朱建栄の発言 (外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会)
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○参考人(朱建栄君) 第三の事件の話ですけれども、まず第一と第二の事件に触れなければならないと思います。
第一の事件が文化大革命ですね。当時のも沢東もカリスマ的な存在で文化大革命を発動した。結局この十年間やって大半の中国人は、一体それは何だったのかと。その反省で改革・開放政策が始まったわけですね。当時の中国の党の総書記趙紫陽氏がこう言ったわけです。文化大革命がなければ中国にこれほど早く開放政策が来ることもなかったということです。
社会主義、共産主義国家はいっぱいありました。中国よりも先にロシア、ハンガリーなどの国でみんな経済改革をやったんです。しかし、既得権益の階級を打ち破ることはできなかったんです。でも文化大革命で、やはり中国はこのままではだめということで開放政策につながったということで、私はまず中国人は大きな教訓を得たと思います。
その教訓が第二の事件には微妙に影響したと思います。すなわち、安定が第一ということで極端に反応して、とにかく抑えようということを指導部の文化大革命を経験した人で、やはり条件反射的にとにかく抑えようというようなことと、当時の状況の中でやはりいろんな複雑な要因で保守派の反応などで結局ずるずるそうなったという一面ですけれども。
この第二の事件については、私は二つの見方が必要だと思います。
第一は、この事件自体の真相は何だったのか。アメリカでも、今ヴォーゲル先生がおっしゃったように、何か事件があるごとに繰り返し報道されますけれども、日本のNHKでは九三年六月四日の夜九時半にやはり三十分の番組をやったわけですね、天安門事件は何だったのかと。
結局、当時の天安門広場に唯一残ったのはスペインの国家テレビの人たちですね。ほかの人はみんな追い出されたんですけれども、彼らが残って、彼らがすべてカメラで撮ったんです。そして、学生のリーダーの一人が後に台湾にまた戻ったんです、かつて台湾から来たんですが。この二つの情報源でさらに照らし合わせてみると、天安門広場では虐殺はなかったということはもうはっきり私は自信を持って言えます。ただし、やはり軍が入ってくるときにいろんな要因によって発砲した、それは間違いないし、大衆の反発、特に腐敗反対などの運動を弾圧したという結論には変わりはありませんけれども、でもそれはイコール当時の中国は明らかにすべての民主化を弾圧したということなのかどうか。当時の状況の中で複雑な要因があったという一面も今だからこそもうちょっと振り返って見る必要があるのではないかという点です。
第二点は、これは中国にとって第一回目の事件と同じように教訓になったと思います。当局にとっては、それはやはりここまで、まず一つ目先の対応として、この事件がずるずると行って最後に収拾不可能なような状態になって軍隊が使われた。それに対しては、今の中国では軍はもう武装警察と切り離して、軍を絶対こういう内政のところには直接動員しない、武装警察を使うというようなことでやったり、あるいは過敏にも、ちょっとでも動きが出れば、すぐその人を捕まえたり事件が大きくならないようにするというテクニックな一面の教訓もありますけれども、恐らくもう一つ重要な教訓はあったと思います。
このようなことで、もう一回もし弾圧というようなことを軍隊を導入してするとなれば、共産党の信用、あるいは国における最後の威信というのは完全になくなる。ですから、なるべくそれを避ける形で対応していくと思います。
ただし、言われるとおりに、不安定な状況は今後やはりあると思います。経済のいろいろな問題、特に今当面の不安定の要因の一つとしては国有企業の改革ですね。中国は二〇〇〇年までに社会主義の市場経済という枠組みを基本的につくり上げるという目標を掲げています。その目標の実現のためには、まず国有企業の活性化が必要です。
しかし、中国は今ジレンマに置かれています。国有企業の改革を進めようとすれば大量の失業者が出る、それによって社会的不安定になる、しかし進めなければ次の改革はあり得ないというところで、あるいは今の腐敗なども相当そういう現象が深刻化しているので、そのような動きが出てくることはあり得ると思います。
しかしまた、中国社会自体が六年、七年前と比べて大きく変わったということも理解する必要があると思います。例えば、当時の中国では貧富の格差、指導部に対しての不満、保守派と改革派というような対立が非常に激しかったんですけれども、九四年末の中国の世論調査で、北京、上海、広東などでは中流意識を持った人は、全体のアンケート調査を受けた二千人くらいの中で九割に達したんです。
もちろん内陸部との摩擦とかいろんな問題はありますけれども、中国の中の先進地域、その中の学生がリードして、そして都市の住民が一緒に呼応してすぐ参加して体制を倒すというような大きな流れになるまで、私は今のところそのような動きは出てくる可能性は少ないと思います。でも、小さい動きは今既に各地にストライキとかそれはありますけれども、合流して大きなことにはならないんではないかと思います。