松原明の発言 (内閣委員会公聴会)
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○松原公述人 ただいま御指名いただきました松原でございます。市民活動を支える制度をつくる会の事務局長を務めさせていただいております。
本日は、日本の市民活動の未来を大きく左右するであろう、いわゆるNPO法案の国会審議におきまして、私見を述べさせていただく機会をお与えいただきましたことを、まずお礼申し上げます。
市民活動を支える制度をつくる会は、一九九四年に設立されました。NPO法案をつくることを国会に働きかけるためのプロジェクト団体とも言えるものです。会の呼び名が長いもので、私たちは通常、短くシーズと呼んでおりますが、きょうの意見陳述でもシーズという通称で通させていただきます。
さて、シーズには、現在、国際協力、福祉、環境、人権、町づくり、市民活動の支援などといった多様な分野の市民活動団体が、約百二十団体加盟しています。
シーズでは、三つの目標を立てています。今、お手元にピンク色をしたリーフレットが配られていると思いますが、その中に三つの目標とありまして、一、市民活動団体が、一定の要件を満たせば簡易に法人格が取得できるようにすること、二、市民活動を推進するような税制を整備すること、三、市民活動団体の活動情報が公開されるような仕組みをつくることの三つの制度を実現することです。
シーズでは、この目標のもとに、数多くの市民活動団体、国会議員の方々、行政関係者、研究者などと検討や学習会、公開討論会を重ねてまいりました。また、一九九五年には、独自の市民活動推進法試案を作成し、議員の方々に提出したほか、各政党の立法の進捗状況に応じて、幾たびか要望書を出させていただいてまいりました。
本日は、そのような活動を踏まえ、シーズの加盟団体の意見及びシーズに寄せられた多数の要望をもとに、意見を述べさせていただきます。
まず、各党の法案に関する意見を述べる前に、この法案の審議に至るまでのことについて、一言述べさせていただきます。
この法案は、議員立法ということで、自由民主党、社会民主党、新党さきがけの与党三党及び新進党、日本共産党のそれぞれの法案を提出された担当議員の方々、また、与党三党案に対して修正を行われた民主党の担当議員の方々に対し、その立法に対する御努力に対し、とりわけ、市民活動団体とのたび重なる討論会に御参加いただき、法案をよりよいものにするために御尽力いただきましたことに、深い感謝と敬意を表したいと存じます。
さて、各党の法案に関しましては、私は、与党三党と民主党との間で合意されました市民活動促進法案の修正案の今国会での成立を強く希望する立場から、意見陳述をさせていただきたいと存じます。
現在、法人格がないために、多くの市民活動団体は、その発展がおばつかないという状態で日々の活動を送っています。海外で活動する国際協力の団体は、日本での法人格がないため、海外での活動を制限されたり、事務所を開設できないでいるという状態があります。福祉、環境や町づくりに取り組む団体は、行政や企業と事業契約を結ぼうとしても結べないことがしばしば起こっております。また、職員を雇ったとしても、身分が不安定になり、優秀な職員がなかなか育たないという問題も起こっています。ナショナルトラスト運動を行う団体では、土地や建物が個人所有になるために、確実な環境保全ができないという問題も聞いております。
これらの問題を一刻も早く解決し、市民が生き生きと市民活動ができる条件を整えるには、法人制度の創設は急務であると考えております。
この点からして、与党三党と民主党による修正案、新進党案、日本共産党案の三案を比べるときに、速やかに成立に向かえること、対象となる団体の幅の広さ、基準のより明確さなどといういろいろな点を勘案するに、与党三党と民主党との修正案が一番よいと考える次第です。
とりわけ、対象の幅の広さという点では、新進党案にあります地域基盤という要件のもとでは、全国規模や海外活動が主となるような団体ではその制度を十分利用できず、大きな問題ではないかと考えております。
もちろん、与党三党と民主党の案がベストな実とまでは言っておりません。しかし、市民活動の基盤整備への第一歩としては評価できる内容となっていると考えております。
税制の優遇措置に関して言えば、市民活動団体の財政的な自立を行う上で、その整備はぜひ急いでいただきたいところです。とりわけ、寄附金に関する税制優遇措置の拡大は、市民が支え合い、助け合う新しい仕組みとしての市民活動にとっては不可欠のものです。しかし、今日の特定公益増進法人制度は、監督も厳しく、また、行政からの指導基準も不透明です。より市民が気軽に市民活動に参加し、支え合えるような新しい税制の仕組みを、ぜひ、きちんと検討し、つくり上げていただきたい。
その点からも、与党三党と民主党との修正合意にあったように、二年程度の検討期間はやむを得ないのではないかとも考えております。ただし、よい案ができれば、二年という期間にこだわらず、ぜひ前倒しして検討し、また実施していただきたいと存じています。
現在、与党三党と民主党の修正合意にあります市民活動促進法案には、問題がまだあることも十分に承知しております。シーズとしましては、法人格の付与は準則主義で行われるべきであると考えております。また、活動分野の限定はふさわしくないと考えております。行政が市民活動を監督する必要もないというのが私たちの見解です。
しかし、この問題を解決するには、より根源的な、民法三十四条の改正という問題に取り組む必要があると考えております。市民活動を制限しないようなよりよい法整備を続けるという点から、ぜひとも民法三十四条の改正という課題にも、法律成立後は速やかに取り組んでいただきたいと存じます。また、公益法人税制全体の見直しも不可欠かと考えております。それが今後の時代の大きな要請であると考えております。
市民活動促進法案の今国会での成立を強く望む声は、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から毎日のようにシーズへと届けられています。お手元へお配りした「緊急アピール」への署名は、既に昨日六百人を超えました。多くは法人格を持たない市民活動団体のスタッフや代表者から届けられたものです。それらの声をぜひとも聞き入れ、今国会での法案の成立をいま一度強く希望したいと存じます。
また、新進党、日本共産党の議員の方々におかれましては、ぜひとも市民活動を一歩進めるために、この法案の成立のために御協力いただきたいと存じています。
そのようなお願いをいたしまして、私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)