中川秀直の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(中川秀直君) 昨年末に発生した高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故につきまして御報告を申し上げます。
「もんじゅ」は、実験炉「常陽」等での研究開発成果を踏まえ、高速増殖炉としての安全性や信頼性の確立を目指して開発を進めているものであり、一昨年四月、核分裂が定常的に持続する臨界状態に達した後、性能試験を実施してまいりました。
試験のために出力上昇中の昨年十二月八日午後七時四十七分、ナトリウムが漏えいするという事故が発生しました。今回の事故は、二次系のナトリウムの漏えいであり、周辺公衆及び従事者への放射性物質による影響はありませんでした。また、原子炉は安全に停止し、炉心への影響もありませんでした。
しかしながら、高い信頼性を確保することとしていたにもかかわらず、現実にナトリウム漏えいが発生し、また、原子炉を停止するまでに時間がかかったこと等により、ナトリウムの漏えいが長時間続き、ナトリウム火災の影響を拡大させ、さらに、事故発生後の動力炉・核燃料開発事業団の情報公開等に係る不適切な対応によって、地元の方々や国民の皆様に不安感、不信感を与えるという大変遺憾な結果を引き起こしました。原子力行政を預かる者として、国民の皆様に心からおわびを申し上げます。
私自身、就任直後の本年一月十七日に現地を訪問し、地元自治体を初めとする皆様のお話を直接伺い、一刻も早くこれらの不安、不信を解消していくことの必要性を強く認識いたしました。
そのためには、まず何よりも徹底した原因究明を進め、万全の安全対策を講ずることが重要であります。
このため、安全規制部局である原子力安全局に、外部の専門家及び当庁職員から成る事故調査・検討タスクフォースを設置し、原子炉等規制法に基づく立入検査等により、原因の究明、事実関係の解明、調査を鋭意進めております。
他方、総理府に設置された内閣総理大臣の諮問機関である原子力安全委員会におかれては、第三者機関として、独自の立場から原因の究明及び再発防止のための調査審議を行うこととされ、専門のワーキンググループを設置し、直接現地調査を実施する等により検討が進められております。
さらに、これに加え、研究開発段階の原子力施設に係る事故時の情報公開等情報流通のあり方及び安全確保のあり方について検討が進められております。
科学技術庁においては、去る二月九日、それまでの調査検討の結果を取りまとめ、その時点までの調査で明らかになった事実関係、それらに対する見解及び引き続き調査検討が必要な事項を整理して公表いたしました。その主要点は以下のとおりであります。
第一点目は、高い信頼性を確保することとしていたにもかかわらず、現実にナトリウム漏えいが発生するに至った原因についてであります。
これについては、炉心で発生した熱を一次系から二次系のナトリウムに伝える二次主冷却系中間熱交換器の出口付近に設置されたナトリウム温度計のさやの細管部分が破損し、その部分を通じてナトリウムが漏えいした可能性が高いと考えられる旨指摘しております。これについては、その後の当該温度計部の切り出しによって判明しております。
第二点目は、ナトリウム漏えいを初期の段階で掌握し、火災拡大に至らないように適切に対処できなかったという漏えい後の拡大防止についてであります。
調査の結果、原子炉の早期停止等の適切な運転操作が行われなかったのは、異常時運転手順書の記載に問題があるほか、運転員の判断にも適切性が欠けていたことに起因していると考えられる旨指摘しております。また、ナトリウム火災検知システム等の設備面にも問題があったことを指摘しており、これについては引き続き調査検討を進めております。
第三点目は、動力炉・核燃料開発事業団の事故に伴う対外対応についてであります。
調査の結果、事故発生の第一報につきましては、通報連絡の時間を短縮するため、だれが状況を判断して連絡を行うかについて再検討の必要があること等を指摘しております。また、初期の現場入域調査の結果に関する情報提供については、安全規制当局に正確な情報の提供が行われず、速やかな公表もなされなかったこと、ビデオ等の情報の公開についてまことに遺憾な対応があったこと、対外対応を行う体制も不十分であったこと等を指摘しており、これらについては引き続き調査検討を進めております。
公表した二月九日、動力炉・核燃料開発事業団に対して、この取りまとめの内容に関する対応について報告をするよう指示をいたしましたところ、二月二十七日、これに対する回答書の提出がありました。
回答書では、さきの三点に関連した指摘事項を受け、運転手順書や設備等の改善、事故時の通報連絡体制の迅速化等について、可能なものから早急に改善措置を講じていく考えである旨報告をされております。また、技術的信頼と社会的信用を回復し確立するため、意識の改革、危機管理体制の強化、情報公開の徹底及び地域社会とのコミュニケーションの強化等を早急に図ることを目的とした「自己改革推進本部」を設置し、信頼回復に全力を尽くしていくこと等についても報告をされております。
科学技術庁においては、先ほど申し述べました取りまとめの後、引き続き、切り出した温度計部について、日本原子力研究所及び金属材料技術研究所で電子顕微鏡による破面観察を行う等の詳細な調査を実施してまいりました。その結果、細管部分が破損したのは高サイクル疲労によるものであると判断されております。今後、動力炉・核燃料開発事業団において進められているナトリウム漏えい実験、振動解析等の結果を踏まえ、漏えいナトリウムの挙動、破損原因等について総合的に評価を行うこととしております。
破損し見当たらなくなっておりました温度計の細管部分については、鋭意探索を進めておりましたが、三月二十八日、蒸気発生器のナトリウム入口部で発見されました。今後、配管を切断し、当該細管部分を回収した後、電子顕微鏡による破面観察等の調査を実施することとしております。
また、今回の事故の教訓を踏まえ、科学技術庁自身も反省、改善すべき点があり、情報を的確かつ迅速に入手する体制を構築するとともに、安全確保をより的確に行う必要があると判断し、現地に常駐する運転管理専門官制度を強化するほか、事故時における情報公開について、事業者のみならず科学技術庁においても調査確認した内容を一層積極的に公開し公表していく等、当面取り組んでいくべき運転管理面の対応について各般の検討を行っております。さらに、設計、検査及び品質管理等に係る安全規制面における改善策についても、原因究明の結果を踏まえて取り組んでいく所存であります。
今後、さらに調査等を進め、万全の安全対策を講ずるとともに、節目節目には積極的かつ速やかな情報の提供に努めてまいります。
今回の事故を契機として、原子力施設の立地地域を中心に、原子力政策に関する国民的合意の形成に向けたより一層の努力を求める強い声が寄せられていることを真摯に受けとめる必要があります。このような観点から、原子力委員会において「原子力政策円卓会議」を開催するほか、シンポジウムや地域フォーラム等を開催し、地元の方々を初めとするさまざまな御意見をお持ちの方々との対話を通じ、国民各界各層の幅広い御意見を伺い、これらを政策に的確に反映させるべく関係者一丸となって積極的に対応してまいります。
私自身、去る三月十八日に、再度、地元福井県を訪問し、国民的合意の形成に向けた具体的な取り組みについて御説明したところであります。さらに、今週四月十三日には、福井県敦賀市において開催される予定の「市民と語る会」に私みずから出席し、地元の方々との対話を深めることとしております。
これらを通じ、地元はもとより、国民の皆様の御理解と信頼が得られるよう最大限の努力を重ねてまいりたいと考えております。(拍手)
—————————————