猪熊重二の発言 (臓器の移植に関する特別委員会)
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○委員以外の議員(猪熊重二君) 今、先生がおっしゃられたような批判が、いわゆる違法阻却説に対していろいろ言われていることは私も知っております。しかし、私たちが出した法案は、ドナーの命が軽くてレシピエントの命が重いというふうなこととは全く無関係であります。
それはどういうことかというと、例えば正当防衛の場合に、加害者がいて、ここに加害者の攻撃によって今危機に瀕している人がいるというときに、第三者である私がこの加害者を射殺した場合に、私は他の要件があれば正当防衛として別に犯罪にも何にもなりません。なぜか。それは、加害者の命が軽いから殺していいんじゃないんです。また、被害者になる可能性のあるこの被害者の立場にある人の命が重いから、だから加害者の命を殺して被害者の命を助けた、この命は軽重があるというふうなことは正当防衛論において全く論じられていません。当然のことなんです。加害者の命も被害者たるべき者の命も、命に差があるから、だから加害者を殺していいんではないということ。加害者の行為が社会的に許されないから射殺されてもやむを得ないという社会的評価があるはずです。これと同じように、例えばドナーとレシピエントの命の差があるから、だからドナーの命を終わらせてもいいというふうなことは私たちは全然考えておりません。
どういうことかというと、ドナーが自己決定に基づいて、脳死状態に陥ったら、その正当な要件のもとの脳死判定を受けて回復の見込みがないということをみずから納得したときには、私にもし世の中に役に立つことがあればということの本人の自己決定を尊重し、またレシピエントの臓器をいただいてもっと生きたいという、両方の命を、特にドナーの自己の生命の尊厳に対する自己決定を尊重しようということでこういうことを考えましたので、ドナー、レシピエントの両方の命の差というのは全く私はそういうふうなことは考えてもおりませんし、この法案がそういうことを意図しているとか結果しているというふうな御意見は、まことに申しわけありませんけれども田沢先生と見解を異にしますので、よろしくお願いします。