原田純孝の発言 (規制緩和に関する特別委員会)
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○原田参考人 お答えいたします。
私は、ただいまの御意見は私の意見と基本的に変わっていないというふうに思います。その点、若干補足しながらお答えさせていただきます。
私は、基本的に農地について、特に生産基盤としての農地の管理については分権化がなじまないという話をいたしました。なお、都市についての町づくりについては、これからの日本社会ではやはり分権という方向がどうしても出てくるであろう、それに対応する必要があるというふうに申しました。その中で、ただいまお話にありましたいわば市街化区域内の農地の問題は、実はかなり特殊な位置をもともと占めているというふうに私は考えております。
この問題を考えるには、実はきょうのテーマである規制緩和との関係でも、そういう問題がなぜ生じたかということをもう一度思い起こしておく必要があるようにいつも私は思っております。つまりこれは、一九六八年に新都市計画法を施行し、それに基づいた市街化区域の線引きを全国で行ったわけでありますが、その過程で膨大な農地が市街化区域内に包摂されたということに端を発しているわけです。
なぜそのようなことになったのかと申しますと、その当時の背景として、やはり地価上昇がありました。そして、土地の供給不足であるという議論があったわけでございます。土地の供給不足をカバーするためには、要するに宅地、土地の供給をふやす必要がある、その供給源となるストックを都市周辺部の農地に求めて、その転用を促進しようという議論が出てまいりました。その場合に、農地法の転用規制がかかっていてなかなか思うようにならない。そこで、市街化区域の線引きをしまして、市街化区域内に入った農地については届け出だけでよい。ですから、転用を事実上自由にする、そうやって供給されるべき宅地のストック、潜在的ストックをふやせば地価は下がるんだ、こういう議論で始まったわけであります。ですから、この制度は、もともと規制緩和を意図して、それによる宅地供給を促進させるという制度で出発いたしました。
御承知のように、その結果が、現在の市街化区域内、特に周辺部の、一方ではスプロール的な都市基盤が整わないままの開発、他方ではなおかつ農業をやりたいという人にとっての存続の可能性の問題という形で、非常に特殊な問題を投げかけて、残してきたわけでございます。
都市計画の制度について見ますと、要するに本来開発できる、つまりそのための都市基盤を用意する、財源も用意するということなくしていわば商品として供給可能な自由な土地商品を膨大につくるというのは、これは西欧、アメリカもそうだと思いますが、欧米の都市計画の論理としてはまず考えられないことであります。そのボタンのかけ違いから生じてきた問題であるということを一言まず申し上げたいというふうに思います。
そういうことであるからこそ、一たん転用すべき農地、優先的に転用すべき区域内にある農地としながら、その中で農業の継続を望む人々、土地所有者、農家の方々に対してやはり行政としても強い決定的な対応はとれない、だから長期営農継続農地を認め、宅地並み課税を免除する。それから、九一年だったと思いますが、現在の生産緑地制度ができ上がったときにも、やはり残したい人の農地は残せるようにする、こういう措置がとられたのだろうと私は思っております。
そこで、御質問のところに戻りますけれども、この新しい制度のもとで生産緑地に入った部分は、都市計画上の区域、用途区域として位置づけられております。ということは、これは実は、確かに都市住民にとって緑の環境あるいは緑との触れ合い、農との触れ合いあるいは新鮮な食糧の供給基盤というような面もありますけれども、都市計画区域内で、しかも都市計画上で位置づけられた区域になっているということは、先ほど申しました私の区分けから申しますと、これはまさに都市内部のことであるわけでございます。そして、世田谷では、先ほどのお話にありましたように、この生産緑地制度を施行する過程で、生産緑地となるべきところを、それもできるだけいい形で残していきたい、それは区民にとっての必要な施設としても使えるんだということで努力がされたことも知っております。ですから、そういう部分というのはまさにそれこそ自治体がやってよい、私はそう思って、そのつもりで最初のお話もいたしました。
ただ、ついでに一言だけつけ加えますと、そういう位置づけを与えられた以上、やはりその生産緑地はその与えられた位置づけに対応する役割を果たすべき負担を負ったのだろうというふうに思います。これがやはり都市計画の論理であり、また負担とメリットの論理であろうと思います。私は法律家でございますので、すぐそのことを考えてしまうのですが、そういうふうに思います。
したがって、生産緑地に入ったところは、その本来の役割を果たすように維持され、かつ管理され、市民に開かれているというようなことが必要になってくるでありましょう。そして、そういうことに役立つ農地であれば、現在の土地不況といいますか、不動産不況の中で荒れたままでどうしようもない状態で残すよりは、もしそういう役割を果たし得る農地がなお生産緑地の指定を受けないままで残っているとすれば、それを指定し直していくということはあってよいのではないかというふうに私は考える次第です。