森澤寛二の発言 (大蔵委員会)

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○森澤参考人 おはようございます。伊藤忠商事の森澤でございます。
 本日、参考人といたしまして、次の五項目に分けて私の意見陳述を行いたいと思っております。
 第一に、全般的な所感、第二に、外為法改正の意義及び産業・貿易界への影響について、第三に、基本的金融インフラの必要性について、第四に、報告制度のあり方について、最後に、総括的な希望ということについて申し述べたいと思います。
 初めに、全般的な所感を申し上げます。
 約一年間にわたりまして、外為審議会の法制特別部会に委員として参加させていただいた者としまして、今般、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案が提出されるに至りましたことを大変喜んでおります。
 外為審議会におきましては、各委員の皆さんが日本の金融・資本市場が現在抱えている問題点をよく認識され、かつ、ある種の危機感を持って審議会に臨まれたという印象を強く持っております。各業界からの代表意見陳述の場が設けられまして、基本となる問題認識について、いろいろな角度から活発で、かつ具体的な議論がなされましたし、また同時に、大蔵省御当局側も相当な覚悟を持って本件に取り組んでいただき、まさに官民一体のプロジェクトであったというふうに思っております。
 我が国の持つ閉鎖性、高コスト体質が内外で問題となっておりまして、グローバルスタンダードあるいは透明性に基づくシステムの構築ということが求められておりますが、規制緩和をめぐるこのような大きな潮の流れが背景にあったということも、外為審議会の各委員が同じ方向で議論をする上で大変後押しになったというふうに認識をいたしております。結果としまして非常にいいまとめになったというふうに考えておりますが、今回の審議過程は、今後のよいモデルケースになるのではないかというふうに期待もしているところでございます。
 外為管理制度の見直しは、東京ビッグバンのフロントランナーの位置づけでございまして、法令整備に当たっては、外為審議会の答申の趣旨が十分に反映され、名実ともに自由化が達成されることを強く期待いたしております。
 第二番目に、外為法改正の意義及び産業・貿易界への影響について申し述べます。
 我が国経済の国際化、世界経済のボーダーレス化、また最近話題の国際金融業務のエレクトロニクス化が急速に進展するなど、企業活動はグローバル競争時代を迎えており、こうした環境下において、過剰な規制が残っている現在の外為管理制度は、円滑な事業活動の妨げとなると同時に、既に大幅な自由化を完了している先進諸外国との競争力をいたずらに低下させております。結果として、金融資本取引をより利便性の高い海外へシフトさせるという、いわゆる金融市場の空洞化をもたらし、このままでは、世界の金融センターとしての繁栄はもはや望むべくもないというところまで来ているのではないかといった危機感を持っております。
 こうした制度疲労の現状を打破する意味での今回の外為制度改革は、事前の許可・届け出を廃止し、業務として行う場合も含めて自由な内外取引を行えるという、グローバルスタンダードに沿った制度整備ということで、大変意義深く、また、これまでいろいろな形でお願いをしておりました業界の要望も十分に反映されており、大変高く評価できるものと思っております。
 今回の改正の骨子は、一言で言いますと、平時の為替管理をなくし内外資本取引を自由化する、かつ外為取引を行政の関与でなく市場原理を基軸とした枠組みの中で行うようにするということで、より一層の競争原理が働くようになりますが、市場原理、自己責任というグローバルスタンダードの世界で既に競争している産業界にとっては、インフラが整うという意味で、大いに歓迎するところでございます。
 ただ、法制面での整備がなされました暁には、自由で制度的制約のない市場を十分に活用してビジネスが行える土壌が醸成されることとなるわけで、新たなビジネスのチャンスも拡大いたしますが、他方、このことは、事業関係者が自己責任の原則に裏づけられた厳しい規範に律せられた世界にみずから身を置くということを同時に意味するものであります。
 すなわち、市場参加者による市場ルールの尊重、ディスクロージャーの積極的遂行、自己責任原則の徹底など、市場参加者の自発的な努力が従来にも増して求められるというふうに認識をしており、この趣旨を理解し、各企業がみずから率先して不公正取引を防止するための市場慣行を遵守するとともに、適正なディスクロージャーも実施し、かつ自己の内部リスク管理についても一層の努力をしていく必要があると痛感しているところでございます。
 いわゆる為銀主義の撤廃で、金融と非金融の垣根がなくなり、外為業務の独占が外れ、競争原理のもと、取引コストが下がります。また、海外との直接取引も可能となり、個人レベルから企業レベルまで、ボーダーレス取引が相当容易になります。これまでできなかった取引がふえるものと期待されます。このことは、日本の金融市場及び日本経済全体にもプラスであり、結果として、東京市場の活性化につながるものと大いに期待するところでございます。
 もちろん、産業界へのメリットも数多くあると思われます。許可や事前審査つき届け出が事後報告となることにより、人的、時間的コストが削減されることは大きなメリットであります。また、貸し付け等の資本取引などもタイムリーに実行できますので、ビジネスチャンスを失うといった不合理性からも解放されます。
 また、為替取扱手数料も国際価格にさや寄せされ、透明性ある体系になること、さらに、マルチネッティングを含む相殺が自由になることでのコスト削減効果も期待されます。外為審議会でメーカーの方々から指摘された点でもございますが、グループ間取引におきまして為替を集中する動きも出てくると思います。欧米の銀行との競争で外国為替を扱う銀行も集約されるものと予想され、企業も為替の集中持ち込み等を通じまして効率を上げるといったメリットを追求することになると思います。
 次に、第三番目に、基本的金融インフラの整備の必要性について申し上げます。
 ビッグバンの遂行によりまして東京市場を国際金融センターとすることは、日本として広く内外にコミットしたことであり、この公約が守られない場合、看板に偽りありとして、東京市場は完全に見捨てられることになりかねません。
 国際金融市場の条件として重要なことは、第一に、市場が自由であり、効率的であること、第二に、取引コストが安いこと、この二点であると思います。特にコストの要因は大きく、金融取引は、最もコストが安くかつ利便性のある市場に集中するわけでございますから、人件費、賃借料、取引手数料、規制による許認可等にかかわるコスト、さらには所得税、法人税、利子課税、証券取引税等の税制コストが決め手になってまいります。
 また、自己責任原則の世界になることで、顧客保護、株主保護等の観点も重要になってくると思います。ディスクロージャーが徹底されることで市場が安定するわけでございますから、この意味からも、会計制度も極めて重要になってまいります。つまり、金融空洞化を食いとめ、回復を図るためには、基本的金融インフラ、すなわち会計制度、決済システム、税制、金融・証券制度といったものをきちんと整備し、透明で自由な市場にする必要があると思います。
 外為法改正により、金融取引が海外の良質な金融インフラを求めて日本から外国へ流出する現象がさらに加速化することも危惧されており、その意味からも、フロントランナーの次のセカンドランナーが出てこなければ金融市場の再活性化はあり得ないと言っても過言ではないと思います。
 第四番目に、報告制度のあり方について申し上げます。
 外為審議会における今回の改正論議の中では、東京をニューヨーク、ロンドン並みの自由な市場にするために、各委員とも、規制色の排除、事後報告制簡素化を強く訴えてまいりました。報告義務の遵守は、市場参加者の義務であること、また国際収支統計上の要請のあることも十分に理解しておりますが、審議会でも御指摘がありましたように、報告負担をできるだけ軽減させる方向でお願いしたいと思います。報告制度には罰則規定が課せられることから、新たな報告規制になる危険性がございます。過度な報告要求によって取引が海外へ逃げてしまうというようなことでは本末転倒となりますので、そのようなことにならないよう配慮が必要であると思います。
 最後に、総括的な希望を申し上げます。
 我が国の金融・資本市場は、産業界にとって資金調達の円滑化、運用の効率化の観点から極めて重要なものであり、国際競争力を持った効率的な金融・資本市場を構築することが必要不可欠でございます。東京ビッグバンのフロントランナーとして位置づけられた本改正が成功裏に実施されることによりまして、金融システム改革全体の流れに好ましい影響を与え、真にニューヨーク、ロンドン並みの金融・資本市場が整備されますことを心から祈念いたしております。
 以上をもちまして、私の意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 森澤寛二

speaker_id: 31400

日付: 1997-04-15

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会