中里実の発言 (税制問題等に関する特別委員会)
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○中里参考人 大変に難しい御質問ですけれども、第一点の、消費税の税率を上げる前に消費税の課税ベースの拡大を考えたらどうかという御指摘でございますけれども、これは多分三%で導入されてから現在までの間に随分なされてきているところだろう。一%当たりの税収が大分拡大してきているのは、消費全体が拡大してきているということもあるんでしょうけれども、執行上、課税ベースが拡大されてきたということも、大きいんだろうと思います。もちろんこれは税制として当たり前のことで、消費税の内部での課税ベースの拡大は課税の公平性の見地からもすべきだろうというふうに考えております。
ただ、その際に、複数税率はできれば入れない方がいいだろうというふうに私は思っております。制度を混乱させるだけで、いろいろなバイアスがかかってしまいますので、できれば単一税率のまま課税ベースを拡大していって、貧しい方には別途税制の外で調整を図るというのが一番温かい、しかもエフィシェントな方法なのではないかというふうに考えております。
不良債権については、大変に難しい問題で、これは基本的にはタックスの問題というよりも金融・証券、金融制度の問題なのでしょうから、私のような専門家でない者があれこれ言うべきではないんだろうとは思いますけれども、例えばアメリカでは引当金というのが原則として存在いたしません。そのかわりに焦げつきの認定というのは緩いということになっております。日本は全く逆、全くかどうかわかりませんが、ある程度逆でございまして、引当金が割と緩目だった、その反面焦げつきの認定というのが非常に厳しいという、何か対照的な扱いになっているんだろうと思います。
それから商法の方の縛りがございまして、金銭債権については、これも私は商法は学生時代に勉強したきりなのでよく覚えていないのですが、部分的に評価を減じていくことはどうもできない、全体的にどんとやるかそのままでいくかということなので、おっしゃるような銀行のいいとこ取りというのがどの程度可能なのか、ちょっと私、実態がわからないので何とも言えないんですけれども、商法からいうとどうもそれは難しそうな気が、タックスの方にも難しそうな気がするのですけれども。ただ、タックスの問題ではないとはいいましても、租税制度全体としてこの種の金融取引に対してどのように、これは大きな問題で、このチャレンジを解決しない限り日本の将来もないのかもしれませんので、考えていくということはあるんだろうと思います。
その際に、私が今注目しておりますのは、証券化、セキュリタイゼーションで、銀行の持っている部分的に不良となった債権、あるいは優良債権でもいいのですが、それをSPC等に移して、特別目的会社等に移して証券化し、その債権にクレジツトデリバティブをつけるというようなことがいいのではないか。仕組み債をつくるわけですね。
例えば、これはごく簡単な例で申しますと、社債が市場利子率五%のところを八%ぐらいの社債を発行する。三%どうして利率が高くなっているかというと、ある種の債権が焦げついたならばその社債も焦げつくというような条件を入れて社債を発行するということで、アメリカではこれは結構なされていることでございます。私が今専ら勉強しているのは、このクレジットデリバティブを組み込んだ仕組み債、ブラスト・ノートとかデモ・ノートとかいろいろなものがアメリカで発行されているわけですが、イギリス、ロンドンでも随分あるようですけれども、それを不良債権問題にどう適用できるかということ。その際に、課税の仕組みをどう適正に行ったらいいかというようなことを勉強しておりますので、その方向で、課税自体の問題ではありませんけれども、深くかかわる問題として、証券化及びクレジットデリバティブ等を通じて一般の投資家に引き受けてもらう。ハイリスク・ハイリターンの商品にはなりますけれども、そういうのがよろしいのではないかというふうに、そうすれば外為で外国に資金が流れ出すことも少しは妨げられるのではないかというふうに思っております。専らこれを勉強しております。
それから、トービン・タックスについては、おっしゃるとおりこれは賛否両論でございまして、トービンの議論、それからサマーズ等が賛成の立場、それから反対の立場の方もいて、今では一般的には、多分トービン・タックスに対しては反対の議論というのが強いのではないか、否定的な見解というのが強いのではないかというふうに思います。
ただ、例えば、途上国の外国為替関係のところでトービン・タックスをどう利用するかというようなことは、国連その他でも議論されているところですし、日本は途上国ではもちろんございませんけれども、補完税として、特に執行の問題に対応するために、バブルを冷やすということは付随的な効果、今はバブルどころではありませんから、そちらはちょっと置いておいて、執行の問題に対応するための補完税として、税率はもちろん余り高くはできないとは思うんですが、置いておくこと自体は、これは、古い税はいい税金であるという格言が我々の世界でございまして、昔からの税金にはそれなりの理由があって、ミクロ経済学的にそれが誤りかどうかわかりませんけれども、法律学者として見れば、いろいろな税金を組み合わせて、実態に合ったように穴をふさいでいくというのが常識的なところかな、そういう意味で申し上げさせていただきました。今後勉強していきたいと思います。