大森猛の発言 (商工委員会)

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○大森委員 日本共産党の大森猛です。今回の持ち株会社の条項についての改変は、五十年ぶりになるものでありますけれども、先般の委員会での、五十年間なぜ持ち株会社を禁止してきたのか、こういう私の質問に対して、公取の方からは三つの理由を挙げられました。
 一つが、持ち株会社の持つ反競争性。二つが、沿革的理由。そして三つが、市場の開放性、透明性の確保。日本経済の実態から来るこういう三つの理由を述べられたわけでありますけれども、この三つの理由からいって、持ち株会社を解禁するという理由は何一つ出てこないということであります。
 したがって、日本共産党はこの解禁に反対をするものでありますけれども、きょうの議論でも、あるいはこれまでの当委員会での議論の中でも共通して言われているのは、メガコンペティションあるいはグローバルスタンダード等、経済環境の変化、国際競争力との関係で、持ち株会社解禁をうたわれているわけであります。
 しかし、共通しているのは、だれが何のために国際競争力をつけるのかという点はあいまいなままで、この点で、先日の当委員会での私の質問に対し、与謝野官房副長官が正直に答弁をされております。つまり、持ち株会社を解禁すればなぜ国際競争力が強まるのかという私の質問に対して、経営者にとっては欧米先進諸国との競争場裏において同じルールで戦うことができる、そういう意味である、こう答弁をされました。
 これには二つの問題があると思います。一つは、ここにあるのは、消費者、労働者、国民の視点ではなく、経営者、それも既にグローバルな規模の企業の視点ということであります。もう一つは、これまで日本がルールなき資本主義と言われてきた、国際的にも批判を受けたその中身というのは、持ち株会社の禁止ということではない。
 先日の実方謙二参考人も、国際的な常識では、日本の競争政策がこれまで十分に実施されてこなかったため、日本企業が有利になったり、日本市場が閉鎖的になっており、これを是正するためには、日本における競争政策を強化するべき、こう述べておられるところであります。
 第一の点について申し上げれば、戦後の日本経済を貫いてきたのが、結局、大企業の国際競争カイコール日本経済の発展、こういう立場であったと思います。その結果、私たちは日本経済の二つの顔と呼んでおりますけれども、非常にゆがんだ今の日本の経済の姿がつくられてきたと思います。
 第一の顔は、経済大国日本の顔。これは言うまでもなく大企業の顔であります。第二の顔は、経済大国日本とほど遠い国民生活がおくれた今の日本の顔。
 第一の顔の点でいえば、例えばフォーチュン誌世界企業番付、一九六四年では二百社中十一社だった。それが、一九九五年ではその約三分の一、六十二社になった。あるいは粗鋼生産については、国、企業とも世界トップ。自動車は、世界全体の生産量の二九・八%。さらにVTRの生産ウエートでは九二・二%。半導体については、日本企業が三六・七%を占める、こういう超一流の姿をあらわしている。
 一方で、第二の顔である国民生活の関係でいえば、例えば労働時間一つをとってみましても、ドイツでは九五年に既に週三十五時間、フランスでは八〇年代に三十九時間。ところが、日本ではやっとことしの四月に四十時間、しかも極めて不十分な状況というわけであります。こういう点につきましては、実は私どもだけではなくて、盛田昭夫元ソニー会長が、かつて、五年ほど前になりますけれども、「「日本型経営」が危い」、文芸春秋で見解を披瀝をされております。
 これを若干紹介をしますと、「「欧米に追いつけ、追い越せ」という共通の目標のため労使が一体となって技術をみがき、生産効率を上げ、品質の向上に励むという欧米とは異なった企業風土を生み出すこととなりました。」「政府の産業振興政策の影響もあって、各分野で過当競争といわれるような熾烈な競争が行われるようになったのです。」「こうしたやり方は企業の体質を強化することに大きく役立ってきましたが、その半面、利益を従業員や株主、または地域社会などに還元していくという側面が陰に隠れてしまったきらいがあります。」
 労働時間、給与水準あるいは労働分配率、欧米とは大きな格差、これを紹介されて、結論的に、「欧米から不信の目で見られているような状況は何としても変えていかなければなりません。そのための大事な一歩として、日本企業が欧米と整合性のあるルールの上でフェアな競争をしていくことが何としても重要なのです。」
 その点で幾つか述べておられるのですが、その中身というのが、一つが、「生活に豊かさとゆとりが得られるように、十分な休暇をとり、労働時間を短縮できるよう配慮すべきではないか」「現在の給与は、企業の運営を担うすべての人達が真の豊かさを実感できるレベルにあるのか。」三番目が、「欧米並みの配当性向を確保するべきではないか」その他、「積極的な社会貢献に努めるべきではないか」とか、あるいは、環境保護、省資源対策に十分配慮しているか、こういうことを述べられているわけです。
 「このことが欧米と整合性を持った競争ルールの確立を通じて欧米の対日不信感を払拭し、グローバルな課題解決のための日米欧の緊密な協力関係を築き、ひいては豊かな日本の創造にも結びついてくる」、こういうぐあいに述べられているわけでありますけれども、私は、あえてきょう持ち株会社解禁の問題に当たって、こういう視点が今必要ではないかということを述べたわけであります。
 今、こういう中で、大競争時代の国際競争力を強めるなどの政策は、ますますこういう二つの顔、ゆがみを増すことになっていくのではないかと思います。私ども日本共産党は、最近も「新・日本経済への提言」こういう提言も行っております。この二つの顔、日本経済の持つ大きなギャップがなぜ生まれたのかという点から出発して、財界からの戦略的方向ではなくて、国民の側からの日本経済再建の戦略的方向を示しているわけであります。
 国際的な経済力についても、もちろん弱い方がいいということではなくて、日本経済の土台でもある、国民生活の基盤でもある中小企業、農業をもっと力をつける施策をとって、大企業も含めて全体として日本経済が大きな力を持っていく、そういう立場を目指しているわけであります。
 あと、具体的にまず三つの類型についてでありますけれども、実方参考人は法案支持を表明されながら、しかし意見表明の中では大変重大な問題も指摘をされております。
 過度の経済力の集中の規制基準を設定することは技術的に困難だ、だからこれまで全面規制されてきた。それでは、今回の法案で過度の経済力の集中防止についてこの技術的困難が克服されているかといえば、これはやはりされていない。なぜなら、これは実方氏は、過度の経済力の集中防止についてそれが有効に実現できるかどうかは運用いかんに左右されると陳述されていることからも明らかだと思います。
 大体この九条五項あるいは定義の改変の部分については矛盾と問題点に満ちているのではないか。財閥の復活の可能性はないと言いながら、類型あるいはガイドラインは財閥復活を想定した、そういうものになっております。
 それから第一類型の企業グループの規模についても十五兆円、根拠について若干先ほど説明がありましたけれども、委員会の質問でも申し上げたように、公取委員長自身が、あるようなないようなというような非常に根拠があいまいなものであるということ。
 あるいは公取委の四章研中間報告とその後の動き等を見ても、過度の経済力集中防止の基準の策定あるいは権限の行使という点で、その力を本当に発揮できるかという点にも大いに疑問があるわけであります。
 現実の経済の中でさまざまな組み合わせの持ち株会社が可能になってくるわけで、例えば第三類型では、都市銀行三位の住友、証券一位の野村証券、こういう企業を傘下にする持ち株会社も可能になるという点で大変重大な問題があるのではないかと思います。
 さらに、先日の参考人質疑の中でリストラ問題を伺いましたけれども、労働組合幹部の方が再三にわたって繰り返し、雇用責任、使用者責任の不明確性への懸念を表明されたわけでありますが、同じ参考人質疑の席上で私の方から、新日鉄幹部の持ち株会社に雇用責任を求めるのは筋違い、こういう発言に対して弓倉参考人が、全く異論はないと述べられました。これはいろいろな面で、いろいろな場でこういう発言があるわけでありますけれども、現在でも事業持ち株会社のもとでリストラに伴う労働者の出向、転籍の名による事実上の首切り等が横行している中で、こういう持ち株会社の解禁、これは一層こういう状態に拍車をかけることにつながっていくのではないか。非常にこの点も今回の法案の重要な問題点の一点ではないかと思います。
 以上で表明を終わります。

発言情報

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発言者: 大森猛

speaker_id: 11499

日付: 1997-05-09

院: 衆議院

会議名: 商工委員会