中里実の発言 (税制問題等に関する特別委員会)
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○中里参考人 経済学的に申しますと、私、経済学者じゃございませんけれども、真の意味の所得とは消費であるというふうに定義されているんじゃないでしょうか。つまり、お金を得ただけで人は満足するんじゃなくて、それを消費して初めて満足感が生ずる、この満足感こそが真の意味の所得であるという考え方があると思いますので、公平性の物差しとしては所得よりは消費の方がいいというのは、これは、経済学的にその反対の立場の方もいらっしゃると思いますが、少なくとも新古典派の経済学を習った方であれば、それを否定する方は、政策論としてはともかく、理論的には少ないのではないだろうかと思われます。
しかも、所得というのは年度ごとの話でございまして、人の一生を見た場合に、稼いでいないものを消費するわけにはいかないんですね。稼がないまでも、もらって一だから、私が年とった後どうして消費できるかというと、稼いだものを貯蓄してあり、あるいはだれかからもらうから消費できるのでありまして、消費能力というのはかほどに担税力を含んだものでございます。所得を稼いでもそれを消費しない人、貯蓄に回した人は担税力がないと見ていいのではないかと思いますので、逆進性という所得を基準にした考え方自体が理論的に誤りであるというふうに私は考えております。
そういうことをおっしゃる方は、所得税を弁護したいからその言葉をマニピュレートしていらっしゃるというふうに考えるわけです。したがって、逆進性という言葉自体を私は余り好きではない。まあこれは好みの問題ですけれども、理論的にはおかしいだろうと思っております。
それから、消費税を課税すると消費の低下ということですが、これは、税金をかければ経済的に抑圧効果が生ずる、撹乱効果が生ずるのは当然のことでございます。所得課税を行った場合の生産に対する抑圧効果と、消費税を課税したときの消費に対する抑圧効果とどちらが相対的にいいか悪いかという問題でございまして、マーケットというものがもし一定程度信頼できるものであるとすれば、消費に対する課税の方が中立的であり、マーケットディストーションは少ないというふうに通常は考えられているように思いますので、それは、消費税が五%に上がって消費が減ることはあるかもしれませんが、所得税、法人税による生産抑圧効果よりは、まあこれはバランスの問題ですけれども、いいという考え方も当然に成り立つのではないでしょうか。
それから、トービン・タックスについては、これはなかなか評価が難しくて、アメリカの経済学者、それからイギリス等の経済学者の間でも評価が分かれているんですけれども、一つの考え方によれば、バブルというのは経済理論的にはなかなか説明できない何か熱狂的な現象らしくて、そういうときに冷やす効果というのはかなりの程度期待できるという、過大なボラティリティーという言葉をどうも使うようですけれども、その過大なボラティリティーを抑える効果があって、その点では望ましいだろうというふうに言われておりますが、逆にそれに対する否定的な見解というのも、もちろん理論の組み方ですから、あるのかもしれません。
ただ、私が申し上げたのは、これを基幹税にしろということではございませんで、あくまでも補完的にそういうことがあってもいいんじゃないかという趣旨で申し上げさせていただきました。