若林正丈の発言 (外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会)

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○参考人(若林正丈君) 林先生の御質問の第二点からお答えしたいと思います。
 七五%という数字が台湾の今後の外交にどのようにはね返ってくるかという御質問だと思いますけれども、私としては、これはいわゆるポピュリスト的外交といいますか、派手な元首外交をしなくてもその威信を保てるだけの数字を得たということで、派手にやらなくても李登輝総統の威信は保てるという意味で、当面は柔軟に出るだけの余裕を台湾の当局に与えたという解釈は可能かと存じます。
 ただし、問題は内部の政治の組みかえが順調にできるかということでございまして、李登輝総統は選挙中から既にいわゆる台湾の政治生態の再調整と言っております。この場合の生態というのはエコロジー、生態系という意味の生態でございますが、政界再編成とでも訳すのでしょうか、そういうものが行われるということを言っております。
 その背景は、昨年末に行われました国会の選挙で与党の国民党が過半数ぎりぎりしかとれていないということでございます。そして、日本の先生方のようには国民党の国会議員はまじめに出席しませんので、対決法案でも平気で欠席する人がいたりします。ですから、国会運営は過半数をとっていれば問題ないはずなんですが、非常に厳しいわけでございます。ですから、民進党の一部なり全部なりの協力を得るとか、そういうことをする必要があります。するためには内閣のポストその他をあけなければなりません。あけるためには自分を支持していた者を切らなければなりません。
 ですから、そういう一連の権力分配の調整がきちっとできる。できますと、いわゆる順調な選挙の結果を反映した、台湾主流の意見を反映した政治構成、これは統一、独立の問題だけについてですけれども、政治的な勢力の組み合わせができる。そうすると、無理にキジが鳴かなくてもいいという事態ができまして、余裕を持って中国とつき合えるといいますか、情勢はますます厳しくなると思うんですが、台湾内的には余裕を持った政治的な対応がとれるというふうに関係していくのではないかと思います。ですから、李登輝総統の政治手腕は、当選するためよりも後の方が厳しい政治手腕が今まさに問われているということであろうかと思います。
 中華民国の第二共和制とかいわば国体が変わるような変化が起こったことで中国全体の統合、特に少数民族その他香港への影響ということでございますが、これも影響はあるであろうし、中華人民共和国の国家体制及び中国共産党の統治権力、統治体制に対して影響が出ないように非常に気を使うであろうということは間違いないであろうと思われます。
 先ほどの高野先生の質問にも関係しますが、台湾の方から見ておりますと、中国が台湾との統一の問題についても、それから少数民族の問題についても柔軟な体制がとれるかどうかというのは、やはりひとえに政治体制の性格にかかっているというふうに思われます。よその国の政治体制に影響を与えるということは非常に難しいことでございますので、外国の人間としてはこれはもう祈るしかない、私個人としてはそういう心境でございます。

発言情報

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発言者: 若林正丈

speaker_id: 30880

日付: 1996-04-03

院: 参議院

会議名: 外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会