吉田治の発言 (商工委員会)
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○吉田(治)委員 今回の独占禁止法の改正案は、持ち株会社の設立等の一律禁止を改め、持ち株会社の解禁については、旧財閥の復活、また現在の企業集団や各種の系列が高進されるのではないかといった懸念の声も随分聞かれております。
これに関しましては、委員会等の質疑でもありますように、持ち株会社のガイドラインを具体的に明示するというふうなことで対応されるということなんですけれども、行政当局の法解釈を明らかにされるということは、法運用の透明性を確保する意味から大変有益なことであると思います。
事業支配力の過度集中についての公取委め解釈については、禁止される持ち株会社の範囲がだれにでも明確にわかるように、また、個別の持ち株会社に関する審査の結果が公取委の裁量に左右されるといったことのないように、一義的で明確なものにしていただきたい、かように思うわけであります。
しかしながら、この事業支配力が過度に集中するというふうなことを言われましても、具体的にどういうことなのかといいますと、正直言って私はわからない。平成九年二月十四日の公取委の説明資料、また平成九年二月十三日の公取委からの資料等を読んでいきますと、公取委にはガイドラインというのはあるのだけれども、それをもっと明確にしてもらいたい。数値の部分はいろいろ出ているのですけれども、結果的にその数値を組み合わせていくと、六大企業グループはオーケーだ。それならば、海外企業が日本でする場合、国内シェアの問題等がありますけれども、それでいいのかどうか。いろいろなファクターをこういうふうに組み合わせると、おまえたち素人が考えても、おれたち専門家、うまり公取委が考えるのと同じ判断になるだろうといったぐあいの、そういうガイドラインというものをぜひとも私は出していただきたい。
そして二点目に、企業合併につきましては、公取委が当事者の事前相談に応じて、合併について独禁法上問題となる事柄を案内しているということを言われています。事前相談制度。そこでは、個別の合併事案に対する公取委の実際の法律解釈が当事者には示される。しかしながら、事前相談の内容は、当事者以外には一切開示されない。そして、開示がなされないから、業界シェア二五%を超えるような合併は公取委では一切認めない方針だといったうわさや憶測というのが今ささやかれている。
私は、持ち株会社でこういうことがないように、事前相談の経過や結果というものは、後日、事例集か何かの形で公表するというような形で、しっかりした情報開示を行ってもらいたい。そうすれば、個別の持ち株会社について、公取委が実際どのような考え方でもって、事業支配力が過度に集中している、していないという判断をしているかわかるのではないのか。まさに公取委のさじかげん一つですべてが決まるというふうなことではないようにしていただきたい。
もちろん、事業支配力の過度集中について、公取委の法律解釈に対して素人が異論を差し挟むことはできませんけれども、事前相談の経過や結果について一般向けの情報開示がしっかりなされれば、いろいろな分野の専門家も見るわけですし、それによって、必ずみんなが納得するような法律解釈、法律判断がなされるようになるはずだと私は考えます。独禁法の運用の透明性がさらに高まるということ、盛んな議論と自由な批判の過程で正しい解釈、判断が導かれる、これが非常にいい結果になるのではないか。
公取委には、禁止される持ち株会社の範囲がだれにでもわかるようにガイドラインで明確に示していただくということと、個別の持ち株会社についての事前相談の内容の開示をしていただくということをまず最初に指摘をさせていただきたいと思います。
私は、今度の持ち株会社解禁につきましては、今申し上げました公取委のガイドライン及び事前相談制度について、そして先ほどから議論されております税制改正について、そして最後に持ち株会社の設立方法について、三つ問題点がある。
二点目の問題点といたしましては、分社化等をされていく中で、同僚議員の発言にもございましたように、連結納税制度の問題、これは今後の税制議論の中で解決をしていかなければならない問題だと思いますが、もう一点は譲渡益課税、特に、日本では持ち株会社によって分社化をされる、企業分割をしていく。しかしながら、我が国の法律には企業分割について規定するものはない。そのため、こうした分社化は子会社設立の形がとられ、子会社に対する親会社の資産譲渡の際に多額の譲渡益課税が発生する。この譲渡益課税については、リストラクチャリングを目的とする分社化に関し、圧縮記帳の優遇措置もあるのですけれども、譲渡資産に土地が含まれるときは、譲渡益の圧縮を八割までとされている、通常、大体一〇%の上乗せになるというふうに言われております。
NTTの分離分割等々におきましては特段の配慮がなされたということですけれども、この譲渡益課税の問題についても、これから、国会において、また行政においても議論をしていただかなければ、結果的には、法律つくって魂入れずとなるというふうに言われているような状況が起こるのではないかということが二点目の指摘。
そして三点目、持ち株会社の設立方法についての問題ですけれども、この持ち株会社の設立につきましては、昭和四十年代、当時の帝人の社長であります大屋晋三氏が、日本における外資の自由化というふうな中において、ヨーロッパから、こういう持ち株会社というふうな発想をもう一度する必要があるのではないかと強く発言をしたということから広がったと聞いておりますが、持ち株会社について議論を進めてまいりますと、実は、合併制度にかわる企業統合の選択肢の一つとして期待される一いわゆる合併代替型の持ち株会社の設立は簡単にはいかないのだぞということが非常に理解されてまいります。
持ち株会社が傘下に置こうとする会社には、既にたくさんの株主がおります。持ち株会社となる会社は、こうした株主から一々株式を買い取っていかなければ最終的に持ち株会社になることはできない。こうした株式買い付けが円滑にいくような制度も我が国にはありません。また、仮に、株式買い付けが相当進み、特定の会社を子会社とすることができたとしても、株式買い付けに応じなかった者が子会社の少数派株主として残ってしまい、子会社を通じた企業経営にさまざまな影響が及ぶことも予想されております。
こうした問題について具体的な検討がなされているというわけではありませんが、将来の課題として、子会社となる会社の株式を持ち株会社の株式と一挙に交換することができ、かつ、これに反対する株主の権利にも一定の配慮をした制度が商法等に導入される必要があるのではないか、そのための検討が開始されてもいいのではないかというふうに思う次第でございます。
私は、以上三点を今回の持ち株会社解禁に伴う独占禁止法改正案に対して意見として申し上げ、発言を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。