プラサート・チチャイワタナポンの発言 (国際問題に関する調査会)
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○参考人(プラサート・チチャイワタナポン君) 山本先生、ありがとうございます。
ODA基本法がもしできますとすれば、どういうような理念、どういうような内容が望ましいかという御質問だと思います。
一つは、情報公開を徹底的に行うこと、これはとても重要だと思います。情報公開を通じて国民の理解、支持が得られますし、また被援助国の方もその理解を深めることができます。今まで外務省の方はかなり努力をしてきましたけれども、円借款を管理する大蔵省などが非常に門戸をあけていないというような印象を受けました。
情報公開にさらに努力することは、多分行政側がやるんですけれども、しかしその法律ができることによって国民を代表する国会が主導権をとり、また国民の参加権利が認められる、そういうシンボリックな意義を持つという気がします。また、そういう情報公開がされますと、図書館、国会図書館で国民のどなたでもアクセスできる、そういう国民の理解、さらに支持が得られるというメリットが一つあります。
もう一つは、社会開発の理念、ソーシャルディベロプメントの方の重要性をもう少し強調すべきと思います。多くの開発途上国は、官僚が腐敗した国もありますし、またその効率性が余りよくない国も多くあります。GツーG、政府間の協力が十分に国民にメリットを及ぼさないところが多い。そこで、日本のNGOでも現地のローカルNGOでも、そこを使って社会開発に力を入れること、これも一つの革命的な意義があるという気がします。
ODA基本法は、その内容はいろいろ議論をされていくと思いますが、シンボリックな意味があると思っています。行政側がこれを余り歓迎しないのは理解できますけれども、しかし、役人の皆さんが、例えば外務省、大蔵省、JICA、OECFの立場を離れて個人個人、一人の国民としてそういう立場に立ちますと、このODA基本法を大いにサポートするんではないかという気がします。
この国会は国民の信頼と関係しますけれども、日本の国会の本会議を傍聴したことがありますが、まだ開かれた国会という印象は余り感じていません。スウェーデンの国会ですと国会議員の先生の紹介がなくてもだれでも自由に入れます。そこで一つの感銘を受けたのは、高等学校までにみんなが少なくとも一回は国会見学に来てもらおう、そういうスウェーデンの国会の目標、その努力があって国民とギャップのないような開かれた国会、そういうような国民の支持が得られないと行政側の説得に引っ張られていきやすいという印象を受けました。
ODA基本法はこれくらいにしておいて、ASEMの方ですけれども、アジアとヨーロッパとの関係、どういうような形が望ましいかという御質問ですけれども、一つは価値観の問題だと思います。ヨーロッパ先進国の方は、人権などをスタンダードが高い普遍的なものだと見ています。しかし、アジアの国々の方はおくれていることは事実です。それを認めながら、ヨーロッパの国々の理解も得られるような対話が必要だと思います。
例えばミャンマーを一例にしますと、八八年から今日まで十年間、日本は開発援助をほぼ凍結してきました。これは、ミャンマーにとっては決していいことではありません。少なくともミャンマーの研修生、年に十人、二十人じゃなくて百人、五百人、千人以上日本に来てもらおう、いろんな教育の面、経済社会開発などの研修を受けて、またアジアの国々をもっといろいろ見ていただいて、外の世界を見るチャンスを与えることはミニマムだと思います。ヨーロッパ、欧米諸国の方は、ミャンマーのSLORC政権を認めませんから、こういうような対話が一つの議題となると思います。
今度ミャンマーは、ことしの七月に恐らくASEANに加盟すると予想されます。これもまた問題になります。ASEANは拡大外相会議があって、そこにEUの代表が出席し、アメリカ代表も出席します。ヨーロッパの方はミャンマーのSLORC政権を認めませんから、ミャンマーがASEANに加盟してはやっぱりASEMも困る、こういうようなジレンマに直面します。これをどういうふうにするか。私の意見としては、開発援助を人権侵害で凍結するのは真剣に考えなければいけない。ミャンマーの経験を見て十年間は決してよくはなっていないです。できるだけそこの政府の役人もたくさん、岩倉使節みたいに世界を見てもらう、そういうような努力が必要ですし、またヨーロッパの方にも説明する努力が必要だと思います。
もう一つは、ヨーロッパの方の工業発展はアジアの国々よりも百年早くなし遂げてきました。そこで、ポスト産業社会の問題など非常に豊富な経験を持っています。環境保全または高齢化社会、豊富な経験を持っているんです。アジアの国々はヨーロッパから学ぶチャンスだと思います。
そこで、いろんな環境基金とか社会開発計画などの計画を立て、またファンドをつくってそこで運用していく、これは非常にいいチャンスだと思います。日本は恐らくその真ん中にあると思います。ヨーロッパの方にもちょっと近い、アジアの方にもちょっと近い、重要なかけ橋の役割を果たせるのではないかと思います。
アジアとヨーロッパの会合、今度日本の宮崎で開かれることはとってもいいと思います。三十四カ国の出席者、また幅広く政治家、財界人、文化人なども出席して、このASEMもぜひ活発化していくことを大きく期待します。
以上です。