佐々木陸海の発言 (本会議)
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○佐々木陸海君 私は、日本共産党を代表して、住専処理法案を中心とする金融関連の五つの法案に反対する討論を行います。(拍手)
今国会の最大の課題となった住専問題とそれにかかわる一連の法案が、審議時間わずか十日間三十一時間、委員長もやると言った公聴会すらやらないまま、委員会審議を一方的に打ち切って昨日採決され、それがそのままこの本会議にかけられています。これは極めて異常なことであります。なぜなら、「十分な審議を行い、強引な採決は行わない」という三月の本院議長のもとでの五党首会談の合意は、当然、住専法案などの審議全体に貫かれるべきものだからであります。それを踏みにじった政府・与党などの態度に、私は怒りを込めて抗議をするものであります。(拍手)
住専処理法案は、大銀行などの一〇〇%子会社、しかも民間会社である住専の破綻の処理のために六千八百五十億円の財政資金の投入に加え、さらに二次損失の二分の一を税金で穴埋めする仕組みとルールをつくろうという法案であります。この仕組みのもとで、国民の負担額は一兆円を超えて大きく膨らむことが必至となっているのであります。
住専破綻の主犯は、住専を設立し、経営を支配し、紹介融資などで甘い汁を吸ってきた母体銀行であります。住専の破綻処理は、本来、この母体行の責任において行うべきものであり、国民が負担するいわれは全くありません。今回の法案は、住専を破綻させた母体銀行の責任と負担を免罪し、そのツケを果てしない税金によって国民に負わせようとするものであり、断じて認めることはできません。(拍手)
住専処理への税金投入が何の道理もない全く不当なものであることは、今や二重三重に明らかになっています。
銀行系列のノンバンクの破綻は、親銀行が主体的責任を持って処理することがこれまでのルールであります。親銀行の体力的な理由などから他の金融機関に負担を求める場合でも、親銀行は、負担を要請し合意形成を図る主体的責任を果たしてきたのであります。質疑を通じて、これまで母体行がそうした責任を放棄した例は一つもなかったこと、例外がなかったことが明らかになりました。住専は、銀行系列ノンバンクの一つ、直系以上に直系のノンバンクであります。その住専の被綻処理は、当然この基本ルールに沿って、親銀行の主体的責任で行うべきであります。総理自身が、それが自然体であると認めざるを得なかったではありませんか。
この基本ルールに従えば、関係金融機関の合意に至らず足りない分が出れば、当然、母体行が負担することになります。ところが、政府・与党の住専処理策は、このルールを初めて打ち破り、本来母体金融機関が負うべき処理策づくりの主体的責任を政府が引き受け、足りない分を税金で埋める、税金投入主義ともいうべき新しいとんでもないルールに踏み出そうとしているのであります。これまでの例外のないルールを政府が率先してあえて破り、平地に乱を起こす、それがこの住専処理策、処理法案なのであります。
政府は、このルール破りの理由として、関係金融機関が多数であるとか、親が多数いるとかいうことしか挙げることができませんでした。こんなことが一体どうして理由になるのでしょうか。親が多数といっても、母体行は、いわば共同親会社、業界直系として住専を設立し、経営を支配してきたのであります。政府・与党の言い分は、結局、住専がもうけ口として役立つ間は親として振る舞い、破綻すれば一斉に責任を放棄する、「みんなで逃げれば怖くない」という母体行の身勝手な主張のあからさまな代弁にすぎないではありませんか。
また、政府自身が認めてきたように、株主代表訴訟が母体行の責任放棄の理由にならないこと、母体行に全体として損失を負担する体力があること、これらはいずれも明白であります。
さらに、政府自身が母体行の追加負担の必要性を繰り返し繰り返し述べてきたことは、客観的に言えば、法案の前提になっている損失負担の割合を変えることができるし、変える必要があるということを認めるものであって、法案の根拠さえ崩れていることを示しているのであります。
国会審議を通じて、国民は、住専処理策に理解を示すどころか、一層拒否の意思を強くしています。一月には七四%だった反対の声が、四月には八六%に拡大したという世論調査結果もありました。政府・与党の処理策は、六カ月の論議によっても国民の理解が得られていないのであります。このこと自体が、処理策の根本的な誤りを何よりも雄弁に証明しているではありませんか。
道理もなく、根拠もなく、また国民の圧倒的多数が反対している住専処理策、住専処理法案を、冒頭に述べたようにひたすら数を頼りにごり押しするなどというのは、民主主義の根幹を破壊する言語道断の暴挙と言わざるを得ないのであります。住専処理法案はきっぱりと廃案にし、これまでのルールどおりに母体行の責任によって解決すべきであります。それができないというのであれば、衆議院を解散し、国民に信を問うべきであります。(拍手)
金融機関の破綻処理のルールを定めるに当たって今最も重要なことは、母体行責任の原則を改めて確認し、母体銀行や大銀行の責任を免罪するような抜け道をつくらないことであります。金融機関等の経営の健全性確保法案、金融機関の更生手続特例法案、預金保険法の一部改正案の三法案は、互いにリンクし合ってこうした抜け道を広げ、経営困難な信用組合などの整理淘汰を促進するものであります。我が党は、これらの法案に反対であります。
預金保険法一部改正案は、破綻信用組合の処理に公的資金を導入することを盛り込んでいます。これは、住専処理法案で踏み出した税金投入主義の流れを進めるものであります。住専と同様に、バブルの時期に信用組合をみずからの手足として不動産投機に走らせた大銀行の責任と負担の原則を法的に明確にすることのないまま、そのツケを国民に転嫁するものであり、断じて認められません。
本来、預金保険機構は、預金者保護のための機関であります。ところが、今回の改正案は、破綻金融機関の優良資産と預金は救済金融機関に引き継がせる一方で、不良部分を預金保険機構や整理回収銀行に押しつけるという仕組みをつくることにより、本来民間金融機関が負うべき負担を軽減し、預金保険機構を銀行業界救済の機構へと変質させるものと言わ、ざるを得ません。
我が党は、金融機関の破綻に備えて法的ルールを整備すること一般を否定するものではありません。しかしながら、今回の金融機関の更生手続特例法案は、母体行の責任と負担の原則に全く触れておらず、大銀行が主要な責任を負うべき破綻処理においても、その責任を免罪する法的処理が不当に促進されるおそれがあることは明白であります。この法案で申し立て権を与えられる大蔵省が、母体行責任主義のルールを破る住専処理法案を打ち出した張本人であることを考えれば、この危惧は一層大きいと言わなければなりません。
金融機関等の経営の健全性確保法案も、ここで導入される早期是正措置が、預金保険法改正案、更生手続特例法案とリンクすることによって、信用組合の集中的な整理淘汰や大銀行の責任免罪の危険を拡大するものであります。
与党提出の住専七社が有する債権の時効停止等特別措置法案は、住専処理法案の成立を前提としたものであり、反対であります。我が党は、債権の回収は母体行が責任を持って行い、これを厳しく監視することを主張するものであります。
なお、農水産業協同組合貯金保険法の一部改正案は、住専処理とは直接関係せず、経営困難に陥った農水産業協同組合が保険事故に至ることを防ぎ、預金者の負担を回避する等の措置でありますから、賛成をいたします。
最後に、住専処理法案に反対する国民の声、不良債権処理に税金の投入を許さないという国民の声を政府・与党は謙虚に聞くべきであるにもかかわらず、事態は逆の方向に進められつつあります。バブルのツケを国民に押しつけようとする政府、大銀行のたくらみ、超低金利政策によって年金生活者を泣かせながら、大銀行に空前の業務純益を与えた上、さらには税金をつぎ込もうとする政府・与党のやり方、これらに対する国民の批判と怒りは政府・与党に必ず痛烈な審判を下すであろうことを強調して、討論を終わります。(拍手)