松田岩夫の発言 (本会議)
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○松田岩夫君 私は、新進党を代表し、ただいま趣旨説明のありました在日米軍駐留経費特別協定に関連して、総理及び関係閣僚に御質問いたします。
沖縄事件を契機に噴き出した米軍基地問題などで、戦後五十年かけて築き上げてきた日米関係が今大きく揺らいでいます。この危うさをどう克服していくかが、日米両国にとって極めて重要な課題となっております。
そんなやさき、村山総理は、十月二十二日から国連創設五十周年特別総会に出席のため訪米されました。その際、総理は、中国及びシンガポールの首脳、そしてガリ国連事務総長と会談をされました。なぜその中にクリントン大統領の名前が見当たらないのでしょうか。
その理由として、衆議院予算委員会において河野外務大臣は、総理の日程が極めて厳しく、短時間の滞在しか持てない状況であり、遠からず東京で首脳会談を開く予定があるからと、予想どおりの答弁をされていますが、事実はそうではなかったのではないですか。米国務省筋によりますと、安保再定義の作業が大詰めを迎えているこの時期に沖縄事件、盗聴、大和銀行事件などが相次いだので、当然日本側から首脳会談の求めがあると思っていた、会談の要請がなかったのは予想外だったと報道されています。
緊密な連携が最も求められるこの時期に、日米
首脳会談を当初から放棄するという外交無策ぶりを改めて露呈したと言わざるを得ません。(拍手)村山首相が日米関係の重要性に真に思いをいたしておられるならば、何はさておいても日米首脳会談に時間を割かれるべきであったと思います。総理はどうして日米首脳会談を放棄されたのか、その理由を説明していただきたい。
さて、この二十日には、APEC首脳会議に出席のためクリントン大統領が来日されることになっています。もっとも、一部の報道によれば、大統領の訪日中止説がくすぶっていると言われています。念のため外務大臣にお尋ねしておきますが、まさかそんなことはありませんね。当然お越しいただかねばなりません。お越しいただいて日米首脳会談を持たれるわけですが、今度こそはぜひ有意義なものにしていただきたいと思います。
その際、日米安保に関する共同宣言を出される予定と聞いております。冷戦終結後も、北朝鮮の核疑惑問題、朝鮮半島での軍事対立、強大な軍事力を保有するロシアの動揺、中国と台湾の対立、南沙諸島などの領土紛争など、依然不透明な国際情勢が続いております。この共同宣言は、こうした国際情勢において、日米という二大経済大国が、新たな国際秩序、特にアジア・太平洋の平和と安定、さらには繁栄に向けて安全保障面での協力の強化を打ち出す意味で、歴史的な意義を持つ文書になると考えます。
日米両国がお互いの広範な協力関係を政治的基盤としつつ日米安保体制を維持し発展させていくことが、日本の防衛のみならず、アジア・太平洋の平和と安定の維持に大きく貢献していくことになるわけであります。内容豊かな宣言となるよう、大きな期待をかけております。総理のこの共同宣言にかける決意のほどをお聞きいたします。
この日米共同宣言においては、また、自衛隊と米軍の相互支援を可能とする物品役務融通協定の締結、国連平和維持活動分野についての日米協力、防衛面での日米共同研究開発の推進など、日米の一層の協力関係が強く打ち出されるべきものであると考えますが、総理のお考えをお伺いします。
日米間の共同研究開発や共回生産を推進していく上で、同盟国である米国にさえ武器の輸出を慎むという武器輸出三原則が問題となります。去る十月三十一日に出された通産省の研究会の報告書には、こうした場合におけるこの原則の弾力的運用は将来に向けての検討課題であると述べております。また、去る五月、経団連は、共同開発・共回生産で必要となる部品などを対米輸出できるよう武器輸出三原則を弾力的に運用すべきだとする要望書を出しています。通産大臣はどのように対応していかれるのか、お伺いします。
この日米安保体制の維持にとって、米軍の日本駐留は最も重要なことであります。米軍は、本国を遠く離れ、我が国の平和と安全のために日々任務を遂行しているものであり、受け入れ国として一定の支援を行っていくことが極めて重要であります。
さらに、米国は、厳しい財政事情を抱えつつも、世界の平和と安全の維持のため、その役割を引き続き果たしているわけであります。米国内において、一部に孤立主義、内向き化の傾向が見られ、海外での戦力の削減や役割の見直しを求める議論も出つつある状況を見ても、この支援の面において我が国が積極的姿勢を示すことがますます必要になってきていると思います。今回の在日米軍駐留経費負担に関する新協定で、新たに訓練移転費を追加するなど、その充実が図られたことは、適切な対応であると考えます。総理の認識をお伺いいたします。
日米安保がなぜ必要であり、なぜ日本国内に米軍の基地があるのか、これまで余りその説明が政府から国民になされてきませんでした。最近の世論調査を見ると、日米安保の必要性を感ずる国民が減少していることを示しており、大変憂慮いたしております。また、日米安保の重要性や意義について、本来であれば国民の間でももっと議論がなされてよかったと思います。
なぜそうならなかったのか。あえて言わさせていただくならば、それは従来、日米安保に反対し、反基地運動をしてきた村山総理や社会党が長年にわたりこれを封殺してきたからであります。
総理、遅きに失する感がないでもありませんが、今こそあなたの口から、日米安保の重要性、米軍基地の必要性を国民の皆さんに具体的にわかりやすくお説きになることがせめてもの罪滅ぼしになるのではないでしょうか。(拍手)総理、そのようにしていただけるかどうか、お尋ねいたします。
九月四日のあの忌まわしい米兵による少女暴行事件の後、大田沖縄県知事は上京され、九月十九日、河野外務大臣、野坂官房長官をそれぞれ訪ね、事件への県民の強い怒りを伝え、日米地位協定見直しの必要性を説かれましたが、両閣僚とも知事の要請を否定されました。沖縄県民からは、両閣僚に対し厳しい批判の声が上がりました。政府・与党内部からも批判の声が出て、二転三転したあげく、結局は協定の運用改善というその場しのぎの対応となりました。結果的に、沖縄県側からは国の誠意が全く見られないとの不満が高まり、ついに九月二十八日、知事は米軍用地の強制使用の代理署名を拒否されました。
事件当初から、この事件がもたらす重大性を予測し、沖縄県民全体が抱える重大な問題を内包している、そうしたしっかりとした認識があれば、おのずとこれまでの展開に違いが出ていたと思われます。政府としてのこうした認識の甘さと誠意のない対応が沖縄基地問題を一層拡大させてきたことについて、総理のお考えを伺います。
新進党は、日米地位協定第十七条第五項(3)については、日本国民の生命財産を守るという基本的認識に立って見直すべきであると主張してきました。
先般の刑事裁判手続に関する日米合意は、殺人と強姦という限られた犯罪についてのみ、日本側からする被疑者の起訴前の身柄の引き渡しの要請に対し米側は好意的考慮を払うという便宜的な運用の改善にとどまっています。これでは不十分で、政府は、引き続きこの問題について見直しのための話し合いを米国政府と続けていくべきであると考えます。
村山総理は衆議院予算委員会で、「協定の見直しはしませんよといって断定的に考える必要は私はないと思う」と述べられ、運用改善にとどまらず、今後も見直しを進める意向を示唆しておられます。これに対し、外務省は一貫して日米地位協定の改正は行わないと表明しております。協定見直し論議が日米安保条約にまで波及しかねないと懸念するからでありましょう。私たちは、第十七条第五項(3)の見直しか地位協定や日米安保条約全体の見直しに波及することはないし、またそのようにさせてはならないと考えています。
総理に改めて、見直しを行うということなのか、その真意をお聞きします。さらに、日米安保条約にまで波及しかねないと考えておられるのかどうかも含め、外務省の見解を外務大臣にお聞きします。
次に、米軍用地の使用権原をめぐり大田知事が代理署名を拒否している問題について伺います。
衆議院予算委員会で防衛庁は、総理の代理署名のタイムリミットについて、知事があくまで拒否を続けることを想定した場合、手続面からいえば今既に時間的に大変厳しい状況にある旨の答弁をしています。総理は、十一月四日に大田知事と会うので、その際、お互いの理解と了解が得られるよう最大限の努力をするとだけ答弁されておられます。総理と大田知事との会談で知事の了解が首尾よくとれれば問題はないのですが、現状はそれほど甘くないと思います。先日の与党代表団の訪問の際にも、代理署名を拒否する知事のかたい決意が伝えられました。
このままでは、数多くの手続を経て本当に来年
の三月末までに使用権原を取得できるのか、当該用地の不法占拠という事態にならなければいいがと心配であります。今、総理が手続をとられないことが、不法状態をつくってしまうことになりかねないのです。一方、大田知事は「国はみずから手続をとらず、拒否する地方に代理署名をさせるのは不合理である」と述べてもおられます。総理、四日の知事との会談では何をお話しになるのか、お伺いします。その際、代理署名をお願いになるのですか。また、総理には知事の代理署名が得られる自信がおありなのか、あわせてお伺いします。
野坂官房長官が「総理の署名は、あり得るとすれば日米首脳会談後になる」と早くも述べられたとの報道もありますが、私は、既にタイムリミットに来ている現状では、総理みずからが手続を始められるべきであると考えます。この点についても総理の見解を伺います。
最後に、沖縄の米軍基地の整理統合についてお伺いします。
当面は、三事案、二十三事案の早期解決に全力を挙げていただきたいと思います。さらに、中長期的には、日米安保条約の目的達成と調和を図りつつ、沖縄県民の希望しておられる基地の整理統合を図っていくべきであります。そのために、従来の日米合同委員会のほかに、今回新たな話し合いの場を設けることとして、きのうもペリー国防長官と話し合われたと聞いております。どのような新機構をおつくりになるのか、外務大臣にお伺いします。
沖縄の基地は、言うまでもなく、地政学的、戦略的見地から見て重要な機能を有しているものが多いと思われますが、なぜ七五%の基地が沖縄に置かれなければならないのか、そうした機能の中で本土に移し得るものがあるのかどうかといった観点からの真剣な検討は、これまで行われてこなかったのが現状であります。また、基地の内部の運用の改善によって基地の縮小が可能となる場合があると思いますが、これまた、これまで日本側から内部の運用に立ち入ってまで検討することはなかったと思います。こうした点も含め、高いレベルで真剣に検討していただきたいと思いますが、そうされるのですね。防衛庁長官にお尋ねします。
また、一昨日来日された米国のシャリカシュビリ統合参謀本部議長は、私にこうおっしゃっておられました。「米国側で整理がつき、日本側に引き渡せる状況になった地域については、とりあえず日本政府の責任で引き取ってもらうことができれば基地の整理統合ももっとはかどるのではないか」と。この点についても防衛庁長官の見解を伺います。
我々の英知と努力によって一刻も早く沖縄の基地問題が解決され、揺るぎない日米安保体制が定着し、我が国とアジア・太平洋地域の平和と繁栄が永続発展することを願って、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕