橋本龍太郎の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 森議員からの御質問に対してお答えを申し上げます。
まず冒頭、公務員倫理法の制定についてのお尋ねがございました。
先ほども御答弁を申し上げたどころでありますが、公務員の服務につきましては、既に公務員法制で規定をされており、これがきちんと守られておればこのような事態は発生しなかった。そのような思いでいっぱいであります。それだけに、現在ありますこうした規定や従来の決定事項というものを一人一人に遵守させることがまず重要であります。このため、現在、真に実行される綱紀粛正の方策につきまして政府部内でも鋭意検討を進めておりまして、早急に結論を得て綱紀粛正の徹底を図りたいと考えております。
御指摘の新たな公務員倫理法が必要かどうかについては、私はそれを踏まえて考えたい、まず現在あるそのルールをきちんと守らせることから進めていきたい、早急に進めたい、そのように考えております。
次に、教育というものは未来への先行投資という御指摘をいただきました。
まさにそのとおりでありまして、私は、未来を見据え、国際化時代にふさわしい豊かな人間性を持った。活力を持った人材を育てる教育を実現するように積極的に取り組みたいと思います。そして、少なくともいじめとかこうした悲惨な声が教育の現場から聞こえるような事態は一日も早くなくさなければなりません。こうした観点から、次代を担う子供たちが健やかに育つ環境の整備に努めてまいりたいと思います。
そして教育改革について、まさに議員はかつて文部大臣として大変御苦労された部分でありますが、伸び伸びとした「生きる力」というものをはぐくむ教育を目指し、学校教育の内容の改善なとさまざまな教育改革を進めていかなければなりません。
私どもは、ちょうど敗戦の時点で小学校の二年生でありました。そして、学制が改革されるまでの間、大変混乱していた時期を身をもって体験をいたしております。それだけに、学校制度の改革というものにつきましては、過去、臨教審の答申などにおいても、例えば中高一貫教育の導入の問題などについて提言がされてまいりました。現在も中央教育審議会において御議論をいただいているところでありますが、その議論を踏まえながら、いかにすれば教育現場に混乱がなく現在の教育体系から移行できるか、そうした視点をも踏まえ積極的に対応していきたいと考えております。
次に、行政改革、霞が関改革というものについての取り組みの決意をお尋ねいただきました。
私は、この行政改革という言葉、それは中央省庁の再編だけではなく、選挙中にも国民に対して訴えてまいりましたとおり、一方では、我々が経済構造を改革し、新しい産業を育て、国の富をふやしていくためにも、規制の緩和・撤廃という努力を怠ることができません。同時に、地方分権を我々はますます進めていかなければなりません。そして、官民の役割の分担もまた大切なことであります。
言いかえれば、こうした課題は、どれも国が担うべき機能は何かという問いかけに対する答えを書くということであり、この観点から、私は行政自体のスリム化を求めていく必要があると思います。年内に予定されております行政改革委員会の御意見、また地方分権推進委員会の勧告を踏まえながら、運輸に関する規制など六分野を初めとする規制緩和を大胆に進めるなど、こうした作業も一方で進めながら、改革を着実に実施し、中央省庁再編のためにもこれを十分に反映させていきたい、そのように今考えているところであります。
行政改革会議には、発足後一年という期間を切っての成案を求めているところであります。これがまとまり次第、我々はそれを法制化することに取り組み、再来年の通常国会には国会で御審議をいただける状態に持ってまいりたい、そのように考えております。
次に、金融システム改革についての御議論をいただきました。
私が今非常に懸念をし、金融システム改革というものを打ち出したのは、現在の我が国の金融情勢それだけの問題ではありません。新たに欧州において基軸通貨の一つになり得べきユーロが誕生じようとい。たしております。そして、ヨーロッパの首脳たちとさまざまな角度でお話をしてまいりましたが、ヨーロッパの首脳たちは皆、強いユーロを実現しようとしておられます。これは、反面、国際経済の上で歓迎すべきことではありますけれども、そのダイナミックに変化する金融の中で円がローカルカレンシーにならないためには、私どもは大変な努力をしなければなりません。
国際通貨としての円の地位の向上を図りますために、国民の資産の有利な運用を図りますために、また次代を担う成長産業への資金供給を考えましても、世界への円滑な資金供給を必要とする非常に大切な時期、そうした視点からも、私自身が強い決意を持って、法制度などまで含め総合的な改革を果断に進めて、我が国の金融市場が国際的な市場として復権するように取り組んでまいりたい、そのための御協力を心からお願い申し上げたいと願っておる次第であります。(拍手)
次に、財政健全化の目標についてでありますが、現在の財政構造を放置すれば、既に二十一兆円に上っております歳出と歳入のギャップはさらに年を追うごとに拡大し、公債残高は急激に増加をすることになります。しかし、二十一世紀に向けてそのような財政構造を放置することは許されません。我が国の実情を踏まえながら、欧米諸国の状況をも参考とし、幅広い御議論の中から、財政健全化を進めるに当たっての具体的目標の設定に積極的に取り組み、党にもお願いを申し上げておりますけれども、財政再建のための法律についても検討を進めてまいりたいと考えております。
また、財政構造改革元年となる来年度の予算編成につきまして、私どもは、この平成九年度を財政構造改革の元年とすべく各般の制度改革の実現に努力をいたしますとともに、歳出歳入の両面においてあらゆる努力を傾注していくことによって、三兆円以上の公債減額を実現するよう最大限努力をしたい、そのような決意のもとに現在作業に取り組んでおります。
次に、学校教育や社会福祉におけるボランティア活動、これをむしろきちんとした就学制度の中に位置づけるという御提言をいただきました。
確かに、学校教育の場におきましても、地域福祉の場におきましても、ボランティア活動というものは極めて大切なものであり、同時にこれが、児童生徒が他人を思いやる心や社会に奉仕すみ精神を培う、こうした上で極めて大切なものだと認識をいたしております。今後、社会福祉協議会のボランティアセンターと相まって、学校教育におきましても一層その充実を図ってまいる所存でありまして、御提言につきましても十分検討をさせていただきたい、そのように思っております。
次に、男女共同参画社会の実現に向けた抱負というお尋ねをいただきました。
女性と男性が支え合いながら喜びも責任も分から合う、そうした男女共同参画社会の形成というものが我が国の将来を決定する大きなかぎであること、そして政府が一体として取り組むべき最重要課題の一つであることは、議員が御指摘のとおりであり、政府自身が今までそれぞれの内閣におきまして各般の取り組みを進めてまいりました。年内には新たな国内行動計画を策定することにいたしており、男女共同参画社会の実現に向けて関連施策の総合的かつ効果的な推進に努めてまいります。同時に、行政改革の中においてこれが埋没しないように、むしろより強化されるように、そのような思いも持って取り組んでいきたいと思います。
次に、沖縄問題への取り組みについてのお尋ねがございました。
本日、日米安全保障協議委員会におきましてSACO最終報告が了承され、沖縄の米軍施設・区域に関連する問題の日米間の共同作業に一つの区切りをつけたところであります。今後、この中に盛り込まれました措置を実現していくことは当然のことであり、政府が一丸となって着実な実施のためあらゆる努力を払ってまいります。
普天間の問題は、ある意味でこの沖縄県の抱える今日までの問題を象徴するようなものでありました。これが円滑に終了できるよう、どうか国会の御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
そして、長い間国政との間において不信感が現実に生まれてしまった沖縄県の実態を考えますとき、こうした沖縄県の抱える諸課題については、内閣の最重要課題の一つと所信表明で申し上げましたように、強い決意を持って取り組んでまいりたいと思います。(拍手)
次に、日米防衛協力のための指針の見直しにつきましては、防衛大綱及び日米安全保障共同宣言を踏まえて、これまでに進められてまいりました日米間の防衛協力を基礎として、新しい時代におけるより効果的な防衛協力関係を構築するために、日米による指針見直しの作業を来年秋に終了することを目途に積極的に進めてまいります。その論議の過程を透明化することにより、周辺諸国に現に存する不安というものに対してもきちんとした答えをお見せできるようにしていきたい、そのような思いで作業に取り組んでまいります。
次に、ASEAN地域フォーラムにつきましては、アジア太平洋地域の安全保障のために、米国の存在と関与を維持しながら、二国間及び多国間での政治・安全保障分野での対話あるいは協力を推進することは極めて大切なことであります。したがって、我が国としては、アジア太平洋地域における全域的な対話の枠組みでありますASEAN地域フォーラムには積極的に取り組み、その進展に引き続き貢献をしてまいりたい、そのように考えております。
次に、ODAの果たす役割につきましては、ODAというものを通じ途上国の開発問題への取り組みを強化すること、これは国際社会の平和と安定に貢献すると同時に、我が国自身の国益にも寄与するものだと考えております。先般終了いたしましたAPECの非公式首脳会合における論議のテーマの一つも開発というものであり、これをめぐってODAの充実を求められた部分もございました。我が国としては、厳しい財政事情というものを踏まえながらも、今後とも相手国の実情というものを十分に把握して、ODAの効率的、効果的な実施及びその一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
また、我が国としては、平和維持活動など国連の活動に人的な面でも積極的に貢献していきたいと考えておりまして、今日までも、国連平和協力法に基づき、カンボジアや現在も進行しておりますゴラン高原等の国連平和維持活動に参加してまいりました。今後とも、こうした経験を踏まえながら、国連のPKOには積極的に参加していきたいと考えております。
また、安全保障理事会の非常任理事国として、今回、日本は各国の支持を得ることができました。私どもは、国際の平和と安全の維持に関する主要な責任を負っておりますこの安全保障理事会において、地域紛争の解決、国連改革などのために、一層建設的かつ積極的に責任のある役割を背負っていきたいと思います。私は、九月の国連総会におきまして、安全保障理事会、国連の行財政そして経済社会の三分野が全体として均衡のとれた改革を進めるべきだ、そう主張してまいりましたが、国連五十周年の機運を生かして、各国とともに国連改革の議論の推進に努めたいと考えております。
最後に、政治改革の取り組みにつきまして御意見がございました。
小選挙区比例代表並立制は、随分長い期間にわたりまして論議が重ねられてきた政治改革の一環として導入されたものであります。よりよい制度に向けて論議を深めていくことは、当然のことながら極めて重要なことだと思います。先般の三党政策合意におきまして、衆議院の選挙制度につきましては「議員定数の削減を前提にし、民意がより良く国政に反映されみよう、早急に選挙制度見直しを開始する」こととされており、各党各会派におきまして十分御紛議いただけるものと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕