山本譲司の発言 (本会議)
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○山本譲司君 民主党の山本譲司でございます。
私は、民主党を代表して、日本の財政再建を一日も、一刻も早く達成させたいという立場から、平成九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
我が国の財政は、昭和五十年度以降十五年間にわたって、財政法では禁止されている多額の赤字国債の発行を余儀なくされてきましたが、平成二年度予算において赤字公債の発行を回避することができました。しかし、それは財政再建の成果ではなく、バブルの景気によって税収が大幅にふえた結果にすぎなかったのではないでしょうか。バブル崩壊以後、収入がどんどん減っているにもかかわらず支出をふやしていく、こうした民間では考えられないことを、政府は国債の発行という借金で賄っているわけであります。平成九年度末には公債発行残高が約二百五十四兆円に達する見込みで、財政危機は極めて深刻な状況に直面をいたしております。
今や、日本の財政赤字は世界の先進国の中でも最悪です。公債依存度は、アメリカが七・七%、ドイツが一二・一%、フランスが一八・三%であるのに対して、日本は二一・六%となっています。
アメリカでは、財政赤字解消のため、レーガン政権時、一九八五年の財政収支均衡法を皮切りに、一九八七年の財政収支均衡修正法と、さまざまな試行錯誤を繰り返し、一九九〇年の包括財政調整法、そして一九九三年には包括財政調整法を修正し、財政赤字削減の手法を規定するといった歳出削減への身を切るような経験をしてきました。
ここに至ったアメリカよりも、現在の日本は、財政赤字が拡大を続け、まるでサラ金地獄に陥っているような状態であります。普通の会社でいえば既に破綻をしておりますし、個人であれば自己破産への道をまっしぐらというところであります。もう待ったなしで財政構造改革を進め、将来の世代に負担を残さない財政構造をつくり上げていかなくてはなりません。
平成九年度予算案について、政府は公債発行を四兆三千二百二十億円減額したとして、財政構造改革元年に当たって財政健全化に向けた第一歩を踏み出したと、その成果を誇られているようであります。しかし、さきの補正予算で一兆三千三百九十億円の公債を増発し、さらに、今回の公債発行の特例法による厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れ特例の七千二百億円を含めて、巧妙に組み込まれている隠れ借金が二兆八千億円もふえております。これらを足すと、新たに四兆円以上の将来への借金がふえたことになり、公債発行を四兆三千億円減らしても、結果的にはプラス・マイナス・ゼロであります。
平成九年度は、消費税の税率アップと特別減税の廃止によって、国民の血税による負担は約七兆円ふえることになりますが、にもかかわらず、実質的な財政再建は全く進んでいないと言わざるを得ません。その姿はまさに、「あしたから酒をやめる。禁酒をするから、きょうまでは飲ませてくれ。しかし自分はお金がないから酒を買ってこい」と、奥さんにこう言いながら毎日酒浸りになって過ごしているぐうたら亭主という例えがぴったりであります。これでは財政構造改革元年とは名ばかりの、財政再建なき大増税予算と言われても仕方がないと考えますが、総理の見解を伺います。
現在のシーリング方式の予算編成のやり方では、例えば厚生省関係の義務的経費の伸びを賄うために、資金的に余裕のある特別会計から借金をする構図、つまり奥さんのへそくりから借金を重ねるぐうたら亭主の体質は直らないことは、明白であります。そこで、現在行われている予算編成方式を抜本的に見直すと同時に、特別会計から借金をしなくてもいい財政構造になるように、大胆に歳出削減に取り組むべきではないでしょうか。あわせて総理に見解を伺います。
また、国民に自己負担の増額を求める医療保険制度改革を行うに当たって、総額二十七兆円の医療費をどう抑えていくかということと同時に、隠れ借金になっている政府管掌健康保険特別会計からの借金二兆円余をきちんと返して健康保険財政の健全化を進めるのが筋ではないかと考えますが、大蔵大臣と厚生大臣の見解を伺います。
さらに、透明度が低く、むだの多い公共事業のあり方を根本的に見直していかなくてはなりませんが、借金をして公共事業を行うという旧来の財政運営の体質は全く変わっておりません。未消化予算が平成七年度には一兆七千億円もあったという公共事業を、公共投資基本計画に基づいて何が何でも六百三十兆円をこなさなくてはという発想を捨て、公共投資基本計画を今こそ抜本的に見直していかなくてはなりません。財政構造改革元年と銘打つのであれば、当然のことだと思います。
私ども民主党は、与党の皆さんに対し、財政構造改革元年と言われるにふさわしい予算になるように、平成九年度予算の修正案を提示しているところであります。
その内容は、公共事業のコストの一割削減や、各種の公共事業長期計画を見直し、その事業計画の実施を繰り延べることによって単年度の事業費を圧縮すること、さらに、住宅金融公庫、日本道路公団、住宅・都市整備公団、水資源開発公団など、いわゆる特殊法人のリストラによる補助金などの削減を柱として、三兆円規模の歳出削減を断行するというものであります。こうした私どもの要請にこたえて、予算案を修正または組み替えて歳出削減を行う考えはないか、総理に伺います。
公共事業の中には、全くナンセンスな不要不急の事業が数多くあります。実際に、漁港をつくったら漁師がいなくなったと橋本大二郎知事が言われた高知県の例など、枚挙にいとまがありません。このような歳出を膨張させないように、私ども民主党は、十六本の公共事業長期計画のすべてを国会承認事項とするといった内容の公共事業コントロール法案を提出する準備をいたしております。
そこで、公共事業の歳出を削減するために、まずは、さきの本会議で土井社民党党首も提唱されたように、個別公共事業の数量、単価はもとより、積算の基礎、予定事業の箇所づけを含めた徹底した情報公開を図る必要があると考えます。そうした具体的な資料を直ちに国会に提出する考えはないか、建設大臣に伺います。
さて、大蔵省がまとめた財政の中期展望によれば、政府の財政再建の目標を設定し、その達成に向かって、赤字国債を一兆円減額して、建設国債の伸びはゼロというペースにするには、歳出と歳入の差額の要調整額が四兆円になると推計をされております。
そこで伺いますが、この四兆円は増税で賄うのでしょうか。赤字国債を発行するのか、または隠れ借金でごまかすのでしょうか。それとも、歯を食いしばって歳出削減を行うのでしょうか。「財政構造改革会議で検討する」という繰り返しで、壊れたテープレコーダーのようなことばかりではなくて、具体的な財政再建のビジョンを示すべきだと考えますが、大蔵大臣に見解を伺います。
普通の家庭だったら、収入が減って生活が苦しくなると、まずはむだな支出をやめることから考えます。これまで政府はあの手この手で財政再建に臨んだものの、どれも決定打にならず、打ち出の小づちのように便利な国債をどんどん発行し、歳出の拡大を続けてきたわけであります。
私たち民主党は、未来への責任を果たす政党として登場しました。既得権や省益の擁護などに拘束されて財政改革を先送りにし、結果として巨額の財政赤字をもたらした政治と行政の現状を変えていき、聖域を設けずに赤字財政の実態を解消して、未来にこたえる責任ある財政構造の確立に向けての取り組みを進めてまいります。
しかし、歳出の削減に取り組む一方で、将来に備えて必要とされる福祉や町づくりの政策の充実を怠ることは、未来への責任を果たすとは言えません。私たち民主党は、そういった必要な事業は着実に推進していくと同時に、必要な負担についてははっきりと提案していく覚悟でもあります。私は、今こそ、いかなるタブーもなくし、国全体の改革に取り組むべきだと確信をしております。
総理におかれましては、危機に直面している我が国の状況を十分に認識し、国の進路を見誤らないよう、真剣な改革を行われるよう強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕