陣内孝雄の発言 (災害対策特別委員会)

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○委員長(陣内孝雄君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。
 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。
 阪神・淡路大震災による被害状況及び復旧状況等の実情調査のため、去る四月十八日及び十九日の二日間、本院から災害対策特別委員八名を含む十五名の議員団が兵庫県に派遣されました。
 この際、本議員団に団長として参加いたしました私から便宜、その調査の概要を御報告いたしたいと存じます。
 派遣議員は、板垣正君、浦田勝君、河本三郎君、清水嘉与子君、清水達雄君、上山和人君、菅野壽君、野別隆俊君、三上隆雄君、木暮山人君、矢原秀男君、横尾和伸君、磯村修君、林紀子君、そして私、陣内孝雄の十五名であります。
 今回の派遣は、災害発生後三カ月を経過していることから、特に復旧活動の進捗状況と復興、再建に向けての取り組み状況などについて現地の実情を調査したものであります。
 以下、調査の概要について申し上げます。
 地震の発生状況及び規模につきましては、既に御承知のことと存じますので、省略させていただきます。
 この地震による被害状況は、四月十七日現在の兵庫県のまとめによると、人的被害は死者五千四百八十名、行方不明者二名、負傷者三万四千九百名、家屋被害は倒壊家屋十七万千四百八十一棟、焼失家屋七千四百五十六棟、避難者数は五万四百六十六人、避難所数六百二十九カ所となっております。また、被害総額は全体で推計約九兆九千二百六十八億円に達するとのことであります。
 今回の地震は大都市直下で発生したため未曾有の都市型大規模災害をもたらし、交通・物流網が寸断され、市民生活や企業活動に深刻な打撃を与えております。今回の派遣におきましては、阪神高速道路及びJR東海道線の被害及び復旧の状況について視察を行いました。
 まず、阪神高速道路につきましては、三号神戸線と五号湾岸線の二路線二区間で現在も通行どめが続いております。特に甚大な被害を受けた神戸線では路線全体で半数以上の橋脚が損傷を受けたとのことであります。
 視察した神戸線波止場地区においては、倒壊は免れたものの多数の橋脚が激しく損傷し、落橋も生じたため、六百数十メートルにわたり高架橋の解体撤去を余儀なくされており、再構築の作業が行われておりました。神戸線の全線復旧は当初三年後と言われておりましたが、地元から早期復旧の強い要望があることから、阪神高速道路公団としては平成八年十二月までの全線復旧を目標としているとのことであります。
 次に、JR関係の鉄道の復旧状況につきましては、東海道・山陽本線が四月一日から、山陽新幹線が八日から全線で運転が再開されております。
 視察したJR東海道線六甲道駅周辺におきましては、当駅を中心に約一・一キロメートルの範囲で高架橋の柱の損壊、落橋等の被害が生じたとのことであります。復旧に当たって柱を新設する際には、山陽新幹線の場合と同様に鋼板による被覆等を行っており、その結果、耐震強度は従来の二・五倍に向上しているとのことであります。運転再開は当初予定では五月の連休明けとされておりましたが、周辺住民や地元自治体、警察等の協力により早期の再開が可能となったとのことであります。
 今回の地震による高速道路や新幹線の高架橋等の崩壊は、関係者を初め国民全体に大きな衝撃と不安を与えております。被災箇所については復旧に当たって耐震性の向上が図られておりますが、直接被害が生じていない箇所についての点検と補強、さらには今回の教訓を踏まえた上での耐震基準の見直しが今後の課題であると思われます。
 次に、神戸市の災害廃棄物処理状況について申し上げます。
 神戸市では、家屋の倒壊、焼失により発生する廃棄物が千数百万立方メートルと膨大な量に及んでおり、その処理は神戸市復興のための最重要課題の一つであります。
 市内で発生した災害廃棄物のうちコンクリート系の瓦れきについては海面の埋め立てに利用されることになっており、神戸港においては三カ所で約六百万立方メートルの瓦れきを受け入れる準備が進められているとのことであります。
 なお、視察した灘区灘浜の瓦れき積み出し基地においては、瓦れきを埋め立てに利用するため、海水を利用した分別施設により瓦れきに紛れている木片を取り除く作業が行われておりました。
 一方、多数の木造家屋の倒壊により木質系廃棄物が大量に発生しているため、最終処分場の容量不足が懸念されており、今後はその処理方法が大きな課題になると思われます。
 次に、応急仮設住宅の建設及び入居状況について申し上げます。
 兵庫県では建設計画戸数四万戸のうち、四月十七日現在まで三万九千三百八十戸を発注し、既に三万一千四百二十戸が完成、うち一万九千三百九十二戸が入居済みであり、現在建設中のものについてはおおむね四月末までの完成を目標としております。
 視察した神戸市東灘区の御影中住宅は、入居者はほとんどが高齢者または身障者世帯であり、入居後実情に応じて玄関先にスロープを設置するなどの配慮がなされております。しかし、震災直後に緊急的に発注されたため、バス、トイレに手すりが備わっていないなどの不都合が生じているとのことであり、今後は入居者の生活状況やニーズに応じた住宅の内部改造について必要な措置をとっていきたいとのことであります。
 次に、神戸市の震災復興町づくりについての取り組み状況について申し上げます。
 神戸市においては、震災後の復興に向けて計画的な町づくりを行うため、地震による被害を受けた市街地のうち約二百三十ヘクタールの地域について災害発生後二カ月間にわたる建築制限を行い、制限期間の終了する三月十七日には五地区で土地区画整理事業、二地区で市街地再開発事業の都市計画決定、告示を行ったところであります。市当局としては、これらの地区について、今後詳細な町づくり計画についての合意に向けて、現地に相談所を設置する等により住民との話し合いを進めているとのことであります。
 視察した三宮地区は、商業施設、企業の事務所、市役所等が集積した神戸の中心街でありますが、今回の震災で地区内の五百六十棟の建物のうち約二百棟の建物が解体撤去される見込みであります。これらの建てかえに当たっては地区計画制度を活用して災害に強い町づくりを進めることとしており、民間の協力を得ながら、柔軟できめの細かい規制、誘導を行っていきたいとのことであります。
 次に、二次災害防止対策について申し上げます。
 地震による地すべり、がけ崩れ等二次災害の危険地域については、現在でも十六カ所六百二十二世帯が避難勧告の対象となっております。視察した東灘区西岡本の斜面崩壊箇所においても一部に避難勧告が発令されており、恒久的な地すべり対策工事が進められるとともに、伸縮計を設置して常時監視が行われ、必要に応じて避難勧告、立入禁止等の措置がとられる体制になっているとのことであります。
 地震による崩壊箇所のほか、地盤の緩みが生じている箇所についても梅雨期に備えて住民の不安を取り除くための対策が緊急課題であると思われます。
 次に、淡路島における復旧状況についてであります。
 住民の避難状況については、二次災害防止のための避難所を除きすべて解消しており、仮設住宅についても、島全体の計画戸数千六百六十二戸のうち三十戸を除いてすべて入居が完了、残る三十戸についても四月中の建設、入居が見込まれております。
 倒壊家屋の撤去作業は、四月十五日現在の進捗率が七割程度と順調に進んでおり、七月初旬には全市町で撤去を終了する見込みとのことであります。
 次に、復興へ向けての取り組み状況につきましては、被害を受けた市町においては、土地区画整理事業の着手、総合住環境整備事業の導入などにより、災害に強い地域づくりを目指して復興への取り組みを始めているところでありますが、いずれも過疎地であることから財政基盤が弱く、復興への道のりは厳しいものと認識しているとのことでありました。
 なお、調査に際しましては、兵庫県、神戸市及び神戸商工会議所並びに北淡町及び一宮町から、震災復興のための事業に対する支援措置等を初めとして各般にわたる要望を聴取してまいりましたが、その内容につきましては、別途作成した詳細な報告書に掲載しておりますので、御参照いただきたいと存じます。
 以上が調査の概要でありますが、最後に、改めてこの震災により亡くなられた方々に弔意を表しますとともに、被災地の方々にお見舞いを申し上げ、また、本議員団の調査に際し、復旧、復興活動に繁忙の中、格別の御協力を賜りました現地の皆様に感謝申し上げまして、報告を終わります。
 この際、お諮りいたします。
 阪神・淡路大震災による被害状況及び復旧状況等の実情調査のための議員派遣につきましては、既に議院運営委員会に報告書が提出されておりますが、当委員会におきましても便宜これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

発言情報

speech_id: 113214339X00919950428_001

発言者: 陣内孝雄

speaker_id: 9031

日付: 1995-04-28

院: 参議院

会議名: 災害対策特別委員会