武村正義の発言 (大蔵委員会)

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○国務大臣(武村正義君) 今後における財政金融政策の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説において所信を申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 まず、今回の兵庫県南部地震で亡くなられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。今後速やかに被害状況を把握の上、財政金融上の措置につきましても、平成六年度第二次補正予算の編成も含めて最善を尽くしてまいります。また、今回の災害による損害を平成六年分の所得税において考慮し、その関連で災害減免法の所得要件を引き上げるほか、今回被災した関税延納制度の利用者の納期限の再延長等を行うこととしております。
 まず、財政金融政策の前提となる最近の内外経済情勢について申し上げます。
 我が国経済は、これまで景気を下支えしてきた公共投資と住宅投資が引き続き高水準で推移することに加え、個人消費や設備投資などの民間需要の自律的回復を通じて、内需を中心とした安定成長に向かうものと期待しております。
 世界経済は、地域によってばらつきが見られるものの、全体として拡大基調を強めております。今般、カナダのトロントで開催されたG7蔵相・中央銀行総裁会議におきましても、先進国経済は改善を続けており、現在の課題は成長を持続させることであるとの認識で一致しました。
 私は、今後の財政金融政策の運営に当たり、このような最近の内外経済情勢を踏まえ、以下に申し述べる諸課題に全力を挙げて取り組んでまいります。
 第一の課題は、現在回復局面にある我が国経済における内需を中心とした安定成長の確保であります。
 平成七年度予算編成に当たりましても、我が国の経済情勢を踏まえ、一段と深刻さを増した財政事情のもと、平成六年度と同程度規模の所得減税を引き続き実施するほか、公共投資の着実な推進を図るとともに、国内産業の空洞化の懸念等の構造的課題にも適切に対処し、我が国経済の中長期的な安定成長に資するものとしたところであります。
 今般の税制改革も、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立って行ったものであり、我が国経済社会の豊かさと活力の維持、増進に資するものと確信いたしております。
 金融面では、七次にわたる公定歩合の引き下げの効果などにより、各種金利は依然として低い水準にあり、今後ともその効果を見守ってまいります。
 また、為替相場につきましては、経済の基礎的諸条件を反映して安定的に推移することが望ましいと考えており、今後とも市場の動向を注視しつつ、適宜適切に対処し、相場の安定を図ってまいります。
 第二の課題は、財政改革を引き続き強力に推進することであります。
 財政改革の目的は、一日も早く財政がその対応力を回復することにより、今後急速に進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応し、我が国経済社会の豊かさと活力を維持、増進していこうとするところにあります。財政の硬直化がさらに進めば、我が国経済の発展にとって重大な支障となりかねません。
 このため、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが基本的な課題であり、将来の世代に多大な負担を残さず、健全な形で我が国経済社会を引き継いていくことこそ、今の我々に課せられた重大な責務であることに改めて思いをいたさねばなりません。
 しかしながら、我が国財政の現状を見ますと、累次にわたる経済対策を実施するための公債発行等の結果、公債残高は急増し、昨年末にはついに二百兆円を超え、国債費が政策的経費を圧迫するなど、構造的にますます厳しさを増しております。これに加え、平成五年度決算において税収が三年連続して減少し、初めて二年連続して決算上の不足を生じるという極めて異例な事態となり、その後の税収動向にも厳しいものが見込まれております。
 平成七年度予算につきましては、各般の努力により、何とか財政体質の歯どめなき悪化につながりかねない特例公債の発行によることなく編成することができましたが、極めて厳しい状況のもと、NTT株式の売却収入に係る無利子貸し付けの繰り上げ償還に係るものを除いた建設公債の発行額を増加せざるを得なかったばかりか、平成五年度決算上の不足額の繰り戻しの延期等の特例的な措置をとるのやむなきに至ったところであります。この結果、平成七年度末の公債残高は約二百十二兆円に増加する見込みであり、また、特例的な措置の中には今後処理を要するものもあるなど、財政事情は一段と深刻の度を増していると言わざるを得ません。
 こうした足元の財政事情に加え、安定成長下の経済においては、過去見られたような大幅な税収の増加を期待することは困難であることを考えれば、今や我が国の財政は一刻も放置しておけないほどに脆弱な体質になっていると言っても過言ではありません。
 私といたしましては、我が国財政がこのように切迫した状況にあることについて、広く訴えるとともに、国民の御理解と御協力を得て、今後さらに一歩でも二歩でも財政改革の歩を進めるべく全力を尽くしてまいります。
 第三の課題は、調和ある対外経済関係の形成と世界経済発展への貢献に努めることであります。
 我が国としては、世界経済のインフレなき持続的成長の強化を目指して、G7蔵相・中央銀行総裁会議を通じた政策協調を進めるとともに、APEC蔵相会合等において各国との対話、協調に努めてまいります。
 日米包括協議の金融サービス分野における協議につきましては、先般、決着を見たところであります。その中で我が国が実施することを表明した金融サービスに係る規制緩和措置等につきましては、これを誠実に実施してまいります。
 七年半にわたるウルグアイ・ラウンド交渉の終結を受けて、本年一月一日に世界貿易機関が発足いたしました。我が国としても、この新たな国際機関のもと、多角的自由貿易体制の維持、強化に一層積極的に貢献してまいりたいと考えております。
 平成七年度におきましては、関税制度について、石油関係の免税・還付制度の適用期限の延長、自動車用繊維製品等の関税撤廃等の改正を行うこととしております。
 経済協力につきましては、引き続き開発途上国への支援の促進、旧計画経済諸国に対する適切な支援を行ってまいります。また、地球環境の保全を支援するため国際復興開発銀行に設けられる基金に拠出を行うこととしております。
 第四の課題は、金融自由化の着実な推進とともに、証券市場の活性化を図ることであります。
 金融行政においては、金融システムの安定性確保のため万全を期するとともに、金融機関の不良資産の処理の促進及び資金の円滑な供給の確保を図ってまいります。また、金融自粛化につきましては、これを着実に推進しているところであり、昨年十月には、流動性預金の金利が自由化されたことにより、預金金利の自由化措置がすべて実施されております。金融制度改革につきましても、証券子会社や信託銀行子会社の営業が開始されるなど着実に進展をしております。
 保険制度改革につきましては、昨年六月の保険審議会報告を踏まえ、所要の法律案を今国会に提出すべく現在鋭意準備を進めているところであります。今回の保険制度改革は、自由化、国際化等の環境の変化に対応するとともに、保険事業の健全性を確保することを目的とした改革であり、二十一世紀に向けて新しい保険制度を構築しようとするものであります。
 証券市場の活性化のための施策につきましては、個人投資家の株式投資を促進し、証券市場のすそ野を拡大する観点から、先般、証券投資信託の改革の具体的方策を取りまとめ、実施に移しているところであります。また、我が国における外国株市場活性化のため、外国株に係る上場基準等の緩和と外国企業に係る開示費用の軽減措置を講じたところであります。さらに、研究開発型、知識集約型等の新規事業を実施する企業の資金調達をより一層促進するため、店頭登録制度について所要の見直しを行うこととしております。また、社債の発行に係る適債基準等の基本的見直しを本年度中に行うこととしております。
 次に、平成七年度予算の大要について御説明いたします。
 平成七年度予算は、財政体質の歯どめなき悪化につながりかねない特例公債の発行を回避するため、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で資金の重点的、効率的な配分に努め、質的な充実に配意することとして編成をいたしました。先ほども述べましたとおり、平成七年度予算編成をめぐる財政事情の厳しさには尋常ならざるものがあり、全体として歳出規模の圧縮に努めましたが、厳しい中にあって豊かで活力ある経済社会の構築等のために真に必要な施策に要する経費の確保に努め、いわば風雪の中の寒梅のような予算づくりを目指したところであります。
 歳出面につきましては、既存の制度、施策について見直しを行うなど経費の徹底した節減合理化に努めることとし、一般歳出の規模は四十二兆一千四百十七億円、前年度当初予算に対し三・一%の増加となっております。
 また、現下の一段と深刻さを増した財政事情にかんがみ、特例的な措置として平成六年度予算に引き続き国債整理基金特別会計に対する定率繰り入れ等三兆二千四百五十七億円を停止する等の措置を講ずるとともに、平成五年度の決算上の不足に係る国債整理基金からの繰り入れ相当額五千六百六十三億円の同基金への繰り戻しを延期するという臨時異例の措置を講ずることとしております。
 これらの結果、一般会計予算規模は七十兆九千八百七十一億円、前年度当初予算に対し二・九%の減少となっております。
 次に、歳入面について申し述べます。
 税制につきましては、今般の税制改革及び特別減税に関連する法律が成立したことを踏まえ、平成七年度税制改正として、最近の社会経済情勢の変化及び現下の厳しい財政状況に顧み、課税の適正・公平を確保する観点から租税特別措置の大幅な整理合理化を行うとともに、早急に実施すべき措置を講ずることとしております。今後とも、あるべき税制に向けて不断に努力してまいります。
 公債につきましては、公共事業等の財源を確保する等のため、建設公債九兆七千四百六十九億円を発行することとしております。また、所得税減税の実施等による平成七年度における租税収入の減少を補うため、いわゆる減税特例公債二兆八千五百十一億円を発行することとしております。なお、借換債を含めた公債の総発行予定額は三十七兆九千七百五十八億円となっております。
 財政投融資計画につきましては、対象機関の事業内容等を厳しく見直すとともに、国民生活の質の向上等各般の政策的諸要請に的確に対応していくとの考え方に立ち、住宅建設、地域の活性化等の分野を中心に一層の重点的、効率的な資金配分を図ったところであります。
 この結果、一般財投の規模は四十兆二千四百一億円、二二%の増加となっております。また、資金運用事業を加えた財政投融資計画の総額は四十八兆一千九百一億円、前年度当初計画に対し〇・七%の増加となっております。
 この機会に、平成六年度補正予算について一言申し述べます。
 平成六年度一般会計補正予算につきましては、歳入面では、最近までの収入実績等を勘案して租税及び印紙収入の減収を見込む一方、税外収入の増収等を計上するとともに、歳出面では、災害復旧等事業費、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策費、義務的経費の追加など特に緊要となった事項等について措置を講ずることとしております。
 以上によりまして、平成六年度一般会計補正後予算の総額は、当初予算に対し、歳入歳出とも六千七百三十五億円減少し、七十二兆四千八十二億円となっております。
 以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。
 なお、今回の地震に関連する法案を除き、本国会で御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係の法律案は、既に提出したものを含め、平成六年度補正予算に関連するもの二件、平成七年度予算に関連するもの四件、その他二件、合計八件であります。このうち七件につきましては本委員会において御審議をお願いすることとなると存じます。今後、提出法律案の内容につきまして逐次御説明することになりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 113214629X00119950209_008

発言者: 武村正義

speaker_id: 25957

日付: 1995-02-09

院: 参議院

会議名: 大蔵委員会