原田純孝の発言 (規制緩和に関する特別委員会)
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○原田参考人 時間の制約がございますので簡単に申しますが、要するに、株式会社というのは、資本を株式にして自由に売買できる、ですから、そういう点で構成員が全く自由に流動することを前提にしております。そういう株式会社が農地を自由に所有できるようにすることは、それではなぜ自然人がだめなのだということを当然もたらしてまいります。そのような意味で、先ほど申しました農地法の耕作者主義の原則とちょうど真っ向から対立するのではないかと私は考えております。
それから、転用目的の農地取得を制限するために永久農地と指定すればいいではないかという議論があるようでございますが、本当に永久農地として規制がかけられるのかという問題、これはきちんと考えてみるべき事柄であろうと思います。例えば、農用地区域というのはまさに農業用に確保すべき区域として定められているにもかかわらず、繰り返しその規制緩和論が出てまいります。株式会社が永久農地とされた農地を一たん取得して、しかしやはり経営が成り立たないというか、採算が合わない、利潤が上がらない、配当ができない、したがって経営をやめるとした場合、じゃ、永久農地として買われたその土地の後始末をどうするのかというような問題も当然出てくるわけで、そうなりますと、やはり転用をというような話が出てくるのではないか。これまでの転用規制の緩和の歴史を見ますと、そういう不安があります。
それから、もし株式会社が経営するとすれば、非常にいいところで、そこにいる既存の農家を排除して経営をすることになります。他方、株式会社の経営が非常に採算がうまくいって、低いコストで農業をやれるということになりますと、そこが農業関係施策の水準になりますので、今度は、それ以外の、例えば中山間地域のようなところの経営が非常にやりにくくなるということが出てくるであろうかと思います。
さらに、先ほど申しましたように、もし農村一般に株式会社が農業をやるという形になってきますと、これまでの農村社会と農村の土地所有構造、それから農村の中でのいろいろな社会関係というようなものも大きく変動してくるのではないか。
それらを考えた上で、なおかつ株式会社に農地の保有を積極的に認める意味が果たしてあるのだろうか、こういうバランス論を考えているわけでございます。
外国の例もというお話がございましたので、簡単に申しますが、私が一番よく知っているのはフランスの場合でございます。
フランスの場合には、戦後の農地改革に相当する部分をいわば耕作権の強化方式で行いました。四〇%の小作地の賃借権を抜本的に強化したわけです。ですから、その延長上で、土地所有に対する規制のあり方、所有権レベルでの規制のあり方は多少違っております。ですから、所有のレベルでは、原則は一応自由であるとされているわけです。しかし、他方、その農地を使って農業経営にかかわってくるところでは、恐らく現在では我が国以上にさまざまな規制が加えられている。農業はフランスにとっては輸出産業でありまして、非常に重要な産業として見られておりますから、その分だけ政策的な努力も大きいというふうに私は見ているわけです。
具体的に申しますと、まず農地の賃借権は非常に強く保障されております。これは我が国と全く逆になります。
それから、我が国でもかつて農地管理事業団法案というのがあって、そういう特別の、農地の売買に介入する公的な機関というものをつくろうとしたわけですが、それに相当するものがフランスでは存在しております。しかも、先買い権を持っておりまして、毎年非常に大量の農地を買っております。それはどういうときに買うかといいますと、その農地を農業用として利用するために維持する必要があると考えれば買うわけでございます。
さらに、経営権の移動に関しても細かいコントロール、規制がございます。したがいまして、株式会社が農地を取得するのは自由だとしても、実際に経営するというのは非常に難しい、まれなことになるわけです。現実に、株式会社その他、有限会社がフランスの場合には存在しておりますが、わずか〇・数%でありまして、大部分は、大規模なブドウ酒生産を行う、したがって販売額が多い、それゆえ商事会社的な組織をとっているというケースになっております。
以上でございます。