牛嶋正の発言 (本会議)

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○牛嶋正君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました平成五年度決算及び当面する財政運営の課題について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 ただいま大蔵大臣の概要説明にもありましたように、平成五年度の税収額は五十四兆一千二百六、十二億円となっておりますが、当初予算に計上された税収見込額は六十一兆三千三十億円でありましたから、実に金額で七兆一千七百六十八億円、そして率では一一・七%の歳入減が生じたことになり、これで三年連続の歳入不足となります。この減収額の大半は所得税と法人税の二税目によってもたらされたものであります。
 この平成五年度決算に見られる大きな歳入不足と関連して想起されるのが、昭和五十年度の財政状況であります。昭和五十年度においても、当机予算で十七兆三千四百億円の税収が見込まれながら、決算では十三兆七千五百二十七億円しか入ってこなかったのであります。歳入不足は率で二〇・六%の減でありました。そのため、昭和五十年秋の臨時国会で特例公債が発行され、昭和五十年代の国債の大量発行が始まることになったのであります。
 このように、平成二年度に特例公債の発行がゼロとなり、一応財政再建の目標が達成されたようにも見えますが、実際には財政構造あるいは財政運営の本質はバブルの前とほとんど変わっていないとも考えられますが、まず、この点に関して総理並びに大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
 私は、平成五年度決算に見られるこのような大幅な歳入不足の問題を取り上げ、この問題に対する検討を通してこれからの財政運営のあり方及び予算編成のあり方について質問していきたいと思います。
 そもそも、決算の段階で予算額の一〇%以上の歳入不足といった事態が生ずるとき、恐らく民間企業では倒産に追い込まれることは確実であり、国の予算でも予算機能のかなりの部分が失われるものと考えられますが、この点についての大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
 では、なぜ両年度においてこのような大きな率の歳入不足が生じたのでしょうか。両年度とも、我が国経済は景気後退期に差しかかっていたため大型の予算を組むことで景気に刺激を与えることが求められていたと考えられますが、一方で、国債依存度を極力抑えなければならないという目標もあって、結局、税収額を高く見込むことになったとも言えます。
 昭和五十年度予算では四十九年度決算額に対して一五%の伸び率で予算額が計上されており、平成五年度予算でも平成四年度決算額に対して一二%の伸び率で税収が見込まれています。そして、その背景に、予算編成の前提となる翌年度の経済見通しが現実から乖離して高く設定されてきたという経緯があったと考えられます。
 現在、衆議院において平成七年度予算の審議が行われていますが、三年連続の大幅な歳入不足に基づいて、予算編成の前提となる平成七年度の経済見通しの立て方に何か新しい要素が導入されたのでしょうか。この点について総理にお伺いいたします。
 また、平成五年度予算はかなり積極的な予算が組まれながら、景気に対してそれほど大きな効果はなく、結局、年度初めに大型の補正予算を編成せざるを得なかったのであります。
 このように、景気回復に対する予算のてこ入れ効果がなくなった理由の一つとして、私は、予算編成で用いられているシーリング方式があったと考えます。すなわち、景気にインパクトを与えるためには、予算の重点配分を行い、需要創出の大きいところに重点的に予算を配分するようにしなければならないと考えますしかるに、このシーリング方式は各省庁ないしは各分野に対する横並びの予算配分であります。なぜ今日まで予算編成に当たってシーリング方式が後生大事に守られてきたのか、この理由について大蔵大臣の考えをお伺いします。
 私は、シーリング方式は行財政の肥大化を防ぐのにはある程度有効であると考えます。それは、「増税なき財政再建」を進めているとき、ゼロシーリングとかマイナスシーリングが採用されたことを想起すれば明らかであります。しかし、横並びの予算配分であるシーリング方式は行政の効率化には不向きであると考えられます。
 今、総理は行政改革に前向きに対処されようとしておられますが、私は、シーリング方式の見直しを行い、それにかわる効率的な予算編成方式を確立することこそ行政改革の第一歩と考えますが、総理の決意をお伺いいたします。
 昭和五十年代から我が国財政が持ち続けてきたもう一つの特徴点は、法人税依存体質でありました。バブルのとき特例公債の発行をゼロとして財政再建の目標が実現したのも、また高度成長期を通じて均衡予算を維持できたのも、法人税収の伸びが大きかったからであります。しかし、法人税は、一たん景気後退期に入ると急激に税収を落とし、大きな歳入不足をもたらします。
 私は、現在、財政運営を難しくしている最大の要因は法人税依存体質にあると考えます。この点についての大蔵大臣の考えをお伺いし、あわせて、この体質の改善策としてどのような方策を考えておられるのかをお尋ねいたします。
 さて、近年は、年金財政の問題や高齢社会を迎えるための基盤整備など、財政運営に当たって中長期の視点に立って考えなければならない問題がふえております。しかし、一方では、財政運営の基本となる予算が単年度主義に立っているため、中長期の視点を財政運営に導入することを難しくしている面があります。
 現在、中長期の視点に立って策定されたものとして経済五カ年計画がありますが、これが平成七年度の予算編成に当たってどの程度配慮されたかについて総理にお尋ねいたします。
 ただ、現在の生活大国五カ年計画は宮澤内閣のとき閣議決定されたものであり、バブル崩壊以前に策定されたものであるため、その後の経済構造の変化を考えるとき、計画と実態との間にかなりの乖離が見られ、計画の持つ役割は失われているとも考えられますが、計画期間があと一年残されているこの生活大国五カ年計画の取り扱いをどうされるのか。私は、総理の目指す福祉社会のビジョンを国民に示すためにも極めて重要な課題であると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 しかし、私は、単年度主義に立っている予算の中に中長期的視点を導入するためにも、まだこれからの難しい財政運営を進めるに当たっても、中期財政計画の策定が必要ではないかと考えています。もちろん、財政計画には財政運営に求められる弾力性を損なうという側面がありますが、例えば毎年財政計画の見直しを行うシステムを取り入れることでそれらの欠点を補うことができると考えます。
 公債の累積が二百兆円を超え公債管理政策の展開が今後ますます重要になってくることを考えれば、今こそ中期財政計画の策定を検討する時期と考えますが、この点についての大蔵大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 113215254X00419950209_021

発言者: 牛嶋正

speaker_id: 13623

日付: 1995-02-09

院: 参議院

会議名: 本会議