朱建栄の発言 (外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会)
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○参考人(朱建栄君) 私の最初の話の中では中国人的な表現法ということにちょっと触れましたけれども、最近までの中国の李登輝批判についても注意深く分けて見ていただければ、実は李登輝氏をここまで罵倒し批判したのは中国マスコミであって、党の政治局委員以上の指導者は一人として李登輝を名指しで批判したことはないんです。それで、今回の選挙以後、当選された指導者とは当然交渉していくという姿勢に既になっています。ただし、中国が言っているのは、口先ではなく行動で示せということです。この選挙の後、李登輝を相手に鋭意交渉していくというのが趨勢ではないかと思います。
また、この李登輝批判ですけれども、日本などで見れば、ここまで批判されたらもう互いに握手をするということすらも不可能だということに思川われがちですけれども、まず李登輝本人は割り切っています。アメリカのコーネル大学を訪問した後で中国は四回連続で李登輝のコーネル大学での演説について批判したんですけれども、そうしたらそのコメントを求められた李登輝氏は、かつて中国はソ連を批判したときには九つの大論文がありました、九評。今、私に対しては四つしかないということを言っていたんです。そして、今回の選挙の直前に中国との関係の改善についてはっきりと意思を表明したんです。ですから、基本的には今後は李登輝を相手に双方交渉のことを模索していくものだと思います。
ただし、一国二体制と一国二政府の問題ですけれども、アメリカの対中政策も今もなるべくあいまいさを保つと。中国のこれらの問題でも恐らくあいまいにやっていかざるを得ない部分があると思うんです。中国が主張しているのは一国二体制、すなわち二つの制度の共立共存、北京は中央政府、台湾は地方政府ということですが、李登輝が主張しているのは一国二政府、対等の二つの政府、一つの中国の枠の中での。これについて、確かに越えられないような溝もあるように思いますが、しかし中国的なあいまいさの中では完全に乗り越えられないとも思いません。最初に申し上げましたように、楊尚昆氏がかつてこう言いました。双方がテーブルにさえ着けばどんなことでも話し合っていいということを九二年に当時の国家主席が言ったわけです。
考えてみれば、一国二体制という考え方自体、ほかの国においては生まれてこない発想なんです。一つの近代国家の枠組みの中では一つの国は当然一つの体制ですけれども、中国はもう一つ体制を持ってもいいと。一応一つの中国の中だったら香港は五十年間資本主義をやってもいい、そして台湾はさらに自由にやっていいということですけれども、この溝を埋めていくためには相互理解をふやして、そしていろんな交流で相互依存を含めて相互信頼関係をつくっていくことが必要だと思います。それについては今のところまだまだ多くの難問が残っていますのですぐには解決にはならないと、私はちょっと慎重的な見方をとっています。