田中直人の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○参考人(田中直人君) 私に関しましても二点ほどあったかと思います。
まず、車のことなんですが、実は車は公害問題等非常に厄介な代物なんですが、逆に非常に便利なものです。とりわけ障害者の方、高齢者の方にとりましても、安全な運転さえすればこれは非常に行動能力を発揮します。ということで、これからそういった車のよいところを生かすようにするべきです。ただし、現在の都市空間では非常に問題が多くあります。
まず一点は、現在の商業施設でこういった車のことを考えてちゃんとしっかり駐車場をつくっている施設は少ないです。大規模なものでもキャパが知れていますし、それはどちらかというと車で誘発する、大きな駐車場でより遠くから人を集めるという商業主義に入っているわけですけれども、いわゆる小売店舗とかちつちゃな事業所、こういったところをどうするかということです。
これで私は一つ提案があります。
例えば、日本の道路というのは車が走ることを前提につくっておりますが、一方でやはり車が道路にとまることを考えた道づくりも要るんではないか。例えば、駐車場にわざわざ行かなくてもドア・ツー・ドアで行けるような道の構造をこれからは整備できればしていくというような発想で、これはヨーロッパ等の国を見ていますと道路に随分ととめています。こういうふうなことを前提にすれば、多少変わる部分もあるんじゃないか。
それからもう一点は、やはり絶対量が絶対足りないわけですから、これだけ狭い国土の中、都市空間の中でやるとすれば、例えば移動に一番便利な地下にそういった駐車場をどんどんつくる、そのための社会投資をするということが必要になってくるんじゃないかなと思います。
それから、もう一つの方法は、従来の公共輸送機関をより便利で快適で乗りやすいものにする。先ほど武蔵野のムーバスの話がありましたけれども、私も運輸省のお仕事でアメニティータ一ミナルというお仕事あるいは移動制約者の交通体系という研究会に入っておりますが、その中でも議論はあるわけです。例えば、乗りやすいバスをもっと都市部に導入するというようなこととか、あるいは従来の鉄道とかそういったものをやる。
一方、例えば路面電車を見直す、チンチン電車ですね。交通渋滞を招くということで排除されたわけですが、やはりあれは電気で無公害で走りますし、のどかな都市を見るという一つのあれがあります。これを見直すということも一つの手だろうと思います。
もう一つ例を挙げますと、アメリカのシアトルで見たんですが、例えば地下に大きな電気バスを走らせまして、それはダウンタウンのある部分は全部フリーになっている、無料になっているということです。その費用は周辺の商業施設とかビルが出していまして、要はそういうフリーアクセスで都市の中心部はだれでも自由に行けるんだという発想を導入されています。
そういったことをモデル的に我が国でも導入する場所があってもいいんじゃないかと、こういうふうに思います。それが一点目です。
それから二点目につきましては、コミュニティーの問題は非常に難しくて、実は地域によって実情が随分と違うと思います。隣組というお話がありましたけれども、やはり今までの生活の中で必然的に顔を合わせたり手をかし合わないとできないシステムが残っていたと私は思うんですが、現在はそれがありません。したがって、どういうことをするかといいますと、従前からそういう共通にするようなものを再発見するということはまず必要かと思います。
簡単に言いますと、例えばお祭りあるいは伝統行事等、これを地域のみんなで何らかの形、最近は小学校のPTAを中心にして何か子供会があったりなんかすることもありますが、やはり地域で何かをするというような仕組みづくり、これが先ほど私が言ったアクションプログラムの一つにもなろうかと思います。
それから二つ目は、やはり地域に必然的に集まってくるような場所をつくるということです。これは何も集会所をつくったりコミュニティーセンターをつくるという発想じゃなくて、必然的にそこへ行けばいわゆる現代版の井戸端会議のできる井戸、そういうものが必要じゃないかと思います。昔は井戸で水をくむということはだれでも毎日やったことで、顔を合わせたわけですが、そういうように顔を合わす場所をつくる。例えば集合住宅、マンションでしたら一緒に顔を合わすような、例えば階段室であるとかエレベーターホールのところにそういうものをつくるとか、それをもっと大きなスケールで言うと地域とか都市レベルで顔を合わす場面をつくる、都市の広場をつくると、こういった仕組みづくりがこれから必要で、それに対する支援とかアイデアの開発が必要になろうかと思います。