リム・ホァシンの発言 (国際問題に関する調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(リム・ホァシン君) 私も提起された問題を簡潔に具体的に答えることは非常に困難だと思いますが、でも一応私個人の意見を述べさせていただきます。
第一点は、日米安保条約についての評価なんですけれども、基本的に私も同感ですが、長期的な目で見れば、日米平和友好条約の締結、アジア各国との連帯を強めて、非同盟、中立、非核、そういうような地域の構築に日本が積極的に乗り出してほしいというふうに考えています。
アジア各国から見ても、日米安保条約に対する評価はさまざまです。これは、恐らく日本国内の延長線じゃないかなと思うんです。日本の政党もいろいろ違う意見を持っているし、また、政党間だけじゃなくて政党内も意見が分裂して、評価すると否定するような立場になってしまうような政党もあるし、非常に何十年も議論されて、どういうふうに評価するかは非常に難しいですね。アジア各国から見れば、愛と憎、両極端だと思いますけれども、一方においては、アジア太平洋のパワーバランス、力の均衡を保ってほしいですね。日本が出てきても困るし、中国、インドが出てきても困る。だから、アメリカが平和を守って、経済発展を進めていく、それが一番理想的ですね。
問題は、日本が入ってきまずから、日本が巻き込まれたら困ると。三〇年代の不幸な経験があるし、安保条約を支持する人にとっても、日本に対する非常に警戒心を持っていますから。だから、日本は三〇年代にアジアに進出して失敗しちゃったんですが、戦後、平和的な方法で経済進出して成功したというふうに評価されます。これからやっぱり戦後の方式で経済協力、経済進出でもってアジア諸国との協力を強化してほしい、そういうふうに考えています。
第二点は、中国の経済発展に、華人資本、華人投資がどういうふうに評価されたらよいか。まず、過大評価しては困りますね。特に、アジア各国、マレーシアの華人人口は六百万、人口の三五%程度です。インドネシアの華人人口もそのぐらいです。しかし、インドネシアの人口は一億八千万ですから、華人人口は三・五%程度です。シンガポールも華人社会なんですけれども、華人の人口は七五%で、ベトナムも百万ぐらいでしょう、フィリピンもそのぐらいですから。アジア各国はやっぱり民族間の融合の立場を考えて、余り華人の対中国投資を過大評価したりすることは禁物です。やっぱり民族間の反発、種族的な問題が発生してきまずからね。
かといって華人の中国に対する投資を全く無視することもできませんから、要は、華人のいろんな言語、文化等々、中国に対する投資を積極的に推進してきたんですが、基本的にはサービス産業、リゾート開発とか住宅とかホテルの建設とか、そういう分野の投資が圧倒的に多かったんです。最近は、もちろん発電所とか道路、高速道路、橋梁なんかの協力、進出も顕著になってきたんですけれども、基本的にはまだそんなに過大評価する必要はないのではないか。また、中国経済圏、中華経済圏、中華帝国経済圏等々いろんな表現があるんですけれども、中国もそれを歓迎しないし、またアジア各国の華人もそれを警戒するし、余り大々的に宣伝することはやっぱり控えています。
そういうことで、中国はあと二十年たったら経済大国になることは間違いないですね、戦争とか内乱がなければ。ボーゲルさんは、楽観的に一〇%の成長をこれから二、三十年維持していくと。まあ一〇%じゃなくても、中国は十二億五千万の大国ですから、八%を維持していっても、あと二十年たてば経済大国になることはだれも疑うことはないと思います。
第三点は、局地経済圏の話がなされましたが、中国が内陸と沿海の格差を縮めることは、これから二十年、三十年たっても解決できませんね、非常に大きいから。
中国の香港化、とりあえず福建省の台湾化、広東省の香港化、中国大陸の香港・台湾化ですね。これから香港が中国に返還されます、七月一日に。返還されて、社会主義制度の導入まで、まず投資貿易から考えれば、香港は非常に重要な役割を果たしていますから、中国は一国二制度を宣言しているんですが、宣言しなくても香港の資本主義体制維持、それは変わらないと思います。
香港はこれから深セン、広東省を中心に伸びていって、その委託加工生産、広東省だけでもう二、三百万の労働者を雇っているし、これからどんどん内陸へ浸透していく可能性もあると思います。中国の社会主義経済への市場経済の導入中国の特色のある社会主義国の建設は前途多難だと思います。これから内陸へいかに投資融資して内陸の貧困をいかに解決していくか、国内の経済協力、経済の波及効果をいかに拡大していくかが大きな課題だと思います。
最後ですが、アメリカ多国籍企業のアジアにおける影響の見通しなんですが、これはアジアだけじゃなくて、アメリカはやっぱり自由主義世界の一番大きな国です。やや脱線なんですけれども、円の暴落、急騰急落を日本政府首脳が幾らサポートしても変化は起きないです。
最近、円は八五年直前は二百四十円だったんですけれども、G5以降高騰して、九五年になると一ドル八十円になったんです。最近、また暴落して百二十円程度になっていますけれども、暴落暴騰、急落急騰、これは困ると。しかし、日本政府が幾ら発言してもそれをとどめることはできません。しかし、アメリカ政府首脳のだれか高官が発言すれば、すぐ円が下がったり上がったりしますけれども、それは端的にアメリカの政府の影響は非常に大きいです。したがいまして、アジアにおいては日本よりもアメリカの多国籍企業の影響が非常に大きいと思います。
だから、アメリカの景気がよくなれば、最近、クリントン政権が四年間担当して経済が回復してよくなってきたんですけれども、アジア諸国もそれに引っ張られてよくなってきつつあるんです。
そういうふうにアメリカのアジア太平洋地域における軍事、政治、外交のみならず経済方面の影響力が非常に大きい、それを無視することはできないと思います。
以上です。