金子晃の発言 (規制緩和に関する特別委員会)
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○金子参考人 慶應大学の金子でございます。
時間が限られておりますので、議員の方々のお手元に資料が配られていると思いますが、資料に基づいて意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、再販制度見直しの基本的視点ということでございますけれども、再販売価格維持制度というのは独占禁止法上原則違法として取り扱われております。ここに、一枚目に書かれておりますように、再販売価格維持行為は流通段階における価格競争を減少、消滅させる効果を持ちます。また、ほかのいろいろな条件と重なり合う場合には、市場全体における価格競争をさらに減少させるという効果も持つことになります。価格についての競争制限だけではなくて、価格以外にも競争制限的な弊害がもたらされるということになるわけです。こういったことから、独占禁止法上、再販売価格維持行為は原則違法という取り扱いがなされております。
二枚目をおめくりいただきたいと思います。
原則禁止に対して、現行法上、適用除外制度、例外制度が設けられております。この例外についての考え方でございますけれども、再販売価格維持行為は、先ほど申しましたように、価格についての競争を制限、消滅させる、さらに、価格以外の面においても競争上弊害をもたらすということですから、それを適用除外するに当たっては、明確かつ具体的な理由の存在が必要ということになります。このような理由があれば適用を除外するということになるわけです。
それでは、明確かつ具体的な理由というのはどういう形でとらえられる必要があるかということで、次に五つほど挙げておきます。
一つは、適用が除外される当該商品に固有の理由があること。
ほかの商品についても共通する理由であれば、当該商品についてだけ再販売価格維持行為が認められるということはおかしいわけですから、当該商品に固有の理由がなければならないということになります。
二番目は、その理由に基づいて達成すべき目的が明確であること。
理由と目的とを分けたわけですけれども、理由と目的が別であるという場合がありますので、一応ここでは分けてみました。
例えば、ブランド商品について考えてみた場合に、ブランドイメージを保護するという立場に立ちますと、ブランドイメージを損なうような安売りというものは規制の対象にする必要がある。そうなりますと、再販売価格維持ということによって安売りを防止する。これによってブランドイメージを高めるということがあり得るわけです。
このように、理由があった場合でも、なおかつさらに具体的にいかなる目的を実現するのか、その目的を実現するための手段として再販売価格維持行為というものが考えられるということになるわけです。
三番目は、今申し上げました理由、目的に対し
て、手段、再販売価格維持行為というのが合目的的である必要がある。
目的、理由を実現するためにさまざまな手段が考えられるわけですけれども、その中で最も合理的な手段が選ばれなければいけない、こういう合理的な手段たり得るかどうかということが検証されなければいけないということになるわけです。
四番目に、再販売価格維持行為によって達成される利益と、それから再販売価格維持行為によってもたらされる弊害との比較考量が必要であるということで、下に書いておきましたけれども、得られる利益が失われる利益より大きくなければいけない。これは原則禁止の態度をとっているわけですから、このように考える必要がある。
それから五番目に、より競争制限的でない手段があるならばそれが優先されるべきであって、そういう手段がないということが明らかにされる必要があるということになるわけです。こういうような点が明らかにされるということが必要だ。
次に、四ページをおめくりいただきたいと思います。
現在、再販が認められている商品があるわけで、著作物もその一つになっております。この再販が認められる要件としまして二つ挙げておきました。
一つは、当該商品について自由な競争が行われていること。
これは、ある特定の商品について流通段階における価格が制限されることになるわけですから、商品間に競争があるということであれば、特定の商品についての競争がなくなっても弊害はより少なくなるであろうということで、自由な競争が存在するということが要件とされているわけです。
それから二番目として、消費者の利益を不当に害さないこと。
この二つの要件が認められた場合に適用の除外が認められるということになっておるわけです。
下の方に、化粧品、医薬品のところにバツ印がつけてありますけれども、今回医薬品、化粧品について見直しが行われ、両業界とも寡占的であり、競争が必ずしも十分に行われていないおそれがあるということで、これらについての縮小、そして将来的には全廃という方向が打ち出されているわけです。
それでは五枚目をおめくりいただきたいと思います。
新聞の再販。きょうは著作物のうち新聞について取り扱うということで、新聞についてのみ資料をつくってまいりました。
まず最初に、新聞について再販を認める明確かつ具体的な理由及び目的が存在するのかどうか。
一般に言われていることとして、公共性、それから表現の自由の確保、それからそれらと関係があると思いますけれども、戸別配達システムの維持ということが挙げられているわけです。こうした理由あるいは目的が再販を認める明確かつ具体的な特別な理由、目的ということになるのかどうかということについて検証してみる必要がある。
一番目のところで、理由は明確かつ具体的で新聞に固有の理由でなければいけない、こういう点から考えた場合に、現在言われている公共性というものが他の商品にない、なおかつ明確かつ具体的な理由であるのかどうか、この点について疑問なしとしないということであるわけです。
それから二番目。公共性、表現の自由ということをもし取り上げたとした場合に、一体それによって何を実現しようとするのか、その目的は何か。表現の自由ということで、再販によって具体的に何を実現するのかという点が明らかにされる必要がある。戸別配達ということになるのかどうか、その点について検討する必要があるだろう。この点は必ずしも明確にされていないのではないかと思います。
三番目に、このような理由、目的のために再販売価格維持行為という手段が合理的な手段であるかどうかということになるわけです。公共性あるいは表現の自由というものが再販売価格維持行為によって達成されるものなのかどうか、合理的な手段たり得るかどうかという点について検討をする必要があるということです。
四番目に、再販売価格維持によって得られる利益が、競争が制限されることによって失われる我々の利益より大きいかどうかという点が検討される必要があるであろう。私はこの点について疑問に思っております。
五番目に、目的を達成するための手段について、より競争制限的でない手段というものがないのかどうか。ここで法人税の減免ということを挙げておきましたが、例えば販売店がつぶれるという議論がありますけれども、表現の自由とか公共性ということを主張するのであれば、こういった手段も考えられないことはないであろうということで、一つ例として挙げておきました。
それから二番目に、再販が認められる条件というものが満たされているのかどうか。自由な競争の存在、二番目に消費者利益の侵害、この点について検討をしてみました。
発行市場、新聞発行者側の市場においてどういうことが問題になっているかというと、寡占的である、これは疑いないと思います。現在、同調的価格引き上げの対象商品として取り上げられている。これは高度寡占的な市場が取り上げられているわけですから、新聞発行本社の市場が寡占的であるということは間違いない。それから、価格の下方硬直性が見られるということが指摘できます。三番目に、同調的に価格が引き上げられる。
これは資料をおつけしておきましたのでごらんいただきたいと思いますが、過去約十年間のところをとって、同調的価格引き上げということで公正取引委員会から理由を聴取されたものを挙げておきました。一番最後から二番目のところ、「平成五年度七品目」ということで、一番下に一般日刊全国新聞紙が挙がっておりますが、黒丸になっております。これは、下を見ていただくと、四回。黒丸がついておりますのはその下にあるビールということで、過去十年間に四回にわたって同調的な価格引き上げが行われている。
いい悪いという問題ではなくて、発行市場という点を見ると、競争が十分に行われていない状況があるということを指摘しておきたいと思います。
それでは、販売市場の点についてはどうかといいますと、販売店においては厳格なテリトリー制がしかれております。販売店同士での競争というものは存在しない。それから、価格に差がつくことが禁止されているといいますか、禁止という考え方があって、これもありません。三番目に、禁止されております景品つき販売が行われているということが言えます。それから、長期購読者、大量購入者に対する割引というものが行われていない。逆に新規購読者に対しては利益が供与されるということで、本来の市場ですと、長期顧客に対して利益を供与するというのは当たり前のことですけれども、新聞業界においては、長期の購読者に対して利益供与はほとんどない。逆に新規に入る者について景品等が配られるという形になっておるわけです。
今のところは、市場における競争が制限されている問題と、それから弊害が両方入っているような形になっておりますが、改めて消費者利益の侵害の点を考えてみますと、販売店選択の自由が消費者に、読者に認められていないという形になります。それから、購読新聞紙以外の新聞を購入しようとしても極めて困難である。駅に行きませんと購入できないという状況になっている。それから、購読条件が一方的に設定されて、それが押しつけられるという形になります。それから、勧誘方法が非常に不適切であるということで、しばしば問題を起こしております。
これも最後に資料をつけておきましたけれども、国民生活センターのPIO−NETにインプットされた消費者相談の中で、新聞のデータがございます。これを見ますと、毎年トラブルが増加しているという形になっている。そして、新聞は上位にランクされるという形になっているわけです。これらは、競争がないために勢いこういう形
での勧誘方法になるというふうにも考えられるわけです。
最後に、私の意見を書いたものをお配りしてありますので、詳しくはそちらの方をお読みいただければと思います。
以上でございます。(拍手)