国民生活・経済に関する調査会

1997-04-16 参議院 全62発言

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会議録情報#0
平成九年四月十六日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     金田 勝年君     中原  爽君
     三浦 一水君     阿部 正俊君
  出席者は左のとおり。
    会 長         鶴岡  洋君
    理 事
                小野 清子君
                大島 慶久君
                牛嶋  正君
               日下部禧代子君
                笹野 貞子君
    委 員
                阿部 正俊君
                大野つや子君
                太田 豊秋君
                鈴木 省吾君
                中原  爽君
                海野 義孝君
                小林  元君
                林 久美子君
                三重野栄子君
                朝日 俊弘君
                一井 淳治君
                堂本 暁子君
                小山 峰男君
    事務局側
       第二特別調査室
       長        林 五津夫君
    参考人
        日本経済新聞社
        論説委員会論説
        委員      井上  繁君
        摂南大学工学部
        建築学科教授  田中 直人君
        東京大学大学院
        経済学研究科教
        授       金本 良嗣君
        大阪学院大学経
        済学部教授
        大阪大学名誉教
        授・同先端科学
        技術共同研究セ
        ンター客員教授 鬼木  甫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済に関する調査
 (二十一世紀の経済社会に対応するための経済
 運営の在り方に関する件のうち住宅・生活環境
 に関する社会資本整備の在り方について)
 (二十」世紀の経済社会に対応するための経済
 運営の在り方に関する件のうち交通・通信に関
 する社会資本整備の在り方について)
    ―――――――――――――
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鶴岡洋#1
○会長(鶴岡洋君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、金田勝年君及び三浦一水君が委員を辞任され、その補欠として中原爽君及び阿部正俊君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
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鶴岡洋#2
○会長(鶴岡洋君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方に関する件のうち、住宅・生活環境に関する社会資本整備の在り方及び交通・通信に関する社会資本整備の在り方について参考人から意見を聴取いたします。
 まず初めに、住宅・生活環境に関する社会資本整備の在り方について、お手元に配付の参考人の名簿のとおり、日本経済新聞社論説委員会論説委員井上繁君及び摂南大学工学部建築学科教授田中直人君のお二人に御出席をいただき、順次御意見を承ることといたします。
 この際、井上参考人及び田中参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方に関する件のうち、住宅・生活環境に関する社会資本整備の在り方について忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず両参考人からお一人二十分程度ずつ順次御意見をお述べいただきました後、八十分程度各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に御質疑をいただきたいと存じます。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。
 なお、できるだけ多くの方が質疑をできるよう各委員一回当たりの発言時間を一分程度とさせていただきたいと存じます。
 また、時間に制約がありますので、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくようよろしくお願いいたします。
 なお、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、最初に井上参考人からお願いいたします。
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井上繁#3
○参考人(井上繁君) 一般的な世の中の感覚では、どうも最近公共事業そのものに対する不信感というものがかなり出ている。それは、ごく一部であり、残念なんですけれども、公共事業の談合の問題ですとか、あるいは公共事業の受発注をめぐってわいろのやりとりがあったとか、そういうようなことが日常的にかなり行われていることが報道されたりしているわけでございます。
 一方では、予算に計上したがために、実際はニーズが少ないにもかかわらず仕事をするというような、つまり予算を消化するための公共事業といったようなことも一部では行われたりしているわけでございます。
 私は、社会資本整備に関連しまして、公共事業そのものを否定する気などは毛頭ございません。二十一世紀、将来に備えて日本の社会資本整備のあり方はどういうところに重点を置いたらいいのか、これは大変大事な問題だと考えております。ただ、今までの公共事業のやり方をこれからも継続すればいいのかというと、決してそうではないように思うんです。
 レジュメの一番のところには、「豊かさをはかる物差し」というふうに書かせていただきましたが、これはちょっと時間の関係で、また後で時間があればお話しすることにいたしまして、いきなり「日本の社会資本の整備は十分か」というところから入ってまいりたいと思います。
 公共事業は大変幅が広いわけでございますけれども、例えば下水道の普及率一つとってみましても、皆さんが平成八年の六月にまとめられた国民生活・経済に関する調査報告では、過去と数字を比較しまして、これだけ普及率が高まっているというような記述がございますけれども、ただ、これを海外と比較してみますと、九五年度末の日本の下水道の処理人口普及率は五四%ですけれども、イギリスの九六%とかドイツの九〇%などに比べますと、まだ格段の差がございます。
 一人当たりの都市公園の面積を見ましても、九五年度末の見込みで、日本の場合には全国平均で七平方メートル、イギリス・ロンドンの場合は約二十六平方メートル、あるいはドイツのボンの場合ですと三十七平方メートルということで、やはりかなりの差がございます。住宅とか道路の延長、あるいは治水対策等についても同じようなことが言えるわけでございます。おくれているということです。
 今申し上げましたのは日本全国平均なわけなんですけれども、地域ごとにも随分ばらつきがございます。特に、いわゆる都市部での社会資本の整備がおくれているんではないか、こういう感じを強くしているわけでございます。鉄道の混雑解消対策などもなかなか進んでおりません。あるいは都市の中の交通と通過交通とを分けないと都市の中の交通が渋滞してしまうわけですけれども、そういった通過交通のためのバイパスづくりなども余り進んでいないのが現状でございます。
 公共事業に関連しまして、予算配分が硬直化しているということを申し上げたいと思っております。
 国の予算を見ますと、ごく大ざっぱに申しまして、建設省が七割、七〇%ですね、農水省が二〇%、運輸省が七%、これで九七%なんですね。残りの三%をそれ以外の省庁が受け持っている。ごく大ざっぱに言いまして現在の予算の配分はそういうふうになっております。
 実は、今申し上げましたこの予算の配分の比率は、一九六五年と申しますと、東京オリンピックがありましたのが六四年ですから、その一年後ですよ。つまり、今から三十年以上前のデータを見ますと、やはり今申し上げた比率なんです。この三十年間、世の中は大きく変わったにもかかわらず、一般公共事業費の各省シェアは変わっていない。余りにもお金の使い方が硬直化しているんではないかということを日ごろ感じております。
 三番目に「社会資本のハードとソフト」ということが書いてありますけれども、ここで申し上げたいのはただ一点でございます。それはどういうことかといいますと、とかく社会資本の整備と申しますと物をつくるということに目が行きがちなんです。
 例えば、国民生活に身近な医療の問題でいきますと、病院や診療所のベッド数が幾つあるのか、あるいは病院の数が幾つあるのかということに関心が行きがちなんですけれども、考えてみますと、そういうことももちろん大事ですけれども、例えば二十四時間の医療体制が整っているかとか、あるいは救急医療に十分対応できているとか、あるいは診療の中身が大事なわけで、必ずしもハードだけではないんです。地方に多いホールとか劇場などを見ましても、とかくいすが幾つあるかといったようなことに目が向きがちなんですけれども、そこでどういう公演が行われているのか、あるいは利用率がどうなっているのか、こういうところにも目配りをしていく必要があると思っております。
 四番目に「何が欠落しているのか」ということと、五番目に「社会資本を整備する視点」というふうに書かせていただきました。この辺がきょう申し上げたい、特に力を入れたいところでございますけれども、時間の関係がございますので、まず五番目の「社会資本を整備する視点」の方から申し上げたいと思います。
 ここでは三つお話ししようと思っております。
 一つは、環境の問題でございます。環境は、エコロジーな都市を積極的につくっていこうではないか、こういう提案が一つ、それからもう一つは社会資本を整備するに当たってそれを環境面からもっとチェックする必要がある、この二つでございます。
 エコロジーな都市、やはり次の世代にきれいな地球を残していくということは、今に生きる私たちの責務であろうと考えております。例えば今、国連大学等が中心になりましてゼロ・エミッション、廃棄物をなくそう、ゼロにしよう、そういうゼロ・エミッションという実験が鹿児島県の屋久島などで始まっております。廃棄物をなくして、例えば生産の循環過程でできるものもまた次に何かに利用していくということで、ごみとして捨てないという物の考え方、それを地域内で循環させようではないかというゼロ・エミッション、こういった考え方はこれから大事だと思います。
 水道でいいますと、上水道と下水道。下水道の普及率には問題がございます。上水道と下水道がございますけれども、その真ん中の中水道、例えばお手洗いの洗浄水なども何も塩素で殺菌した水を使う必要はないんじゃないか、中水道なんかが普及できないものだろうか。あるいは雨水、島などではそれをかなり使ったりしておりますけれども、都市部でも雨水を利用するようなことができないのだろうか。水は限られた資源です。例を挙げれば切りがないんですけれども、一例を挙げますとそんなことを考えております。
 社会資本の整備を環境面からチェックする、道路の建設あるいは河川の工事、そのほかあらゆる社会資本の整備においてこれからますます大事になってくる視点ではないかと思います。社会資本を整備する視点として、一番目に環境の問題を申し上げました。
 二つ目は、日本の人口構造の変化への対応という問題でございます。
 高齢社会に入っているということはそのとおりでございます。そういうことから、バリアフリーあるいはエージフリーという物の考え方がこのごろ随分言われるようになりました。例えば、ホールとか劇場であるとかあるいは公民館であるとか、そういう施設の中でのバリアフリー、例えばトイレですとかあるいはスロープですとか、これは大分充実してきているように思います。
 ただ、ハンディを持った方々は家を出てからそういった施設に行くまでが大変なんですね。といいますのは、町の中のバリアフリーはまだまだ日本の場合には工夫する余地があるように思うんです。例えば歩道橋、これはハンディを持った方々にとっては大変です。これはやはり車優先社会の一つの産物だと思うんです。本来歩行者を優先する、つまり車は少しスロープで立体交差をして歩行者は平面的に歩けるような、そういう町づくりが必要ではないか、例えばそんなふうに思っております。
 歩道と車道の幅を考えてみますと、車道の方が普通は広いんですね。日本には自転車道がまだ少ないです、もっとつくる必要があると思います。それから歩道の幅、国会の前の歩道などは広いですけれども、普通の地方都市の歩道などを歩いてみますとやはり狭い、少なくとも車いすがすれ違えるくらいのそういう歩道が必要ではないでしょうか。
 時間の関係でこれもほんの一例なんですけれども、そんなことを感じております。
 女性の社会への進出が目立っております。そういうようなことから少子化社会ということも言われております。でも、子育てしやすい環境を整える、例えば働く女性が育児と仕事ということを両立できるような、そういう社会がこれからますます日本においても必要になってくるんではないか。安心して働くためには、お子さんを預けるような施設が身近なところにある必要があるんですね、例えば駅前とか。しかも、そのオープンの時間はそれなりに長くなければぐあいが悪い、こんなことも感じております。
 社会資本を整備する視点の三番目でございますけれども、安全、防災の問題でございます。
 これも先ほど環境のところで申し上げましたけれども、一つは安全、防災を創造するような町づくり。私も阪神大震災の後、現地に取材に参りました。そういう中で、公園の役割、大変大きいものを感じております。それほど規模が大きくなくても公園があるとそこで火がとまっているんです。焼けどまり効果、これは実際に見て痛切に感じました。もう一つは、日常的な社会資本の整備を安全、防災面からどうチェックしていくかというこの二つの問題でございます。
 時間の関係で、四番の「何が欠落しているのか」というところに移らさせていただきます。
 ここでも三つ申し上げます。
 一つは、社会資本整備に当たって総合的な視点、やはりこれが欠けているのではないかと思っております。
 例えば、交通の問題一つ考えてみましても、道路と鉄道と空港、このリンクが必ずしもうまくいっていないところがございます。あるいは道路だけを考えましても、高速道路と一般国道と農免道路と言われるような農道ですね、これが例えば並行して走っているようなこともあるんです。投資としての効果が本当にこれでいいのかどうなのか、疑問に思うようなことがございます。
 下水道の縦割り行政については、既に指摘されておりますので余り詳しくは申しません。
 二つ目は、市民参加という問題でございます。
 これはこれからの日本の社会においてますます大事な考え方ではないかと思っております。つまり、社会資本を整備するに当たって、役所できっちりしたプランをつくってから市民に説明するのではなくして、計画の段階から市民に参加をしてもらう、こういう考え方でございます。もう計画が全部できてから市民に公表して意見を求めても、なかなかそれが直ることが少ないという問題がございます。
 三番目、最後になりますけれども、評価の問題でございます。
 つまり、今まで社会資本は予算を使って、税金を使っていろいろ整備してまいりました。ただ、そういった社会資本がどういった効果があったのか、そういうことの評価が従来はややというかかなりなおざりであったのではないかと感じております。つまり、民間の会社が物をつくる場合に、あるいは何か新しい事業を始める場合に、あるいはその中間の段階において厳しく評価されます。だめなら撤退ということになるわけです。日本経済新聞も随分いろいろな事業から撤退をしてまいっております。
 つまり、社会資本を整備することにかかわる費用とそれによる便益がどうなっているのか、これを常に考えていく必要がある。こういう評価のシステムがまだ日本の社会において足らないのかな、こんなふうに思っております。
 時間になりましたので、失礼いたします。ありがとうございました。
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鶴岡洋#4
○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。
 以上で井上参考人の御意見の陳述は終わりました。
 次に、田中参考人にお願いいたします。
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田中直人#5
○参考人(田中直人君) きょうは、私は阪神大震災の被災地である神戸から参りました。
 阪神大震災直後、悲惨な状況の中でつぶさに現場の調査等を通じまして感じたこと、あるいはそれから見て今までの町づくりで感じたことを一冊の本にまとめました。その本の内容につきましては、皆様のお手元に届くかと思いますが、きょうはその中で感じたことを御紹介したいと思います。
 まず、レジュメの方をごらんになっていただきたいわけですが、阪神大震災による都市環境の変化によってたくさんの方が犠牲になられたとか、あるいはその中には高齢者とか障害者の方が多かったとか、あるいはライフラインの欠如によって大変なことになったと。そういったことは、マスコミの報道あるいは現地の皆様方の調査等によって十分御理解いただいていることかと思います。
 しかし、そういった一連の阪神大震災での町づくりでの問題というのは日々時間がたつにつれてどこか風化している部分もありまして、改めて私はこれから二十一世紀、超高齢社会という中でどういった町づくりを考慮していくべきかということについて述べてみたいと思います。
 レジュメの方の三番目に移っていただきたいんですが、阪神大震災の後、とにかく強い町づくりということが非常に叫ばれました。都市のいろんなインフラ部分を壊れないようにする。鉄道であり、道路であり、住宅であり、建築物であり、そういったものが壊れなければいいんだという発想でやられました。しかし、都市というのは人が住む場所でありますから、単に器が丈夫だけでは住みにくい町だと言えます。そこで、復興計画というものが進む中で福祉的な町づくりの視点から幾つかの提案をさせていただきました。(OHP映写)
 ここにありますように、少し見にくくて申しわけないんですが、まず、安心して住み続けられる住宅づくりであるとか、住宅にかかわるソフトの技術開発、自立を支援する技術開発と介護・看護システム、こういった一連の細かい提案があるわけですが、私は、提案の中で大きく七つにくくらせていただきました。
 一つは、先ほど井上参考人の方からお話もありましたが、都市の中で自然環境がたくさん残っている部分もあります。今回、神戸という町は六甲山それから大阪湾という海があったわけですが、意外とそういった自然環境が生かされなかったということです。そういったもともとの自然環境を生かした、例えば山の緑、市街地の緑の回廊及び水辺のウオーターフロントによるネットワークをすることによって、日常的にそれらを市民の憩いの場として活用しながら、いざというときは緊急時のいろんな活動に供するということがその一。
 それから、提案のその二は、商店街の再生ということです。今までの商店街というのは、大型店舗等に押されまして、旧市街地では非常に零細な小売、お父さん一人やっているようなお店がどんどんつぶれていっています。市場という非常にコミュニティーの場でもあるところが今回大変な被害を受けました。しかし、逆に今回の震災の中で立ち上がりが一番早かったのはそういった商店街からだったわけです。こういった商店街を再生することによって町の活性化を図ると同時にコミュニティーのコアにしようという提案です。
 その三が、交通とか情報の中心を人を中心にして、とかくハイテクに頼りがちなんですが、とにかく人を中心にしたコミュニティーの場で町の顔を形成する。要はわかりやすい町づくりをやったらどうかというのが三つ目です。
 その四つ目は、空間が非常に複雑で高度化してきました。そういうことで、地下あるいは地上ということで、土地の立体利用等で非常にわかりにくい空間になって、あるいは危険な場所が多いわけですが、そこに安全、快適なつなぎ空間をたくさんつくる、わかりやすくする、快適にする、こういったことを四つ目に挙げました。
 五つ目は、利便性の高い駅前、これはとかく今までの町づくりの中では、例えば大型商業の銀行であるとか、そういった商業施設に占められていましたが、これからの社会の中では、高齢者とか障害者、いろんな人たちが一番便利な場所に一番多くの情報が集まりやすい快適な空間をつくるということがまず大事ですから、そういう駅前という地区についての利便性あるいは快適性を高めた町づくりを提案しました。
 六つ目は、コミュニティーということは非常に今回大事とされました。すなわち、今まで都会に住んでいて声もかけ合わなかった人が声をかけ合う。そして、困ったときにいろんな物を出し合い、あるいは情報を提供し合いながら助け合う、これがまず町に住む、集まって住むという原点である。こういった認識の中で、新たにコミュニティーをどうしたらいいのか、こういった機運が現地では高まりました。この機運のヒントをぜひこれからの高齢社会の中で生かしていく町づくりが必要ではないか。そういったことから、これまでの住宅地のつくられ方の中において、コミュニティーの核となるような仕掛けづくり、これをぜひ入れないといけない。それは勢い、例えば集会所とかコミュニティーセンターをつくればいいのではないか。そういうものではなくて、もう少しきめ細かい、だれがどのようにして使うのか、あるいはどのような場面でコミュニティーを育成していくことができるのか、そういったきめ細かい話が必要かと思います。
 七番目は、やはり地域の防災拠点としての避難公園であるとかそういった街路、ネットワークの問題です。これらの都市のインフラというのは、残念ながら神戸はもとより全国を見ても、この関東、東京でもそうですが、同じような地震が来たち恐らく大変なことになるというような都市の環境が現存しております。そういったところに対して、全部スクラップ・アンド・ビルドで大きな道をつくるという発想じゃなくて、現在の都市の骨格を尊重しながら防災的な観点で再整備する、そしてアメニティーの高い空間として日常的な一般の市民の利用に供する、こういった街路の整備、公園の整備等が必要ではないかと、こういうことで七つを挙げさせていただきました。
 そういった一連の福祉の町づくりという視点を踏まえた復興計画の提案があったわけですが、私は、そのレジュメにありますように六つのことを最終的に挙げております。
 まず一番目ですが、重複する部分もありますが、人に優しい安全な都市施設をつくるということです。これはどういうことかといいますと、建築物、交通施設あるいは道路、公園、こういった一連の施設につきまして、現在バリアフリーというものがやられております。しかし、これまでのバリアフリー、例えばビルでしたらハートビル法等整備されておりますが、その中身につきまして見てみますと、下肢障害者、すなわち車いす使用者の方を中心とした整備がほとんどです。障害者といっても、目の不自由な視覚障害者、耳の不自由な聴覚障害者あるいは内部障害者、いろんな方がおられます。今後は、技術的な開発の問題もありますが、より広い範囲での障害を持った方への対応を考えた基準整備が必要であるということです。
 もう一点は、このバリアフリーデザインにおきまして問題が幾つか発見されております。一例を挙げます。
 例えば、道路の歩道の上に点字ブロックというのがありますが、あれは目の不自由な方が歩くためのものですが、一方、点字ブロックがあることによって、つえを使った方あるいは車いすの方あるいは高齢者の方が滑ったり、つまずいたりするという問題も起こっております。逆にあの点字ブロックは非常に景観を壊している、色が悪いということで地味な色に変えたりしておりますが、逆に視覚障害の方からは余計わかりにくいというような問題が出ております。
 すなわち、一つのことを環境整備、社会資本として投資しても、それが一方の方にとっては非常に不合理なことになっているという問題が多々あります。それをよく理解しないで、基準とか条例とかで全国一律にやってしまいますと、これは社会的に大変な資本のむだ遣いだと思います。ということは、よりそういった内容を多くの方に受け入れてもらえるような、すなわちユニバーサルデザインという言葉が最近あるわけですが、すべての人にとってより快適な効果をもたらすような新しい魅力的なデザインを開発する、このことがこれから必要になってくると思います。
 そういった意味での、これまでやられてきた条例、規則、要綱、全国で今たくさんの自治体が取り組んでおられる町づくりにつきまして、さらにそういった技術的な支援対策あるいは現在やられている環境に対する本当にいいかどうかという評価ですね、これをやはりユーザーサイドから見た整備の中で考えていくべきじゃないでしょうか。そういうことを思います。
 その次に私が言いますのは、安心して住み続けられる住宅の建設ということです。
 阪神大震災でも多くの住宅が壊れて、復興の住宅が建てられております。しかし、今、都市の居住者のライフスタイルを見てみますと、必ずしも従来の家族、お父さんがいてお母さんがいて子供がいてというような家族じゃなくて、残念ながら片方の方がお亡くなりになったり、あるいはシングルで頑張っておられる方、ヤングシングル、オールドシングルという方がたくさんおられます。あるいは、仕事の都合でどうしても普通のノーマルな生活タイプが過ごせないという方もたくさんおられます。これからそういった居住者のより多様な姿に対した住宅の供給が要るわけです。
 一方で、住宅を財産として取得するという向きや風潮が大変強いように聞いておりますが、やはり住宅は住んでこそ住宅でありまして、その住宅の空間としての機能もそれぞれの人の都市生活のいろんな部分を満たすものであるべきです。ということで、より多様な住宅が要るわけです。
 現在、被災地の方ではコレクティブハウジングという形で、例えば食事を共同化しまして、それぞれの方が住まう空間と共同で住まう空間を提供する。だから、公営住宅でもグループで申し込むというような形のものを試みにやっております。これからの高齢社会の中では、このコレクティブハウジングのようなものだけじゃなくて、例えば従前からありますようなグループホームとか、いろんなそういった福祉的な配慮、あるいはコミュニティー的な視点に立ったホープ住宅もありますが、そういったものを含めて考えていくべきだろうと思います。そういった意味では公共だけではこの仕事はできませんので、ぜひ民間の優良な事業を支援するような施策あるいは投資をぜひ試みていただきたいなと思います。
 それから、三つ目は保健・福祉サービスの充実と医療との連携と書いております。今回一番もろかったのは病院、医療施設です。一番頼りにすべき病院があっけなく壊れてしまいました。そして、たくさんの医薬品が不足したとか、そういったお医者さんが不足した、看護婦さんが不足した、いろんなサービスの対応ができませんでした。日常においても、これから高齢者がふえていく中でこういった医療へのニーズは高まっていくと思います。単に治療だけじゃなくて健康的な生活を支援する、地域に安心して住み続けるという意味から保健、福祉、こういった関連のサービス、あるいはそういった施設につきまして充実が必要ではないかと思います。
 それから、四つ目は先ほど申しましたような福祉の視点からは地域コミュニティー。要は、住宅に住むというよりは、これからは地域に住むということの視点が必要ではないかと思います。そのためには、これまでどちらかというと福祉の町づくりというのはハードをつくることが多くあったように思いますが、私は、これから地域において行動、すなわちアクションを支援するプログラム、アクションプログラムでより快適な空間をつくるためにサポートするソフトを技術としてつくるような支援技術が要るんじゃないか。そのためには、必要な人材であるとかリーダーであるとか、そういったものに対するいろんな啓発、研修あるいはそういった人たちを受け入れるような総合的な施設あるいは行政、民間のいろんな活動との連携、こういう多岐にわたるプログラムのことが必要になってこようかと思います。
 それから、五つ目は身近な情報提供ということです。今日、情報化社会とか言われておりますが、テレビとかそういった大きなマスメディアだけじゃなくて、もう少し身近なところで日ごろの生活を改善していくあるいは生活を楽しんでいくというような視点での情報、CATVが昨今いろんな地域でやられておりますが、それにつきましても普及している部分と、いろんな問題があるように聞いております。こういった身近な情報提供体制につきまして、改めて社会資本としてどのような形で投資していくのか。これが今後求められていくと思います。
 それから、六つ目は災害に強い防災拠点。先ほど言ったことにつながりますが、今回最も感じたのは仮設住宅のことです。これだけ科学技術が発達した我が国において、あの仮設住宅は惨たんたる非難を浴びました。住宅技術の進んでいる我が国においてどうしてでしょうか。私は一昨年イタリアへこの関係で調査に行きましたが、イタリアではそういった防災のヤードに、広域のネットワークの中でストックしているのを見ました。その住宅の中身も、日本のようなそういう画一なものじゃなくて、いろんな建築技術を駆使した新しいものが入っておりました。こういったことで、これからは資材のストックということをもう少し開発すべきであり、これを非常時だけのものとしてではなくて日常から一般市民の利用に供するような形で計画すると、こういったことも必要じゃないかと思います。
 そういったことで以上六つ挙げましたが、私は、さらにこれからの町づくりで環境整備の中に必要と思うことを述べさせていただきます。
 それは、全国の町づくり、生活環境の整備の中において非常に方法論が一様化してきた。これは工業化技術あるいは工業化された材料、工法を用いることによって、あるいはいろんなアイデアを持ち込むことによって展開されているわけですが、何となくその地域とか場所に応じたらしさみたいなものが全然なくて、住んでいる人にとってもアイデンティティーを感じるようなそういう場面が少なくなっているんじゃないか。例えば、駅前おりたら、どこでも同じような駅前空間があってみたり、金太郎あめのような町づくりがあります。これをやることのメリットもありますが、やはり一方で、場所を生かしたアメニティーを開発すべきじゃないかと思います。
 もう一つは、やはり住生活の中にたくさんの地域施設がありますが、現在、これを調べてみますと、ほとんど使われていない施設とか形骸化しているものもたくさんあります。これからライフスタイルの変化に合わせて多くの施設が出てくると思いますが、今までつくられてきたいろんな施設、例えばどこかで大きな体育館ができますと隣の県でもまた大きな屋根つきドームができるとか、同じようなことをやっております。そうじゃなくて、もっと国土全体で見た地域施設の計画が、投資が必要じゃないかなと思います。
 以上、時間もありませんのでこれぐらいにとどめますが、最後に、レジュメの最後に書いていますことを少し述べたいと思います。
 私が今一番感じているのは、こういった福祉の町づくりとかいう中で、二十一世紀は超高齢社会で、例えば消費税が上がるとか、国民が抱いている福祉の領域に関するイメージは非常に暗いです。私がこれまで述べてきた福祉というのは、決して障害者とか高齢者の人のための福祉じゃなくて、すべての人が生活をやっていて幸せを感じる、魅力を感じる、こういった町づくりこそ本当の福祉の町づくりだと思います。
 そういった意味で、これからの二十一世紀に我が国が、国際的な関係の中でいろんな難しい問題はたくさんあるわけですが、やはり国民一人一人が地域に愛着を持って、これはすばらしい、これは楽しいなというような場面づくりができるような社会投資をぜひやっていく必要があるんじゃないか。
 そういった意味で、先ほど井上参考人からもお話がありましたが、全体的な総合的な視点からの生活空間を構成する、こういった大きなビジョンがこれから求められていくと思いますので、ぜひ先生方にそういった点で頑張っていただきたい。私たちも研究者、教育者としてこれからやっていきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
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鶴岡洋#6
○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。
 以上で田中参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより両参考人に対する質疑を行います。
 先ほども申し上げましたように、質疑時間は八十分程度といたします。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。また、質疑、答弁とも簡潔にお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
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堂本暁子#7
○堂本暁子君 新党さきがけの堂本暁子でございます。
 きょうはお二人の先生方、大変示唆に富んだお話を伺いましてありがとうございました。
 特に、私は比較的環境のことをやっているものですから、環境の視点、それから福祉の視点を入れた町づくりということでお話しいただいて大変うれしく思った次第です。
 お二人に伺いたいことなんですけれども、京都で十二月にCOP3という気候変動枠組み条約の締約国会議も開かれまして、都市の空気の問題、これは大きな問題になってきていると思います。それで、公園が少ないとかそういうこともございますけれども、やはり自動車の乗り入れ、これがこれからの都市にとっては大変大きな問題だというふうに思っております。
 そこで、このような考え方で展開されていらして、特に車と町ということで御意見を伺いたいのが一つでございます。
 それから、井上先生に特に申し上げたいことなんですけれども、女性の働きやすいようなとおっしゃってくださって大変うれしゅうございました。その場合に、働きながら子育てができる、これは大変うれしいことなんですけれども、先生とちょっと見解を異にしますのは、駅前保育、これは日本の行政の中でも導入されてきていますけれども、私どもは比較的これはどうかなと思っております。
 と申しますのは、やはり働く女性の側からすれば駅前というのは便利なのかもしれませんが、駅前は遊びのスペースもありませんし、それから子育てはやはり地域で行うことが重要で、近所のお子さんたちとお友達になることが重要だという考え方でいいますと、地域に子育てのセンターとしての保育所、そこが機能する、ゼロ歳児の子供を持っている場合には、朝、保育のための子育て時短がとれるというようなことがむしろ大事じゃないかと思うものですから、その点についての御見解を伺いたいということです。
 それから、田中先生に、兵庫の地震の後でのことで、なるほどこういうふうにお考えになってということを私も大変感銘を受けました。
 それで、総合化あるいは個性化、そして人の息遣いを感じるような空間というような御趣旨だったと思うんですけれども、もう一つ興味を持ちましたのは、地域のコミュニティーの、言ってみれば昔の隣組のようなものかなと思うんですが、そういった面をこれから具体的に充実させるためには、行政の指導といってもしようがないわけで、どういうような問題意識を持つことが大事なのか、その点を伺いたいと思いました。よろしくお願い申し上げます。
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井上繁#8
○参考人(井上繁君) 私に対する質問は二つあったように思います。
 一つは自動車の都心への乗り入れの問題でございます。これは海外の例なども私かなり見ておりますけれども、いろんなやり方、いろんなケースがあると思います。ですからなかなか一概には言いにくいわけです。全面禁止にした場合に、やはり町の中で事業を営んでおられる方もおられますので、そういう方に支障があってもいけないということが一つあるわけでございます。
 例えば、オランダなどでボンネルフという考え方がございますけれども、要するに、住宅街などにおいては車の制限速度を二十キロぐらいに制限をして、道路の真ん中を膨らましておいて自動的にスピードが出ないようにしておくというような、そういうやり方をしているようなところもございます。
 それから、例えば東京の武蔵野市でムーバスというのが入っております。これは買い物の足として小型バスで市が民間に委託をして事業としてやっておりますけれども、これは結果的に、ムーバスが住宅街をきめ細かく走っていますのでマイカーに乗らないで済むというような仕組みにもなっております。ですから、これは言ってみればマイカーから大衆輸送機関への乗りかえを誘導するというようなやり方だと思いますし、いろいろございます。
 スウェーデンのある都市では、都心の駐車場の料金をやたら高くして周辺は安くしておいて、安いのがいい人は少し健康のためにも歩いてくださいということで、そんなことで選択に任せるというやり方をしているところもございます。手法はいろいろあろうかと思います。
 それから二つ目の、駅前保育に関するお話でございました。堂本委員のおっしゃる趣旨は私なりにわかりました。ですから、これもなかなか一概に言えないのかなと。私も実はそういう研究もやっておりまして、コミュニティーが大変大事だということも理解しているつもりでございますけれども、ただ現実の問題として、やはり地域の中でそういう子育てをするようなコミュニティーが十分育っているかというと、現実は必ずしもそうでないような部分もございます。地方都市なんかでは案外そういうことが有効かもしれませんし、ほとんどの人が共稼ぎをしているようなところですと、子供を見るといってもそういう場もないということになるとやっぱり駅前の方が便利ということで、現実にそういうお母さん方の声もございます。私、あるところでちょっと研究会のようなことをやっていたことがあるんです。ですから、ニーズは両方あるんじゃないか。
 だから、これも単純に駅前がいい、あるいは地域がいいということだけでなかなかちょっと割り切れないんじゃないかなというのが私の率直な気持ちでございます。
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田中直人#9
○参考人(田中直人君) 私に関しましても二点ほどあったかと思います。
 まず、車のことなんですが、実は車は公害問題等非常に厄介な代物なんですが、逆に非常に便利なものです。とりわけ障害者の方、高齢者の方にとりましても、安全な運転さえすればこれは非常に行動能力を発揮します。ということで、これからそういった車のよいところを生かすようにするべきです。ただし、現在の都市空間では非常に問題が多くあります。
 まず一点は、現在の商業施設でこういった車のことを考えてちゃんとしっかり駐車場をつくっている施設は少ないです。大規模なものでもキャパが知れていますし、それはどちらかというと車で誘発する、大きな駐車場でより遠くから人を集めるという商業主義に入っているわけですけれども、いわゆる小売店舗とかちつちゃな事業所、こういったところをどうするかということです。
 これで私は一つ提案があります。
 例えば、日本の道路というのは車が走ることを前提につくっておりますが、一方でやはり車が道路にとまることを考えた道づくりも要るんではないか。例えば、駐車場にわざわざ行かなくてもドア・ツー・ドアで行けるような道の構造をこれからは整備できればしていくというような発想で、これはヨーロッパ等の国を見ていますと道路に随分ととめています。こういうふうなことを前提にすれば、多少変わる部分もあるんじゃないか。
 それからもう一点は、やはり絶対量が絶対足りないわけですから、これだけ狭い国土の中、都市空間の中でやるとすれば、例えば移動に一番便利な地下にそういった駐車場をどんどんつくる、そのための社会投資をするということが必要になってくるんじゃないかなと思います。
 それから、もう一つの方法は、従来の公共輸送機関をより便利で快適で乗りやすいものにする。先ほど武蔵野のムーバスの話がありましたけれども、私も運輸省のお仕事でアメニティータ一ミナルというお仕事あるいは移動制約者の交通体系という研究会に入っておりますが、その中でも議論はあるわけです。例えば、乗りやすいバスをもっと都市部に導入するというようなこととか、あるいは従来の鉄道とかそういったものをやる。
 一方、例えば路面電車を見直す、チンチン電車ですね。交通渋滞を招くということで排除されたわけですが、やはりあれは電気で無公害で走りますし、のどかな都市を見るという一つのあれがあります。これを見直すということも一つの手だろうと思います。
 もう一つ例を挙げますと、アメリカのシアトルで見たんですが、例えば地下に大きな電気バスを走らせまして、それはダウンタウンのある部分は全部フリーになっている、無料になっているということです。その費用は周辺の商業施設とかビルが出していまして、要はそういうフリーアクセスで都市の中心部はだれでも自由に行けるんだという発想を導入されています。
 そういったことをモデル的に我が国でも導入する場所があってもいいんじゃないかと、こういうふうに思います。それが一点目です。
 それから二点目につきましては、コミュニティーの問題は非常に難しくて、実は地域によって実情が随分と違うと思います。隣組というお話がありましたけれども、やはり今までの生活の中で必然的に顔を合わせたり手をかし合わないとできないシステムが残っていたと私は思うんですが、現在はそれがありません。したがって、どういうことをするかといいますと、従前からそういう共通にするようなものを再発見するということはまず必要かと思います。
 簡単に言いますと、例えばお祭りあるいは伝統行事等、これを地域のみんなで何らかの形、最近は小学校のPTAを中心にして何か子供会があったりなんかすることもありますが、やはり地域で何かをするというような仕組みづくり、これが先ほど私が言ったアクションプログラムの一つにもなろうかと思います。
 それから二つ目は、やはり地域に必然的に集まってくるような場所をつくるということです。これは何も集会所をつくったりコミュニティーセンターをつくるという発想じゃなくて、必然的にそこへ行けばいわゆる現代版の井戸端会議のできる井戸、そういうものが必要じゃないかと思います。昔は井戸で水をくむということはだれでも毎日やったことで、顔を合わせたわけですが、そういうように顔を合わす場所をつくる。例えば集合住宅、マンションでしたら一緒に顔を合わすような、例えば階段室であるとかエレベーターホールのところにそういうものをつくるとか、それをもっと大きなスケールで言うと地域とか都市レベルで顔を合わす場面をつくる、都市の広場をつくると、こういった仕組みづくりがこれから必要で、それに対する支援とかアイデアの開発が必要になろうかと思います。
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牛嶋正#10
○牛嶋正君 井上参考人とそれから田中参考人、一題ずつお尋ねしたいと思います。
 まず井上参考人ですが、五のところで「社会資本を整備する視点」を三つ挙げていただきました。私もこれは大賛成でございます。ただ、この視点に優先順位をつけなければならないという場合も起こり得ると思うんですね。その場合にどれを先に優先されるのかということなんです。
 ちょっと例を挙げて私の質問の意図をお聞きいただきたいと思います。
 先ほど環境のところで中水道というのを挙げられました。これは、もう塩素による殺菌は要らないんじゃないかとおっしゃいましたけれども、実はここにちょっと問題があるような気がするんですね。
 と申しますのは、ことしもひょっとしたらO157というのがまた多量に発生するんじゃないかという危険を私は感じております。これは手を洗いなさいということを言うわけですね。それから、熱を加えなさい。熱には非常に弱いんですけれども、手を洗うときに水道水に塩素が含まれているということが殺菌の条件なんです。ですから、中水道で手を何ぼ洗ってもこれは殺菌にならないので、そうすると三番目の安全の問題と絡んでくるわけです。そうしました場合にどちらを優先するかという問題が出てくるので、それを教えていただきたいということでございます。
 それからもう一つ、田中参考人ですが、「人にやさしい福祉と安心のまちづくりの提案」、六つ挙げていただきました。これは全部もっともだと思うんですけれども、例えば②の「安心して住み続けられる住宅の建設」ですが、我々の人生は八十年時代を迎えまして非常に長くなりまして、幾つかのライフステージをずっと経ていくわけですが、それぞれのライフステージで体力も気力もそれぞれ違いますから、自分に合った住宅というのは違うんじゃないかと私は思うんです。もしそれをずっと続けるということになりますと、その条件を満たす住宅というのは物すごく高くつくのかなという気がしまして、到底我々では建てられないんじゃないかなというふうに思います。そうしますと、住みかえみたいなものが求められてくる。そうしますと、今度は四番目の「良好な地域コミュニティーの形成」がちょっとまた怪しくなってくるわけです。
 それぞれ一つ一つを取り上げてみますと非常にいいんですけれども、これを全体で考えた場合、非常に難しい設計を、デザインを要求されるのかなというふうな気がしておりますけれども、そんなところ、まだほかにも医療のシステム等についてお聞きしたいんですけれども、時間ですので。
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井上繁#11
○参考人(井上繁君) 今の牛嶋委員の御質問でございますけれども、私の申しました環境、それから人口構造変化への対応、安全、防災という問題は、いずれにしましても二者択一的な問題ではないと基本的に考えておりますので、牛嶋委員のお話しになりました中水道の問題に絞ってお話ししたいと思うんです。
 私が申しました中水道というのは、主として便器の洗浄水ですとかあるいは洗車、あるいは庭の水まきとかそういう用途を考えておりまして、実際に手を洗うのは、これは先生おっしゃるように消毒してないとぐあいが悪いですから、やはり上水道で賄うべき分野であろうと、そういうふうに考えております。
 以上でございます。
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田中直人#12
○参考人(田中直人君) 確かに、住み続けるということですべてのいろんな身体状況等を勘案して高度な設備を住宅に入れますと、非常に高価なものになります。これは庶民の手が届くはずがない話ですから、非常に問題になるわけです。
 私が述べたかったことは、まず一点目は、住宅を個人の所有物としてだけじゃなくて、例えば住みかえということに対応して、後の方が住まれても、そういった身体状況の変化があっても対応できるような準備をしておこうと。例えば、手すりを最初からつけなくても手すりをつけられる壁の補強は最初からやっておこう、あるいはお金を出せば後で別のユニット設備を持ってきて快適なおふろがはめ込めるようにしておこうとか、そういった将来への対応を考えた住宅づくり。よりフレキシブルな融通性のある計画でやっていこうという考え方に立っています。
 それから二点目は、住宅をコミュニティーの問題で考えますと、やはり地域の中で住むということですから、地域で住宅あるいは生活を支援するいろんなサービスがあります。例えばシルバーハウジングというのがありまして、特別養護老人ホームが下にくっついていたりしますが、そういったより多機能な支援体制を組み込めるようなことをこれからやっていこう、住宅は住宅、福祉施設は福祉施設じゃなくて、一緒に考えて地域でやる、場合によっては地域のボランティアの人がそういったことをサービスしながら、自分たちの生活のことについても十分考えるし自分たちが実際なったときも勉強になる、こういったような地域と連動した支援体制が要るんじゃないかなと思います。
 三つ目は、より適切な住情報ですね。今、住宅情報産業はたくさんありますけれども、もっときめ細かい、今先生がおっしゃったような視点での住情報サービスをもっと制度的に整備する、こういうことが必要かと思います。
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小野清子#13
○小野清子君 自民党の小野清子と申します。きょうはありがとうございました。
 最初に、田中先生にお伺いしたいと思います。
 阪神・淡路大震災、私も二週間日に参りまして、大変悲惨な状況に驚いて帰ってきました。プライバシーが侵害されるということで、体育館などに皆さんが避難していらっしゃる姿を見て大変だったと思うんですが、片や体育館から出る時期が来ましたら皆さん人恋しくて出たくないというお話もあり、プライバシーの存在もさることながら、人は人の中にあって人間らしさというものを取り戻したと再確認をしたような気もあの記事を見て感じたところでございます。
 これからの住宅地のあり方、住宅のつくり方で、一度アメリカに行きましたときに、マンションをつくるとその真ん中にジャクジーがあって体育館があって公園があってということで、非常にコンパクトにつくり、かつ危険ですから入り口はきちんとカードを持っている者しかドアがあかない、こういう形になっているのをもう十数年前に見てびっくりしました。その中におけるプライバシーを確保しながら、先生がさっきおっしゃったような住宅のつくり方というものの見本を見せていただいたような気がするんです。兵庫県でもいっか、下がデパートであり真ん中が市役所であり上に住宅があり体育館があるというのを見せていただいたことがあると思うんですけれども、日本がそういう方向に今向かっているパーセンテージといいますか、そういうものがもしおわかりでしたらぜひ教えていただきたいということが一つでございます。
 あと井上先生には、都市部の社会資本が大変おくれていると常々思っております、私自身も。大変共感を覚えさせていただいたんですけれども、市民参加でプランを計画する段階からやっていかなければ物事はうまくいかない。計画道路はあるんですけれども、東京の場合なんかでもなかなか整備ができていかない部分があります。その辺が社会資本整備と個の問題、これは市民参加のプログラミングを立てる段階からの相談が悪かったのかどうか、今後これをどうやって解決していったらいいのか、その辺をお伺いしたいと思います。
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田中直人#14
○参考人(田中直人君) まず、そういったいろんな住宅以外の機能を盛り込んだ新しい開発、これは駅前の再開発でありますとか都市部におけるそういう限定された環境の中で結構最近はたくさんあります。何%かということにつきましてはちょっと定かに、今手元に資料ありませんのでわかりませんが、今後の方向としてはそういう方向が考えられます。
 ただし、土地がないから一緒にするという意味じゃなくて、要は複合施設であっても単にひっついているだけで、住宅とそういったほかの機能がうまく連動していない例がたくさん見受けられます。それは、制度上何かを積んでやるということは非常にメリットがあるわけですけれども、より生活者の視点に立った複合の仕方、これに対する必要な助成とか融資をこれから図る必要があろうかと思います。
 そして、なおかつ建築物だけじゃなくてその建築物の周りのオープンスペース、屋外空間の広場とかお庭とかそういったことについても要りますし、それから駐車場も要りますので、屋外も含めた整備がこれから必要かと思います。
 それから、アメリカの例を先生今おっしゃったわけですが、アメリカの場合我が国と違いまして非常にセキュリティーが悪い状況です。日本の場合、今までの集合住宅、今の複合化のことに関して言いますと、どちらかというとクローズしてつくってきました。かぎ一本で中をクローズしていますが、要は田舎の家というのは外から中の生活がわかる。阪神・淡路大震災でも、淡路島の地区の方はその日のうちに安否確認ができたというのは、どこのおじいさんはどこに寝ているかまで知っていたということがあります。ということは、皮一枚のつくり方でより開かれた構造になっているということが非常に大事で、それが地域に住むという基本要件になろうかと思います。
 そういった意味で、先ほどの住宅以外のプールとかいろんなコミュニティー施設も地域に開かれた形でやはりつくるべきじゃないか。だから、そこの住宅の所有者だけが使うのじゃなくて、より地域の方が一緒に使えるようなつくり方、これが大事になろうかと思います。
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井上繁#15
○参考人(井上繁君) 社会資本を整備する場合の住民参加の問題でございます。
 例えば、都市計画道路などはかなり早くから決まっておりまして、専門の地図を見ればそういうことは出ているんですけれども、市民の人は案外そういうことを知らないことが多いですね。それで実際着工ということになって初めてそれを知ってトラブルが起こるというようなことも起こりがちでございまして、行政の方も積極的に日ごろからそういった状況を市民に伝えていくような努力をしていくこと、これがやはり必要だと思います。
 それから、これから地方分権ということがますます大事になってまいります。となりますと、自分たちの町をどういうふうにつくるのかということを地域の方々が話し合っていくと、そういう仕組みづくりと申しますか、道路も町づくりの一環なわけですから、たとえ国道であってもそれを町の中のどこを通すのかということについてやはり多くの住民の理解と協力がなげればできないわけですから、基本となる町づくりのプランをつくる段階において、個別の道路だけではなくて基本となる町づくりのプランをつくる段階から住民の方々と一緒につくっていくというような姿勢が大事ではないかと思っております。
 スウェーデンのストックホルムへ参りまして、ある道路をつくる事業のチラシを見てなるほどなと思ったのですけれども、御意見のある方はこちらへどうぞというようなことで、そのチラシに電話番号だけじゃなくて、日本ですと大体その担当の課の名前ぐらいしか入っていませんけれども、それを担当する人の名前が書いてありまして、それでその人の顔写真が、プロフィールの写真が、なかなかすてきな写真でしたけれどもそれが出ていまして、これについて御意見のある方は私に言ってくださいと。市民の人にしてみると、役所というものは非常に大き過ぎて近寄りがたいんですね。しかし、そういう工夫をすることによって、この人なら行ってみようというようなことも場合によってはなるかもしれない。そんなことでおもしろいなと思いました。
 以上でございます。
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小山峰男#16
○小山峰男君 太陽党の小山峰男でございます。両先生、どうもありがとうございました。
 私は、今もお話がございましたが、地方分権について両先生の御見解をお聞きしたいというふうに思っております。
 井上先生につきましては、先ほど総合的な視点が欠けている、あるいは縦割り行政の弊害だとか、あるいは予算配分が大変硬直化していて建設省が七割だ、そういうお話もございました。町づくりというのは、やっぱり地方が主体でつくるという形にならないと両先生がおっしゃったようなすばらしい町はできてこないというふうに思っております。
   〔会長退席、理事牛嶋正君着席〕
 田中先生も、先ほどそれぞれのらしさがないとか、あるいは金太郎あめの町づくりになってしまっているとかいろいろお話がございましたが、いずれにしても各省が縦割りでその地方に入っていく限りこういう総合的な町づくりはできないというふうに私は思っておりまして、基本的には財源も伴った地方分権が本当に行われて、地方がいわゆる住民参加のもとに町づくりをしていかなければならないというふうに思っているわけでございますが、その辺の御見解について両先生からお願いしたいと思います。
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井上繁#17
○参考人(井上繁君) 小山委員のおっしゃった方向について、私も基本的にそういうふうに考えております。
 特に、今の日本の縦割り行政の中で、それを地方という視点で見ますと、大変むだが多い。さらに申しますと、地方といいますと都道府県と市町村と両方ございますけれども、私は基礎的自治体である市町村がやはり中心になる必要があろうというふうに基本的に考えております。
 ただ、今の市町村の規模等から申しますと、一番小さいところで人口が二百人という村もあるわけでございまして、そういうところではすべてをそこでやってもらうということはなかなか難しいことでございます。ですから、やはり市町村の規模を大きくするような合併であるとか、あるいは広域的に物を考えていくような広域連合というような制度もできましたけれども、そういう広域的な物の考え方。ある施設があればそれを隣接の市町村の方々はみんな一緒に使えばいいわけですから、そういう考え方をもっと広げていく必要があるんではないだろうか、こんなふうに考えております。
 以上でございます。
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田中直人#18
○参考人(田中直人君) まず、地域の実情を把握するのにどういう方法がとられているかということで、町づくりの前提となる地域の実情を本当に理解されて計画がなされているかということは非常に問題になります。この場合に、地域の計画策定に当たって、ややもすれば地域の関係者じゃなくて、東京といいますか、中央の方が地方の計画を策定することはたくさんあると思います。別にこれを否定するわけじゃないんですが、より地域の実情をわかっている人、すなわち地域の中でそういった能力のある人に機会を与えるような仕事の発注の仕方とか、そういったことも必要かと思います。
 それからもう一つは、やはりいろんな法体系の中で、市町村から県レベルあるいは国レベルというヒエラルキーが余りにも多くて、手続の中で、形骸化した手続といったら失礼な言い方なんですが、非常に事務が時間がかかる、手間がかかることが随分とあります。この辺をもう少し、本当の地域の中の計画であって、より早く合理的、スピーディーに進めるようなやり方とか、あるいはそれに対応した予算の裏づけとかいうことが必要になろうかと思います。
 そういう意味で、地域の行政区分のあり方が、現在行われているものが果たして本当に妥当であるかどうか、これがかなり問題になろうかと思います。すべての地域施設、今の建築物にしても何でもそうですが、市町村あたりとか、その行政区をベースにやっているのが随分と多いわけですが、これは生活の実態とほとんど合っていないことがあります。
 一例を言いますと、阪神大震災のときに、ある方が言いました。ここが東灘区じゃなくて御影郷だったらもっと早く対応できたのになということをおっしゃっていました。それは、地域のコミュニティーというのは、小さ過ぎても大き過ぎてもだめなんですね。だから、今の画一的につくった行政区分の枠だけで考えるんじゃなくて、もう少し大きな枠も必要ですし、もう少し小さな枠も必要ということです。必ずしも全部大きくすることはないです。生活に密着したところは、より小さなコミュニティーが適切かもわかりません。
 三つ目は、やはり行政の中で行われていろいろんな情報を伝達するにしても、今の町づくりということに関して言えば、非常に大きなラフな話が多いわけですけれども、本当に地域の町づくりをやるとすれば、非常に家族的と言ったら言い過ぎですが、もっと密な情報でやらないと進まないことがあります。ある場合にはそれが切れて強制的に何かをやらされるということで、そこに市民参加と言いながらも、建前だけで何も機能していない部分があろうかと思います。本当の意味の住民参加とか市民参加にするためにも、よりアプローチしやすいような制度の枠組みが必要になろうと思います。
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笹野貞子#19
○笹野貞子君 本日は大変ありがとうございました。
 両先生にお伺いしたいと思います。
 井上参考人の先ほどの御発言の中でも三つの視点といって、一つ環境、二は安全、防災、そして参考人の座談会の中の資料を拝見いたしますと、この三つの優先順位は最後の三番目が高齢者・障害と、こういうふうに優先順位をつけております。こういうふうになるというのは、日本の社会の公共投資というのでしょうか、そのあり方というのは経済的投資効率、投資効果というのでしょうかね、そういう投資の効率云々によって公共投資の検討というのがなされているんですが、私は老人とか障害者の方に投資をしても果たしてこれが効率という形で図れるのかどうかということで非常に疑問に思っている一人です。
 そういう意味で、参考人の御意見をお聞きしたいんですが、今あるこの経済的な公共投資に対する投資効率という視点から参考人がおっしゃっています優先順位というのは、そのためにつけたのか、それともそういう投資効率ということに対してどのようにお考えになるかということをお聞きいたしたいというふうに思います。
 田中参考人につきましては、この先生のお書きになりました「福祉のまちづくりデザイン」といり大変御労作を拝見させていただきました。神戸の震災については、本当に説得力ある御文章で大変感動いたしました。先ほどの御発言にもありましたし、この中にもありますけれども、先生はノーマライゼーションということを盛んに力説していらっしゃいます。私も大賛成なんですけれども、日本の今の町づくりというのは果たして先生の言われるノーマライゼーションのようなことになっているかどうかというのは私はいささか疑問で、何か今高齢者は高齢者で遠いどこかに隔離したような形にある、大体そうだと思うんですね。
 ですから、私は、先生のおっしゃるように、高齢者の施設は駅の前にあったり繁華街にあったりするという提案には大変賛成なんです。しかし、こういうふうになるまでに一体日本の社会はこれからどうあるべきかということの発想の転換をどういうところでどうすべきか、あるいはノーマライゼーションという先生のお考えに対して国民的コンセンサスというのをこれからどのような視点で進めなければいけないのかということをお聞きしたいと思います。
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井上繁#20
○参考人(井上繁君) 先ほど私が三つ申し上げましたことは、結論から言いますと順不同でございます。何か先に言ったものを重視しているとか、そういうことでは全くございませんので、この点だけはちょっと確認をしておきたいと思います。
 それから、笹野理事のお話の中で、投資効率一辺倒ではいけないんではないかと、こういうことでございます。私もそのとおりだと考えております。
 今までの日本の社会は効率だけで物を考えてきたと、そういうことを反省すべきであるというようなことも新聞等を通じて書いたこともございますし、決して経済性とか効率だけで物事を判断しようとは全く考えておりません。
 ただ、先ほど欠落しているというようなことの中で、最後にたしか評価という話を申し上げました。これはある公共事業を税金を使ってやる以上、その効果がどうであったのかどうなのか、そういう評価をすることは大事であるということを強調したかったわけでございます。
   〔理事牛嶋正君退席、会長着席〕
 高齢者向けの対策が御高齢の方々に喜んでもらって、それが社会的に意味のあるものであればそれはもう十分評価されるべきものであろうというふうに考えております。
 以上でございます。
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田中直人#21
○参考人(田中直人君) ノーマライゼーションにつきましては、非常に難しい概念ですが、これは何も片仮名で言わなくても、みんなで同じようにと言えばわかる話だと思っているんですが、国民的なコンセンサスが得られているかどうかということにつきましては、これは残念ながら非常に難しい問題があろうかと思います。一番肝要なのは、国民一人一人が我が身のこととして感じとれるような場面とか意識をまず持っていただくということが大事ではないかと思うんです。
 私の学生に最近交通事故を起こした学生がいまして、それで入院したわけですが、松葉づえになって初めてそういう方の気持ちがわかったというようなことを言っておりました。これはやはり今大人たちが議論する世界だけじゃなくて、ノーマライゼーションとかこれからあるべき福祉社会の構築につきましては、小中学校あるいは幼稚園の小さなお子さん、そういった教育の中に人に対する思いやりとかそういったことを入れるようなカリキュラムがあってもいいんじゃないかと思います。もっと言えば、教室で学問するだけじゃなくて、ボランティアで外に行って、それが例えば単位になるとかそういうような制度もどんどんあってもいいんじゃないかということで、もう少し若年層からの社会的なそういった啓発、研修を組むということが一つあろうかと思います。
 それからもう一つは、やはり国民的なコンセンサスの中で、経済的な視点からいっても、単にそういった別に隔離して施設に収容するという施設収容型の高齢者対策はいかに高くつくかと、在宅で地域にいてみんなでやっていく方がコスト的にもいいんだというようなことにつきましても試算も出ておりますが、そういった発想での環境整備ですね、これをもっと社会的に皆さんで考える機会をつくるべきだと思っています。
 それから三つ目は、具体的な今までとられてきた例えば狭義の意味のバリアフリーデザインですね、こういった中を見ましても実にむだなことをやっているように思うんです。OHPを用意していますから、ちょっとだけ時間をいただきたいんです。(OHP映写)
 ここに、例えば目の不自由な方に役に立っているものと役に立っていないものを尋ねた調査をしました。役に立っているものはやはり点字ブロックが多かったわけですが、逆に役に立っていないものを聞きましたら、何と点字案内板とか触地図、よく地図の上にぽつぽつの点字が張ってあるやつがありますね、これは全く役に立っていないそうです。
 しかし、どこの自治体でも条例を見ますと、そういうことをやるとみんながわかる、しかも地図だから目の見える人もわかるんだということでノーマライゼーションだというふうにやっているんですが、こういう何百万もかけるような代物もあるぐらい、ブロンズでつくっているところもあるんですが、そういうものが一切役に立っていないということですね。だから、視覚的に不自由のない人の発想で物をつくっている、要は全然ノーマライゼーションされていないんです。そういうことをもっとつぶさに社会的投資として皆さんでもう少し考えていただきたいな、こういうふうに思います、一例ですけれども。
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笹野貞子#22
○笹野貞子君 ありがとうございました。
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林久美子#23
○林久美子君 両先生、きょうはありがとうございます。
 私は、まず井上先生にお伺いいたします。
 社会資本の整備で現在問題になっているハード面とソフト面というのもありますけれども、国と地方、いずれが整備した方が効率的かまた住民サイドの利益になるかという点でありますけれども、そこで問題になるのが地方財政の問題と自治体の統廃合、そしてまた道州制の問題でありますね。特に地方財源の拡充については、この十年もう一日のごとく言われておりますけれども一向に進んでおりません。これが何が原因でそう進まないのか、これが一点。また、自治体の統廃合や道州制の問題はどのように先生はお考えになっていらっしゃいますか、お聞かせくださいますでしょうか。
 そして、田中先生は、私も震災に遭った一人でありまして、神戸出身であるものですから、きょうはこの「福祉のまちづくりデザイン」を読ませていただきまして、本当に夢と希望を与えていただいてとってもうれしく思っております。それでも神戸は復興にまだまだ遠いんですけれども、今回の先生のこれを読ませていただきまして、高齢者や身障者にとって優しいバリアフリーデザインの完備した町づくり、これを目指されておりますけれども、まさに理想的な社会環境であることは間違いないと思うんです。
 しかし、これにはしっかりした都市計画と裏づけになる予算の計上、このことが一番重大点で、例えば神戸市にそのようなバリアフリーデザインを完備した場合にはどれぐらいの予算の計上が必要であるということを考えていらっしゃいますか。また、完備するにはいつの時点でその目標ということを考えていらっしゃいますか、お聞かせくださいますでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
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井上繁#24
○参考人(井上繁君) 質問は二つございました。
 一つは、地方への財源を強化する必要があるのだけれども、一体それは何が原因で進まないのかと、こういうことでございます。
 結論から言いますと、国家公務員の方が余りにも責任を感じ過ぎているということではないでしょうか。言葉をかえて言えば、みずからの権益を守るということに力を入れ過ぎているということかもしれません。今、地方分権推進委員会で地方分権のいろいろな議論が行われております。それで、昨年の第一次勧告で権限の移譲、特に機関委任事務の廃止とか権限の移譲についてはおおよその決定を見たわけですけれども、問題は権限だけ地方に行ってもそれに必要なお金が来なければ事業はできないわけです。今のさまざまな補助金制度をどうやって洗い直していくのか、これが大変大事なことだと思うんです。
 といいますのは、補助金というのは使い道が決まっておりますので、地方で自由に使うことができないという問題がございます。補助金をなるたけなくして地方が自由に使えるような一般財源にどういうふうに切りかえていくのかと、これがやはり大変大事なところだと思います。
 最終的には、これはまだいろいろ時間がかかることだと思いますけれども、消費、資産、それから所得ですね、主に税金はこの三つのどれかに入りますけれども、今の税金の体系そのものをやはり改めていく必要がある。地方に重点を置くような税の配分、これは地方分権になれば当然それに伴ってやらなければならないことであるというふうに考えております。
 それから、二つ目は自治体の統廃合あるいは道州制についてどう考えるかと、こういうお話でございました。
 自治体ですので廃止ということはちょっと余り適当でないように思うんですけれども、統合ということは、先ほど私は合併ということとか広域連合ということを申し上げました。これから地方分権に伴って基礎的自治体の基盤を強化するということは大変大事なところだろうと思っております。
 ただし、一つそれにつけ加えますと、何でもかんでもずうたいが大きくなればいいというものでもない。それは先ほど田中参考人がお話しされましたけれども、やはり地域の中にコミュニティーというものが育っていないとぐあいが悪いと思うんです。私はやはり地域の中のコミュニティーが育つということを前提にした上で、現在の日本の地方自治体、市町村、大体三千二百ございますけれども、これは余りにも数が多過ぎる。やはり統合をしていくということはかなり緊急にやらなければならないことである。
 ただ、地域にはそれぞれ歴史とか長い間のしきたりがございます。ですから、例えば国会議員の先生方とか国の役所が、AとBとCが一緒になった方がいいとかということではなくして、やはり地域住民の中から自主的に一緒になろうというようなことで、自主的な合併であるということがやはり大事であろうと思います。
 以上でございます。
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田中直人#25
○参考人(田中直人君) バリアフリーですけれども、御存じのとおり神戸は傾斜地が多いですからバリアフリーは大変なところなんです。
 まず予算の面なんですけれども、実際私が、大分前ですが、具体的に神戸市における公共建築でバリアフリーをやるとすれば幾らかかるか調査したことがあります。そのときわかったことを言いますと、まず、新築時において最初からやればさほどお金はかからないということが絶対言えると思います。
 問題は既存のものをどうするかということでありまして、既存のところをやる場合においては二つ考え方があると思います。生活環境のバリアフリー化にとってどうしても優先的にやるべきもの、生理的な欲求とかどうしても日常の交通で要るところにつきましては一気にやってしまうというのが一つあります。一気にやってしまう型ですね。それから、二つ目は徐々にやる型です。それは何かといいますと、やはり何かあるときについでにやるということ。例えば増改築するときに一緒にやってしまう、道路のつけかえ工事があるときについでに歩道をそういう規格のものに変えてしまうとか、そういう二つがあると思うんです。一気にやってしまう型を増進するためには、まずそういったイベントとか何かの目標の年次を定めるということがあると思います。
 ちなみに、ある自治体ではいつも市長選挙の年にそういう完成時を設定しているというのもありますけれども、それは一つの花をつくるということですから、いい意味で活用すれば町が変わるわけですから、それはいいことだと思います。
 それから、大きい二つ目としまして、お金を下げるためにどういう手だてがあるか。これは、今我が国で非常に多くの商品が出ております。あるいはそういった方法がありますが、残念ながらそういった建材とか、例えば住宅でしたら九百十のモジュールとメーターモジュールというのがあります。コマーシャルでもありますが、メーターモジュールの方がバリアフリーに対応しやすいわけですが、規格はメーターモジュールのものがあっても、建材としてはメーターモジュールのものは出回っていないんです。これにつきまして、行政の方でもう少しそういった福祉対応の建材をやると、そういった材料レベルから商品レベルまで配慮しないとちまたで工事をやるときは安くできないことになります。二枚持ってきて、半分にまた切って足したり、非常に高くつく、手間がかかるということが現状であります。
 それともう一つは、今現在の町づくりは条例という形の基準づくりばかりやっておりますが、例えば何とか市、何とか県だったら何とか県で具体的に地域においてバリアフリーをどうするかというめり張りのついた計画書、すなわちバリアフリーの地域計画、これをぜひやっていただきたいなと思います。そういう地域バージョンで個別の答えをうまくやりながら、さっき言った二つの方法を組み合わせながらやることが賢明な投資方法ではないかなと思います。
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三重野栄子#26
○三重野栄子君 社会民主党・護憲連合の三重野栄子でございます。
 田中参考人にお伺いいたします。
 阪神大震災の経験を踏まえて提案をいただいておりますけれども、先生がごらんになりまして、現在までこの提案に沿いながらどのように進行しているだろうか、もししてないとすればどういうところに問題点があるだろうか、進めるとしたらどうすればいいかということについてお伺いしたい。
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田中直人#27
○参考人(田中直人君) 阪神大震災につきましては、国並びにいろいろな関係者の皆様の御支援がありまして、地方では大変皆さん頑張って、復興の方へも頑張っております。
 しかしながら、大方のマスコミ報道でもあるとおり、大部分は復興の兆し、例えば百貨店等も震災前の売り上げに戻ったという報道はあるわけですが、私は仮設住宅の方とかそういった地域のいろんな場面の調査をやっておりますが、残念ながら取り残された方がずっといるということです。そういう方は、恐らく私の予測では亡くなるまでそういったところあるいはそれに近い形のものに依存せざるを得ない状況じゃないかと思います。
 それから、一般の住宅においても、依然として、行きますと空き地が目立つんですね。建てている人はすぐ建てていますが、建ててない方は建ててない。それは何かといいますと、例えば地区を指定して今復興の計画を進めておりますが、いわゆる白地地区というところがありまして、何も制度上の網がかぶされていないところは本当にほったらかしなんですね。そういうところであっても、地域の人が立ち上がって何とかしようということで町づくり協議会というものをつくってやっております。
 残念ながら、気持ちはあっても先立つものがなかなかないんですね。高齢者の人でしたら、今さらお金を出して建てかえて、私はもうやりたくないと、もうええわというような話が多いんです。これに対してなお一層の財政的な支援あるいは必要な関係者の調整をするためのシステム、これをやはりぜひ制度として整備していただきたい。
 私は、何も阪神大震災のことだけじゃなくて、昨今も九州ですごく地震が続いております。これからいつ何どき、東京、九州、いろんなところで大地震が起こるかもわかりません。こういったことに備えて、地震が起こってからどうこうじゃなくて、今からこういう場合にはこうするんだという立法をぜひ早急に考えていただきたいなと思います。
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三重野栄子#28
○三重野栄子君 ありがとうございます。
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日下部禧代子#29
○日下部禧代子君 両先生、どうもありがとうございました。
 お二方のお話を伺っておりながらつくづく感じたことでございますが、日本には都市計画という発想が乏しかったなということを改めて感じております。したがいまして、都市計画に関する政策というのもおくれてきたということになるかと思います。
 ヨーロッパなどにおりますと、例えば緑地にいたしましてもスクェア、例えばロンドンなんかですとスクエア、公園まで行かなくてもスクエアというところで共有の緑の場所がございます。日本の場合はどうしても私の家、私の土地という感じで、公の、共有というふうな発想がなかなか芽生えてこなかったという過去の歴史もあるような気がいたしますけれども、その都市計画という発想、したがってその政策というものがなかなか日本では発展しなかったのはどこに一体起因しているのか。そしてそれをこれからどのようにしていけばいいのかということをお二方にまずお聞きしたいと思います。
 例えば、住宅の問題にいたしましても、私はちょっと国際比較をするために、いろいろと各国の総理あるいは政治家のスピーチなどを調べたことがございますけれども、戦後、例えばドイツではアデナウワー、あるいはまたイギリスではアトリー、本当に胸の震えるような感動的な住宅政策に対する、あるいは都市計画に対するスピーチをしております。これは私たち政治家の問題でもあるかと思いますけれども、なぜに日本はそういうことがなかったのか。
 それが今現在、やはり道路の幅にいたしましても、自転車道がちゃんと区切られるようなスペースを持つような都市計画をもう既に持っていないと今あるお家を除去して道路をつくるということも、これは非常に難しいわけでございます。非常にそういった基本的な問題が日本には多々あって、社会資本の整備のおくれということにもつながっているのではないかなというふうに思いますが、この点に関してのお考えをまずお二方にお聞きします。
 それから、井上参考人には、先ほどいわゆる評価の問題をおっしゃいました。これも非常に私も重要なことだというふうに思うんです。予算をつくる場合に、それまでの評価ということに対してのシステムというものがもっときちんとなっていれば、予算上のむだということもかなりこれは省かれていくのではないかというふうに思うわけでございますが、この予算を含めまして評価のシステムというのをどのような形でこれから日本の地方自治体、また国政の上でつくっていけばいいのか、どの辺からこれは手をつけていけばいいのかというお考えがもしおありでしたらお聞きしたいというふうに存じます。
 それから、田中参考人には、先ほど阪神大震災の経験を踏まえた上での福祉の町づくりの御提案、本当に私うなずきながら聞かせていただいたのでございますが、その中に連携のシステムということをおっしゃいました。これはとても重要だと思います。今、お年寄りの孤独死というふうなことが仮設住宅の中で大変悲しい事実として報道されているわけでございますが、これもやはり連携のシステムの欠如から来るものではないかというふうにも思います。
 それからまた、震災のときでございましたが、病院と病院の連携というもののシステムがきちんとできていない、そして、まだ何も震災を受けていないところの病院で、患者を待っているけれども全然来なかったというふうなお話を後で医療機関から私よく耳にしたことがございます。そういう病院と病院、これはアメリカなどでは、この病院がいろんな災害でだめになったらその次の病院へ、後方病院へという連携システムがきちっとできているような例を私随分聞いているのですが、この辺について今神戸ではどのような形で手をつけられていらっしゃるのでしょうか。
 それからもう一点、先ほどお年寄りあるいは障害を持った方が住みやすい住宅ということで、改築すると非常にお金がかかる、本当にそうだと思うんですが、日本では建築基準法の中に公共の建物にはバリアフリーを入れられておりますけれども、個人の住宅に関してのバリアフリー、これはスウェーデンなどではもう一九七〇年代に建築基準法の中に入れられているわけなんですけれども、日本の場合にはどうしても、公共の場合はそうだけれども、個人の場合はどうもというのが建設省のお答えでございますが、田中参考人はどのようにお考えでいらっしゃいましょうか、よろしくお願いいたします。
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