荒井広幸の発言 (予算委員会第八分科会)

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○荒井(広)分科員 局長さんがおっしゃる話、それから移転調査会の報告、私はこれを高く尊重いたして評価をいたしておるのですが、あえて今の段階でこの議論をしていかなくちゃいけないということで、これは国会自身の問題であるわけですから、長官、政治家として、我々この場で国民の皆様方に議論の一つとしてこの首都機能移転の必要性を訴えるためにも、PRの材料としても申し上げているわけでございまして、その点は十分御理解をいただきたいと思いますが、この調査報告の中の「移転の対象は何か」というところで、ただいま局長からお話がありましたように、「首都機能」ということで、①でこう書いてあるわけです。
 いわゆる「分都論」は、国の機関を全国各地
 に分散配置させることが諸機能の地方分散を通
 じて全国各地域の振興につながるとするもので
 あるが、国家機能の円滑な発揮を確保するため
 には、国の中枢機能が一体としてその効用を発
 揮していく必要のあること、内政と国際関係と
 がますます緊密化し外交等の国際活動の重要性
 が増していくため、対外的にも国家の三権を代
 表する機能が一箇所にまとまっていることがよ
 り重要であること、欧米諸外国の例をみてもほ
 とんどの国において三権が一つの首都に立地し
 ていることなどから、三権の中枢を分離するこ
 とは適当ではない。私はこれを非常に了解するわけなんですね。
 私が申し上げるのは、三権は移転するのです。先ほど局長さんがおっしゃったように、本省と出先が別なんだという発想ではなくて、本省自体が私は分けられるのじゃないか。アルビン・トフラーは「第三の波」の中で、新しい本で、第三の波の政治ということを言っています。情報通信の飛躍的発展によって第三番目の革命が起きているのだ、こういうことなんです。ここを私は申し上げたいのですね。そうすると、移転調査会のメンバーの方々に、そうした情報通信の特に御専門の方というのは数少ないか、ほとんどいないと言ってもいいと私は思うのです。
 例えばこういう状況をどう考えるかなんですね。
 特許庁、特許の出願というのがあります、いろいろな特許をとるときに。今どういうことをやっているか。実用新案もそうです。出願方法です。オンラインで出願をする。フレキシブルディスク、FDというのだそうですが、こういう簡単な平らなディスク盤で、郵送であるいは持ち込んで
出願をする。それから昔のように紙出願、書いて持っていく。オンラインで、持っていかない。線で結んで、コンピューター同士で結んで出願をする。これは専用の端末が必要なんですが、六五%は既に特許庁はオンライン出願なんです。簡単に言えば、特許庁は全国どこにあったって、電話回線と端末専用のを持っていれば特許は自由にとれるのです、大臣。三〇%はフロッピーディスク、これは郵送も受け取り可能なんだそうです。残りの五%が紙出願なんです。これは郵送ももちろんあるわけですけれども、持っていける、こういうことだと思います。
 こうなってまいりますと、実は本省の機能が全国に点在していてもそう不都合ではない状況になってくる。ところが、一方では議院内閣制度でありますから、その問題点がネックとして出てくる。例えば、省庁間の話し合いで、法令協議などテレビ会議でやっていいものかどうか、かなり問題がある。ところが、レベルがあると思うのですね。係長から課長補佐から課長、局長の段階まで、いろいろな段階での議論のときには、むしろこれは、省内をLANで結んでいるわけですから、それが点在しても何ら私は不都合にならない。ならないものもあると言ってもいいのでしょうか、ならないケースがあって、存在してくるのじゃないか、こういうことを私は考えているのです。
 ですから、こうなりますと、特許庁の長官官房は国会周辺に移転をしますが、特許庁の残った部分でこのようなオンラインで結んで処理できるところは、分散してもいいのじゃないか。それを地方に分散することによって、一極集中と先ほど申し上げました精神的分散が成り立っていくのではないか、こういうふうに私はとらえているわけなんです。
 その角度の議論がないと、二〇一〇年に国会みずからが移転して中央省庁も移転していただくときには、ぽっかりとそこのところが抜けていたものですから、行革、規制緩和、地方分権の推進、こういったものの実効が少し上がらなくなってくるのではないか。これは十分に検証してみなければならないと思いますが、私、一くくりで申し上げておりますので、大変その点は申しわけないと思っているのです。
 それから、通信が途絶された場合ということがあるのですが、そもそも国会の周辺にいるから通信が途絶しないというのは、私は、ちょっとこれはいろいろ議論の余地があるところだと思うのです。全国どこにいても、緊急時にも通信がとれるようなバックアップ体制というものをつくっておかなくちゃいけないわけで、すべてが新しい首都圏に神経が集中していたら、これは逆に言えばどこかで切れます。いろいろなところでとれるようにしておくという、危険、リスク、これを分散していくという発想が重要なわけですから、それでこの一連の流れでもバックアップ体制というものを言っているわけですから、これは私は、まさに多極分散型で危険、リスク、情報途絶というものを分散していくという視点は必要だと思うのです。
 ですから、そういうような意味におきまして、私は、今度は国会の問題になってくるわけでございますが、懇談会、いろいろ国会にあるわけでございますが、国会等移転審議会を設置していくというようなことも議員連盟で考えてもいるわけでございます。しかし、そういったときに行革、地方分権を視野に入れ、それらを取り巻く環境が情報通信の高度化というもので飛躍的に、あるいは我々が予想だにしない環境を提供するんだ、ここだけは頭に入れておく必要があるんだと思います。
 結びの話になってまいりますけれども、私が言っていることは分都ではないのです。展都でもないのです。まさに首都機能の移転なんです。そして、その移転する機能が十年、十五年たてばきのうの話になってしまう。それを情報通信の高度化の技術利用、基盤利用していけば、全国に、それ以外のもので、以外といいますか、一つの省の中で分散させてもいいものは分散させて地域振興に役立てていくんだということの方が私は国民的合意を得られるもの、こういうふうに考えておるわけでございます。
 そこで、時間がなくなってまいりまして、私の何か意見発表みたいなので申しわけございませんが、国会が国会移転等をしようということでございますので、なかなか言い場がないものでございまして、まことに申しわけございません。
 これを角度を変えて申し上げさせていただきたいと思いますが、ワシントン、キャンベラ、ベルリン、いろいろと首都移転の例がございます。これらの背景を聞かせていただいたりいたしますと、ほとんどの場合が国家統合なんです。一番わかりやすい例は今度のベルリンです。東西ドイツが一つの国になったので移転しよう、こういうことでございます。アメリカも、まさにフィラデルフィアから一八〇〇年に移転をしています。それから、メルボルンからキャンベラに、オーストラリアの場合も一九二七年に移転しているわけです。そういう国家統合などの背景というのが非常に大きくあるのです。
 ところが、今回我が国で言っているのはそうではないわけです。ですから、まさにそういう意味で、町づくりをするというような発想でこの議論をしていったのでは、そもそも国民の意思からは離れていくおそれがある。特に、自分のところに来るか来ないかということだけが非常に関心の的になる、誘致合戦になる、こういうことなんです。ところが、私が申し上げたような情報通信手段の高度化ということを考えると、これは九州にも配置できるものも出てくる。北海道にもある。まさにこういういろいろな分散が可能になってくるというわけですから、この辺、私は現在の議論としてぜひとも膨らませて議論をしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
 同時に、交通網の進展というものも必要なのですね。やはり国会があるときには来てもらわなくてはならない、こういう場合もあります。しかし、来てもらわなくてはならない課長さん方は、大臣官房でその役割ができないのでは困るわけですね。ですから、当然にその間は、郵政省は二〇一〇年には光ファイバーを全戸に引くと言っているわけですから、光網を利用して、無線系の衛星を通じて十分に省内の意思疎通、これは対応できるわけですから、そういうところをやっていくと、そう支障のない役所の中のセクションというものが出てくる、こういうふうに私は考えている次第でございます。
 時間になりましたけれども、そのようなことが十分これから国会で議論をされるべきものであろうということを申し上げまして、大変私自身の意見開陳的な話になってしまいましたけれども、私の質疑にさせていただきたいと考えております。長官がおっしゃいましたような、先はどのような、国民のコンセンサスを得なければこの首都機能移転ということは成り立たないものでございますので、国会としても、もう一度何らかの形で意思決定を、国民の皆様方に意思をお伝えする。例えば国会決議のようなこともする必要があるのかなということも考えておりますが、国会でますますこれからそのような議論をしていかなければならないだろうということでございます。
 以上、私の主張として、情報通信手段の高度化によって、飛躍的な進歩によって、一省庁のすべてが、大臣官房等は国会と一緒に移転しても、そのほかの部分で情報通信網によって、あるいは交通手段によって十分離れていてもできるというものがあれば、それは全国展開をして、地域振興、それが地方分権の精神にもつながるわけです。行革にもつながるわけです。そういうようなことによって、この首都機能移転というものが持つ意味がさらに膨らんでくる、国民的な理解もまたそこに飛躍的に高まってくるというようなことを申し上げまして、質問とさせていただきました。ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 113605273X00119960229_009

発言者: 荒井広幸

speaker_id: 667

日付: 1996-02-29

院: 衆議院

会議名: 予算委員会第八分科会