横川功の発言 (内閣委員会公聴会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○横川公述人 私、今御紹介いただきました横川と申します。私は、劇団東漢というところで日々演劇をつくっております。そういう立場から、我々の希望を申し述べたいというふうに思います。
私、劇団に入りまして約三十年間、この仕事をやってまいりました。ここ数年のいわゆるNPO法案のいろいろな盛り上がりに関しては、正直申し上げて、八〇年代の終わりごろから僕らもこれに接したときから、多分これは二十一世紀に入っても実現しないだろう、五十年たっても、少なくとも僕が仕事をやっている間は多分実現しない、それほど僕らにとっては画期的な概念だったわけですね。
と申し上げますのは、僕、三十年間この劇団で制作、プロデュースの仕事をやってきまして、日々いろいろな矛盾に突き当たるのです。僕らの劇団は有限会社なんです。有限会社としての、営利法人としての存在でしか要するに法人格は得られないというこの日本の現状の中で、多くの劇団は、三十年、五十年、営々として今でも芝居をつくり続けているわけですね。それですから、営利法人として芝居を続けているということの矛盾、と申し上げますのは、果たしてこれは営利なのかという矛盾にいつも突き当たるのです。ですから、僕らにとっては、この営利法人から何とか脱却して、NPOというこの概念でもってくくれないだろうかというふうにずっと思っていました。
先ほど申し上げましたように、これは日本の今までの常識では、二十一世紀になっても無理だろうというふうに思っていたんですが、ここ数年の大きな、市民の方々の、あるいはきょう御出席の議員の皆さんのいろいろな御努力でもってここまで盛り上がったということに関しては、僕の不明を恥じるとともに、皆さんの努力に対しては、本当に率直に感謝といいましょうか、敬意を表したいというふうに思います。
ですから、僕もあと十年、二十年仕事をやっていくわけですから、なおさら僕らが思っているようなNPO法案になってほしい、ぜひそういうふうにしてこの文化というものを二十一世紀に渡していきたいという切なる願いをもとに、いろいろな法案を読ませていただきました。
つまり、これは今まであったいわゆる公益という、あるいは営利という、明治以来百何十年にわたる概念を根底から、新しい概念を持ち込むわけですから、このことが、二十一世紀に活躍するいろいろな若者たちが あるいは市民活動、芸術活動、文化活動をやられるいろいろな方々が、本当に二十世紀が終わろうとしている今この瞬間に、ああ、いい法案をつくってくれた、我々はとてもやりやすくなった、これこそが日本の文化というものを草の根的に押し上げていく大変な基礎になったというふうに思われるような、そういう法案にぜひしていただきたいというふうに思っております。
私の劇団では、年間の経費そのもの、売り上げそのものは約二億何千万があるんですね。ですから、通常の有限会社としては多分多い方だと思います。しかし、これはあくまでも通過していった金額であって、営利法人としての責任はほとんど果たしていないんですね。果たしていないといいましょうか、もちろん納税はします、当然我々は義務があるわけですから。ただ、ここにかかっている経費そのものというのが、仮に二億何千万入ったら二億何千万そっくり出ていくし、ある年になると、何千万も赤字になるのですね。
それはなぜかといいますと、我々、芸術文化といいましょうか、お芝居をつくっているのは、ある意味では付加価値といいましょうか、コップをつくったり物をつくって、見えるものをつくってそれを販売して、余ったらそれをたたき売って何とかその年度ある意味ではつじつまを合わせようということができないんですよ。僕ら、芝居をやった瞬間から消えていくんですね。ですから、在庫というのはないんですよ。
ですから、経費が物すごくかかると同時に、約八十人ぐらいの劇団員がいますが、この劇団員たち、あるいはかかわるスタッフを含めて、なぜもてているかといいますと、彼らの、もちろん僕らもそうですけれども、人件費を抑制して、多分信じられないと思いますけれども、世の中の半分以下の収入でもってそれを補てんしているんですね。
ですから、そういう彼らの情熱でもって今の日本の文化芸術が存在しているということをぜひ記憶にとどめていただきたいというふうに思います。
それで、今回のNPOの法案に関しては、二つほど申し上げます。
これは僕らも大先輩も含めて、何十年もこういう形でやってきました。ですから、非常な熱い思いで見ているんですね。ですから、ある意味では妥協的にある法案を成立させて、現実的にそれを順々に直していけばいいじゃないかというふうな思いはほとんどないんです。いわば理想に近い形でぜひつくっていただきたいというふうに思います。
というのは、我々は、各団体は、一番の命というのは自主性なんですね。自主独立といいましょうか、自主性をどこまでこの法案が貫かれているかということに一つの大きな僕らにとっての尺度があるんです。細かいことは申し上げません。そのことに照らしてぜひこの法案をつくっていただきたいというふうに思います。ですから、限りなく準則主義を貫いていただきたいということです、
それともう一つは、このNPO法案と絶対に離してはならないのがやはり税制の問題なんです。税制と一体になって初めてNPOという法案が生きてくるというふうに思います。
先ほど高比良さんもおっしゃっていましたけれども、私たちは、税金をまけてくれとか、払いたくないとか、安くしてくれとか、そんなことを言っているんじゃないんですね。文化そのものを日本の国の中でどこにきちっと位置づけるかという、そのことからすると、僕らは税制というものはこのNPO法案とは全く一体のものであって、これを別々に考えたり、あるいはそのうちというふうなことでは絶対にないということを、僕らのいろいろな仲間の意見でもありますので、そのことは強く申し述べたいというふうに思います。
ですから、これはある法案ができて、それが逆差別といいましょうか、いや、うちはNPOの法人格は要らない、あるいはこのままでやっていくというふうなところに対しても、決して差別的な対応がないような、現実的には、僕はたくさん見てきていますけれども、このままでは多分出てくるだろうというふうに思います。ですから、そういう差別的な対応がないような法案になっていないといけない。
ですから、先ほど申し上げましたように、自主性をどこまで貫けるかということと、税制の問題と、それと今申し上げましたような、だれにでも門戸を開くような、そういう柱となった法案にぜひ、これも超党派で、これは何対何で可決、多数決で決まりましたというような性格じゃないと思います。これはやはり超党派で、皆さんのお力で、二十一世紀に大変な貴重な贈り物ができますように、皆さんの英知と寛容でもってぜひ成立させていただきたいと思います。
最後に申し上げますが、先ほど申し上げましたように、本当に僕らにとってこれが力になるような法案になってほしい。そうでなかった場合には、我々五十年も辛抱してきたのです、ここで三カ月、半年、一年でも辛抱できないわけはないのですね。ですから、きちっとしたものが超党派でできるような形をぜひ皆さんで積極的に御討議いただいて、そういう案をつくっていただきたいというのが気持ちでございます。
以上です。(拍手)