荒井広幸の発言 (予算委員会第八分科会)
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○荒井(広)分科員 長官のおっしゃったところが、これからの中身という点で幅広く御活動をしていただく概略のお話だったと思うんです。これは、私は大変重要なことだと思いますのは、このいろいろなパンフレットもつくっていただいておりまして、これも非常にわかりやすいのが随分このようにでき上がっております。一番、わかりやすいというのが非常に重要だと思います。そうなると、枝葉を切ってしまうという部分もありますし、先ほどのアンケートなどもということですから、双方向にやはり議論というものは、あるいはお互いにキャッチボールをしながら煮詰まっていくものはあるということですから、ぜひともそのような方向で御議論を深めていく、移転の理解を深めていただくということにしていただきたいと思うんです。
さて長官、私は、きょうはこのような国会等移転調査会の報告等を大変尊重し、また有意義なものであると考えながらも、別な視点からこの首都機能移転というものを眺めてみたいと、こう考えているわけなんです。例えばどういうことかということで、私自身の言葉にする前にちょっとこの話をお聞きいただきたいんです。
これは「ボイス」という本でございますが、この「ボイス」という本で出ておりますのは、加藤寛さんでございます。いろいろな審議会の役員をされておられますが、この方が、「金融農本主義を排す」というところでこのようなことを言っておられるのですね。「しかも大都市集中はそれを急速にしてしまった。」これはちょっと前段があります。「いまになって大都市分散とか遷都とかいわれても、情報都市(サイバースペース都市)を創造しないかぎり不可能に近い。アメリカでもドイツでも、情報都市が拠点であり、日本の遷都論のように、土地だけを探し求める国土庁的発想はすでに時代遅れとなっている。」ということを言っておられるんですね。これは私は一律に同調するものではございません。
しかし、ここでキーワードがあるんです。つまり情報ということでございます。飛躍的に情報通信手段というのが発展をいたしております。今まででは考えられなかったことが情報通信の高度化によって行われるようになってまいりました。例えばどのようなことかというと、地方に住んでいる方が子供を大学に出したい、学校教育を受けさせたいということになると、東京に出すということが今までは当たり前でございました。大学受験に失敗すると浪人ということになって、予備校にも通います。その例えば予備校などというのは、一流の先生じゃないとなかなか予備校に人が、少子化の時代ですから集まりません。しかし今は、衛星を使って東京と同時授業を、その人気のある一流の先生方が全国の予備校で同時に放送するんですね。わざわざ東京の予備校に来なくてもよくなった。この傾向が顕著でございます。
ということは、国会を含めまして、今回申し上げている中央省庁、最高裁判所、特に中央省庁でありますけれども、今の遠隔教育のような話でございますが、遠隔におりましても十分に議論ができる、あるいは省内の意思疎通が図れる、こういう時代になってまいりました。
アメリカではノースカロライナ、バージニア州、そしてフロリダ州、大変にいろいろな意味で、時間と距離を超えるコミュニケーション手段として情報通信という手段の飛躍的な発展、それを応用展開しているわけです。こうなりますと、私は、首都機能という機能自体が、あした、あさってというきのうの話になってしまうというおそれを感じるのです。
というのは、移転先をあと九八年までに大体のところの目鼻をつけて、二〇一〇年に国会が第一回目を始めましょう、こういうことです。その後に中央省庁ということもあるわけですね。そのころには機能し得る機能というものが極めて変わってくるのではないか、私はこういう感じをいたす次第でございます。これはいろいろ不確定な要素もございますけれども、方向としてはどうも私はそのような方向に行くだろう、こういうふうに思うわけです。
平成二年十一月七日の衆参両院においての国会等の移転に関する決議におきましても、政治、経済、文化等の中枢機能が首都東京へ集中した結果、人口の過密、地価の異常な高騰、良好な生活環境の欠如、災害時における都市機能の麻痺、こういうことがあるんだ、そして経済停滞や過疎地域を拡大させる、こういう問題を発生させてきたから、これらのゆがみを是正するために一極集中を是正するんだというようなことを言ったわけです。そして、お骨折りをいただきましたとおり、まさに今回の首都機能移転というものの趣旨は一極集中を是正するということで、何人もこれに異論を挟む人はいないと思うのです。
ところが、これは国会自身の問題であります。国会を移転しようというのは我々の意思で、政府にお投げかけをいたしましてまとめていただいているわけですから、まさにこれからの問題ではあるのですが、一極集中是正ということになったときに、私は三点あるのだと思うのです。
一つは、物理的なのですね。そのまま引っ越すということです。
それから二点目は、精神的なものがある。いわゆる役所が偉いとか、何か東京が中心だみたいなことで、親方日の丸みたいな話があるし、上意下達的な意思が非常に働いている。そこにオウム真
理教みたいな、何か流浪する民みたいな、ぽっかり心の穴があいちゃったようなものがあると私は思うのです。それは、郷土に誇りを持てなくなってきている。その要因が一極集中であったのだと思うのですね。東京の方がすごいとか、東京に行った方が満たされるみたいなものがあったと思うのです。そうじゃない、自分が生まれて、母や父がここで働いていた、ここに自分は誇りを持ちたいのだ、こういうような郷土愛を忘れてしまった、こういったこともあったと思いますから、精神的に解決する手段でなければならない。
そして三番目は、まさに機能と言っているわけですから、機能がどういうものであるか。これは中央集権体質の改善なんです。
物理的、精神的、機能的に判断をして一極集中を是正していくということを考えますと、私は、この国会等移転調査会の報告を読ませていただいても、一つは、行革、規制緩和と同時並行で進まなければ単なる引っ越しに終わるのではないか。加藤さんが表現した言い方で言うと「土地だけを探し求める」、こういう発想になるのではないか。
それから次は、分権化だと思うのですね。行革、規制緩和をしながらスリムな政府を移転させる。そのスリムというものは、同時に分権でなければできないわけですから、地方分権推進法、こういうこともあるわけですから、この横並びというものをどうされるのか、こういうこともあると思うのです。分権化しない首都機能移転というのは、きっかけづくりとしてもこれはちょっと私は物足りないな、こう思っているわけです。
それから三番目には、ここでお尋ねしてまいりたいことになってくるわけですけれども、機能自体が、情報手段の飛躍的な発展、交通手段の充実化ということに相まてば、国会と、省庁は大臣官房それからトップクラス、こういう方々が国会周辺に、いわゆるクラスター配置状に集中すればいいわけでありまして、大臣官房とかそれ以外で国会の周辺になければならないというもの以外は、東京よりも全国に分散配置をするべきではないか。今テレビ会議で十分にできるわけです、今でさえですよ。
そういうような状況の中で、一極集中を排除するというそのことが、大臣がおっしゃいましたように、なぜ意義が、PRが必要かというと、そこにあるわけですから。そうなれば、何が何でもすべてのものが――それは行革、規制緩和、分権を推進する中で残ったものについてですけれども、何が何でもそこに行かなくてはならないというものはなくなってくるのではないか。それは情報手段の飛躍的な発展によって可能になるのではないか、こういうふうに私自身は考えているわけです。それを日本全体に分散することによって、まさに国土庁がおっしゃる日本全体の均衡ある発展になってくる。全国の方々が、新しい首都に目を向けるのではなくて、自分の近場に、自分のところに自信が持てるきっかけになってくるのだ、こういうふうに私自身考えているわけでございます。
そこで、これを五十嵐局長さんの方にお尋ねをしたいと思うのですが、こうした情報通信手段の飛躍的発展、ますますこれから発展される。そして二〇一〇年に国会の第一回開催ということが第一段目としてある、その後省庁も移転してくる。こういうことになってまいりますと、情報通信手段によって、一省庁のすべてが移転しなくてもいいと私は考えているのですが、この辺についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
〔主査退席、江藤主査代理着席〕