リム・ホァシンの発言 (国際問題に関する調査会)

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○参考人(リム・ホァシン君) 民主主義の問題ですね。民主主義と経済発展は両立できるか、これは非常に難しい問題ですね。
 まず、開発途上国にとっては、国家社会の権利を優先的に考慮します。成熟した国、先進工業国は個人の権利を尊重します。そういうような民主主義、個人の権利、自由主義に対する理解のギャップが大きいと思いますね。
 今、いろんな国際会議で中国、インドネシア、マレーシア、シンガポールは歩調を合わせて人権問題を棚上げしていますね。ヨーロッパとの会談、アメリカとの会談で、民主主義とか人権問題、それを議題にしないでほしいとか、あるいはそれを簡単に議論する、そういうような姿勢を崩さないです。これは非常に難しい問題です。開発途上国にとっては経済発展優先ですから、ある程度の開発独裁は認められます。
 今、不思議な現象は何かといいますと、香港、台湾、韓国、シンガポールは経済発展するにつれて民主主義が高揚してきます。本当は、経済発展をすればみんなおなかいっぱいで、おいしいものを食べて不平不満も消えてしまうんでしょうけれども、しかしながらNIES諸国で政府に対する批判、民主主義運動が高揚してきた。中国は改革・開放をやって八九年六月四日に天安門事件が発生したんです。
 これをどういうふうに解釈すればよいかは、簡単に言いますと、やっぱり経済が発展するにつれて中間階層が生まれてきて、自分の意見を国策、政策に反映されたい、そういうような声が高まってきます。それを尊重すれば国家社会の不安につながると、開発途上国、とりわけ中国、インドネシア、マレーシア、シンガポールは見ていますからね。
 これは、個人の権利を尊重するかどうかですね。アメリカでは同性愛は認められています。法律でそれを保障しているところもあるんですけれども、しかし開発途上国、アジア諸国、シンガポール、マレーシアから見ればそれはとんでもないことです。それは社会の倫理に反するので、認めないと。だから人権も同じです。よく先進工業国は、人権問題で開発途上国の低賃金労働者のことを、マレーシア、インドネシアを批判しています。圧力をかけています、改善しなさいと、そういうような不当な低賃金労働者を利用してと。
 最近、例えばマハティール首相は、白人はみんないい技術を持っているし資本もあるから生産性が高くていい製品をつくっている、我々は大した技術もなければ資本もないから、低賃金労働者を利用しないとおまえたちと競争できないじゃないかと。とんでもない話だといって、ざっくばらんにそういうふうに突き返したんですけれども。
 だから、私が今言いたいことは、欧米とアジア各国の民主主義運動、人権問題に対する見方は違います。どっちが正しいかは皆さんにお任せしますけれども、開発途上国から見れば経済発展優先ですから、開発独裁はある程度認めざるを得ない。しかし、先進工業国、成熟した国から見ればそれは人権の抑圧だ、そういうふうに理解されているんです。
 当分は、中国の天安門事件もそうですけれども、東ティモールあるいはミャンマーの民主化運動についてもあと三年、五年は紛糾が続くのじゃないかと私は見ています。
 以上です。

発言情報

speech_id: 114014308X00419970303_022

発言者: リム・ホァシン

speaker_id: 7794

日付: 1997-03-03

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会