猪熊重二の発言 (臓器の移植に関する特別委員会)

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○委員以外の議員(猪熊重二君) 私たちがいわゆる対案を提出しましたのは、中山案の抱えている矛盾というか非合理性というか、そういうことを考えた結果として対案を提出したわけです。
 要するに、中山案は、脳死は人の死であるということを一般化して、その上での臓器移植法を法案として作成されたわけです。しかし今、田沢先生おっしゃいました脳死臨調も、脳死を死とする社会的合意は存在するということをいろいろ述べておられるわけですけれども、その場合にしても、必ずしも世論調査の数字が正しいわけじゃありませんが、脳死をイコール死と認める者が四四・六%、これを否定する者が二四・五%という状況のもとにおいて、脳死を死とする社会的合意はあるという結論を出された。その結論に乗っての中山案ということになりますと、私たちの立場からすれば前提において間違っているんじゃなかろうかということからこの対案の検討を始めたわけです。
 脳死を死とする社会的合意があるかないかという問題は、ただいまも申し上げましたように、単に多数決の問題ではないとはわかっておりますけれども、しかしその脳死臨調の調査の後から今日までの世論の動向を見た場合にも、脳死を一般的に人の死とする国民の皆さんの数は五〇%から一番多いときで六〇%、つい最近だと四〇%台に落ち込んでいると、また脳死を人の死と認めないという国民の皆さんの数もやはり三〇%、四〇%というふうに動いております。
 結局、脳死を人の死としていいのかということに対する国民の確定的な見解はない。要するに、国民の心は揺れ動いているということを前提にして、脳死を一般的に人の死とすることなしに、しかし社会的な法律的な事実として臓器移植を求める人と臓器提供してもよろしいという人との、この国民の中に存在する二つの方々のために、その両方のかけ橋というか橋渡しというか、それに資するだけの法律をつくったらどうだろうということで対案を提出した次第です。
 以上です。

発言情報

speech_id: 114014604X00719970616_008

発言者: 猪熊重二

speaker_id: 24845

日付: 1997-06-16

院: 参議院

会議名: 臓器の移植に関する特別委員会