臼井日出男の発言 (安全保障委員会)
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○臼井国務大臣 政府は、昨年十一月、平成八年度以降に係る防衛計画の大綱を安全保障会議及び閣議において決定し、また、これを受け、同年十二月、中期防衛力整備計画(平成八年度から平成十二年度)を安全保障会議及び閣議において決定いたしました。
以下、これらについて御報告申し上げます。
まず、平成八年度以降に係る防衛計画の大綱、すなわち新防衛大綱は、昭和五十一年に策定された防衛計画の大綱にかわり、今後の防衛力の整備、維持及び運用の指針となるものであります。
最初に、新防衛大綱の国際情勢認識について申し上げます。
これまで国際軍事情勢の基調をなしてきた圧倒的な軍事力を背景とする東西間の軍事的対峙の構造が消滅し、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のきました。また、我が国周辺諸国の一部において軍事力の削減や軍事態勢の変化が見られる一方、地域紛争の発生や大量破壊兵器の拡散等、安全保障上考慮すべき事態が多様化しております。こうした状況の中で、二国間対話の拡大、地域的な安全保障への取り組み等、国家間の協調関係を深め、地域の安定を図ろうとする種々の動きが見られるところです。
次に、国内の状況を見ますと、近年科学技術が著しい進歩を遂げていること、今後一層若年人口の減少が見込まれること、経済財政事情が格段に厳しさを増していること等の変化が見られます。
また、自衛隊の役割について言えば、その主たる任務である我が国の防衛に加えて、近年、新たな分野における役割に対して期待が高まってきております。
まず、平成四年の国際平和協力法の制定以来、自衛隊はこれまでカンボジア、モザンビーク及びザイール等における国際平和協力業務を実施し、国際的にも高い評価を受けてきました。さらに、昨年一月の阪神・淡路大震災や三月の地下鉄サリン事件における活動等により、自衛隊が国民の生命と財産を守る存在であることが改めて広く認識されてきているところであります。
こうした自衛隊の諸活動の実績を背景として、大規模な災害等各種の事態への対応や国際平和協力業務の実施等を通じた、より安定した安全保障環境の構築への貢献という分野における自衛隊の役割に対する期待が高まってきているところであります。
このような背景を踏まえて新防衛大綱において示された防衛力に関する基本的考え方のポイントは、次のようなものであります。
まず、新防衛大綱においては、前大綱が取り入れていた我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するよりも、みずからが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう、独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有するという基盤的防衛力構想を、今後とも基本的に踏襲していくこととしております。これは、国際関係の安定化を図るための各般の努力が継続し、日米安全保障体制が我が国の安全及び周辺地域の平和と安定にとり引き続き重要な役割を果たし続けるとの認識に基づくものであります。
新防衛大綱のもう一つの特徴は、日米安全保障体制の重要性を再確認していることであります。
冷戦後の国際社会においては、国際情勢の変化、それに伴う国際的な課題の変化、そして、その解決に向けた国際社会の積極的な取り組みを背景として、日米安全保障体制が地域の平和と安定及びより安定した安全保障環境の構築の面で果たす役割について再認識されるようになってきております。このような状況を踏まえ、新防衛大綱は、日米安全保障体制が我が国の安全確保にとって不可欠のものであり、また、我が国周辺地域における平和と安定を確保し、より安定した安全保障環境を構築するためにも引き続き重要な役割を果たしていくとの認識を示しております。
また、こうした観点から、日米安全保障体制の信頼性の向上を図り、これを有効に機能させていくための具体的な取り組みの重要性について、この新防衛大綱において整理して述べているところであります。
さらに、今後の防衛力が果たすべき役割について、新防衛大綱は、自衛隊の主たる任務である「我が国の防衛」に加え、「大規模災害等各種の事態への対応」及び「より安定した安全保障環境の構築への貢献」を主要な柱として掲げているところであります。
大規模災害等各種の事態への対応については、まず、大規模災害等への対応として、関係機関との緊密な協力のもと、適時適切に災害救援等の行動を実施するとともに、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、憲法及び関係法令に従い、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対応していく旨述べております。
また、より安定した安全保障環境の構築への貢献という観点からは、国際平和協力業務や安全保障対話、防衛交流の推進、軍備管理・軍縮分野における諸活動への協力を進めていくこととしております。
新防衛大綱においては、こうしたことを踏まえて、次に述べるような基本的な方針に基づき、現行の防衛力の規模及び機能について見直しを行うこととしております。
第一に、防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を一層進めるということであります。このため、「別表」に示された適切な規模の防衛力へと移行していく必要があると考えております。
第二に、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な事態に有効に対応し得る防衛力を追求しなければならないということであります。このため、装備のハイテク化、近代化を図っていくとともに、情報・指揮通信、警戒監視機能等の充実強化を図っていく必要があると考えております。
第三に、事態の推移に円滑に対応できるように適切な弾力性を確保し得るものでなければならないということであります。そのためには、その養成及び取得に長期間を要する要員及び装備を教育訓練部門等において保持したり、即応性の高い予備自衛官制度を確保することが重要であると考えております。
次に、新中期防衛力整備計画について御報告申し上げます。
この計画は、平成八年度から平成十二年度までを対象としており、新防衛大綱に示された我が国が保有すべき防衛力の内容を実現するため、引き続き継続的かつ計画的に適切な防衛力の整備に努めることとして策定したものであります。
計画の概要を申し上げれば、次のとおりです。
第一に、陸・海・空各自衛隊の基幹部隊等を見直し、新たな防衛力の水準に近づけます。その際、種々の事情を勘案しながら、円滑な移行に配意するとともに、陸上自衛隊に即応性の高い予備自衛官制度を導入することとしております。
第二に、F2の量産を初め正面装備の更新、近代化に努めるとともに、情報・指揮通信機能等の充実を図るほか、災害救援に係る各種施策も実施します。さらに、技術研究開発の推進、隊員の生活勤務環境の向上なども引き続き行ってまいります。
なお、この計画期間中の検討課題として、空中給油機能や弾道ミサイル防衛の取り扱いなどがあります。空中給油機能については、今後検討を行い、結論を得、対処することとしており、また、弾道ミサイル防衛については、総合的見地から十分に検討の上、結論を得るものとしております。
第三に、戦闘部隊において保有する装備と同様のものを教育訓練部門において保有する施策に着手します。これにより、教育訓練体制の充実、効率化が図られますが、防衛力の弾力性が確保される意義も有しております。
第四に、日米安全保障体制の信頼性の向上を図るための各種施策を推進します。その際、沖縄の施設・区域の整理統合・縮小を含む、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための施策も推進することとしております。
第五に、より安定した安全保障環境の構築への貢献のための施策を推進します。具体的には、国際平和協力業務、防衛交流、安全保障対話等に係る各種施策を実施してまいります。
第六に、各年度の予算の編成に際しては、一層の効率化、合理化に努め、極力経費を抑制するよう努力するとともに、その時々の経済情勢、格段に厳しさを増している財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、節度ある防衛力の整備に一層努力します。
次に、所要経費について申し上げれば、この計画の実施に必要な防衛関係費の総額の限度は、平成七年度価格でおおむね二十五兆一千五百億円程度であります。このほか、将来における予見しがたい事象への対応、より安定した安全保障環境の構築への貢献等に特に必要であると認められる場合にあっては、安全保障会議の承認を得て使用することができる経費として、一千百億円程度の調整枠が設けられております。
新防衛大綱は、冷戦終結後、二十一世紀に向けての我が国の防衛力のあり方を示すものであり、この新防衛大綱に従い、新中期防衛力整備計画に基づき、防衛庁としては引き続き適切な防衛力の整備に努めてまいる所存であります。私としては、我が国の安全を確保し、国際社会の平和と安定に資するため、この新防衛大綱、新中期防衛力整備計画のもと、国民の信頼にこたえ得るよう、自衛隊の運営に努め、積極的に防衛政策を推進してまいる所存であり、国民の皆様方の御理解と御協力を切に希望する次第であります。
以上でございます。(拍手)