大口善徳の発言 (本会議)

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○大口善徳君 新進党の大口善徳です。新進党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして、橋本総理並びに中尾建設大臣に対し質問をいたします。
 戦後、我が国は、国民のたゆみない努力によって驚異的な経済成長を遂げましたが、それが国民の真の豊かさに結びついていたとは到底言えない状況でございます。特に住宅の貧困は諸外国からも指摘されているとおりでございます。一九八六年、OECDは、都市政策レビューで日本政府に対し、「日本の住宅ストックはOECDに比べて低水準にあり、これを改善していこうとするならば、日本政府は住宅問題をもっと優先的に扱う必要がある」と勧告をしています。
 居住水準の現状を見ましても、平成五年、最低居住水準未満の世帯が約三百万世帯もあり、特に賃貸住宅において一住宅当たりの延べ床面積は、全国平均で四十五平米、東京都三十七平米、大阪府四十二平米となっており、持ち家の全国平均百二十二平米に比べますと著しく低いレベルでございます。
 「布団を敷くのに物を動かさなければならないし、敷いてもたんすの角に布団が当たる」あるいは「遊びに来た友達に、さあどうぞ上がってくださいと気持ちよく言えない」、そのような声を耳にします。また、小さな子供がいるからといってあるいは高齢者というだけで、アパートの入居を断られたり立ち退きを要求されたりしているのが実際に起こっていることでございます。現状の住宅事情における総理の認識をまずお伺いしたいと思います。
 次に、今後の住宅政策のあり方における基本的課題についてお伺いいたします。
 昨年六月、住宅宅地審議会が「二十一世紀に向けた住宅・宅地政策の基本的体系について」と題する答申を出され、また本年三月、第七期住宅建設五カ年計画について閣議決定がなされましたが、住宅供給における公的部門と民間部門の役割分担のあり方、さらに公営住宅、特定優良賃貸住宅の位置づけについて、明快なる総理の御答弁を賜りたいと思います。
 さらに、ある自治体の公共賃貸住宅に入居されていた八十歳の御婦人の上に実際に起こった事実を通してお尋ねをしたいと思います。
 この婦人は、だれが見ても入院が必要と感じる病状で、友人が再三にわたって入院を勧めました。しかし、入院すると、せっかく抽せんで当たった高齢者住宅を出なければならないと、我慢に我慢を重ねたそうです。そして、救急車で病院に運ばれて、一カ月目には亡くなられたということです。病院の担当医は「もっと早く入院していれば助かったんだが、なぜ入院しなかったんでしょうか」と語っていたそうです。このことの中に高齢社会の重要な課題が多く含まれていると思います。
 第一に、国民が、単に住むというだけでなく拝みたい地域に住めるようにすることと、経済的不安を持たずに安心して生涯住み続けることができることが、住宅政策の基本であると考えます。特に高齢者にとって、住み続けた地域、親しい仲間、親族等との交流は重要です。高齢者の多様なニーズ、家族状況、所得水準、健康状態、安全性に対応した住環境の整備と、高齢者の方が可能な限り住みなれた地域社会で健康で生きがいのある人生を過ごせる住宅の整備は、緊急の課題であると考えますが、これに対する総理の所見を求めます。
 第二に、大都市の住宅事情を考えますと、公的・民間共同賃貸住宅の役割は大きく、また、公営住宅は、一定の所得層によるすみ分けによって、集合住宅自体が一つの共同体を形成しております。しかし、良好なコミュニティーを形成するためには、各所得層がバランスよく居住していることが望ましいと考えます。したがって、公営、公団、特定優良賃貸の各住宅の混合建設や、さらに進んで、一棟の集合住宅にこれらの住宅の多様な所得階層が居住することを可能にする公的住宅の一元化の方向が、共同体形成のあり方として望ましいと考えます。その方向が、昨年十二月に構造改革のための経済社会計画で指摘された自立的福祉社会形成に寄与するものと考えますが、この点について総理の見解を求めます。
 第三に、高齢者仕様の住宅整備についてであります。
 平成三年の人口動態統計によれば、住宅事情による事故死総数の七一%が六十五歳以上の高齢者によって占められています。高齢化に対応した仲宅に取り組めば、三十年後には累計で十一兆五手億円の介護費用を軽減できるとの試算もあります。北欧諸国では、新築住宅はすべて高齢者仕様の住宅にしています。高齢化の急速な進展を考えると、高齢者住宅の整備は自立した生活のために必要な社会資本との認識で、我が国も本格的に取り組むべきであります。
 さらに、単に高齢者住宅を整備するだけでなく、医療・福祉との連携が重要です。住宅政策と医療・福祉政策との連携を一層強化する必要があると考えますが、これに対する総理の取り組みについてお尋ねをいたします。
 第四に、住宅に対する認識についてであります。
 これまで、我が国では、住宅さえ建てれば足れりという認識が先行して、その中身や影響について十分考慮されていなかったと思います。我が国において二十一世紀は高度の福祉社会を構築しなければならないことについては認識が一致するものと思いますが、その福祉社会形成の基礎となるのが住宅であると考えます。ゆえに、高齢先進諸国で定着している「住宅は社会資本」との共通認識を確立し、問題解決型の住宅政策から、住宅を魅力ある居住の場としていくために生活創造型への住宅政策の転換が必要であると考えますが、この点について総理の所見を求めます。
 ところで、住宅基本法の制定について述べたいと思います。
 我が国では、住宅に約二百本以上の法律が関係しており、それぞれの課題について各種の法律が分担しているのが現状で、それは時代ごとの問題に個別的に対応したものであって、時代を先取りしたものではありません。平成元年に土地基本法、平成五年に環境基本法が成立し、土地問題、環境問題の総合的な対策が推進され、昨年は高齢社会対策基本法、科学技術基本法が成立し、現在、計十五本の基本法が制定されています。
 平成六年の「二十一世紀に向けた住宅政策の基本的体系はいかにあるべきか」の住宅宅地審議会の住宅部会の中間報告では、「今後検討すべき事項」に「住宅基本法に係る主要な論点の検討等住宅政策を包括する法体系のあり方の検討」とありましたが、翌年の平成七年の同審議会の最終答申では、住宅基本法を制定すべきとの記載は一切ありません。私は、住宅政策の目標として、ゆとりある住生活の実現を打ち出し、国民の住生活の充実が国の責任であることを明記し、福祉、環境、人権等の諸政策と連携することを内容とする住宅基本法を制定すべきであると考えます。
 平成二年二月の衆議院選立候補者へのアンケートでは、何と九割以上の方が住宅基本法制定に賛成しており、ここの皆さんもそうでございます。幾つかの自治体では住宅条例が制定されております。かつて、日本社会党も含む野党三党会派で法律案を共同提出したこともありました。昔の話でございます。生活大国を目指す我が国政府が、福祉社会の基礎をなす住宅政策を包括する住宅基本法の制定に何ゆえ消極的なのか、その理由をお伺いしたいと思います。
 以上、今後の住宅政策の基本的課題である六点について、順次総理の明快なる答弁を求めます。
 ここで、公営住宅法の改正について、中身について質問をいたします。
 まず第一に、公営住宅の入居資格について、高齢者、障害者等に対し現行入居収入基準を引き上げて入居をしやすくしたこと、「障害者プラン ノーマライゼーション七か年戦略」を受けて知的障害者の自立生活を支援するグループホームに公営住宅を活用すること、デイサービス等の福祉施設等の併設を推進すること、過疎地域等における若年単身者の入居が可能になること、これらは我々が以前より強く主張していたことであります。ですから、評価はするものの遅きに失する、こう言わなければなりません。
 特に、グループホーム、福祉ホームについては、障害者プランで平成十四年度末までに二万人分の確保を目指しており、多くの方が期待していることに思いをいたすときに、その実現のために公営住宅のグループホームヘの積極的活用が極めて重要であると考えますが、総理の見解をお伺いしたい。
 第二に、今回の改正は、低所得者に対して低廉な家賃の住宅を供給するという公営住宅法の趣旨に沿うものと考えますが、新たな入居収入基準の設定により、これまで収入基準内であった収入分位三三%以下の一般世帯が二五%を超えると収入超過者となるため、家賃の引き上げ、明け渡し努力義務や建てかえ後の再入居に大変不安を感じておる方々がいらっしゃいます。
 また、これまで入居資格を持っていた収入分位が二五%を超え三三%以下の一般世帯が公営住宅に入居できなくなり、受け皿となる公的賃貸住宅への入居が本当に可能なのか大変心配をしております。そこで、受け皿住宅である特定優良賃貸住宅の確保が極めて重要になってくるわけでございますが、これらの人々の不安に対して政府はどう対応されるのか、建設大臣の明快なる答弁を求め公営住宅法の一部を改正する法律案の趣旨説明にます。
 第三に、今回の改正で、一種、二種の区分の廃止、賃貸住宅の借り上げ、買い取り方式の導入など供給方式の多元化、建てかえ事業の要件の弾力化、高額所得者、収入超過者に対する適正な措置によって、公営住宅の供給促進を図ろうとしています。しかし、平成六年度の公営住宅の新規応募倍率を見ますと、三大都市圏の場合平均は十六倍、東京都の場合は平均で三十四倍となっており、中には応募倍率が三百倍を超えるところもあるのです。今回の措置によって、最も公営住宅を必要とする低額所得者層にどの程度入居の可能性が拡大をするのか、建設大臣にお伺いをいたします。
 さらに、少子化対策を含め、大都市を中心に中堅勤労者にとってファミリー向け住宅の供給が極めて重要でありますが、その中堅勤労者への住宅供給を使命とする住宅・都市整備公団が現に供給する住宅は、大都市圏におきますと中堅勤労者にとって手の届かない家賃や価格となっているのが実態であります。これはもはやその使命を放棄したものと言わざるを得ません。この公団の果たすべき公的役割を今後担うものは特定優良賃貸住宅であり、大都市地域における住宅問題解消のために特定優良賃貸住宅の供給を一層拡大すべきであると考えますが、建設大臣の見解をお伺いしたい。
 第四に、今回の改正によって建設費補助率が一律二分の一となりますが、これによって地方公共団体の負担がふえることがあっては困ります。十分な配慮をしていただきたい。それについて建設大臣にお伺いします。
 第五に、今日、地方分権の重要性は改めて申し上げるべくもありませんが、今回の改正によって地方公共団体の自主性、自立性がどの程度拡大するのか、建設大臣にお伺いしたい。
 第六に、住宅建設コスト削減についてであります。
 本年三月二十六日、住宅建設コスト低減のための緊急重点計画の中で、「二〇〇〇年度までに標準的な住宅の建設コストをこれまでの三分の二程度まで低減する」と発表がありました。この内容については、私もかねてより主張していましたが、国際公約として認識していいのか、総理の決意をお伺いします。
 さらに、阪神大震災の教訓から、耐震性強化や耐久性、省エネなどの環境の観点も踏まえてコスト削減を図らなければ意味がありません。公営住宅等の建設及び建てかえにおいても建設コスト削減の先導役を果たすべきであると考えますが、建設大臣の取り組みについてお伺いします。
 新進党は、阪神・淡路復興推進委員会を設置し、復興対策について全力を挙げて取り組んでおります。
 そこで、最後に、四月八日に兵庫県芦屋市で仮設住宅の撤去が始まりましたが、仮設住宅の撤去費用並びに阪神・淡路大震災での仮設住宅入居者に対する恒久住宅、特に公営住宅における入居及び家賃の軽減対策について国はどのように支援をするのか、総理の明快なる答弁を求め、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕

発言情報

speech_id: 113605254X01619960411_029

発言者: 大口善徳

speaker_id: 10135

日付: 1996-04-11

院: 衆議院

会議名: 本会議