川島正英の発言 (地方分権及び規制緩和に関する特別委員会)

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○参考人(川島正英君) 御紹介いただきました地域活性化研究所の川島でございます。
 まず最初に、この地方分権推進法について参議院の審議の場で発言の機会をいただいたことに感謝いたしたいと思います。
 と申し上げますのも、私は、この地方分権推進法の法制化の過程において幾つかの場で私の意見を述べる機会を得てまいりました。一つは、地方六団体が設けました地方分権推進委員会、高原須美子さんを委員長にした委員会がございますが、ここで内閣に対する意見書を出す、そういう場に参加させていただきました。また、第二十四次の地方制度調査会でもその答申を出すに当たって委員の一人としていろんなことを述べてまいりまして、さらに民間政治臨調、これは政治改革推進協議会で、亀井正夫さんを会長にいたしました会でございますが、ここで一昨年「分権革命」というような表現でその委員会の意見をまとめるに当たって主査という立場で参画させていただきましたし、さらにはこの二月、現在審議されております地方分権推進法に対する緊急提言というふうな形でも意見を述べる、そういう場に参画させていただいて、この地方分権推進法というものについては、後でまた申し上げますが、非常に格別の思い入れを持っているわけでございます。そういう意味で、国会審議の最終場面と考えていいと思いますけれども、そこで意見を述べさせていただくということについて非常に感謝申し上げたいと思います。
 私なりに論点を三つばかり整理して申し上げさせていただきます。
 第一は、この地方分権推進法の今日的な意義でございます。それから第二点は、この法案の内容について私なりの考え方を申し述べさせていただきたい。第三点は、この分権推進法が成立した後の課題といいますか、そういった点についても今から考えておくべきではないかという点でございまして、この三つについて述べさせていただきたいと思います。
 まず、地方分権推進法の法制化の今日的な意義ということでありますが、これはまずもって、地方政治、地方行政の歴史の中で極めて画期的なものであるという点について、私はそれを評価することでは人後に落ちないというような点を強調させていただきたいと思います。
 地方分権推進法の意義については、法案づくりの過程で、先ほど申し上げました地方六団体の委員会とかあるいは地方制度調査会、さらには政府の中に設けられました地方分権部会とか、あらゆる場でいろんな形でその意義というものが語られてきております。地域づくりとか、あるいは町おこし、村おこし、そういったものにとって今や分権というものが全く欠かせない条件であるというようなことを初め、あるいは東京一極集中を多極分散型の国土づくりに変えていく、そういった意味でもこの分権というものの意味合いというものが非常に強調されているところであり、さらには国の省庁の枠組みというものを外向きに、世界の政治経済情勢の中で外向きに変えていくためにも、やはり内政については地方自治体に任せるということが必要である、国家的な命題としても必要であるということは、これはもういろんな形で言われてきておりまして余りここで申し上げる必要はないかと思います。
 さらに、この国会審議が始まった後も、阪神大震災とかあるいはオウム真理教の問題とか、そういう中で地方自治体にとっても危機管理というものが改めて中央政府との関係で非常にその役割なり機能が問い直されているというようなことがあります。
 さらには、第十三回の統一地方選挙の結果も、私たちジャーナリストの立場で言えば、これはやっぱり国民、有権者が三つのノーというような形で結果をああいう形で出したのではないかというふうに考えておりまして、一つは、これは皆様方に申しわけないんですが、政党ノーということであって、ただこれは新聞、雑誌などでも非常にそこの点だけが強調され過ぎているようですけれども、私は、今回の統一地方選挙の結果は、その政党ノーに加えて官僚ノーであり中央ノーであったのではないかというような見方をいたしておりまして、そういういろんな要素からいっても地方分権というものが非常に緊急の課題である、これをどうしても実現しなきゃいかぬという、そういう重要性というものがますます高まっているというふうに、ごく今日の問題をそういうふうにとらえながらこの問題を見詰めているわけです。
 私は、今ジャーナリストと申し上げましたが、二年前まで朝日新聞に勤務しておりまして、政治部記者、あるいは論説委員、編集委員といたしまして、この地方分権の問題にオーバーに言えば三十数年ずっと取り組んできたといいますか、見詰めてまいったつもりでございます。
 美濃部知事が東京都政で、例えば地方の政府というような言葉を初めて公の場で使って話題になりましたけれども、そのときには私は東京都庁のクラブにおりました。それからさらには論説委員として最初に書いた社説が、神奈川県の長洲知事の地方の時代という、こういうものを取り上げて書いた者でありますし、さらには編集委員として、竹下政権のふるさと創生政策というものを、政権が崩壊する直前に至っても私は一面の記事の中でこのふるさと創生政策というものを非常に積極的に評価して書いてきたという思いが残っております。
 地方自治体が環境とかあるいは福祉とか情報公開とかそういったことで先導的な役割を果たしてきた、そういうものをずっと眺めながら、一方で地方分権というものがたびたび論議されながら、さらには押し戻されて、寄せては返すといいますか、繰り返し繰り返し勢いを得あるいはまた押し戻されるというような、そういう流れをずっと見詰めてまいったわけでして、今、地方分権推進という私がずっと書き続け論じ続けてきたものがこの推進法というような形でここに至ったということに対しては、非常に感無量というような気持ちを持っておりまして、そういった意味で、この地方分権推進法というものが現在最終過程にあって成立目前にあるということに対して非常に感動を覚えているということを最初に申し上げさせていただきたいと思います。
 それから第二の論点でございますが、これは地方分権推進法の中身、内容についてでございます。
 これをどう見るかということについては、これはもう衆議院、参議院を通じましていろんな形で、法案そのものが簡潔であるということもあって、中身については多方面に論じ尽くされております。今また寄本教授から六点にわたって非常に詳細にお話がありまして、その大部分の点で私は寄本先生と同じ考えに立ちたいと思います。したがって、この中身については、私なりに、民間政治臨調の二回の提言の中からさらに強調しておきたいという点だけを申し上げさせていただきたいと思います。
 一つは、国と地方の役割の明確化といいますか、これは寄本先生もお話しになりましたけれども、その点について地方六団体は、十六項目に限定して国の仕事を列挙すべしということでありましたし、地方制度調査会も、三つのカテゴリー別ではありますけれども、国の役割を極めて限定的にとらえようという考え方でありました。民間政治臨調もその意味では全く同じ考え方でありまして、この役割の明確化というものが非常に重要な意味合いを持っているということを第一に申し上げたいと思います。
 そして、もう一つそれに絡めて非常に象徴的なのは、機関委任事務の廃止、そして許認可の廃止あるいは必置規制の廃止、こういった点を民間政治臨調としてはたびたび強調してきておりまして、そのほか国の出先機関の廃止とかあるいは補助金の原則廃止といったようなことを取り上げてきておりますけれども、こういった点を今回の法律の中で具体的に書き込むということは非常に難しいということについては重々承知しておるわけでございますが、さらに最後の審議の中で、こういった方向を具体的にしていくという点で一層の審議の充実をお願いしたいということでございます。
 さらにもう一つは、民間政治臨調として強調してきたのは時限立法という性格でありまして、五年で失効するという点については、むしろこれを非常に強い一つの意思表示として五年間でやり遂げるんだというためにわざわざ五年という期限を設けたんだという説明が一方でありますけれども、一方で、この五年間、非常になし崩し的にずるずるとなっていってそれで消えてしまうというような点についての心配、不安というような考え方がありまして、そういった点でこの五年の時限立法ということについて疑問が出ている以上、ここはもう一度考え直していただく余地はないだろうかということはつけ加えておきたいと思います。
 この地方分権推進法についていろんな、もちろん政党の皆さん方それぞれの立場から、あるいは政党の中でもいろんな温度差があるというようなことを聞いておりますし、そういう中で新しい合意を得ることが非常に難しいということは私も承知しているつもりですけれども、さらに一層の内容的な充実という点についてむしろ国会での合意というものをお願いしておきたいというふうに考えております。
 それで、最後の論点は、この地方分権推進法が成立した後の課題という点について、これについてもやはり国会でもう一度思いを新たにしておいていただきたい点があるのではないかというふうに考えます。
 その一つ目は、都道府県と市町村の政府間関係をどうするかという点であります。今度の地方分権推進法がこういう形で今日成立目前のところまで至っているその非常に大きな一つの要素として、いわば中央と地方の政府間関係の中で都道府県と市町村の関係をどうするかという点については棚上げにしてきた、凍結にしてきたという点が非常に大きいのではないか。つまり、中央政府と地方政府との間の垂直的な分権という点に中心を置いて、地方政府の中の都道府県と市町村の関係というものについては後に譲ったと。
 むしろ、これまでこの分権の問題では絶えず受け皿論議というものが言われてまいりまして、中央省庁としては地方分権をするにはやぶさかではないけれども、そのためには府県、市町村の力というものを強化してからでなければだめなのではないかというようなことで、都道府県については連邦制とかあるいは道州制といったような機能強化論というのが絶えずつきまとってきましたし、市町村についても大規模な町村合併というものが前提になければならないのではないかと。これは私たち民間政治臨調の中でもそういう意見がかなり強いわけでありまして、そういった受け皿論議というものが絶えずつきまとっていたわけでありますが、ここを、現行の二層制自治というものは大前提にして、とりあえず地方は一くくりにして中央と地方の関係を考える、そこに今回の分権推進法が飛躍的に展開してきた一つの大きな要因があったと思います。
 ただし、これが成立した後、この府県と市町村の関係をいかに考えていくかということは非常に大きな問題でありまして、特に府県と市町村の、私は水平的な間隔というふうに、水平的な移譲関係というふうにとらえているわけですけれども、府県と市町村の間で補完あるいは支援体制というものがきちんとつくられなければ、この分権というものが実現するということもおぼつかないであろうということを一つ考えておきたいと思います。
 二つ目は地方議会の問題でございまして、地方議会、地方選挙についてこれまでの分権論議ではまさにアンタッチャブルな領域でありました。今回の地方分権推進法、ここまでに至るまでもこの地方議会についてはなかなか触れられずに、本格的な論が高まらないまま今日に至っているわけですけれども、国の後見的な役割というものが分権を進める中で消えていくということになりますと、これはむしろ都道府県内あるいは市町村内におけるみずからのチェックというものが非常に重要な意味合いを持ってくるわけでありまして、地方議会の役割、機能というものが比較にならないほど大きなものになってくるのではないか。
 そういう中で地方議会あるいは地方選挙について、地方の行政が分権的になるのであれば、地方議会、地方選挙についても画一的じゃなくて非常に多様なあり方があってもいいのではないか。地域ごと、市町村ごとあるいは府県ごとに議会のあり方、選挙のあり方を選択できる、法律によってじゃなくて条例でみずからの議会のあり方、選挙のあり方を選択していく、そういうことが必要になってくるのではないかということを、これは民間政治臨調の最初の「分権革命」という提言の中でも非常に強調して触れている点でありますけれども、そういった点について、やはり画一的な法律というもので地方議会、地方選挙を縛っている現状について、これは国会でも改めて考えていただく側面があるのではないかというふうに思います。
 三つ目は、中央省庁の再編成と国家公務員の再配置というものをどう考えていくかという点が非常に大きな課題として残されておりまして、これはまさに、これまで地方六団体にいたしましてもあるいは地方制度調査会にいたしましても地方制度を論じるということであって、これまた中央省庁についての再編成あるいは国家公務員の再配置について触れるということについては非常にためらいを持っていたというふうに受けとめておりますが、これもまたむしろタブー視されてきた点ではないかと思います。
 しかし、この地方分権というものを進めていく上で、中央省庁の役割、機能というものがむしろ相対的に非常に縮小化されていくのではないか。国家公務員というものがどういう立場でどういうところに再配置されるかといったような点は、これはまさにこの分権推進法が成立した後の展開としては最も重要な課題となってくるのではないだろうかというふうに考えます。しかも、この中央省庁あるいは国家公務員をいかに考えていくかという点については、内閣府では全くその成果を期待できないわけでありまして、ここで非常にこれまた国会の皆さん方の御努力に期待する以外にはないのかなと思っております。
 私は、ことし一九九五年を地方分権元年というような言葉で表現してまいっているわけですけれども、先ほど申し上げましたように、いろんな形でことしは地方分権についての動きが高まっていくわけですし、何よりも地方分権推進法というものが成立して、地方分権推進委員会というものが大変な役割を担ってスタートする。しかし、これも第一歩にすぎない。まさに元年でありまして、この幾つかの課題をこなしていかなければならない。
 しかもそこには、先ほど申し上げましたように、国会の役割というものが非常に期待されているというようなことを感じるわけでありまして、特に、先ほどは申し上げませんでしたけれども、政治改革というようなものがやはり地方分権の意義として非常に大きなものがありまして、衆議院で小選挙区制が実施されるということになれば、分権が実現しない限りその利権誘導政治というものがもっともっと一層激化していくであろうというようなことが言われております。
 こういった面で、これは参議院の問題ではございませんけれども、小選挙区制の実施というようなことから、国会としてこの分権というものをやはりもう待ったなしという形で進めざるを得ないというところに至っているのではないかという気がいたします。
 いろいろと国会の役割について口幅ったいことを申し上げましたが、まさにこの地方分権推進法というのが平成五年六月の衆参両院の国会決議から非常に一つの形をとって事ここに至ったということもありますし、この地方分権推進法そのものをむしろ議員立法にしていただきたいというような声が国民の間から起こっていたことも非常に象徴的だと思います。非常に国会に対して期待を持っているということを一ジャーナリストとしてつけ加えさせていただきまして、私の話を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 川島正英

speaker_id: 29749

日付: 1995-05-10

院: 参議院

会議名: 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会