吉井英勝の発言 (本会議)
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○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して質問いたします。
初めに、北海道豊浜トンネル事故の犠牲者に哀悼の意を表し、御家族の方々に心よりお悔やみ申し上げます。
昨年十二月八日に発生した高速増殖炉「もんじゅ」の事故は、発電運転中に起こしたもので、世界最大規模のナトリウム漏えい火災事故でありました。ナトリウムの大規模な漏えいとそれによる火災が発生すると、原子炉のコンクリートから出てくる水とナトリウムが爆発的に反応して原子炉を破壊することにつながりかねない事故でありました。もしプルトニウムなど放射性物質の放出に至っていたら、地域住民に多大の被害を及ぼす危険なものでした。それなのに事故隠しやビデオ改ざんなどが繰り返されたことは、断じて許すことはできません。総理、今回の事故はそういう重大なものであったということを認識していますか。
質問の第二。大洗工学センターで十年前にナトリウム漏えい実験をやっています。そのビデオテープがあります。これを見れば一目瞭然。「もんじゅ」でナトリウムが漏れたとき、二、三秒で火災が発生し、ナトリウムは火柱となって下に流れ落ち、十四秒後には白煙が立ち込めて、もうナトリウムの炎を見ることはできなくなっています。この実験に参加した研究者は「私なら白煙を見た段階で直ちに原子炉を停止した」と言っています。直ちに原子炉を停止しなかったのは、ナトリウム事故の重大性を認識せず、事故が表面化して「もんじゅ」開発が挫折することを恐れて、安全を無視したことにあるのではありませんか。
第三。動燃と科学技術庁の「もんじゅ」に取り組む姿勢は、これまでから異常なものでした。公開されている原子炉設計工事認可申請書は、何と約三万ページのうち約三割の一万ページ近くが完全に白紙のままで、秘密扱いです。どんな施設か、燃料や放射能管理がどうなっているかわかりません。国会議員の調査といえども妨害する徹底した秘密主義がとられてまいりました。自主、民主、公開の原子力基本法の三原則は全くじゅうりんされ、今回の事故隠しは体質化していたものであります。
そして国民の不安や疑問には、「日本の原子炉は安全」と安全神話を振りまき、動燃のナトリウム研究費に千七百四十三億円を投じた実験のビデオの中で、「「もんじゅ」は安全かつ健全であることが実証されました」と結論づけ、ナトリウム技術は完成したものとしてきました。今回の事故で、これまでの説明が誤りであったことは明らかではありませんか。
国民の安全への責任感の欠如と法律無視の組織では、原子力の基礎研究さえ任せることはできません。その誤りを一体になって進めてきた科学技術庁の責任は重大です。科学技術庁長官に根本的な反省があるのかどうか、伺いたいと思います。
第四。高速増殖炉の難しい問題の一つは、ナトリウムにあります。各国は、プルトニウム技術の困難性と採算性悪化の問題とともに、まさにナトリウム事故が頻発して開発を中止しました。総理、高速増殖炉開発計画の中止を決断するべきではありませんか。
第五。世界の高速増殖炉開発中止とプルトニウム不保持の政策に逆行して、日本だけが核兵器材料であるプルトニウムのリサイクル路線を進め、高速増殖炉の見込みが立たないのにプルトニウムを蓄積することは、世界の不信を招き、国際的孤立化への道です。総理、プルトニウムリサイクル路線の中止も決断するべきであります。
人類にとって利用可能なエネルギーは多様であり、研究開発の可能性も豊かに存在します。プルトニウムの半減期である二万四千年もの未来まで子孫にプルトニウム処理の困難を押しつける無責任を排して、日本は資源がないとかプルトニウム増殖は必要だとする発想から抜け出した研究開発にこそ取り組むべきであります。このことを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕