尾身幸次の発言 (科学技術委員会)
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○尾身議員 この科学技術基本法につきましては、こういうものをつくろうという考えが持ち上がりましてから既に二年の期間を経ているわけでございまして、私自身は自民党でございますが、自民党の中の議論を通じ、また、ここに提案をいたしました各政党、あるいは科学技術関係の例えは科学技術会議とかあるいは大学の先生とかあるいは経済界、労働界など、各方面から意見を聞いたところでございます。そういう中でいろんな意見がございましたが、主な意見、分けますと七つくらいになるのかなということでございます。
一つは、国及び国立試験研究機関、いわゆるパブリックセクターの部門を中心として研究開発投資を抜本的に拡充すべきであり、そしてそのための資金的な裏づけを持った基本計画をつくるべきである、そういう御意見がございました。
二つ目は、基礎的、独創的研究の強化が必要であり、研究人材の確保とかあるいは施設の整備あるいは研究交流促進というような研究環境の整備充実が必要である、そういう意見がございました。
三つ目は、いわゆる自然科学のみでなく、人文科学についても基本法の対象にすべきであるという議論もございました。
それから四つ目でありますが、この基本法の中に科学技術を平和目的に利用するということを盛り込むべきであるという御意見もございました。
五つ目に、科学技術の研究開発、活用に当たって、安全性の確保の問題とかあるいは社会、人間生活全般との調和を図るべきである、そういう御意見がございました。
六つ目には、情報公開の考え方を盛り込むべきであるという御意見がございました。
七つ目は、大学の活性化、科学技術の教育の充実を図るべきである、そういうような御意見がございました。
そういうさまざまな御意見に対しまして、この法律の内容でそれなりの対応をし、これらの御意見をいろんな形で盛り込んだところでございます。
最初に申し上げました、第一の資金の確保につきましては、第九条で科学技術基本計画の策定を定めているわけでございますが、その第九条の六項に、「政府は、科学技術基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」ということで、資金の確保についての基本的な考え方を示しております。そして、この基本計画の中におきまして、必要な資金的な計画につきましても極力基本計画の中に盛り込んでいただくような措置をとっていただきたいということも考えている次第でございます。
第二に、独創的、基礎的研究を強化すべきであるという御意見でございましたが、これに対しましては、他方でむしろ戦略研究を重視すべきである、こういう御意見もございまして、そこで、基礎的研究か戦略研究かというような研究の内容の方向づけの問題につきましては、むしろ法案で書くよりも基本計画の中で議論をしていただき、そこに盛り込んでいただくべきではないかということになりました。
ただしかし、基礎的、創造的研究の分野については、第五条におきまして「この基礎的部門については「新しい現象の発見及び解明並びに独創的な新技術の創出等をもたらすものであること、その成果の見通しを当初から立てることが難しく、また、その成果が実用化に必ずしも結び付くものではないこと」というような性質を持つことにかんがみまして、この分野における「国及び地方公共団体が果たす役割の重要性に配慮しなければならない。」という規定を入れまして、つまりパブリックセクターのこの分野における重要性という観点で問題を整理させていただいた次第でございます。
それから人文科学の問題につきましては、立法者の基本的な意思として、自然科学と人文科学の共通分野についてはもちろん対象に含むわけでありますけれども、例えば哲学とか文学とか、そういう人文科学のみに係るものについては除いている、対象にしないというのが私どもの気持ちでございます。
しかしながら、人文科学が置いてきぼりを食うということに対する御心配もございましたので、この点につきましては第二条におきまして、「自然科学と人文科学との相互のかかわり合いが科学技術の進歩にとって重要であることにかんがみ、両者の調和のとれた発展について留意されなければならない。」という基本姿勢を示すことにいたしまして、御理解をいただいたところでございます。
四番目の平和目的云々の件につきましては、この科学技術基本法といえども、平和国家を理念とする日本国憲法のもとにありまして、この日本国憲法を逸脱するようなことがないことは当然でございまして、法律の中に特に明記をしなかったわけでございます。
五番目の社会、自然との調和等々の問題につきましても、第二条に、人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ、科学技術の研究開発を積極的に行うということを盛り込みましたし、また十六条の研究開発の成果につきましても、その適切な実用化の促進を図るということで、安全性にも配慮しながら実用化を進めるという考え方を盛り込んだものでございます。
情報の公開の問題につきましては、第十六条におきまして、研究開発の成果の公開あるいは情報の提供等、その普及に必要な施策を講ずるということを定めさせていただきました。
大学における研究の活性化等につきましては、第六条で、大学における「研究活動の活性化を図るよう努める」ことを定め、また、教育につきましても、科学技術に関する学習振興、教育等をより活発化するということを十九条で定めているところでございます。
以上、主な関係方面の御意見と、それに対するこの法律の内容についての盛り込み方について、おおよそのところを御説明させていただきましたが、いずれにいたしましても、こういう内容の変更といいますか、そういうことを法律に盛り込むことによりまして関係方面の御理解をいただきまして、今日ここに超党派の議員立法で提案することができたわけでございまして、関係の皆様の御協力と御理解に大きな感謝をしている次第でございます。