尾身幸次の発言 (税制問題等に関する特別委員会)

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○尾身委員 次に、総理に、経済構造改革の問題について、私の意見を申し上げながらお伺いをさせていただきたいと思います。
 バブルが崩壊した後の非常に大きな景気低迷期におきまして、平成四年度以降、景気対策として何回かの対策が行われました。そして、特に公共事業の積み増しという形で、事業費ベースで、私の計算では、この数年の間に五十六兆円ぐらいの公共事業投資が行われたわけであります。
 従来の我が国の経済のパターンからいいますと、これだけの長い間にわたってこれだけの大きな公共事業をつぎ込んで景気刺激策をやれば、大体において需要が喚起されて景気がよくなって回復してくる、民間の設備投資や民間経済活動が回復してくるというパターンであったと思うんでありますけれども、今回についてはなかなかそういうふうにいかないで、失業率もなお三・四%というような、むしろ徐々に高まってくるというような状況になっているわけであります。
 私は、この原因は何かということをいろいろ考えてみました。公共事業を行ってお金を支出する。そうすると、そこで事業が行われて、そこで働く人たちがいろいろな形で収入を得る、給料を得る。そして、その給料が、今度はテレビや自動車を買うという形で購買力の方に回っていく。そこまでは今までのパターンと同じなんでありますが、そのテレビや自動車を売った日産やトヨタやあるいは日立や東芝がテレビや自動車を日本の国内で増産をしていけば、国内の雇用もふえて、それから下請中小企業も潤って、そのまた下請中小企業で働いている人たちがまた物を買って消費の拡大にはね返ってくるという、いわゆるケインズ流の拡大が実現をしてきたわけであります。
 ところが、最近、円高あるいはいわゆる国内の高コスト構造等の要因もあって、企業が海外に展開をしております。いわゆる空洞化の現象であります。そこで、テレビや自動車が売れたときに、むしろアジアやその他の国々でそのテレビや自動車の生産が行われて、それをこちらに持ってきて売るという現象が起こりますから、日本の需要が公共事業を中心とした需要喚起でふえた結果、実は、生産が伸びて景気がよくなったのはアジアの諸国であって、日本は、空洞化の結果、大企業は工場を縮小し、そしてそこに部品を供給している中小企業は仕事がむしろふえない、減りぎみになるということで、いわゆるいい経済の循環が遮断をされて、ざるから水がこぼれるような形で外にお金が漏れていってしまうというのが、実はこの問題の大きなポイントだというふうに私は考えているわけでございます。
 最近の状況で見ましても、日本の海外進出の企業数に対して、日本に入ってくる企業は進出企業の約七%になっています。アメリカやフランスなどの欧米諸国では、出ていく企業の八割が外から入ってくるという実態にもなっているわけでございます。通産省の調べによりますと、今後五年間の製造業の雇用は、現在の千三百六十万人から五年間で一割ぐらい、約百二十四万人ぐらい雇用が減ってしまうのではないかという極めて深刻な状況が予想されているわけでございます。
 そこで、私は、橋本総理の経済構造改革というのは、こういう流れをとめて、日本経済の活力を回復するという方向にいく大きな策であるというふうに考えているわけであります。今のままでいくと、比較優位の産業、つまり非常に競争力のある最先端産業までむしろ国内から海外に行ってしまって国内の雇用減になる、いわゆる景気のサイクルがうまくいかないというような心配もされているわけでございます。
 それからさらに、それに追い打ちをかけた状態で、高齢化社会の到来というのがございます。現在ただいまは働く人四人が一人の高齢者を支えていることに対しまして、二〇二五年になりますと二人の働き手で一人の高齢者を支えるというような極めて深刻な高齢化社会がやってくるわけであります。
 そういう状況の中で、総理が五つの改革というのを提案をされました。私はこの方向はまさに正しい方向だと考えているわけでございますけれども、この点につきまして、総理のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。

発言情報

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発言者: 尾身幸次

speaker_id: 1221

日付: 1996-12-12

院: 衆議院

会議名: 税制問題等に関する特別委員会