中川秀直の発言 (本会議)

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○国務大臣(中川秀直君) 科学技術庁の安全に対する責任、日ごろの安全審査体制及び安全審査の見直しについてのお尋ねがございました。
 現在の法体系に基づきます原子炉施設の規制につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、災害を防止する、すなわち最終的に一般公衆の安全が確保されることを何よりも目的として行っております。
 そのために、第一に異常の発生防止、第二に異常の拡大防止、第三に周辺環境への放射性物質の異常な放出の防止、以上を図るといった多重防護の考え方に基づきまして、設計、建設、運転等の各段階において安全規制を実施しております。
 今回の事故は災害に至るものではありませんでしたが、我が国で初めてのナトリウム漏えい事故であり、事故後の動燃事業団の対応等が適切でなかったことから、地元を初め国民の皆様に不信感、不安感を与えたことを十分認識し、事故の反省の上に立ちまして、科学技術庁としてもこの教訓を真摯に受けとめて、改善すべきものは改めるということにいたしております。
 今後の原因究明の結果を踏まえまして、事業者である動燃事業団への厳正な監督はもちろん、設計、検査等に係る安全規制面における改善策についても真剣に取り組んでまいりたいと考えております。また、原子力安全委員会における研究開発段階の原子力施設の安全確保のあり方についての検討の結果を十分尊重して対応してまいります。
 動燃事業団の回答への対応についてのお尋ねでありますが、二月二十七日、動燃事業団から提出されました回答書においては、科学技術庁の指摘事項を受け、可能なものから早急に改善措置を講じていく考えである旨報告をされております。
 指摘事項に対する回答で示された基本的な考え方はおおむね妥当であると考えておりますが、具体的な中身については、現在、引き続き動燃事業団において検討されている状況にあり、具体化されたものから内容をきちんと聴取し、十分実効のある対策がとられますよう厳しく指導してまいることにいたしております。
 原子力安全委員会の役割についてのお尋ねでございますが、原子力安全委員会は、事故の発生の翌日、直ちに原子力安全委員を現地に派遣するとともに、行政庁とは一歩離れた立場から原因究明及び再発防止対策等の検討を行うこととし、専門のワーキンググループを設置して、原子力安全委員みずからも参加して四回の現地調査及び八回の会合を開催するなど、原因の背景にまで踏み込んだ独自の調査を実施いたしております。
 また、これに加えまして、研究開発段階の原子力施設に係る事故時の情報公開等情報流通のあり方及び安全確保のあり方について真剣な検討を行っております。
 原子力安全委員会におかれては、行政庁とは別の客観的な立場から、行政庁の調査検討結果をダブルチェックする役割を持っており、今後、今回の事故に関する原子力安全局の報告がまとまれば、これを含めて独自の立場から調査審議が行われ、原子力安全委員会としての結論がまとめられるというふうに考えております。
 スーパーフェニックスの事故の教訓及び「常陽」の成果が生かされていないとの御質問でありますが、原子力安全委員会においては、海外の原子力施設の事故についても、例えば米国スリーマイルアイランド原子力発電所事故やソ連チェルノブイル原子力発電所事故の際、特別の委員会を設置し徹底的に調査審議を行うなど、災害防止上の観点から必要な活動を行っているものと理解をいたしております。
 原子力安全委員会は、現在、「もんじゅ」の事故に関し独自の立場から原因究明及び再発防止等について調査審議を行っているところであり、御指摘のスーパーフェニックスの事故の教訓の反映等についても、調査審議の結論が得られた段階でおのずと安全委員会において明らかにされるものと理解しております。
 また、原子力安全白書において、みずからの責任や反省について少しも触れられていないとの御指摘でございますが、今般の原子力安全白書は、原子力安全委員会が「もんじゅ」の事故に関し原因究明及び再発防止等について調査審議を行っている最中であり、中間的な段階での内容が記されているものと理解をしております。次の回の原子力安全白書等においては、より明確な内容となるものと理解をいたしております。
 なお、原子力安全委員会におかれては、既に研究開発段階の原子力施設に係る事故時の情報公開等情報流通のあり方及び安全確保のあり方の二つの問題について検討の必要性を指摘し、みずから検討していくこととしております。
 「もんじゅ」の事故の技術的な面での評価と安全性についてのお尋ねがありました。
 第一点目のナトリウムそのものの危険性については、水と接触した場合は激しく反応して水素を発生し、空気と接触した場合には燃焼するということがございます。しかし、水素が発生した場合であっても、空気と触れさせないように水素を的確に処理することにより安全に措置することとしております。また、燃焼した場合であっても、延焼対策を講じることにより事故の拡大を防止することにいたしております。
 第二点目のナトリウム漏えいによる原子炉の安全性への影響については、ナトリウムが漏えいした場合、原子炉から発生する熱を取り除く能力が低下し、炉心の安全な冷却ができなくなる等の可能性があります。このため、安全審査の際には、炉心の冷却能力、漏えいナトリウムによる熱的影響等の観点から最も厳しい結果となるナトリウム漏えい事故を想定し、その場合であっても安全性が保たれることを確認しております。
 第三点目の温度計さや管のほかに審査対象外のものがあるのではとの御指摘がありますが、安全審査は、原子炉等規制法に基づき、災害を防止する、すなわち最終的に一般公衆の安全を確保するとの観点から必要なものについて審査を行っているものであり、御指摘のとおり、温度計さや管以外にも審査の対象となっていないものがございます。
 今後、動燃事業団においては「もんじゅ」の安全について総点検を実施することとしており、科学技術庁としては、機器、設備類の設計施工に見落としがないか十分な措置をとるよう厳しく指導するとともに、この安全の総点検の結果を報告させ、改めて評価を行うこととし、安全の確保に努めてまいります。
 第四点目の事故原因の最終報告についてでありますが、今後、蒸気発生器のナトリウム入口部で発見された温度計さや管の破損した細管部を取り出して破面観察等の調査を行うとともに、ナトリウム漏えい燃焼試験を行う必要があると考えており、これらの結果の解析評価を経てタスクフォースにおいて十分最終報告とし得ると判断できる状況になれば、最終報告できるものと考えております。しかし、調査の進展の都度判明した事実を公表することといたしており、できれば今月中にも最新の調査結果についても明らかにする方向で努力をしたいと考えております。
 ヨハン・ベネケ博士の指摘についてのお尋ねがございました。
 博士は、高速炉で瞬時に炉心から冷却材が喪失し炉心が溶融するという事故に着眼し、その安全評価に用いられている解析コードが適当なものでないということを主張されていると理解をいたしております。
 「もんじゅ」の安全評価においては、技術的に起こるとは考えられないケースとして、炉心の冷却機能の喪失と原子炉停止系の不作動が重なり合って発生することなどを仮定し、用いる解析コードの妥当性を含めて評価を行っております。その結果、放射性物質の放散が適切に抑制されることが確認されていると承知をいたしております。
 以上、お答えを申し上げました。(拍手)
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発言情報

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発言者: 中川秀直

speaker_id: 765

日付: 1996-04-10

院: 参議院

会議名: 本会議