矢田部理の発言 (外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会)

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○矢田部理君 朝鮮問題をどう見るか、どう対応するかというのは非常に大事な課題だと思いますが、どうも私、日本政府の対応を見ていますと、先ほどの議論の続きでもあるんですが、対ソ脅威がなくなったということで、安保再定義でアジア太平洋地域の地域紛争対象型の軍事同盟にしていくと。日本周辺ということも言うわけでありますが、そのポイントにやっぱり朝鮮有事を置いているというふうに考えざるを得ないんです。特定国を、特定地域を対象としたものでないと言いながら、実際のシナリオはそれで動いている。
 この朝鮮有事を想定して米軍の出動に日本がどう後方支援するかと。つまり、緊張を和らげる方向ではなくて何となく軍事力で対応する、そういう体制をつくるようなにおい、意図をいろんな場所でかぐわけでありますが、そういうことを防衛庁だけでなくて外務省も一生懸命やっているということを私は大変残念に思うわけであります。
 日本が今、対朝鮮外交でやるべきことは、確かに食糧とか経済的な問題、いろいろ抱えていることはそのとおりだと思いますが、人道的な立場で支援すべきは支援したらいい。アメリカの顔色をうかがったり、韓国と相談しなきややれないというようなものではないはずだし、客観性を担保するなら、国際機関などにもっと相談をして、それらのイニシアチブのもとに進めればいいというふうに私は思っております。
 同時に、大事なのは、朝鮮は不透明だ、不確実だ、不安定だという言葉がやたらに走るわけでありますけれども、率直に言うと、まだ南北朝鮮あるいはアメリカとの関係も含めて戦争状態なんですね。板門店でどんぱちはやっていない、停戦ではあるけれども法的には戦争状態であるし、そういう意味でやつばり軍事的対立が続いているわけです。この対立の水準をできるだけ低めていくための努力などをどうしたらいいのかというようなことも含めて、朝鮮の周辺に平和が戻るような施策の展開を環境整備を含めてやるべきだというふうに考えるわけでありますが、その間に今議論がありました日朝国交正常化問題があるだろうと思います。
 植民地支配以来、南とは日韓条約の締結がありましたが、これとても非常に無理押しをして当時の政権が結んだためにいまだにいろんな対日批判が起こるというのは、あの条約の立て方自体にも実はいろんな問題をはらんでいたわけです。日韓併合条約はもはや無効などというあいまいな妥結をしてしまった、従軍慰安婦問題についての解決が基本的にできなかったなどなど、政治的にまとめてしまったためにいろんな問題が根っこにあるわけです。
 同時に、北との関係では、いまだに国交が正常化していない。それをどうやって進めるかということが外務省の主要な任務なのでありまして、いろんな努力をしていることは私も全く知らないわけでもないし、私たちも幾らか役割を果たしたことはないわけではないのでありますが、李恩恵の問題だとか、それから核疑惑だとかという前提条件を必ず日本政府がつける。前提なしに話し合いたいというのが一つ。
 それから、日韓で結んだ条約を前提にして事を運ぼうとするということで、それに対する不満がある。これは韓国側にも実はあるわけでありますが、どうしてもあるということなどを含めて、もう少し外務省は政治的にこの問題をどう解決をするのかと。あるときは政治が動き過ぎていかがかと思うようなこともないわけではありませんでしたが、その努力をすべきだと思うのですが、どうもやっぱりアメリカの動きが気になる、それから韓国の顔色をうかがっているということのために、朝鮮問題を本格的に解決するという腰が据わっていないというふうに私は思っているのであります。朝鮮の有事とか何かということではなしに、そちらに外交の力点を置いたらいかがかというふうに思うのですが、どうでしょうか。

発言情報

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発言者: 矢田部理

speaker_id: 34452

日付: 1996-06-13

院: 参議院

会議名: 外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会