矢崎新二の発言 (決算委員会)
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○会計検査院長(矢崎新二君) お答え申し上げます。
御指摘の問題につきまして、つまりどの程度短縮が可能かという問題について御判断いただきますためには、検査業務の実態を御理解いただく必要がありますので、少し具体的に御説明申し上げたいと思います。
会計検査院では、膨大な検査対象団体につきまして一年間の検査サイクルで会計検査を実施しておりまして、現行のサイクルは大きく分けて三つの段階から成っております。すなわち第一は一月から七月までの地方実地検査、第二は九月の本省等検査、第三は十月から十二月までの検査報告の取りまとめ業務ということになっております。
そこで、仮に決算及び検査報告の内閣への送付をニカ月程度早めるためには、この会計検査のサイクルを変更いたしまして、地方実地検査を十一月から五月までの間に実施をし、次に本省等検査を六月に実施をし、さらに検査報告の取りまとめ業務を七月から十月の間に実施するというように、それぞれの業務の実施時期について大幅な変更を行わなければならないということになるわけでございます。
それで、このような検査サイクルの変更を行うことになりますと、検査業務及び検査報告の取りまとめ業務におきまして幾つかの重大な問題が生ずるように思います。
第一に、検査が早まりまして六月には終了するということによりまして、検査の時点で、決算の確認を行うべき年度の会計経理が完結をしていないものが多くなるということであります。このために、検査を行う主な対象が、その決算確認年度の会計経理ではなくて、既に完結をいたしました過年度の会計経理とならざるを得ないことになるわけでございます。
このことによりまして、一つには決算確認年度の決算についての検査密度が低下するという問題が生じます。言いかえますと、その低下した検査密度でもって決算の確認を行うということになるわけですね。さらには、検査報告が直近の年度の予算執行の状況を必ずしも十分反映したものにならないという問題も生じるわけでございます。
それから第二の問題といたしまして、十一月から五月の間に実地検査をしようといたしましても、次のようなことから実効ある効率的な検査が期待できないと思われます。
一つは、十一月から十二月にかけての年末は地方公共団体におきます予算編成作業の繁忙期に当たります。それからまた、三月後半は国、地方などにおける年度末の繁忙期に当たりますことから、いずれも実地検査を十分に行えないということでございまして、これに対して現行の検査サイクルでは、十一月から十二月は検査報告の取りまとめ業務の期間となっておりますし、また三月後半は検査計画の検査官会議審議の期間となっておりまして、いずれも内部での業務処理に当てられているわけであります。
それからまた、地方実地検査期間の大部分が冬季に当たると、冬の間になりますので積雪寒冷地におきます公共事業関係の検査に支障を生じたり検査の実績が低下したりするという問題があると思います。
それからさらに、地方実地検査終了直後に直ちに本省等実地検査を引き続いて行うことになりますために、本省等検査やそれに引き続く検査報告の取りまとめに当たって必要不可欠な地方検査結果の整理、検討等を行う期間が十分確保できないということになります。これに対しまして現行のサイクルでは、ちょうど八月がこのための期間に活用されているわけでございます。
以上申し上げましたように、会計検査のサイクルを前倒しした場合には、決算の確認や検査の実施におきまして会計検査の基本にかかわる重大な問題が生じまして、国会や国民の期待にこたえる検査成果が得られなくなるおそれがあることを御理解いただきたいと思います。
しかしながら、会計検査院としても、委員御指摘の決算の早期提出の重要性につきましては十分認識いたしておりますので、現行の検査サイクルを基本としつつも、十月以降の検査報告の取りまとめ業務をより効率的に行うなど一層の工夫を凝らすことによりまして、検査報告の内閣送付をできるだけ早めるように最大限の努力をすることにいたしたいというふうに考えております。