国際問題に関する調査会

1997-03-03 参議院 全33発言

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会議録情報#0
平成九年三月三日(月曜日)
   午後一時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十四日
    辞任        補欠選任
     武見 敬三君     塩崎 恭久君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         林田悠紀夫君
    理 事
                板垣  正君
                南野知惠子君
                益田 洋介君
                武田邦太郎君
                上田耕一郎君
    委 員
                尾辻 秀久君
                笠原 潤一君
                北岡 秀二君
                塩崎 恭久君
                馳   浩君
                林  芳正君
                山本 一太君
                今泉  昭君
                魚住裕一郎君
                直嶋 正行君
                山崎  力君
                大脇 雅子君
                齋藤  勁君
                菅野 久光君
                笠井  亮君
                田村 公平君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        入内島 修君
   参考人
       タマサート大学  プラサート・
       準教授      チチャイワタ
                ナポン君
       中京大学教授   リム・ホァシ
                ン君 
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際問題に関する調査
 (「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」の
 うち、アジア太平洋地域の安定と日本への期待
 について)
    ―――――――――――――
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林田悠紀夫#1
○会長(林田悠紀夫君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月二十四日、武見敬三君が委員を辞任され、その補欠として塩崎恭久君が選任されました。
    ―――――――――――――
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林田悠紀夫#2
○会長(林田悠紀夫君) 国際問題に関する調査を議題といたします。
 本日は、本調査会のテーマである「アジア太平洋地域の安定と日本の役割」のうち、アジア太平洋地域の安定と日本への期待について二名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 本日は、参考人として、タマサート大学準教授プラサート・チチャイワタナポン君及び中京大学教授リム・ホァシン君に御出席をいただいております。
 この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人におかれましては、御多用中のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 両参考人から忌憚のない御意見を伺い、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、初めにプラサート参考人、次にリム参考人の順序でそれぞれ三十分程度御意見をお伺いいたします。その後、二時間三十分程度質疑を行いますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。
 なお、意見、質疑及び答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まずプラサート参考人から御意見をお述べいただきたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。プラサート参考人。
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プラサート・チチャイワタナポン#3
○参考人(プラサート・チチャイワタナポン君) 本日は、参考人としてお招きいただき、アジア太平洋地域の安定と日本への期待というテーマで私の考えを表明する機会が与えられましたことに心から感謝を申し上げます。大変光栄に存じます。
 日本は世界で最も成熟した民主主義国の一つであり、この国会はその象徴であるように見えます。多分、この調査会は、国際問題を調査するという点で、今までの実績の面においても、この調査会のメンバーの構成においても他に例のないものだと思います。お招きいただきましたことを改めて感謝したいと思っております。
 さて、ここに御出席の皆さんがお気づきのように、日本は天然資源やエネルギーを十分に持たない、海外との貿易に依存している国でありますので、アジア太平洋の安定は日本にとって最も重要なことであります。それゆえに、平和的な国際環境、隣国の繁栄と安定は日本の生存にとって非常に重要でありましょう。
 こうした日本の生存条件を頭に置きながら、多くの日本の政策担当者は、アジアの人々、またアジアの政策担当者が日本にどのようなことを期待しているかをたびたび聞かれます。
 アジアは広いので、ここで私は東南アジア、またその地域機構であるASEAN、さらに安全保障と日本の経済協力の面に私の話を限定したいと思っております。
 また、ここで述べます意見は一人の学者としての考えであり、またタイ人である以上若干のバイアスがかかっているのです。どうかお許しください。
 冷戦の対立の構造が崩壊するとともに、東南アジアは長い間、独立戦争、ベトナム戦争、カンボジア問題などを経てようやく平和と安定の時代に入りました。一方、北東アジアでは今なお緊張、または武力衝突の可能性など諸問題が残っております。北方領土、台湾海峡、朝鮮半島、尖閣諸島、竹島問題などたくさんそのまま残っております。
 また、安全保障問題は若干形が変わってきました。一つのシフトとしては、海をめぐる諸問題に転換していることです。もう一つは、社会的安全保障の方に転換してきました。麻薬問題、エイズ、テロリズムなど社会的な安全保障の面が重視されてきました。
 北東アジアにそのまま残る緊張及び二つの安全保障概念のシフトという安全保障環境の変化は、皆様が御存じのとおりだと思いますが、日本は冷戦が終わっても、北東アジアの緊張、または安全保障の転換、そのシフトに大きく影響を受けている国と私は見ております。それゆえに、日本にとってはアメリカの軍事的なプレゼンスは引き続き重要です。また、米軍基地の意義は改めて評価されます。
 アメリカの軍事的プレゼンス及び在日米軍基地の重要性は東南アジアの国々も認識しております。しかし、その重要性の認識はだんだん薄まってきました。この重要性の認識を忘れてはいけないと日本の指導者がよく我々にメッセージを伝えてきました。ここで若干のギャップがあるように私は感じます。歴史を振り返ると、東南アジアは、この地域で影響や利害の拡大を争った大国の間の争いから痛々しい教訓を得ました。また、隣国の間の紛争や対立という苦い教訓も学んできました。
 この二つの教訓から、一九六七年にASEANが設立され、その後もさまざまな努力や実績を重ねてきました。ASEAN自由貿易地域、AFTA、ASEAN地域フォーラム、ARF、アジア欧州会合、ASEM、ASEAN10というビジョンなどはその努力、またその実績であります。ASEANは多角的、マルチなアプローチや地域対話、さらに非軍事的なアプローチを追求していくと私は思います。ASEANは、大国間の覇権争い、隣国間の対立を回避することを目標にさらに努力していくだろうと思います。
 ASEANが日本に期待しているのは何でしょうか。ここで幾つかの点を取り上げて考えてみたいと思います。
 第一に、あらゆる分野、とりわけ日本の市場へのアクセスを改善するという点です。ASEANとASEAN各国の関係をさらに強化することを期待します。
 第二に、米国や欧州とバイラテラルな交渉をする場合、これはASEANを不利な立場にさせないことを期待します。
 第三に、ASEANのイニシアチブで始まった会合、例えばASEAN拡大外相会議、ASEAN・PMC、ASEAN地域フォーラム、ARF、アジア欧州会合、ASEMへの積極的な参加を通してASEANを支援することを期待します。
 第四に、日本はミャンマーの軍事政権に対して人権状況を改善するよう外交的な影響力を行使することを期待します。日本は、ミャンマーの指導者たちと個人的なつながりを持っており、かつては巨額の経済援助をしてきました。外の世界を見るために、ミャンマーから日本へ多くの研修生を招くことができるのではないでしょうか。また、研修生を東南アジア諸国に行かせることも考えられます。
 さて、ODAについて言いますと、ASEANは日本の経済協力から徐々に卒業してきました。幾つかの国は日本の円借款からも卒業させられました。ここで、私は幾つかの点を指摘しておきたいと思っております。
 第一に、南南協力、特に第三国研修計画をより強化することを期待します。
 第二に、一層の情報公開が必要だと思います。情報公開は、国内外での理解と支持をもたらしてきました。一層の努力はより理解と支持を得られるだろうと思います。
 第三に、社会開発、ソーシャルディベロプメントは経済開発に劣らず重要な要素だと思います。
 このために、基礎教育にもっと注意が払われるべきだろうと思います。また、日本のNGO及び現地NGOがもっともっと利用されることを期待します。
 第四に、シビルソサエティー、市民社会の成長は、民主主義の発展や国民の参加に大きな貢献をする重要な要因です。シビルソサェティーは、タイや幾つかの国の中心的な国家開発のコンセプトとなってきました。
 第五に、被援助国は将来援助国になるでしょう。それを励まし、支援するのがよいことだと思います。これは日本を含むすべての援助国にとって重要な課題であると思います。援助哲学にもなり得ると思います。この哲学が採用されますと、援助のスタイルに大きなインパクトを与えると思います。
 最後に、私個人の意見を少し述べさせていただきます。
 今日、日本の国会は二つの重要な法案を審議中です。一つはODA基本法、もう一つはいわゆるNPO法です。ODA基本法はこれまで何度か国会に提案されました。NPO法は現在の国会で審議されると聞いております。日本の国会の尊厳が今シビアに試されているのではないかという気がします。国会が成熟した民主主義のシンボルであることを示せるかどうか、二つの法案は納税者のODAに対する主導権、そして参加への権利に密接にかかわるものであり、これらの法案を通すかどうかに国会の見識が問われているのではないでしょうか。
 以上、簡単ですけれども、どうも御清聴ありがとうこざしました
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林田悠紀夫#4
○会長(林田悠紀夫君) ありがとうございました。
 次に、リム参考人にお願いいたします。リム参考人。
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リム・ホァシン#5
○参考人(リム・ホァシン君) ただいま御紹介賜りました中京大学のリムと申します。きょうは参考人としてお招きいただきまして、心からお礼申し上げます。
 私に与えられているテーマは、アジア太平洋地域の安定と日本への期待なんですが、きょう私、いろんな統計資料とか論文等々を用意させていただいて、諸先生方の手元に配られていると思いますが、きょうの限られた時間に詳細な紹介は無理だと思いますので、関心のある方は私の論文などを参照していただければ幸いでございます。
 私、きょうの報告はあくまでも簡単な、アジア太平洋地域と日本を関連させていただいて、一つのたたき台として議論の材料とさせていただきたいと思います。
 私のこれから申し上げます内容は四つに分けられています。まず第一は、アジア太平洋地域の安定と局地経済圏の形成について、二番目は、アジア太平洋地域の経済発展と日本の役割について、次はアジア太平洋地域の展望と日本の対応について、最後にアジア太平洋地域の安定と日本への期待について、簡単に紹介させていただきます。
 まず第一に、アジア太平洋地域の安定と局地経済圏の形成についてですが、御承知のように、今アジア太平洋地域においていろんな地域協力体制、いわゆる局地経済圏が形成されつつあります。北から環日本海経済圏、それから華南経済圏、両岸経済圏、バーツ経済圏、南に行けば三角成長地帯とか、そういうようないろんな局地経済圏が形成されつつあります。これは、この地域の経済発展の象徴だと思いますが、このアジア太平洋地域の安定がなければ、局地経済圏の発展は困難であると私は理解しております。この局地経済圏の一層の推進によって、この地域がますます安定の方向に向かっていくと私は期待しております。
 なぜアジア太平洋地域にいろんな局地経済圏が形成されるかといいますと、これは外部的な要因、つまり外圧と申しましょうか、それは北米のNAFTA、それからヨーロッパ諸国のEUに触発されて、一つの閉鎖的あるいは閉ざされた経済協力体が形成されて、じゃアジア諸国をどうするか、どう対応していったらいいかと。したがって、外圧によって、このアジア太平洋地域において協力していかないといけないというような機運が高まってきた結果によって、経済協力圏が形成されると私は理解しております。
 内部的に言えば、もちろん戦後五十年間以上アジア諸国が経済発展をなし遂げてきて、国際市場の開拓、それから地域経済の協力を強化していかなければいけない、そういうような需要も出てきて、したがって、いかにこの地域において投資、貿易、経済援助を強化していったらいいか。その結果として、この局地経済圏が生まれてきたと私は理解しております。
 私に言わせれば、これからアジア太平洋地域は基本的にはさっき申し上げました幾つかの局地経済圏の発展によって牽引されていく、発展していく、二十一世紀はアジアの世紀である、それは間違いないと私は理解しております。しかしながら、アジア太平洋地域においては経済発展のマイナス要因も潜んでいるということを否定できないじゃないかと。中長期的に見れば、人口爆発問題とか環境汚染問題とかあるいは資源不足問題などいろいろ議論されていますけれども、そういうような問題のほかに、私はまずこれから、アジアの経済発展が停滞あるいは失速するその要因はどこにあるか、諸先生方と一緒に考えてみたいと思っております。
 まず考えられるのは、一次産品の暴落です。御承知のように、ブルネイとかインドネシア、マレーシア諸国は石油とか天然資源の産出国ですから、一次産品の暴落はこれらの国に対する影響は非常に大きいと私は考えています。
 二番目は、外債累積の悪化の問題です。御承知のようにアジア諸国、とりわけ中国、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア諸国は日本から経済援助をもらっていますから、外債が累積して円高になって返済ができなくなってきているんです。最近、幸い円が暴落してアジア諸国も日本に返済した方がよろしいと、そういうような意見が出てきたんですけれども、今のところ結構日本からの円借款で外債が累積されているのが現状です。
 三番目は、先進工業国の景気の低迷に影響されて、シンガポールを初めアジア諸国の経済発展が失速していることは否定できないと思います。
 四番目は、国家、地域の紛争の悪化です。御承知のように、南沙・西沙群島主権問題とか、それから中国大陸と台湾の両岸関係の悪化とか、朝鮮半島の問題だとか北方領土の問題、尖閣・竹島問題等々が挙げられます。この国家、地域紛争の悪化によって、アジア各国の経済発展に支障が生ずる可能性も否定できないと思います。
 五番目は、政治不安定の問題です。これは、詳細に話をするつもりはないですが、民族の紛争、あるいはミャンマー民主化運動、天安門事件とかチベット独立運動、東ティモール独立運動、あるいはもっと重要なのは、政権の交代による混乱などによって生ずる政治不安定の問題です。例えばポスト鄧小平です。今の江沢民の集団指導体制が成立してこれから改革・開放政策を本格的に進めていけるかどうか、それも大きな課題だと思います。あとは、例えばインドのガンジー首相のケースもそうですけれども、朝鮮の金日成の政権移譲の問題とか、あるいはこれからインドネシアのスハルトがだれにいつ政権を渡すか。そういうような政権の交代によって混乱が生じるのだったら、やっぱり経済発展に悪影響を及ぼすという懸念を私は持っています。
 六番目は宗教問題です、これは顕著じゃないでしょうけれども。例えば、ヒンズー教とイスラム教の衝突、これはインドが一番顕著な例だと思います。その次は、フィリピン南部の回教独立運動とか、さっき申し上げました東ティモール独立運動も宗教と絡んできます。
 以上述べましたように、六つの要因がアジア太平洋地域の経済発展に悪影響を及ぼす可能性は非常に大きいと私は理解しております。
 次は、2の(3)なんですが、アジア太平洋地域の経済発展のプラス要因は何かです。
 よく言われていますように、アジア諸国の官僚政府の効率性とか、低廉な工農業原料、良質な労働資源とか土地改革、金融・為替改革、あるいは儒教思想、つまり勤勉倹約とか教育重視とか、人的資源の開発を重視する国が多くて、それはアジア各国の経済発展に寄与してきたと。これは総じて言えばプラス要因と私は理解しております。
 もっと重要なのは、アジア諸国はヨーロッパ、アメリカと比べれば貯蓄率が非常に高い、したがって国内の資本形成も重視されて投資率も非常に高い。これはプラスの要因にもなるし、逆に言えばマイナスの要因にもなりかねない。つまり、高い投資率、高い貯蓄率は国の資本形成、国内の投資に非常にプラスな要因であるんですが、逆に貯蓄率が高くて国内の消費が刺激されない、消費が低迷してしまうような可能性も出てくるんです。幸い、アジア各国、とりわけアジアNIES、韓国、台湾、香港、シンガポールなどは貯蓄率が高くて、国内の投資がうまく展開されて経済が発展してきた。
 と同時に、もう一点強調したいのは、低い福祉支出が指摘されております。アメリカ、ヨーロッパ、北欧のように福祉国家になって国家財政が圧迫されて経済発展が停滞してしまった経験を生かして、アジア諸国、とりわけシンガポールあたりは福祉の支出を抑えて国内の建設、インフラの建設に力を入れて発展してきた、そういうふうに私は理解しています。
 次は、アジア太平洋地域においていろんな局地経済圏が形成され、中長期的に見ればアジア各国は順調に、若干失速する時期も出てくるんでしょうが、基本的には順調に発展していくと私は理解しております。
 残念ながら日本は、さっき申し上げましたように、いろんな局地経済圏に資本投下、企業の進出がおくれているのが現状です。物理的に日本は環日本海経済圏のほかに直接には領土的につながっていないんですが、それはどうしようもないですけれども、問題は、アジア太平洋地域における局地経済圏の建設に日本は基本的には消極的、受け身的、あるいはちゅうちょする立場をとって非常に楽観できない状況にあるのではないかと私は見ています。
 次は、アジア太平洋地域の経済発展と日本の役割について報告させていただきたいと思います。
 これはレジュメの3のところです。
 第一は、アジア太平洋地域における経済相互補完関係についてですけれども、よく言われているように、アジア太平洋地域において三角関係が形成されている、日本、欧米それからアジアと。アジアに日本は入っていませんけれども、この場合はNIES、ASEAN、中国ですね。
 この三角関係をどうして強調したいかといいますと、日本の対欧米貿易は出超です。また、対NIES、ASEAN、中国も基本的には出超です。今度は逆に、NIES、ASEAN、中国の対欧米貿易は出超なんですけれども、対日本貿易は入超です。結果的に言いますと、NIES、ASEAN、中国の対欧米出超は対日本人超をカバーしていると。つまり、日本を除くアジア諸国の対欧米出超が成立しなければ対日本貿易の入超は成立しない、そういうような関係を理解していただきたいんです。
 つまり、アジア諸国は対欧米国際市場を開拓して輸出を促進してきたことによって輸出が伸びてきた、出超額は伸びてきた。しかし、日本とNIES、ASEAN、中国との関係は、後者にとっては不利であると。日本は貿易大国で、対欧米、対アジア諸国へも出超です。それで日本経済は成り立っている、そういうような相互補完関係を理解していただきたいと思います。
 次は、3の(2)のところなんですが、投資の推移と日本の関係です。
 簡単に言いますと、私が強調したいことは、日本はアジア諸国を一つの重要な迂回生産基地として対欧米市場を開拓してきた。と同時に、日本と欧米の貿易摩擦を回避するために、八五年以降、円高によって対アジア投資をふやしてきた。
 三番目は、日本の対アジア進出、対アジア投資の一つの重要な要因としては、特恵関税制度の適用です、GSPの適用です。日本からヨーロッパ、アメリカに輸出すると、そのGSPにひっかかっちゃいますが、アジア諸国から輸出すれば特恵関税制度が適用されると。そういうようなメリットを享受するために日本はアジアに本格的な進出を展開してきた。
 第四点は、アジア各国の市場の開拓です。NIES、ASEAN、中国の市場、地域市場を開拓するために日本資本が言うまでもなくアジアに進出するようになってきた。
 最後に、労働資源の確保のために、八六年から九〇年、つまり九一年のバブル経済が崩壊するまでに日本は本格的な対アジア投資を展開してきた、こういうような推移を理解していただきたいと思います。
 ここで一つ強調したいことは、日本のアジアNIESに対する進出、それは基本的には資本集約産業が展開してきた。しかし、NIESは生産コスト、賃金が高騰することによって、今度はその日本の対NIES投資がNIESからASEANへと移動していく。今度はASEAN諸国の生産コストが高騰して、日本の対ASEAN投資も徐々に中国あるいはベトナムヘ、ベトナムはASEANに入っていますけれども、ASEANから中国へと移行していく、基本的にはこういうふうに理解していただきたいと思います。日本の資本集約産業はNIES、労働集約産業はどんどんNIESからASEANに、これからは中国を中心に展開していく可能性は非常に大きいと思います。
 次は貿易の推移についてですが、さっき申し上げましたようにNIES諸国は八九年一月からGSPが、特恵関税制度が撤廃されて、GSP喪失によって日本はこれからシンガポール以外のASEAN諸国に投資しなければいけない。しかし、いわゆる準NIESのマレーシアとタイもこれからGSPの資格を喪失していかざるを得ないですね。とすると、日本は対中国投資をいかに展開して、GSPを十分に享受するために対アジア投資を強化することによって欧米市場を開拓していくかが大きな課題だと思います。もちろん、日本のアジア進出は逆輸入も促進しなければいけません。これは後ほど少し詳細に述べるんですけれども、対アジア投資をふやすことによって内需を拡大、市場を開放してアジアからの輸入を促進していく、これも非常に重要な課題だと思います。
 次はODAの推移なんですけれども、基本的には日本の対世界各国の援助はアジアが中心ですが、中国、インドネシア、フィリピンなどが日本のODAのレシピエンスとなっています。さっきの報告にもありましたように、いろいろODAの抱えている問題があるんですが、いかにアジア各国の環境保全のために日本のODAが活用されるかが大きな課題であると同時に、インフラの整備も非常に重要ではないか。とりわけ中国は、改革・開放政策によって経済発展がなし遂げられてきたんですけれども、沿海地帯のみならず、とりわけ内陸部のインフラがほとんど整備されていません。つまり、インフラの整備は中国の経済発展と並行して発展してきていないので、日本はこれからのODA援助でアジア、中国にしろインドネシア、マレーシア、各国の産業インフラの整備に大いに貢献してもらいたいと思います。
 次は五番目、3の(5)なんですが、アジア太平洋地域の成長と日本経済の。パフォーマンスです。
 アジアから見れば日本はアジア太平洋地域の経済発展の牽引車になれるかどうか、アジア経済を引っ張っていく力を持っているかどうか、牽引車としての役割、機能を日本に果たしてもらいたい。日本は果たしてそういうような機能、そういうような役割を果たせるかどうかが大きな問題ですね。しかしながら、バブル経済が九一年四月に崩壊してから六年二カ月たったんですけれども、日本の国内の経済はまだ低迷しており、日本経済のパフォーマンスは近い将来余り期待できないと私は悲観的に見ています。したがって、私に言わせると、近い将来、日本はアジア太平洋地域の経済発展の牽引車としての役割は余り期待できないんじゃないかと危惧しております。
 次に、4のアジア太平洋地域の展望と日本の対応に移ります。
 御承知のように、アジア太平洋地域は空前の勢いで政治、経済、社会、外交、軍事が急激に展開されていると思います。しかしながら、日本はアジア太平洋地域の急激な展開の対応に戸惑っているように見えるんです。経済大国に見合った日本の政治的、外交的、あるいは技術的な姿勢が鮮明に打ち出されていないんじゃないかという側面があるのではないかと。
 一つの例としては、今、ASEAN七カ国なんですけれども、ことし、うまくいけばミャンマー、ラオス、カンボジアが加盟してASEAN十カ国になっていくんでしょうけれども、日本とASEANとの関係はそれほど緊密ではない。また、ミャンマーの参加によって、国内の民主化運動の問題で日本もちゅうちょして、ヨーロッパもそうですけれども、人権問題とか民主化運動問題がいろいろ紛糾して、日本のミャンマーに対する姿勢がはっきり打ち出されていないんじゃないかと。そういうような問題を抱えているので、これからASEANが七カ国から十カ国へ会員数をふやしていく中で、日本がどういうような政策をとって、どういうふうに対応すればよいかが大きな課題となってくると思います。
 次は、4の(2)の不確定要因と日本の対応です。
 これは、レジュメに書いてありますように、北方領土問題、尖閣、竹島、チベット独立問題、中国の核実験、天安門事件、それからミャンマー民主化運動、東ティモール独立運動などが挙げられます。
 これに対する一つの例としては、中国の天安門事件について言えば、ヨーロッパ、アメリカは直ちに中国に対する経済制裁を行ったんですけれども、当時の鄧小平さんは、斎藤新日鉄社長だったと思いますが、を通じて当時の海部内閣に頼んで、中国の民主化運動を理解してもらって、国権、国家の権利が重要なのかあるいは学生の権利が重要なのか、社会の安定、国家の安定が重要なのかをちゃんと理解してもらって、日本は欧米とやや違った立場をとって、中国に対する経済制裁は行われませんでした。そういうふうに、天安門事件についてどういうふうに評価をするかはまた別な問題ですけれども、日本は場合によっては独自の外交路線を展開する必要もあるんじゃないかと思います。
 4の(3)に移りますけれども、華人経済の急発展と日本の話です。
 中国大陸の中国人の人口は十二億五千万ですけれども、それを除いて、台湾の二千万、香港の六百万、それからアジア各国の二千万以上の華人人口を入れて、中国大陸以外の五千万以上の華人が戦後いろんな商業活動に従事して成長してきた。
 華人資本が強力な華人財閥としてアジア太平洋地域のみならず世界に君臨してきた。もちろん、調べてみれば華人財閥は日本企業のよきパートナーとして成長してきた、そういうような華人財閥も少なくない。今のアジアNIES、ASEAN、中国への投資を見てみますと、華人の役割、華人経済の役割は非常に大きいと、それを理解していただきたいのです。
 もっと正確に言えば、例えば華人資本の対中国投資は非常に日本企業の強敵となってきた。日本の対中貿易、対中投資を見てみますと、近年、香港を中心とするNIESに凌駕されている、これはアジア各国の華人資本が非常に速いスピードで対中国投資を展開してきたと。もちろん、福建省とか広東省、そういうようなところに台湾、香港を中心とする華人資本がどんどん進出して、日本が取り残されているというふうに私は理解しています。
 4の(4)のアジア太平洋地域における中国の急浮上と日本なんですが、中国は一九七八年以来、改革・開放政策を推進して既に二十年経過してきました。最初の十五年間は鄧小平氏の積極的な指導により展開されたんですが、その後の残りの五年は主に江沢民の指導で開放・改革政策が推進されてきたんです。二月十九日に鄧小平さんが亡くなられて、基本的には、中国では江沢民を中心とする集団指導体制が確立されて、これからも開放政策、それからいわゆる社会主義市場経済を推進していくに違いないと思います。
 中国はこれからどんどん発展していくと見る人が圧倒的に多いです。スタンフォード大学のクルーグマンさんみたいに消極的に中国経済を分析している人もいるんですけれども、中国は、資本と労働の総動員によって経済が無理やりに発展させられてきたというふうに理解されているんですが、しかし例えばハーバード大学のボーゲルさんは、これから中国の経済は二十年から三十年の間に一〇%の高い成長率を維持していくんじゃないかと楽観的に分析しているんです。一〇%になるかどうかは知りませんけれども、中国は結構高い成長率を維持して経済発展を進めていくことは間違いないと私は見ています。したがって、中長期的に見れば中国は間違いなく経済大国になると私は見ています。
 中国は今、経済がおくれていますけれども、しかし、中国は既に日本よりもアジア太平洋地域において政治、軍事、外交の発言力を持っています。日本は経済大国ですけれども、しかし外交、政治的な発言力は中国とは比較できないと私は見ています。日本はどういうふうに対応していけばよいのか、これも非常に大きな課題だと思います。
 中国とアジア諸国は、ASEANを中心に友好関係、外交関係を樹立して、緊密な協力体制を構築してきたのですけれども、それは人権問題、民主化運動問題あるいは中国のWTO加盟問題、EAEC問題を見てみますと、中国とアジア諸国との関係は日本よりもはるかに緊密であることは否定できないと思います。
 最後になりますけれども、5のところ、日本への期待なんですけれども、簡単に言いますと、自主外交の確立と推進が重要であると。詳細については後ほど質疑応答で議論すればよろしいと思いますが、二番目は、規制緩和と市場開放による逆輸入の促進です、これは国際貿易ですね。御承知のように、日本とアジアNIES、ASEAN諸国との貿易は基本的には垂直貿易なんですけれども、アジアNIES諸国、ASEAN諸国がどんどん発展、成長していけば、これから工業製品を中心とする輸出がふえてくれば日本との貿易関係は垂直よりも水平貿易の方向へ持っていきたい、そういうような強い期待をしています。
 三番目は、5の(3)、すそ野産業の育成に協力してほしいと。日本の中小企業も、結構進んでいる優秀な技術を持って、これから円が高くなれば親会社、大手企業に付随してどんどんアジアに進出していって、アジア各国の中小企業、すそ野産業との協力を通じて、技術移転、経営ノウハウの移転によってアジア各国のすそ野産業が育成されていくことを私は期待しております。
 5の(4)ですけれども、日本の援助です。日本政府がアジア各国の民生の向上に直結するように展開してほしい。よくアジア各国の官僚、政治家が着服するとか、あるいは日本のODAはアジア各国の国民生活の向上に直結していないんじゃないかと、いろいろ問題がありますが、これから、環境の保全とかインフラの整備も重要なんですけれども、いかに日本の経済援助がアジア各国の国民の生活の向上に寄与できるか、それは課題として残されます。
 以上、かいつまんでアジア太平洋地域の経済発展を吟味、分析しながら、日本は経済大国として軍事力を伴わない政治大国、あるいは外交を積極的に展開してアジア太平洋地域のいろんな局地経済圏の形成に寄与して、この地域の経済発展に積極的な役割を果たしてもらいたい、そういうふうに考えております。
 以上、かいつまんで申しわけないんですけれども、私の御報告とさせていただきます。
 御清聴どうもありがとうございました。
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林田悠紀夫#6
○会長(林田悠紀夫君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑を希望される方は挙手を願い、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。
 なお、参考人には質疑に際しましても日本語で御発言いただくことになっておりますので、質疑を希望される委員は要領よく明快に行うようお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
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山本一太#7
○山本一太君 どうも大変示唆に富んだ御講義、両先生ありがとうございました。簡潔に御質問させていただきたいと思います。
 プラサート先生が、冷戦後の社会においても経済協力の必要性というのは少しも程度が下がらない、すなわち日本のODAの重要性についての趣旨のお話をされたんですけれども、その中で、最後にODA基本法のことをおっしゃったと思うんです。このODA基本法はアジア諸国から見てどういう重要性があるのか、すなわち、日本がODA政策を進めていく上でこの基本法をぜひとも援助の哲学としてつくってほしいと。そういうことについてプラサート先生とリム先生、両先生のコメントがあれば言いただきたいと思います。
 もう一点はASEMのことでございまして、私はずっとASEMに大変興味を持っているわけなんですけれども、ASEMのフォローアップということで、スイスで行われているいわゆる世界のリーダーを集めたダボス会議というのがあるんです。このダボス会議のミニダボス版ということで、たしか一週間後ぐらいに宮崎で、ASEANそしてヨーロッパの各国、三、四十カ国の若手の政治、経済、文化人、そうしたリーダーを集めてのシンポジウムが行われるというふうにも伺っておるわけでございますけれども、アジア地域協力体、すなわちアジアの地域間協力、そしてヨーロッパの地域間協力、この二つはこれからどのように協力をしていけるのか。
 すなわち、例えばASEAN、ARFといった地域の枠組みとEU、ヨーロッパはまさにEUの統合に向かって進んでいるわけですけれども、EUとかNATOとか、そういったアジアとヨーロッパとの地域間の協力関係というものは将来どういう方向に向かっていくのか、あるいはどういう姿であるべきなのかということについて、お二人から簡潔にコメントをいただければと思います。
 以上、二点についてお願いいたします。
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プラサート・チチャイワタナポン#8
○参考人(プラサート・チチャイワタナポン君) 山本先生、ありがとうございます。
 ODA基本法がもしできますとすれば、どういうような理念、どういうような内容が望ましいかという御質問だと思います。
 一つは、情報公開を徹底的に行うこと、これはとても重要だと思います。情報公開を通じて国民の理解、支持が得られますし、また被援助国の方もその理解を深めることができます。今まで外務省の方はかなり努力をしてきましたけれども、円借款を管理する大蔵省などが非常に門戸をあけていないというような印象を受けました。
 情報公開にさらに努力することは、多分行政側がやるんですけれども、しかしその法律ができることによって国民を代表する国会が主導権をとり、また国民の参加権利が認められる、そういうシンボリックな意義を持つという気がします。また、そういう情報公開がされますと、図書館、国会図書館で国民のどなたでもアクセスできる、そういう国民の理解、さらに支持が得られるというメリットが一つあります。
 もう一つは、社会開発の理念、ソーシャルディベロプメントの方の重要性をもう少し強調すべきと思います。多くの開発途上国は、官僚が腐敗した国もありますし、またその効率性が余りよくない国も多くあります。GツーG、政府間の協力が十分に国民にメリットを及ぼさないところが多い。そこで、日本のNGOでも現地のローカルNGOでも、そこを使って社会開発に力を入れること、これも一つの革命的な意義があるという気がします。
 ODA基本法は、その内容はいろいろ議論をされていくと思いますが、シンボリックな意味があると思っています。行政側がこれを余り歓迎しないのは理解できますけれども、しかし、役人の皆さんが、例えば外務省、大蔵省、JICA、OECFの立場を離れて個人個人、一人の国民としてそういう立場に立ちますと、このODA基本法を大いにサポートするんではないかという気がします。
 この国会は国民の信頼と関係しますけれども、日本の国会の本会議を傍聴したことがありますが、まだ開かれた国会という印象は余り感じていません。スウェーデンの国会ですと国会議員の先生の紹介がなくてもだれでも自由に入れます。そこで一つの感銘を受けたのは、高等学校までにみんなが少なくとも一回は国会見学に来てもらおう、そういうスウェーデンの国会の目標、その努力があって国民とギャップのないような開かれた国会、そういうような国民の支持が得られないと行政側の説得に引っ張られていきやすいという印象を受けました。
 ODA基本法はこれくらいにしておいて、ASEMの方ですけれども、アジアとヨーロッパとの関係、どういうような形が望ましいかという御質問ですけれども、一つは価値観の問題だと思います。ヨーロッパ先進国の方は、人権などをスタンダードが高い普遍的なものだと見ています。しかし、アジアの国々の方はおくれていることは事実です。それを認めながら、ヨーロッパの国々の理解も得られるような対話が必要だと思います。
 例えばミャンマーを一例にしますと、八八年から今日まで十年間、日本は開発援助をほぼ凍結してきました。これは、ミャンマーにとっては決していいことではありません。少なくともミャンマーの研修生、年に十人、二十人じゃなくて百人、五百人、千人以上日本に来てもらおう、いろんな教育の面、経済社会開発などの研修を受けて、またアジアの国々をもっといろいろ見ていただいて、外の世界を見るチャンスを与えることはミニマムだと思います。ヨーロッパ、欧米諸国の方は、ミャンマーのSLORC政権を認めませんから、こういうような対話が一つの議題となると思います。
 今度ミャンマーは、ことしの七月に恐らくASEANに加盟すると予想されます。これもまた問題になります。ASEANは拡大外相会議があって、そこにEUの代表が出席し、アメリカ代表も出席します。ヨーロッパの方はミャンマーのSLORC政権を認めませんから、ミャンマーがASEANに加盟してはやっぱりASEMも困る、こういうようなジレンマに直面します。これをどういうふうにするか。私の意見としては、開発援助を人権侵害で凍結するのは真剣に考えなければいけない。ミャンマーの経験を見て十年間は決してよくはなっていないです。できるだけそこの政府の役人もたくさん、岩倉使節みたいに世界を見てもらう、そういうような努力が必要ですし、またヨーロッパの方にも説明する努力が必要だと思います。
 もう一つは、ヨーロッパの方の工業発展はアジアの国々よりも百年早くなし遂げてきました。そこで、ポスト産業社会の問題など非常に豊富な経験を持っています。環境保全または高齢化社会、豊富な経験を持っているんです。アジアの国々はヨーロッパから学ぶチャンスだと思います。
 そこで、いろんな環境基金とか社会開発計画などの計画を立て、またファンドをつくってそこで運用していく、これは非常にいいチャンスだと思います。日本は恐らくその真ん中にあると思います。ヨーロッパの方にもちょっと近い、アジアの方にもちょっと近い、重要なかけ橋の役割を果たせるのではないかと思います。
 アジアとヨーロッパの会合、今度日本の宮崎で開かれることはとってもいいと思います。三十四カ国の出席者、また幅広く政治家、財界人、文化人なども出席して、このASEMもぜひ活発化していくことを大きく期待します。
 以上です。
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リム・ホァシン#9
○参考人(リム・ホァシン君) 第二点について若干補足させていただきたいと思います。
 ASEANとEUとの関係です。それはASEMに象徴されているように、非常に緊密になっていきつつあります。EUから見れば、アジア太平洋地域、とりわけNIES、ASEANの市場それから投資を非常に重要視するようになってきた。ヨーロッパ諸国は、日本の報道ではないですけれども、やっぱり経済が非常に低迷しています。失業率について言えば二けたでしょう、ドイツ、フランス、非常に深刻です。EUで貨幣が統一されて、これからいかに発展していくか疑問視されているんです。ヨーロッパは非常に困難に直面しているので、いかにアジアとの交流、アジアとの貿易、アジアに対する、とりわけASEANに対する投資をふやしていったらいいか非常に真剣に考えられるようになってきたんです。したがって、シンガポールのゴー・チョクトン首相が提案したASEANとEUとの首脳会議にすぐ賛成されて、定期的に行われることになっています。
 ASEANから見れば、政治的あるいは軍事的に見れば、アジア太平洋の真空をだれが埋めるかです。アメリカがフィリピンから撤退して、アジアの安全と平和をだれが守るか。ASEAN諸国が非常に危惧しているのは何かといいますと、アジア太平洋にアメリカのかわりに日本が出てくることを歓迎しません。かといって中国が出てきたらそれもまた反対します。インドも警戒されています。あくまでもアジア太平洋地域において力のバランスが保たれて、アジア諸国は平和的に経済建設を進めていくことが一番望ましいですからね。
 では、どうすればいいかです。御承知のように、日本もそうだったんですけれども、NIES、ASEAN諸国はアメリカというような大きなマーケットが存在して、アメリカに引っ張られて成長してきた。八五年以降、日本たたきそれからアジアNIESたたきによってNIES、ASEAN諸国の対米輸出が抑制されて激減してきた。アジア諸国、とりわけNIES、ASEANはこれから国際市場を開拓していかなければいけない。EUは閉ざされている。それは困る。したがって、どうしてもEUと定期的な会議を行って、EUとの協力、提携を強化していかなければいけない。それは経済的な配慮であると同時に、アジア太平洋地域の真空を配慮してヨーロッパの力をも入れておく、そういうように総合的に判断して、ASEAN諸国を中心にヨーロッパ諸国との交流を深めてきたと私は見ています。
 問題は、さっきプラサート先生も御指摘されたように、ASEAN十カ国が成立すれば、今懸案のミャンマーの問題をいかに解決するか。ミャンマーの人権問題民主化運動の問題です。ヨーロッパはやっぱり抵抗していますからね。それを若干互いに譲歩をして、棚上げして、今ASEAN諸国はEUを説得して、うまくいくかどうか知りませんけれども、一つ象徴的な出来事としては、最近スハルト・インドネシア大統領がミャンマーを訪問した、これは異例の異例ですけれども。つまりASEAN諸国は、ミャンマー、それからラオス、カンボジアも加入して拡大されたASEANの国際的な地位、発言力を強めていくと。インドネシアも自分の問題がありますね、東ティモール問題で。EUもポルトガルなどは非常に批判的でインドネシアと紛糾しています。
 ASEAN諸国においては、ミャンマーの問題、東ティモールの問題それから人権の問題低賃金労働の問題、いろいろ重要な懸案となっています。これをいかに解決すればよいか、これをうまく解決すればASEANとEUとの関係が一層促進されていくに違いないと思います。
 以上です。
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山本一太#10
○山本一太君 ありがとうございました。
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直嶋正行#11
○直嶋正行君 両先生、本日はどうもありがとうございます。
 私は簡単に二問お尋ねしたいんですが、まず最初にリム先生にお伺いしたいんですけれども、先ほどアジア太平洋地域の成長と日本経済の。パフォーマンスというお話の中で、日本経済の。パフォーマンスについては悲観的に見ている、アジア太平洋における経済の牽引車にはならないんではないかというようなコメントがあったように思うんです。これは今、日本経済は芳しくないと思うんですが、例えば中長期的に将来を見通してこのような御見解を言われた面もあると思うんですけれども、もう少しこの部分について、どういう理由でそのようにお考えになったのか詳しくお聞かせをいただきたい、これが第一問であります。
 それから、二つ目ですが、これはプラサート先生、リム先生お二人の御見解をお伺いしたいんです。
 以前にこの調査団がタイの方に訪問されましたときのプラサート先生とのやりとりをちょっと読ませていただきました。その中で、プラサート先生は、例えばASEANの会議なんかでも日本の外務大臣とタイの外務大臣とは違う言葉、異なる言葉をしゃべっていると。日本は口を開けばアジア太平洋と、それからタイの方はASEAN、アジア、こういう視点だと。だから、そこにずれがあるといいますか、違う言語で会話している、このことは非常によくないという御指摘でありました。
 それから、今のお話の中でも、どうも日本というのはいわゆる日米とASEANの間に立って非常に態度があいまいだという、特にこのASEANの安全保障であるとか経済の問題に関してこういうコメントがございましたし、リム先生の御報告の中にも似たような感じがあったと思うんです。
 ただ、これはひとつ日本の立場から今度は申し上げますと、お二人もいみじくも御指摘されましたように、今ASEAN地域よりも北東アジアといいますか、これは朝鮮半島の問題もありますし、中国の両岸関係その他いろんな紛争要因といいますか、そういうものがあります。そういう状況で考えると、やはり日本という立場から見ると、日米同盟といいますか、これはやはり最優先せざるを得ない。もちろん、戦後五十年間の経済関係ということも背景にあると思うんですが、最優先をせざるを得ないと思うんです。
 その中で、今お二人からいろいろと御指摘のあったASEANの経済発展なんかに寄与していこうとすると、どうしてもASEANの側から見ると中途半端だという立場に立たざるを得ない面も私はあるんじゃないかと思うんです。そういう意味でいうと、日本は何をやればいいのか。片方に日米関係と、こういう重要なものがあって、もう一方で確かに発展するアジアという大きな課題があって、その中で日本は何をやればいいのか。
 さっきお話のあったようなODAだとかそういうものに関して申し上げますと、これは継続努力をしなきゃいけないと思うんですが、もっと大きな枠組みでやはり日本がアクションを起こしていくというのはなかなか難しいんじゃないかと思うんですが、この点についてもう少しお二人の所感をいただければ大変ありがたいと思うんですけれども。
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リム・ホァシン#12
○参考人(リム・ホァシン君) まず第一点、日本はアジア太平洋地域の経済発展の牽引車になれるかどうかです。私は悲観的です。少なくとも二年間は、技術移転、資本の海外直接投資、国際貿易、いろんな面において日本はアメリカの五〇%ぐらいの牽引車としての役割を果たすことしか期待できないと見ています。
 御承知のように、さっきもお話をいたしましたように、アジア地域、NIES、ASEAN諸国は、大きな日本、ああいう大きなアメリカのマーケットがあって、レーガノミックスのように双子の赤字で外国の輸出を促進してきたので、アジアNIESが成長してきた。しかし、財政赤字と貿易赤字を抱えているアメリカには、これ以上日本、NIES、ASEANを牽引していく力がなくなってきているというふうに理解しています。
 アメリカにかわって日本はこの地域の経済発展に、この地域の輸出を垂直から水平へ大量に吸収する能力、包容力があるかどうかは、それはないと思います。
 なぜかといいますと、今、日本国内は大量生産と需要減、価格破壊という表現も出てくるんですけれども日本人の必要とするものはほとんどないです。たくさん生産されても消費されていないですね、消費を促進して国内市場を拡大していく力を持っていないですから。これから規制緩和とか市場開放を本格的に進めていくことによって国内市場を開放しない限り、逆輸入、つまりアジア各国から大量に工業製品を輸入する条件を持っていないと思います。もしそうだとすれば、日本はアジア太平洋地域のアブソーバーとしてあるいは牽引車としての役割を果たせないじゃないかと、私は悲観的に見ています。
 次は、日本の外交政策があいまいじゃないかというような御指摘なんですが、おっしゃるとおりです。アジアから見れば、ASEANから見れば、日米安保条約のこともあるんでしょうが、日本には独立して外交政策を展開することは余り期待されていないですね、これはアジア各国も問題があると思いますけれども。一方においては、日米安保条約でアジア太平洋地域の平和と安全が保たれてアジア各国の経済発展が可能だと感謝している気持ちもあるんです。他方においては、日本とアメリカは同盟国となって極東有事、とりわけ中国と韓国が非常に敏感に反応して、これはアジア太平洋の平和よりも日本が対外的に何か意図があるんじゃないかというふうに見ている国もあるし、戦後、日本に対する不信感に包まれて、日本とアメリカとの軍事協力に不信感を持っている点も否定できません。したがって地域協力、軍事じゃなくて他国との協力体制をつくってそれに取ってかわった方が、日米安保条約よりもASEAN諸国が推進してきた中立、非同盟政策に積極的に参加して、この地域における多国間の協議によって安全保障を考えて、日本が積極的に乗り出した方がよろしいのではないかと私は見ています。
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プラサート・チチャイワタナポン#13
○参考人(プラサート・チチャイワタナポン君) 直嶋先生の御質問はうちのアジアの国々でもよく議論します。私は日本に留学したことがあって、日本社会でアジアとの関係はその難しさを実感しました。
 一つは、日米関係の方が非常にウエートが重くて、北東アジアには緊張や衝突の可能性のある諸問題などがたくさん残っていて、冷戦が崩壊しても緊張やいろんな問題がそのまま残っている、それは理解します。安全保障の面では、アメリカの軍事的なプレゼンス、また在日米軍基地の重要性は改めて必要だとは理解できます。しかし、安全保障の面だけじゃなくてあらゆる面にわたってアメリカの位置、そのウエートがアジアとの関係よりもずっと大きくて、それが問題だと私は思います。日米関係と日本とアジアの関係の二つの柱を立てておいて、その両方とも大事だという認識がまず必要だと思います。
 日米関係の方にウエートを与え過ぎている例はたくさんあります。例えば文化交流の面は、国際交流基金の中に日米センターがあるんですね。また、ASEAN文化センターがありました。後ほどアジアセンターに名前を変えてちょっと改造してきましたが、日米センターの方の予算が非常に大きい。例えば、九四年の日米センターの予算は当時のASEAN文化センターよりも十倍多かった。今日、ASEAN文化センターはアジアセンターに変わってきました。例えばことしの予算を見ても、日米センターの方は二倍多いです。文化交流の面も非常にアメリカの方にウエートが重い。日本はちょっとアメリカには弱いということは、我々アジアの人々はよく意識します。
 これは難しいことですけれども、日本の将来はアジアにもある、アジアの国々の繁栄、安定及び日本との友好関係が大事だという認識はもっともっと再認識してほしいという期待です。まず、日本はアジアだ、日本はアジアの一員だ、ユー・アー・ジャパニーズエイジアン、あくまでもアジアだという認識です。
 アジアとのつき合いは難しい、その点は理解できます。戦争責任を厳しく追求したり、非常に厄介なこと、また日本の事情の理解も不十分、その点は確かにあります。しかし、これを乗り越えるのは一つのチャレンジです。うまくこのジレンマを乗り越えられた人の中で、故大来佐武郎先生の名前を取り上げたいと思います。
 大来佐武郎先生は戦前、青年時代、アジアの理念に燃えて、その世代は非常に理想主義者時代の人々で、戦後このジェネレーションの日本人がアジアとの友好関係のきずなをつくったんです。議論をするよりもアクションでそういうアプローチをとられてきたわけです。大来佐武郎先生の偉大な遺産は、今日のAPECの基盤となったPECCの仕事をずっとされてきた。アジアの人々と一緒に仕事をされる過程でフレンドシップ、友好関係が生まれてくる。いろんな計画を立てて一緒に仕事をする、アジアのために何かをやろうと。そこで一緒に仕事をしながら友好関係が生まれてくる。そこで大来佐武郎先生のジェネレーションの貢献が大きい、また尊敬されています。
 結局、アジアは一つの大きな柱であるという認識、日本がアジアの一員だという認識、そこで何かアジアのためにやろうという決意、これは行政側だけじゃなくて、政党の皆さんもできると思います。国の代表者が座られる各政党、自民党から共産党までがアジアのために何かをやろう、一つのアクションをとりたいと。奨学金制度にしろスラムの貧しい子供の教育、そこの奨学金、移動図書館の書類の提供など、少し記念になるようなことを各政党もでき、そのアクションを通じて日本はその厄介なことを乗り越えられ、また感謝され友好関係が生まれてくる。
 これはちょっと各政党に対して一つの期待ですけれども、ドイツの政党は非常にアクティブで、行政の方とともに政党がいろいろ財団をつくって
 一つのいいことを残しておきたいと。日本ではちょっと顔が見えない。各政党のミッションは、例えばタイのスラムの視察は恐らくしたことがないと思います。何らかの形で一つの貢献を見つけること、そこで理解、尊敬が生まれてくると思います。
 ちょっと長くなりました。
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大脇雅子#14
○大脇雅子君 社会民主党の大脇でございます。
 お二人の先生から示唆に富むお話をいただき、心から御礼申し上げます。
 プラサート先生は、昨年、東南アジア諸国を訪問した国際問題調査会のメンバーによる海外派遣議員団に対して次のような発言をなさいました。
 我が国のODA大綱の中に、経済社会発展の恩恵を余り受けていない社会層に重点を向けるということを経済協力の理念としてはっきりと入れるべきではないかと。きょうも市民社会への貢献で援助の哲学というものをしっかり持ってほしいと言われました。また、リム先生も、環境とかインフラの整備ということで、明快な人権のスタンスを持ったODAというものが必要だと言われました。
 私もフィリピンの人たちと話したときに、例えば大きいはしご車よりも小さな町々にポンプ車を、そして、大きな病院よりも各地域に小さな診療所をという要望を受けました。NGOも支援をしているけれども、最後はピープルズオーガニゼーションというんですか、POの自立の支援というものを視野にして、まさにそこに生きるODAをというサジェスチョンを受けたことがございます。それで、具体的にいわゆる日本の顔が見える二十一世紀の技術協力のあるべき姿について、お二人の先生にお尋ねをしたいと思います。
 もう一つは、今おっしゃいました日米の安保条約というものと、いわば対等な形で多国間安保の方に軸足を移すべきではないかという御意見がありました。
 私はやはり、例えばCSCEが果たしているような議員のフォーラムというか会議というものがアジアにできないかと。そうすれば、いわゆる人権概念とかあるいは民主主義とかさまざまなアジアの問題に関しても対話のいわゆる基盤整備の中で信頼醸成ができていくのではないか。そして、各国がその自立と連帯という考え方でアジアの新しいそうした関係というものの構築ができるのではないかというふうに考えているものでございます。
 この点について、いわゆるアジア版CSCEのような議員レベルにおけるそうした対話の可能性というものの構想について御意見を、コメントをお尋ねいたしたいと思います。
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プラサート・チチャイワタナポン#15
○参考人(プラサート・チチャイワタナポン君) 大脇先生の御質問、ありがとうございました。
 確かにODA理念は、今のODA大綱ができたのは九二年で、その前のODA四原則は九一年の四月だと思います。湾岸戦争の直後に慌ててつくった原則だと思います。今、顧みて五年間たちます。それを見直すことは、大脇先生のおっしゃったことに全く同感です。世界の一つの大きな流れですから、これも日本の行政家はもう敏感ですから、それを引き受ける可能性もあるという気がします。
 経済インフラは重要ですけれども、社会インフラの方、基礎教育とか、または余り日の当たらない社会層の方、工業化の過程でちょっと犠牲になる社会層の方に重点を置くことはこれは不可能でないと思います。そういうような努力も今見られています。
 例えば、外務省は三つの援助、支援計画を持っています。日本の援助もローカル援助も、これを使って小さな図書館、スラムまたは村の至るところまで、小さいですけれどもこれが非常に喜ばれて感謝をされる。また、人と人とのつながり、援助の皆さんがもっとリラックスして周りの人々と人間関係ができる。政府と政府ですと、官僚と官僚の方はちょっと態度がかたくて、ガードがかたくて、そこで若干緊張があるので、そこのメリットは大きいと思います。全く同感です。
 もう一つ、CSCEのような構想の可能性ですけれども、今ASEANの国々の政府が望んでいるのは多角的、マルチラテラルなアプローチですね。多国間じゃなくて多角的なアプローチで、ARFは北朝鮮を入れますと、これもほぼアジア太平洋のCSCE版だと思います。実は去年七月の会議のとき、一番長い時間議論されたテーマは北朝鮮問題だと聞きました。ARFの場で、東南アジア地域じゃなくてアジア太平洋地域全体をカバーする、また人権問題も北朝鮮問題もいろいろ議論されます。
 ASEANは、こういうような場をつくって、これをだんだん拡大していく。多分ことしの会議で北朝鮮の代表者が招かれると思います。去年二時間くらい朝鮮半島問題を議論した際、北朝鮮の代表者が出席しないままでちょっとぐあいが悪かったと思います。出席した方がいいと思います。
 議員レベルの場の話ですけれども、実はタイの外務大臣は九五年のASEAN拡大外相会議で提案しました。ASEANの会合は国民の代表も入れるべきと提案しました。しかし、シンガポール、インドネシアなどから冷たい反応を受けて廃案にしました。去年、もう一回タイの外務大臣が提案しました。国民の代表のような立場を持つ人の参加も提案しました。今回は若干小委員会レベルで議論されていきます。その提案はASEANだけですね。ARFの場でも議員、国民の代表の出席、これもこれからまた議論をされていくと思います。
 日本政府がこれをサポートしたかどうかは自信がありませんが、日本政府がこれをプッシュすれば、ASEANの幾つかの国も積極的にやりましょうという国が出てくると思います。少なくともタイ政府はもう二回提案してきました。
 以上です。
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リム・ホァシン#16
○参考人(リム・ホァシン君) 今、御指摘された二つの点に私も全く同感です。あえてつけ加えさせていただきますと、第一点に、病院よりも地方の農村にクリニックをたくさんつくった方が国民の保健、健康に寄与できる、そういうような援助の方がよろしい、それも全く同感です。
 近年、DACの対開発途上国の政府援助も減ってきたんです、景気低迷で。日本も期待されるような金額のODAを国会で配分されていない。にもかかわらず、日本のODAは過去五、六年間世界の一位を占めているんです。国民一人当たり一万円以上の税金でどうして開発途上国の援助をしなければいけないか、日本の国民一般も不平不満もあろうかと思いますが、援助される側から見れば、国民の生活の向上、経済の発展に寄与できるようなODAを歓迎すると。
 強調したいことは、今アジア諸国において経済発展が進んでいるんです。しかしながら、インフラの整備が並行して整備されていないから、環境汚染問題がいろいろ出てくるんです。これからも経済発展と並行するようなインフラ、産業のインフラの整備、それは橋梁、道路、発電所等々、日本のODAで援助してほしいと。そういうような、中国を中心にインドネシアとかマレーシアあたりも日本に要請する立場あるいはその気持ちを持っていると思います。
 問題は、日本のODAで、例えば中国の三峡ダムとかあるいはインドネシアのアサハンプロジェクトとか、ウォノギリダムプロジェクト、それはスラカルタにあるんですけれども。それからボロブドゥール・プランバナン遺跡の援助、それもいろいろ批判されていますけれども、環境破壊とかあるいは歴史遺跡の破壊とか等々いろいろ問題が提起されているんですが、援助側はフィージビリティースタディー、それが重要です。派遣して調査して、歓迎される、感謝される援助をいかに展開すればよいか、そういうような調査は非常に大切だと思います。
 よく昔の話で、マルコス政権当時は援助を着服される、そういうような事件は幾らでもあるんです。日本から見れば、国民の税金で開発途上国の援助が政治家の財布に入ってしまったら情けないし、援助される側から見れば、国民がまた税金を払って借款の返済に追われるんだからいろいろ問題を抱えている。私の言いたいことは単純明快です、援助をされる側の国民生活の向上、経済発展にいかに寄与できるか、貢献できるか、真剣にフィージビリティースタディーをしてから展開をしてほしい、そういうことです。
 二番目も私は全く同感です。日本とアジア、日本とASEAN諸国との交流はやっぱり大切です。日本とASEAN、日本とARF、民間も財界学者の交流をどんどん展開してもらいたいですね。橋本首相がこれから定期的にASEAN首脳と会談して、互いの理解、親善を深めていくことによって貿易とか投資、そういうようなことは、やっぱり人的交流を通じて展開されていかなければいけないと思います。だから、定期的な人的交流、政府首脳だけじゃなくて、政党あるいは学界、経済界、そういうふうな親善交流、人的往来を大いにやってほしいですね。
 以上です。
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菅野久光#17
○菅野久光君 民主党・新緑風会の菅野でございます。きょうは、お二人の先生方のお話を大変興味深くお聞きいたしました。
 プラサート先生とリム先生のお二人にお伺いいたしたいと思います。
 アジア太平洋地域の国々が二十一世紀の平和と繁栄を築いていくためには、地域の国々の相互信頼関係をより一層強固なものとしていかなければならないというふうに思います。また、そうだと思います。このためには、リム先生の話された国境を越えた局地経済圏という地域協力を盛んにしていくことと並んで、例えば中国から発してインドシナ半島の国々を貫流するメコン川流域の総合開発など、いわば多国間にまたがる開発プロジェクトを進めて、関係する諸国民に開発の成果をもたらして共通の利益、共通の安全保障という意識を高めてもらうことが大切ではないかというふうにも思われます。
 このような局地経済圏の形成、そして地域協力の活発化、多国間の開発プロジェクトの推進によってアジア太平洋の平和と繁栄に寄与していくという考え方についてはどのようにお考えになられるか、お二人の先生に御意見をいただきたい、このように思います。
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プラサート・チチャイワタナポン#18
○参考人(プラサート・チチャイワタナポン君) 先生の御質問は大変幅広く、アジア太平洋地域、またアジアの平和と繁栄の要請は何だろうか、局地経済圏は確かにその一つだと思います。最大の規模はメコン川開発計画です、御指摘のとおり。 このメコン川開発の可能性はとても大きいです、アジアの半分をカバーしますから。これはぜひ実現してほしいと思います。これがうまくいけば、今心配されているエネルギー問題、特に中国の経済発展でエネルギー不足問題が出てくる。これはいろんな問題にこたえられる重要な計画だと思います。これは、アジア開発銀行が今力を入れているんですけれども、政治的な問題はもうクリアしてきたと思います。残りは経済計画担当者の間の話し合いです。そこは比較的やりやすい環境に置かれていると思います。
 それとともに、アジア地域の交通、国道、鉄道など、シンガポールから北京まで鉄道がいつできるか、これも一つのチャレンジです。東西南北の交通ネットワーク、ヨーロッパの方はヨーロッパ鉄道があって、アジアはその点でおくれているんです。この辺の経済インフラの方も意味がある、これも忘れてはいけないと思います。この点は、二国間じゃなくていろんな国の協力、これも一つのチャレンジです。ここで日本はリーダーシップを発揮できるんじゃないかと期待しますが、ほかの小さい国々、また中国はその力は持っていないと思います。
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リム・ホァシン#19
○参考人(リム・ホァシン君) 二十一世紀に向けた局地経済圏を中心とする地域的な経済協力の強化についての御発言、私は全く同感です。
 メコン川開発だけじゃなくて、最近マレーシアが提唱されてASEAN諸国も賛同して、シンガポールから中国雲南省まで鉄道をつくることに合意しました。シンガポールからKL、ぺナンを経由してタイのバンコク、ホーチミンシティーを北上して中国の雲南省、昆明まで共同で開発する。確かに五千キロメートルぐらいの鉄道を多国にわたって、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、中国、そういうふうな地域共同開発プロジェクトは非常に歓迎されています。
 共同で開発すれば地域的な紛糾もなくなるし、戦争も起こらないし、経済も発展していく。そういうふうに、閉鎖されるのじゃなくて開放された局地経済圏の共同開発プロジェクトは大いに推進してよいのではないかと、私は全く同感です。
 以上です。
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林芳正#20
○林芳正君 自由民主党の林でございます。お二人から大変に示唆に富むお話をいただきまして、ありがとうございました。
 プラサート先生が、議員団が訪問されたときにいろいろとお話しなさっている中で、民主制度がどの程度各国で確立されているか、こういうお話をされておられました。その中で、ASEAN、アジア地域では日本とインドとタイという国を挙げておられますけれども、この民主的なプルーラリズム、みずからの支配している方といいますか、与党と違ったイデオロギーを持った政党や主義主張を許容するデモクラシーといいますか、民主的プルーラリズムがまだなかなかアジア全域にはないというようなお話でございました。
 安全保障を考える上で、民主主義国家同士の戦争というものはなかなか起こり得ないんだというような考え方があるわけでございます。アジア太平洋地域というと怒られるかもしれませんが、アジア地域で同じレベルで民主主義が成熟してくるということは、私は一つ重要な観点だと思っております。どういつだ歴史的背景や理由によって今そのような結果になっておるのかなということを考えておりまして、一つは統合のシンボルといいますか、権力に対抗した権威ですね、オーソリティーみたいなものとして。タイは立憲君主国家だったと、日本と近いところがあるわけでありまして、例えば軍部のようなものに対するカウンターパワーとしてそういうものがあったのではないかなという気がいたしております。
 それからもう一つは、これはある学者の先生がおっしゃっていたことなんですが、旧宗主国がイギリスであった場合とほかの国であった場合、差が出る。それは、イギリスは例えばインドならインドの方を自分の国に呼んで教育をさせて、軍部ではない知的なエリート層ということを形成しておった。その方々が独立されてから軍部ではない指導者層になって、通常ではミドルクラスというのが発生する前はそういうエリート層が出てくるのはなかなか難しいわけでありますけれども、そういう投資を植民地時代にしておったということで、イギリスが旧宗主国であった場合は例外的に経済発展の早い段階で民主主義が根づいた、こんなような分析があるんです。
 要するに、民主主義がどうやって熟してくるかということが、将来的なこの地域の安全保障に大変大きな意味を持っておると私は思っております。今のインドやタイといったところ以外の国でそういうことが、歴史の発展として、また経済発展に伴ってどういう形で今から起きてくるのか、また起きてこないのか。開発独裁や、中国が今、社会主義でありながら市場経済ということをやっておる体制の中で、今後どういうお見通しをお持ちになっておるのかをお二人の先生方からお聞かせ願えればと思います。
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プラサート・チチャイワタナポン#21
○参考人(プラサート・チチャイワタナポン君) とても難しい御質問です。林先生もアジアの国々を見てこられたと思いますが、おっしゃるとおり、イギリス植民地時代はまず官僚エリートをつくって、独立してからこういう官僚エリートが軍をつくるんですね、シンガポールの場合もマレーシアの場合も。こういうパターンは旧イギリス植民地ではアジアにおいてもアフリカにおいても同じです。まず官僚エリートをつくって、その国が独立してからこういう官僚エリートが今度は軍をつくる。そこがシンガポールの場合は典型的で、軍の歴史がとても浅い。
 このパターンと違って、タイの方は軍の支配時代は非常に長い。軍のカリスマのある人は王様になる、端的に言えば。そこで、タイの場合は非常に苦しく、民主主義発展の道は血が流れる、何回も何回も。九二年五月にクーデターが起こって軍が発砲した。つい四、五年前のまだフレッシュな思いが残っています。
 そこで、林先生の御関心は、いかにしてシビルソサエティーが成長し、そこで民主主義発展が可能になるか、その見通しはどうだろうかと。
 冷戦崩壊で、多くの今までの独裁政治体制はいわゆるトランジショナルデモクラシーに入っています。トランジショナルデモクラシーはどういうような政治かというと、議会制民主主義、また民主主義制度、インスティチューションはあるんですけれども、国民はまだそういう民主主義メカニズムを信頼していないという定義です。
 こういうトランジショナルデモクラシーは、韓国はもう乗り越えたと思います。タイは乗り越えつつあります。形としては民主主義体制がそろっていますけれども、問題は、国民が政党を信頼しない、政治家を信頼しない、これがネックだと思いますが、韓国の次はタイだと思います。
 トランジショナルデモクラシーから次にシュアデモクラシーに移っていきますけれども、シュアデモクラシーのポイントは、やっぱり民主主義インスティチューションなどがそろっていて、また国民が信頼する。これはとても難しいです。うちの国のタイですと、今難しく、乗り越えようとするんですけれども、非常にネックとなっていて、軍の影響力が低下しても国民がまだ政党、選挙、憲法を信頼しない。
 去年十一月にタイで総選挙がありました。当時学んだ教訓は、いわゆる第一党現象です。第一党になればその党首は総理大臣です。だから、幾らお金を使っても議員をできるだけたくさん集め、選挙運動にお金を使う、票の買収などまで。それでやっと第一党になる。いわゆる第一党現象、これはタイは典型的です。
 歴史を見ても、一九二五年以後、日本もそういう歴史があったようです。普通選挙権が与えられて有権者が急にふえて。大正デモクラシー時代は第一党になれれば総理大臣と。原敬以後です。そこも同じで、非常に政党が腐敗して、第一党になろうと。同じパターンですけれども。
 これを乗り越えるのはやっぱり政治改革です。政治改革をやるために、今タイは、まさにその時代、その時期です。国民の要求がすごくあるんです。前のタイの政権の対応は、じゃ憲法の見直しと。結局、政治改革が可能、憲法改革をやろうと決意しました。新しく憲法策定草案委員会がことし一月からスタートしました。タイの憲法はいろんなことを細かく書きますから、それを変えれば、例えば選挙制度、政治資金管理などが全部そこに書いてありますから。八カ月以内でこれを完了する予定です。
 先月、タィの一つの団体が東京にやってきました。九三年、細川政権時代にできた四つの政治改革法の結果はどうですかと、去年十月に総選挙があって。皆さんが自治省、また自民党本部、慶応大学の堀江教授などと会った。
 それで、受けた印象としては、日本のモデルは、まだ政治改革は終わっていないという印象です。しかし、この第一党現象をなくするために、フランスとドイツのようないろいろなチェックメカニズムをたくさんつくろうと。これは、日本の場合は細川政権時代はやらなかった仕事で、フランスとドイツのような行政裁判、憲法裁判、会計裁判、オンブズマンのいろんなメカニズムをつくろうと。これでトランジショナルデモクラシーを超えられるかが一つ示されています。
 今月には大きなセミナーが開かれます。フランス、ドイツ、イスラエル、日本、この各国の代表が招かれて徹底的な政治改革セミナーをやる。日本からは自治省の推薦で慶応大学の堀江先生が出席されるかもしれません。
 ちょっと話が長くなりました。
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リム・ホァシン#22
○参考人(リム・ホァシン君) 民主主義の問題ですね。民主主義と経済発展は両立できるか、これは非常に難しい問題ですね。
 まず、開発途上国にとっては、国家社会の権利を優先的に考慮します。成熟した国、先進工業国は個人の権利を尊重します。そういうような民主主義、個人の権利、自由主義に対する理解のギャップが大きいと思いますね。
 今、いろんな国際会議で中国、インドネシア、マレーシア、シンガポールは歩調を合わせて人権問題を棚上げしていますね。ヨーロッパとの会談、アメリカとの会談で、民主主義とか人権問題、それを議題にしないでほしいとか、あるいはそれを簡単に議論する、そういうような姿勢を崩さないです。これは非常に難しい問題です。開発途上国にとっては経済発展優先ですから、ある程度の開発独裁は認められます。
 今、不思議な現象は何かといいますと、香港、台湾、韓国、シンガポールは経済発展するにつれて民主主義が高揚してきます。本当は、経済発展をすればみんなおなかいっぱいで、おいしいものを食べて不平不満も消えてしまうんでしょうけれども、しかしながらNIES諸国で政府に対する批判、民主主義運動が高揚してきた。中国は改革・開放をやって八九年六月四日に天安門事件が発生したんです。
 これをどういうふうに解釈すればよいかは、簡単に言いますと、やっぱり経済が発展するにつれて中間階層が生まれてきて、自分の意見を国策、政策に反映されたい、そういうような声が高まってきます。それを尊重すれば国家社会の不安につながると、開発途上国、とりわけ中国、インドネシア、マレーシア、シンガポールは見ていますからね。
 これは、個人の権利を尊重するかどうかですね。アメリカでは同性愛は認められています。法律でそれを保障しているところもあるんですけれども、しかし開発途上国、アジア諸国、シンガポール、マレーシアから見ればそれはとんでもないことです。それは社会の倫理に反するので、認めないと。だから人権も同じです。よく先進工業国は、人権問題で開発途上国の低賃金労働者のことを、マレーシア、インドネシアを批判しています。圧力をかけています、改善しなさいと、そういうような不当な低賃金労働者を利用してと。
 最近、例えばマハティール首相は、白人はみんないい技術を持っているし資本もあるから生産性が高くていい製品をつくっている、我々は大した技術もなければ資本もないから、低賃金労働者を利用しないとおまえたちと競争できないじゃないかと。とんでもない話だといって、ざっくばらんにそういうふうに突き返したんですけれども。
 だから、私が今言いたいことは、欧米とアジア各国の民主主義運動、人権問題に対する見方は違います。どっちが正しいかは皆さんにお任せしますけれども、開発途上国から見れば経済発展優先ですから、開発独裁はある程度認めざるを得ない。しかし、先進工業国、成熟した国から見ればそれは人権の抑圧だ、そういうふうに理解されているんです。
 当分は、中国の天安門事件もそうですけれども、東ティモールあるいはミャンマーの民主化運動についてもあと三年、五年は紛糾が続くのじゃないかと私は見ています。
 以上です。
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益田洋介#23
○益田洋介君 お二人の先生、本日は大変にありがとうございます。
 まず最初に、プラサート先生に御質問申し上げたいと思います。
 本年一月に橋本総理がASEANを歴訪したときに、モンデール元駐日アメリカ大使の発案を受けまして、日本もASEANの非公式首脳会議ぐらいに、日本の首脳、総理大臣が定期的に出席するようにさせてもらえないかという提案をいたしまして、基本的に反対をされる国はなかったというふうに伺っています。これは一つには、モンデール元駐日アメリカ大使が、日本をASEANに恒常的に参加させることによって、アメリカもその輪の中に組み込まれていくと。これは、日米安全保障体制の一環としてアメリカが日本を取り込むのであれば、アメリカの影響力がASEAN諸国にも当然のことながら及んでいくであろうという意図があったと思うのでございます。私は、さらに加えて、この非公式首脳会議に中国及び韓国の首脳も出席してしかるべきじゃないかというふうな意見を持っておりますが、先生の御意見をお伺いしたいと思います。
 そして、そういうふうな国が集まるということになりますと、結局これはマハティール・マレーシア首相が提案しておりますEAECと同じような形態をとることになるわけです。ですから、機能的にはマハティール首相のEAECが実現するという可能性も出てくるわけでございます。
 一方で、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官は、こうしたマハティール首相のEAECに対する動きに対しては批判的でございまして、むしろ日本をEAECをサポートする勢力から排除すべきであるというふうな提案をマハティール首相にしていると。私は、基本的にはヘンリー・キッシンジャーの提案よりはモンデール元駐日大使の提案の方が正しいのではないかというふうに考えておりますが、この点についてプラサート先生の御意見を伺いたい。
 加えて、さらに日本が積極的に平和的構築戦略をとるかとらないかが、これからASEAN諸国とのつながりを深めていけるかどうかということにかかっているんだと。具体的には、日本、中国あるいはASEAN諸国、加えて南北朝鮮の青年たちの交流を活発にすべきだという御意見をプラサート先生は述べていらっしゃいますが、具体的にはどのようなことを念頭に置かれているのか、お話を伺いたいと思います。
 次に、リム先生に御質問させていただきたいんですが、私がいただいた資料の中で「アジア「四極」経済」、ダイヤモンド社の九五年七月号に先生が発表された論文の中で非常に興味の深い部分がございます。ページ数で言うと、調査会で用意していただいた資料の十七ページ、そこにアジアの平面図があります、ASEAN諸国、日本を含めた。いろいろな産業とか経済、国際交易というような枠組みから環日本海経済圏、東シナ海経済圏その他がありますが、左の下の方に北方の成長三角地帯と、このように先生がお名づけになったのかわかりませんが、タイ、マレーシア、インドネシアなどを結ぶ国際リゾート基地計画ということが述べられていますが、もう少し具体的にこのリゾート基地計画というのはどういうことなのか、御開陳を願えればと思っております。
 それから最後に、このテキストの中の二十八ページの最初から六行日あたりから、「EAECはASEANにとって、APECよりも経済的現実性を持っているように見える。」、このように意見をお述べでございますが、これはどういった根拠に基づいての御発言なのか、御所見をお伺いしたい、このように思います。
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プラサート・チチャイワタナポン#24
○参考人(プラサート・チチャイワタナポン君) 益田先生の二つの御質問に答えます。
 私もモンデール大使の御意見の方に近いです。
 今回、橋本首相の東南アジア訪問の際のいわゆる日本とASEANのサミットレベルの場の御提案、これは非常にいいことと思います。また、タイミング的にも非常にいいと思います。恐らくこういうような形になると思います。要するに、7プラス1サミット、ASEANの七カ国と日本、もう一つの7プラス1、ASEAN七カ国と中国の指導者、もう一つの7プラス1、三つがあって最後に7プラス3も一緒に実現されるんじゃないかと予想します。
 恐らく、ASEANの国々の希望と日本のアイデアは調整できると思います。まず、7プラス1サミットをやって、ASEANと中国で7プラス1、ASEANと韓国の指導者で7プラス1、もし向こうの御希望があれば、最後にアプラス3のサミットレベル、これはEAECにはならないと思います。これはあくまでも指導者間の緊密な人間関係をつくる非常にリラックスな場で、議論する場は外相レベルでも十分だと思います。また、シニアオフィシャルレベルでも十分です。トップレベルはただ飲んでリラックスして、またいい場所を選んで、そういう緊密な関係をつくる。
 もう一つの御質問、平和戦略、青年交流の活発化ということですけれども、私はアメリカのアメリカン・フィールド・サービス、AFS交換留学生としてアメリカで一年家族と生活し、高等学校三年生として留学しました。その一年の間に得たアメリカ社会の理解などが非常によかったと思います。
 日本はそこまでやる自信はまだないですね。青年の船、これも約一カ月か二カ月程度で、もう一つの二十一世紀青年の友好計画、これも一カ月、二カ月で、もっと長い期間で家族、学校と、そこまでまだいっていない。本当に平和友好関係をつくるには青年時代からスタートしなければいけないと思います。
 私が夢見ている一つは、アジアの国々はたくさん川があって、川から文明が生まれてくる。タイにはメナム川があって、カンボジアにはメコン川、ラオスもメコン川、ベトナムもメコン川ですね。アジアの国々の文明は川から生まれる。その川を平和の象徴として、平和のシンボルとして、またアジアの文明のシンボルとして川を使うと。橋本首相の提案を生かしていただければ、こういうようなサミットレベル、川で指導者が船に乗って昼食会また夕食会、また青年レベルでもいいですね。海じゃなくて、日本の東南アジア青年の船は海を渡るんですが、川を使う、そこにもつとシンボル的な意味がある。それが頭にあります。
 当時、林田先生の議員団の皆さんと話した際、おいしい中華料理を食べながら話しましたので、十分に説明ができなかったんです。中華料理をいつも持ってきましたね。おいしくておいしくて、皆さんから質問がどんどん来ましたが、十分に答えられなかった。当時はちょっと議事録にするのは気がつかなかったので、後で読んでびっくりしました。
 以上です。
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リム・ホァシン#25
○参考人(リム・ホァシン君) まず第一点は、タイ、マレーシア、インドネシアによって構成されている北方の成長三角地帯についてですが、これは、もちろんシンガポール、マレLシア、インドネシアによって構成されている成長の三角地帯と本質的には、あるいは次元が全く違うと思います。成長の三角地帯は、まず経済の比較優位性を大いに活用して、シンガポール政府がバックアップして、マレーシア政府それからインドネシア大統領も積極的に支持して推進してきたので成果を上げているんです。
 それに触発されて、じゃ北方でも同じような経済成長地帯をつくろうじゃないかと。最初は学者同士が議論して出されたんですが、マハティール首相も賛成の意を表明して、タイもインドネシア政府も賛成するようになったんです。しかし、基本的には、マレーシアのペナンは華人社会ですけれども、インドネシアのメダンも華人人口が非常に多いんですが、リゾート基地ですから、タイのプーケットと同じように。したがって、北方の成長三角地帯は、基本的には国際リゾート基地として発展していく、地域間の交流、経済交流を進めていくしかできないんじゃないか。大規模な投資とか製造業の誘致なんか、そういうような計画はないと思います。また、そういうような方向へ持っていくことは不可能だと思います。基本的には、人的交流、経済交流、リゾート開発にとどまるんじゃないかと。今、本格的に推進されてはいないんですけれども、これからどういうふうに展開されていくか注目に値するんですが、これが第一点です。
 第二点は、御指摘がございました二十八ページの「EAECはASEANにとって、APECよりも経済的現実性を持っている」、それをどういうふうに解釈するかというような問題なんです。APECはアメリカも入ってきますが、今回のEAECはアメリカを排除するんですね、いいかどうかは政治家が議論するんですけれども、ニュージーランドとかオーストラリアも排除されているので。以上述べた国々が入ってきて余り広過ぎるとまとまりにくい。
 ただ、そういうふうに理解して、地理的に見れば、NIES、ASEAN、中国、日本、韓国あたりが入るとまとまりやすい。現に、NIESの域内貿易投資、ASEANの域内貿易投資、それからNIES、ASEAN対中国との交流が深まってきたんだから、HAECはこういうような土台に立って経済交流を進めていくためには現実性に富んでいるんじゃないかというふうに私は理解しています。
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上田耕一郎#26
○上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。お二人の参考人、ありがとうございました。
 まず第一に、日米安保条約の問題についてお二人の参考人にお伺いしたいんです。
 日米安保共同宣言が昨年結ばれて、それに基づいて今、日米防衛協力のための指針、ガイドラインの見直しが進んでいます。これは、アジア太平洋地域で緊急事態が起きた場合の新しい日米の防衛協力の基本を決めるもので、例えば朝鮮半島で何か起きますと、自衛隊が機雷の封鎖をやるのかどうか、あるいは米軍に対して武器、弾薬の輸送を自衛隊が行う等々、そういう日本の領土以外のアジア太平洋地域での新しい軍事行動という問題が生まれるわけです。
   〔会長退席、理事板垣正君着席〕
 実はこの問題昨年お伺いしたときに私、プラサートさんにお伺いしまして、このいただいた資料の六ページに出ていますが、プラサートさんは、「アメリカを助けるための活動、いろんな説明や説得がどれくらい理解を得られるか、新しい課題です」と言われたんですけれども、その後、進行しております。それで、こういうアジア太平洋地域における新しい日米の軍事協力、本格的な共同作戦までいきませんけれども、かなりそれに近いところまで検討をされて、グレーゾーンと言われているんですけれども、こういう問題をどうお考えになるか。
 リム参考人は、先ほど非同盟の問題についても触れられました。私ども日本共産党は、安保条約をやめて、アメリカとは新しい平和友好条約を結んで独立国になる。それで、ASEAN諸国が目指している非同盟の方向に日本も参加していくことがアジア諸国の経済発展、それから情勢の安定に一番役立つんじゃないかというふうに思っているんですけれども、そういうガイドライン問題、それから非同盟問題についてお二人から御意見をお伺いしたいと思います。
 二番目は、リム参考人に中国問題についてお伺いしたいと思います。先ほど、中国の経済発展は華僑財閥、この投資によるところが非常に多いということを言われて、しかし今後、経済成長一〇%、これは可能だろうというふうに言われました。
 いただいた参考資料の本の中で、参考書として東工大の渡辺利夫教授の本を挙げておられますけれども、この渡辺教授が、中央公論の九六年十一月号に「虚妄の中国経済大国論」というのを書きまして、これはなかなか反響を呼びました。この中で、華人資本の投資によって中国経済は発展しているんだということはリム先生の先ほどのお話と全く同じですけれども、渡辺教授は、中国が超経済大国だというのは誤れる通説だ、中国はまだ統一的国内市場を持っていない、中国の国内市場というのは広大な国土に分散する無数の、多分に自給的な小規模市場の集計にすぎないと、こういう本質論を言いまして、最後にはリムさんの言われた局地経済圏を非常に重視されているんです。結局、中国は、局地経済圏のダイナミズムを内陸部において相互に結び合わせることによって、国民的統一市場の形成をねらうというのが一番早い経済近代化のシナリオだと思うと、そういう見通しなんです。
 だから、中国が東アジアに影響しているんじゃなくて、東アジアから中国が影響されているんだという議論になるんです。中国経済の見通しについて、渡辺教授の言われるこういう分析、私どもよくわからないんですけれども、どうごらんになっておられるのか、お聞きしたいと思います。
 それで、三つ目は、お二人にお伺いしたいのは、やっぱりアメリカの多国籍企業のアジア経済との関係の問題です。渡辺利夫教授は、日本も東アジアの中に溶けていっちゃう、中国も東アジア化だと言われているんですけれども、そうすると、やっぱり大国としては、アメリカの今後のアジアにおける役割、これが非常に大きな問題になるんじゃないかと思うんです。
 二月十二日にこの調査会で、日経のアジア部長の長谷川潔参考人が見えられて、そのときも話されたし、それからいただいた資料でも言っているんですけれども、日経は、中国経済を調べるために特派員がうんと行って調べたというんです。結論は、とにかくアメリカの中国に対する産業レベルの進出は物すごいと。中国では、産業レベルでアメリカに完全に席巻されている、それで政治的にも経済的にもアメリカと中国は戦略的提携関係にあるというのが具体的な特派員の調査からの結論、だと言うんです。
 それから、APEC問題でも、八九年に緩やかな協議体としてできたものを九三年のシアトル会議、九四年のボゴール宣言で近代化、機構化して、二〇二〇年までに発展途上国は貿易・投資の自由化という目標を決めました。去年のマニラ会議では通信技術協定の締結を首脳宣言に書き込ませてアメリカじゅうが大喜びしたと。中国、東南アジア、インドその他で多国籍企業の進出が非常にすごいということが言われているんです。
 今後、クリントン政権の非常に積極的なそういう対外通商政策のもとで、特にアジアを重視しておりますので、非常に東南アジアで自立的な循環関係が生まれて、実質的な発展はすばらしくなっているんだけれども、今後アメリカとの関係、これがどういう影響を東南アジア経済に及ぼしていくだろうかということについて、お二人から御意見をいただければありがたいと思います。
 以上、三つです。
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プラサート・チチャイワタナポン#27
○参考人(プラサート・チチャイワタナポン君) 会長先生、ありがとうございました。上田先生は質問するのに随分勉強してこられましたね。
 ガイドラインの見直し、ことしの秋にできる予定ですけれども、その集団的自衛権は秋までは多分結論が出ないのじゃないかという気がします。あいまいな文章でガイドラインに書いてあると、またいろいろ解釈が要る、そういうようなシナリオを考えています。
 例えば、この集団的自衛権が盛り込まれますと東南アジアの国々はどう受けとめるかというと、今は、国連のPKOの枠組みの中での自衛隊の海外派遣は東南アジアの国々の中で理解を得られていると思います。今度、もう一つのフレームワーク、安保のフレームワークに基づいて自衛隊の海外派遣、またアメリカの安保の枠組みの中での活動に日本の自衛隊が支援する、東南アジア地域ではこういうようなことはまだ準備が整っていない、また関心が薄いです。
   〔理事板垣正君退席、会長着席〕
東南アジア地域は今脅威が存在していない。南沙諸島は若干管理できる、脅威がない、その衝突の可能性もない。そこでアメリカの軍事的なプレゼンスの認識は薄まってきました。そこで、こういうガイドラインの見直しで集団的自衛権の話になりますと、できるだけ東南アジア地域内から離れて、それが東南アジア地域ではまだ説明などはされていませんから、多分その反応は消極的だと見ています。
 北東アジアの安全保障の場合は、東南アジアの国々の政策担当者から見て、米軍基地、また日米安保条約はまだとても重要で、それを支持していると私は見ています。そこで集団的自衛権まで発展するのは中国の反発は大きいと思います。きょうは中国、また韓国の参考人がいませんが、向こうの反応は恐らくショックに近い、態度は多分シビアだと思います。
 次に、上田先生の御質問の非同盟の方ですけれども、ASEANの国は、まずASEANがイニシアチブをとったいろんな会合、いろんな場、いろんなメカニズム、それを軸にしてやっていきたいです。ARFとかASEMとかASEAN拡大外相会議とか、また今度サミットレベルとか、こういうメカニズムを中心にしてやっていきたい。
 非同盟国の場の方はもう一つあります。インドネシアのスハルト大統領が議長となっていますけれども、そこもキープしたい。非同盟国の方は、いろんな遠い国々、アフリカなどとリーチすることができます、遠いところと。そこで顔を合わせてつき合いをする。この二つのいわゆるツートラックアプローチ、二つのトラックでアプローチしていく、こういうような姿勢です。ASEANがイニシアチブをとったいろんな場、メカニズムの方を重視します。
 上田先生の最後の御質問のアメリカの多国籍企業、これは確かにグローバラィゼーション時代、国境のない時代に入って、物の自由な流れ、サービスも商品も資本も、またエンターテイメントも価値観もやっぱりアメリカの影響が大きくなると思います。
 そこで、ASEANの国々が一つ注意しているのは価値観の方です。グローバライゼーションによってアメリカナイゼーションが入ってくる。価値観とか情報の支配とか、それを警戒しています。経済の面は大体歓迎すると私は見ています。要するに、アメリカの経済的なプレゼンスはASEANの国々の政策担当者がそれを希望します。グローバライゼーション時代はアメリカナイゼーションの影響が大きい。これは一つの重要な点だと思います。
 十分に上田先生に答えられなくて申しわけありません。
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リム・ホァシン#28
○参考人(リム・ホァシン君) 私も提起された問題を簡潔に具体的に答えることは非常に困難だと思いますが、でも一応私個人の意見を述べさせていただきます。
 第一点は、日米安保条約についての評価なんですけれども、基本的に私も同感ですが、長期的な目で見れば、日米平和友好条約の締結、アジア各国との連帯を強めて、非同盟、中立、非核、そういうような地域の構築に日本が積極的に乗り出してほしいというふうに考えています。
 アジア各国から見ても、日米安保条約に対する評価はさまざまです。これは、恐らく日本国内の延長線じゃないかなと思うんです。日本の政党もいろいろ違う意見を持っているし、また、政党間だけじゃなくて政党内も意見が分裂して、評価すると否定するような立場になってしまうような政党もあるし、非常に何十年も議論されて、どういうふうに評価するかは非常に難しいですね。アジア各国から見れば、愛と憎、両極端だと思いますけれども、一方においては、アジア太平洋のパワーバランス、力の均衡を保ってほしいですね。日本が出てきても困るし、中国、インドが出てきても困る。だから、アメリカが平和を守って、経済発展を進めていく、それが一番理想的ですね。
 問題は、日本が入ってきまずから、日本が巻き込まれたら困ると。三〇年代の不幸な経験があるし、安保条約を支持する人にとっても、日本に対する非常に警戒心を持っていますから。だから、日本は三〇年代にアジアに進出して失敗しちゃったんですが、戦後、平和的な方法で経済進出して成功したというふうに評価されます。これからやっぱり戦後の方式で経済協力、経済進出でもってアジア諸国との協力を強化してほしい、そういうふうに考えています。
 第二点は、中国の経済発展に、華人資本、華人投資がどういうふうに評価されたらよいか。まず、過大評価しては困りますね。特に、アジア各国、マレーシアの華人人口は六百万、人口の三五%程度です。インドネシアの華人人口もそのぐらいです。しかし、インドネシアの人口は一億八千万ですから、華人人口は三・五%程度です。シンガポールも華人社会なんですけれども、華人の人口は七五%で、ベトナムも百万ぐらいでしょう、フィリピンもそのぐらいですから。アジア各国はやっぱり民族間の融合の立場を考えて、余り華人の対中国投資を過大評価したりすることは禁物です。やっぱり民族間の反発、種族的な問題が発生してきまずからね。
 かといって華人の中国に対する投資を全く無視することもできませんから、要は、華人のいろんな言語、文化等々、中国に対する投資を積極的に推進してきたんですが、基本的にはサービス産業、リゾート開発とか住宅とかホテルの建設とか、そういう分野の投資が圧倒的に多かったんです。最近は、もちろん発電所とか道路、高速道路、橋梁なんかの協力、進出も顕著になってきたんですけれども、基本的にはまだそんなに過大評価する必要はないのではないか。また、中国経済圏、中華経済圏、中華帝国経済圏等々いろんな表現があるんですけれども、中国もそれを歓迎しないし、またアジア各国の華人もそれを警戒するし、余り大々的に宣伝することはやっぱり控えています。
 そういうことで、中国はあと二十年たったら経済大国になることは間違いないですね、戦争とか内乱がなければ。ボーゲルさんは、楽観的に一〇%の成長をこれから二、三十年維持していくと。まあ一〇%じゃなくても、中国は十二億五千万の大国ですから、八%を維持していっても、あと二十年たてば経済大国になることはだれも疑うことはないと思います。
 第三点は、局地経済圏の話がなされましたが、中国が内陸と沿海の格差を縮めることは、これから二十年、三十年たっても解決できませんね、非常に大きいから。
 中国の香港化、とりあえず福建省の台湾化、広東省の香港化、中国大陸の香港・台湾化ですね。これから香港が中国に返還されます、七月一日に。返還されて、社会主義制度の導入まで、まず投資貿易から考えれば、香港は非常に重要な役割を果たしていますから、中国は一国二制度を宣言しているんですが、宣言しなくても香港の資本主義体制維持、それは変わらないと思います。
 香港はこれから深セン、広東省を中心に伸びていって、その委託加工生産、広東省だけでもう二、三百万の労働者を雇っているし、これからどんどん内陸へ浸透していく可能性もあると思います。中国の社会主義経済への市場経済の導入中国の特色のある社会主義国の建設は前途多難だと思います。これから内陸へいかに投資融資して内陸の貧困をいかに解決していくか、国内の経済協力、経済の波及効果をいかに拡大していくかが大きな課題だと思います。
 最後ですが、アメリカ多国籍企業のアジアにおける影響の見通しなんですが、これはアジアだけじゃなくて、アメリカはやっぱり自由主義世界の一番大きな国です。やや脱線なんですけれども、円の暴落、急騰急落を日本政府首脳が幾らサポートしても変化は起きないです。
 最近、円は八五年直前は二百四十円だったんですけれども、G5以降高騰して、九五年になると一ドル八十円になったんです。最近、また暴落して百二十円程度になっていますけれども、暴落暴騰、急落急騰、これは困ると。しかし、日本政府が幾ら発言してもそれをとどめることはできません。しかし、アメリカ政府首脳のだれか高官が発言すれば、すぐ円が下がったり上がったりしますけれども、それは端的にアメリカの政府の影響は非常に大きいです。したがいまして、アジアにおいては日本よりもアメリカの多国籍企業の影響が非常に大きいと思います。
 だから、アメリカの景気がよくなれば、最近、クリントン政権が四年間担当して経済が回復してよくなってきたんですけれども、アジア諸国もそれに引っ張られてよくなってきつつあるんです。
 そういうふうにアメリカのアジア太平洋地域における軍事、政治、外交のみならず経済方面の影響力が非常に大きい、それを無視することはできないと思います。
 以上です。
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山崎力#29
○山崎力君 時間もありませんので、簡単に両先生にお伺いしたいと思います。
 一つは、いろいろな議論はあるんですが、結論として、軍事力を伴わずに経済的ではなくて政治的な面で発言力を持つということが可能かどうかという点が一点でございます。
 そしてもう一つの点は、中長期に見て大陸中国がいわゆる南沙諸島の問題でそこへ進出してくる可能性が一番の問題点であろうと思います。これはエネルギー問題と絡んでということです。そして、対応策として、その辺のところの軍事的なことは余りアジアの方々は考えていないというか、緊急課題でないというような先生のお話もありましたが、今世界的に見て一番兵器の売れている国はアジア諸国です。一番軍備強化しているのはアジア諸国です。そういった背景を見ると、経済力が出てくれば、そこにその国なりの重要度が増してくる、衝突が起きる可能性が出てくるということも意識しての行動ではないかというふうに私は思っております。
 ということは、長期的に見ると、東南アジア諸国と言われているところでも北東アジアと同様に経済的な利害衝突による紛争が起きてくる、そのときの仲裁の役割を果たせるのはやはりアメリカではないかというのが私の中長期的な考え方なんですが、そこのところにアメリカに要請されて日本が出ていくという不幸なことがないように願っているんですが、その辺のところの現状認識を両先生からお聞かせ願いたいと思います。
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