朱建栄の発言 (外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会)
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○参考人(朱建栄君) 今いきなりいろんな秘策はないと思いますが、例えば二つの分野で、一つは人権問題、もう一つは中国の軍事力と外部とのいわゆる透明性の問題の二つの分野で橋渡し役ができるのではないかと思います。
私が申し上げたのは、調停ではなく、米中双方とも構造的に対立する要因もあれば互いに協調し合うという要因もありますので、決定的な決裂は米中双方ともそれは慎重に避けようとしているし、恐らく今後も基本的にはないと思います。しかし、完全に仲よくして日本を越えていく恐らく唯一のシナリオは中国の完全民主化だと。すなわち、天安門事件への反動でアメリカがいきなりさっと中国へ飛びつくというようなことでしょうけれども、近いうちはその可能性はないと思います。
この二つの分野で橋渡し役と申し上げたのは、例えば人権の問題です。それは一方、今の世界で個人の人権というものの意識が向上している。その点について中国ももっといろんなことを外部の意見を傾聴して改善していくべきではないか。個々の具体的な事例も踏まえてそれをやっていくということですね。一方、アメリカに対してはアジア的なやり方で、一つはアジア的な部分ともう一つは中国の発展途上国としての部分、いわゆる開発独裁という段階における部分、この両方のことはアメリカに説明する必要があるのではないかと思います。
今のアメリカの対中人権批判の中には、例えば中国の一人っ子政策でさえ批判されています。このことを果たして批判していいのかどうか。日本も多分自分なりの判断はあると思いますけれども、それは率直にアメリカに伝える。一方、個人の人権の問題それは中国の方で社会全体の発展権、集団的な人権というような考え方で、今、タイとかマレーシアもみんな同じ言い方をとっていますけれども、それと個人の人権、この両方あわせて発展させていくことの重要性を説明する必要があるのではないかと思います。
軍事的な面ですけれども、中国の脅威に対しては、田中先生が今おっしゃったんですけれども、恐らくアメリカも日本も内心では中国は現在日本にとってもアメリカにとっても脅威ではないという点です。しかし、やはり脅威と思われている部分の大きな理由の一つは中国の不透明性です。ですから、その不透明性に関しては外部の懸念を中国に伝えることです。今の段階でアメリカはその点どうしても中国から見れば上からぱんぱんと押しつけるような言い方で、反発が先に成り立つんですね。
この数年の間に米中関係で相当多くの誤解が生じたと思うんですけれども、例えば九三年に銀河号事件がありました。中国の船にイラン向けの禁輸の化学物資を載せたとしてアメリカは臨検を要求した。中国はそれはないと。でも、アメリカは無理やりにそれを要求して、最後に中国は一応一歩下がって、サウジアラビア、アメリカ、中国の共同検査ということをして、結局何もなかったということです。その直後にまた、アメリカ議会ではオリンピックの北京開催に反対する決議があったわけですね。そういうふうなことで、中国人の反米感情を引き起こしたという重要な副作用があったと思うんです。
そういう中で、アメリカが中国に何を言おうと、さっきヴォーゲル先生がおっしゃったように中国では消極的な面でしか受けとめないわけです。その中では、日本は中国に十分言う余地はありますし、ことし一月からの日中間の安保協議などの場は今後大切にしていくことも必要ではないかと思います。ただし、アメリカに対してもこの中国をアジアの国として、そしてこの問題の複雑さというところを伝えることは私は必要ではないかと思います。