正村公宏の発言 (規制緩和に関する特別委員会)

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○正村参考人 時間がありませんので一言だけ。一言が五言ぐらいになってしまうかもしれませんが、一つだけ申し上げますと、経済全体の運営がうまくいかなくて変動が激し過ぎるときには、個別に保護をしたり規制をしたりしても救えない、そういう問題が起こってくるのですね。
 日本の過去の経過を見ますと、いろいろな、社会政策的なといいましょうか、社会政策的な仕組みをきちんとつくることがおくれてしまったために、経済の成長が早過ぎたという局面がしばしば見られたわけですね。それから、そのことのために対外不均衡が非常に大きくなってしまって、そして目減りをすることがわかっているドル建ての資産をどんどん買い込むという大変愚かなことを日本国民はやりまして、そして大変激しい円高が起こって、御承知のような大きな内外価格差が発生している。
 規制緩和をやって価格破壊を促進して内外価格差を縮めるという議論がありましたが、それがほとんどナンセンスだということを申し上げるのは、国内の流通とかいろいろな分野のコストを漸次下げていかなければならないという課題がないわけではないけれども、今日の内外価格差のほとんどの部分は円高の行き過ぎなんですね。なぜ円高が行き過ぎているかといえば、輸出が伸び過ぎていることであります。輸出が伸び過ぎたのはなぜかというと、国民生活の改善のために国内にやるべき投資なり消費なりをきちんとやってこな
かったから。国内需要が不足すれば輸出が伸びるというのが原理なんです。貯蓄が過剰で投資が不足の場合には必ず貿易の黒字が大きくなるというのも、これは我々経済学をやっている者にとってはイロハなんでありまして、そういう構造になったら円高になりますよね。そうすると、地方のいろいろな部品産業や何かを含めてどんどん崩壊していきますよね、今アジア諸国との競争で。それで、都市がつぶれますよね、崩れていきますよね。
 そういう全体のあり方、マクロ、私たちはマクロと言いますが、マクロの経済安定化についての政府の政策が根幹において間違った状態が長く続けば、構造変動が激し過ぎてだれも耐えられない。それに対しては規制をやったり保護をやったりしても絶対に間に合わない、マクロの政策をきちんとやらないで、ミクロの政策はマクロの政策のかわりはできないというふうに私は思っているわけであります。
 限られた時間でちょっとなぞめいたことを言ったかもしれませんが、どうぞ御検討いただきたいと思います。

発言情報

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発言者: 正村公宏

speaker_id: 10584

日付: 1996-05-22

院: 衆議院

会議名: 規制緩和に関する特別委員会