猪熊重二の発言 (臓器の移植に関する特別委員会)
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○委員以外の議員(猪熊重二君) 今、先生おっしゃられた脳死臨調の報告書の問題ですが、この間もほかの委員の先生からもお話がございましたけれども、要するに生きている人であるということを前提にして臓器を摘出することが違法性を阻却するということは認められないと言う刑法学者ももちろんおられます。
一番最初、著名な刑法学者がそういうふうなことを言われまして、今ちょっとここへ資料を持ってこなかったのですが、現在だと、人数でいうのはおかしいですけれども、違法阻却で十分に刑法理論として耐え得ると言う学者と、それから違法阻却理論で通すわけにはいかないと言う刑法学者と、数でいうわけじゃないけれども、ほとんど同じかあるいは違法阻却で法理論的に十分通るというふうな意見の学者の方がやや多いぐらいの状況には現在なっております。
ですから、今、生者から摘出してもいろんな要件を充足すれば殺人罪にも何にもならないよという見解をとるわけにはいかぬというふうな脳死臨調の意見だけじゃなくして、刑法学者の意見も今申し上げたように半分ぐらいの先生方がそうおっしゃっておる。しかし、それじゃ脳死を死としてやっていくということの社会的な法的な混乱の問題と比較した場合に、やっぱり違法阻却理論で処置する方が妥当だなという御意見も半分以上の刑法学者が言っておられるんです。その点を一つ申し上げておきたい。
ですから、私は別にこの違法阻却理論が刑法学会の通説であり定説になっているということは申し上げません。しかし、半数以上の学者の支持も得ているし、それから日本弁護士連合会の法律実務家の集団としても違法阻却理論で十分だと、理論的に十分だというふうな意見もある。
そのような点で、確かに見解の対立があるからいろいろ問題になっているんですけれども、問題はお医者さん自身の気持ちの問題で、法律の問題というよりも気持ちの問題だろうということは私も十分に理解はできます。
以上です。