尾身幸次の発言 (科学技術特別委員会)

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○衆議院議員(尾身幸次君) この科学技術基本法の立案に当たりましては、各党の間で協議をいたしましたほかに、関係方面、各界の方々と話し合いをし御意見を拝聴して、それを織り込んできたところでございます。
 その意見を拝聴した中には、日本学術会議の幹部の方々、経団連の経済技術委員会の方々、科学技術会議の政策委員の皆さん、マスコミの方々、連合の幹部の方々、あるいは国立大学協会、国公労連、商工会議所の幹部の方など、関係方面の大勢の方の御意見を伺ってきたわけであります。いろんな方々がいろんな有益な御意見、御示唆をいただきました。
 その中の主なものを申し上げますと、第一は政府の研究開発投資を抜本的に拡充すべきであり、このために、資金的な裏づけのあるような基本計画をつくることが必要であるという意見がございました。
 この点につきましては、この法律の中心ともいうべき科学技術基本計画を定めました第九条第六項におきまして、「政府は、科学技術基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」、そういうことを規定しております。そして他方、できる限り詳細に資金規模あるいは必要な施策等を基本計画の中に盛り込み、そしてこの盛り込まれた基本計画が政府によって有効に実現できるような配慮をしているということでございます。
 二つ目が、独創的・基礎的研究の強化が重要であり、研究支援者を含めまして研究人材の確保や養成あるいは研究施設・設備の整備、研究交流などいわゆる研究環境の整備充実が必要であるという御意見が関係方面からございました。
 これにつきましては、第二条で、基礎研究、応用研究及び開発研究の調和のとれた発展に配慮しなければならないということを定めますとともに、第五条で、「基礎研究の推進において国及び地方公共団体が果たす役割の重要性に配慮しなければならない。」ということを定めております。また、人材確保等につきましては、十一条で、研究者等の確保等に必要な施策を講ずるものとすることを定め、研究環境の整備充実につきましても、基本計画で政府がこの整備充実について定めるべきであるということを規定しているわけでございます。十二条以下に研究施設の整備とかあるいは情報化の促進、研究交流の促進など必要な施策を講ずることにしているわけでございます。
 第三の問題点は、人文科学についても基本法の対象にすべきであるという意見がございました。
 これにつきましては、基本法の立法者の趣旨として、科学技術のうちで人文科学のみに係るものを除くというふうにして対象を決めているわけでございますが、第二条におきまして、自然科学と人文科学の不均衡な発展ということが心配される点にかんがみまして、自然科学と人文科学の調和ある発展に留意しなければならないということを定めた次第でございます。
 それから第四に、科学技術の平和目的の利用という観点を織り込むべきではないかという御意見もございました。
 これにつきましては、この科学技術基本法といえども平和国家を理念とする日本国憲法のもとにあるわけでございまして、これを逸脱することはないわけでございますので、この法文の中では明記をいたしませんでしたが、この点につきましては、立法府の意見として、衆議院におきましては附帯決議でそのような趣旨を決定したところでございます。
 それから五番目に、科学技術の利用に当たりまして、安全確保など科学技術と人間社会との調和の考え方を盛り込むべきであるという御意見もございました。
 これにつきましては、第二条に、科学技術の振興は、人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ、積極的に行うことを定めるとともに、十六条に、研究開発の成果の「適切な実用化の促進」と定めまして、この「適切な」という表現で安全性にも十分留意しながら実用化を進めるという考え方を盛り込んだところでございます。
 それから、情報公開の考え方を盛り込むべきであるという御意見もございました。
 十六条におきまして、研究開発の成果の公開、研究開発に関する情報の提供等その普及に必要な施策を講ずるものとすることを定めているところでございます。
 それから七番目に、大学の活性化と科学技術教育の充実等についての御意見もございました。
 大学の活性化につきましては、第六条で、大学等における研究活動の活性化を図るよう努めることを定め、また教育につきましては、第十九条で、学校教育及び社会教育における科学技術に関する学習の振興等を定めることにしているわけでございます。
 以上、各方面からの御意見とそれに対応する条文について御説明を申し上げましたが、科学技術創造立国を目指すということにつきましては、関係方面で非常に多くの、ほとんど全部の方々の御賛成をいただきまして、大変に前向きな御意見をいただき、その大部分をこの法案の中に織り込み得たものと考えている次第でございます。

発言情報

speech_id: 113413928X00219951101_008

発言者: 尾身幸次

speaker_id: 1221

日付: 1995-11-01

院: 参議院

会議名: 科学技術特別委員会