買い権を付与するとともに、買い取り価格を候補地選定段階の地価を基準に算定するなど、移転先地に対する土地投機が結果的に利益とならないようにすること、また大規模な国有地等の活用や地元の土地所有者に対する生活再建のための措置を講じることを提案しております。
三十一ページからの「計画・事業の実施主体」では、国自身が第一義的な責任を持って新首都づくりに当たる必要があるとともに、圏域全体に及ぶ一体性と建設期間を通じた一貫性を持って実施に当たるため、強力な体制を整備する必要があること、そのためには新首都建設に一元的な責任を有する特別な国家機関を設立し、基本的な方針の策定や諸施策の総合調整等を行う一方、都市づくりの企画立案、面的開発事業、関連公共公益施設整備事業等は国の設立する一つの実施主体が一元的に行うことを提案しております。
三十三ページの「開かれた手続き」では、新首都づくりのプロセスが国民の目から見てわかりやすく進められるとともに、内外からすぐれたアイギアや技術を集め、国民一人一人が参加意識を持てることが重要であることを述べた上で、モニタリング機関の設置や国と地元自治体との協議会の設置、国民参加のイベントの継続的な実施を提案しております。
三十四ページの「地方行政や住民自治との関係では、新首都の都市建設は国の責任のもとに実施されるべきことから、都市づくりに関する国と拙元の地方公共団体との役割分担のあり方については十分に検討する必要があること。
三十五ページの「財源対策」では、集中的な公共投資による事業の迅速な実施に対応し、国民共有の資産として質の高いストック形成が行われるよう、所要の財源の確保が必要であることを述べております。
三十六ページの「今後の課題」では、今後具体的な移転先地が選定される段階において、より詳細な検討が必要であること、土地対策に関連する制度、手法の一部については移転先地の選定段階において同時に措置される必要があることを述べております。
以上が第2編「新首都の都市づくり」の概要でございます。
最後に、三十七ページの「おわりに」にございますように、阪神・淡路大震災の経験により、危機管理の重要性が改めて認識される中で、首都機能移転の必要性、緊急性についての議論が高まっております。本調査会におきましては、首都機能移転の早期実現に向けて、残された課題であります「移転先地の選定条件やその選定方法」、「移転の時期の目標」及び「東京の整備のあり方」につきまして早急に検討を開始したいと思っております。
また、国会におかれましても、国民にわかりやすいPRの実施に努められ、一歩一歩実現に向けて国民の合意の形成が図られますよう努力されることを期待いたします。
以上をもちまして、私からの報告とさせていただきます。ありがとうございました。