聴濤弘の発言 (本会議)
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○聴濤弘君 私は、日本共産党を代表して、日米後方支援・物品役務相互提供協定いわゆるACSAについて、総理並びに関係大臣に質問いたします。
去る四月十七日、クリントン米大統領の訪日に際し発表されました日米安保共同宣言は、日米安保条約が締結されて以来四十四年の歴史の中で三回目の重大な安保改定に当たるものであります。第一回は言うまでもなく一九六〇年の旧安保条約の改定であり、二回目は七八年のガイドラインの策定という事実上の改定であり、そして今回であります。
しかも、今回は、これまで政府が日米安保の建前としてきた日本防衛とも根本的に違い、アメリカの戦略に沿って日本以外のアジア太平洋地域の国々の紛争に自衛隊が米軍とともに共同行動をとれるようにしようとするものであります。昨日、重大な事故が起こったリムパック演習も地域紛争を想定したものであり、今日の日米軍事同盟の姿を世界に示すものであります。
総理、あなたはことし一月の施政方針演説で、「政府としては、日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」と述べられました。また、五月十七日の参議院本会議でも、我が党の笠井議員の質問に答える中で、我が国が「専守防衛を旨とする」国であると述べられております。
そうであればどうして、日本有事でないにもかかわらず、周辺諸国の有事で自衛隊が米軍支援の行動をとることができるのか、専守防衛の観点からどうしてこのようなことができるのか、説明していただきたいと思います。また、日米安保条約そのものに則しても、一体何条からそのような日米の共同対処が出てくるのか。さらに、昨年十二月の新防衛計画の大綱は、今回の共同宣言を先取りし、周辺有事への対処を自衛隊の任務として規定しましたが、一体自衛隊法の何条からそのような任務が出てくるのか、明確に答弁していただきたいと思います。
以上の基本点に立って、以下、協定の具体的内容についてお尋ねいたします。
第一は、これまでも争点になってきましたが、不明のままになっているACSAの有事への適用問題であります。
池田外務大臣は、衆議院外務委員会で、どこかの地域で米軍が有事に対処するために戦闘行動をしていても、米軍のほかの部隊が日本にとどまって他の活動をしていることはあると述べ、それへの物品・役務の提供は可能との見解を示されました。
それでは、例えば朝鮮半島で米軍が戦争を行っている場合でも、日本に残っている部隊にACSAが適用できるということになりますが、それで間違いありませんか。もしそれも有事の際の適用ではないというなら、一体有事の際の適用とは具体的に何なのか、総理及び外務大臣、はっきりとお答えいただきたいと思います。総理は有事法制の研究を始めるよう正式に指示されましたが、その中には日本周辺有事の際の対米支援が含まれております。その内容は、ACSA協定にも規定された後方支援、物品・役務の提供と大きく重なり合うのではありませんか。そうであれば、ACSAは米軍支援の国際法的枠組みをつくるものなのですから、有事法制を協定で国際的には先取りしたものとなるのではないでしょうか。お答えいただきたいと思います。
総理、アメリカがこの協定にかけているねらいは明白であります。一昨年、朝鮮半島情勢が緊張したとき、米太平洋軍準機関紙「星条旗」に、朝鮮で何らかの戦闘が起こればアメリカは直ちにジェット燃料や予備部品、技術援助を日本に完全に依存するようになるだろう、しかしそれが果たしてできるだろうか、前例のない日本の支援がなければ、アメリカは朝鮮で戦争を戦い、勝つことはできない、こう書いた記事を掲載しております。
政府は、ACSAは日米共同訓練、PKO、人道的国際救援活動に限定されると言いますが、実際にはそれらを名目にして朝鮮半島などの地域紛争にアメリカが軍事介入するのを保障するためのものではありませんか。お答えをいただきたいと思います。
第二は、憲法との関係の問題であります。政府は、従来、米軍の武力行使と一体になる支援は憲法の禁ずる集団的自衛権の行使に当たると言ってきました。後方支援と戦闘行動は一体不可分のものです。朝鮮半島で戦争が起こっているとき、朝鮮に向かう米軍に物品・役務を提供することは武力行使と一体ではないのですか。朝鮮に行くかどうかは知らなかったなどと言って言い逃れのできる問題ではありません。
秋山防衛局長は、共同訓練の終わった後に別のオペレーション、作戦行動に出ることを妨げるものではないと述べて、ACSAで提供される武器部品が米軍の戦闘行動に使われることがあることを認めております。これこそ武力行使と一体というものではないのですか。これはまさに集団的自衛権の行使ではないのですか。
さらに伺いたいのは、平時での提供も合憲であるとは言えないことです。
一昨年の朝鮮半島の緊張状況の際、米空母戦闘群が朝鮮周辺に展開されましたが、この理由について米太平洋艦隊司令官は、ハイチの例を挙げながら、強力な軍事力が外交に影響を与えることができると述べています。これは明らかに武力による威嚇によってアメリカの国家意思を相手に押しつけようとするものであります。共同訓練を名目にしてこのような米軍の威嚇行動に協力することは、武力の行使だけでなく威嚇を禁止した憲法に反するものであります。明確な答弁を求めます。また、重大なのは、武器部品の提供に関して武器輸出禁止の原則を適用外としたことです。
そもそも武器輸出禁止の原則は、政策判断で禁止しているのではなく、我が国の憲法が許さないところであることは明瞭であります。一九八一年、当時の園田外務大臣は、武器輸出とかあるいは軍事援助とは憲法によってできないのは当然でありますと述べております。それなのに、なぜ米軍に対してだけは憲法上できないことが認められるのですか。
総理は、提供される物品の使用は「国連憲章と両立するものでなくてはならない」と協定で述べられているので、憲法の理念に反しないとしています。しかし、国連憲章は、国際紛争の解決に当たって武力の使用を慎むことを基本としていますが、四十二条で、最終的に軍事的措置をとることも認めています。日本の憲法との違いはここにあります。国連憲章を引き合いに、憲法で定められていないことを行うことは許されることではありません。答えていただきたいと思います。
今、日本は、戦後最も大きな岐路に立たされていると私は思います。憲法の平和原則とは全く違って、また、日米安保条約のこれまでの建前とも違って、日本が他国の紛争に米軍とともに介入する道を開こうとしております。朝鮮半島問題にしろ台湾問題にしろ、アジア太平洋地域にある緊張状況と言われるものは、基本的にはそれぞれの国の内部問題に属することであり、それぞれの国の国民が自主的、平和的に解決していく問題であります。日本がとるべき道は、それを促進する国際環境をつくることにあるはずであり、他国の紛争への軍事的介入者になることでは断じてないはずであります。
憲法が示す平和の大道に沿って進むことこそ日本の選択する道であり、今日の政府の選択は歴史に重大な禍根を残す明確な誤りであることをはっきり述べて、私の質問といたします。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕